てんぐバックスカフェをつくろう!!造形ワークショップ レポート

2016年8月9日(火)~12日(金)

「てんぐバックスカフェをつくろう!!」ワークショップは、KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016の招聘作家の美術家・東方悠平さんによるプロジェクトです。「ちびっこうべ2016」のユメミセワークショップと足並みを揃えるようなかたちで、「てんぐバックスカフェ」を子どもたちと作り、子どものまちオープン日に実際に運営します。

てんぐバックスカフェ」は、東方さんが2013年に制作した作品のひとつ。その当時まだスターバックスカフェの出店がなかった鳥取県に、一足早く上陸させた、期間限定のカフェでした。(2013年、鳥取県倉吉市灘手地区で行われているアーティスト・イン・レジデンスに招聘された際に制作)

今回、「ちびっこうべ」のまちの中にオープンさせる「てんぐバックスカフェ」は、さまざまな新しい要素が盛り込まれています。
8月に造形ワークショップ、9月にダンスワークショップを行い、10月に控えるオープニングパフォーマンスと、まちオープン期間のカフェ運営に向かって準備を進めます。

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8月9日:オリエンテーション
合計13人の子どもたちと東方さんが初めて顔を合わせました。まずは東方さんから、自己紹介と作品紹介、てんぐバックスカフェとは何か?、これから何をするのか?、が語られました。子どもたちも簡単に自己紹介をしました。
一方的に話を聞いているだけでも退屈してしまうので、さっそくカフェに必要なものを作りはじめました。ダンスの衣装にもなる、エプロンです。てんぐの顔が描かれていて、鼻の部分は手が通せるように筒状に長くなっています。この鼻はダンスの振付けにもかかわってくるとのこと。
素材はビニールです。さまざまな色をしたビニールを切ったり貼ったりして作ります。すぐに作り始める子も、いくつかデッサンをしてから制作にかかる子もいて、目をキラキラさせたり、ヒゲに切り込みを入れてもじゃもじゃにしたり、作るプロセスもできあがった形も異なった、それぞれのてんぐエプロンができあがりました。
子どもたちには、ビニールでこんなことができるんだ、人によって全然違う顔ができるんだ、と、さまざまな驚きや発見があったようです。

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8月10日~12日:造形ワークショップ
カフェに必要なさまざまな造形物を作りました。
必ず作るのは、てんぐのお面。ダンス用と装飾用で、一人につき、笑った表情と怒った表情の2種類を作ります。ボウルに新聞紙をぐちゃぐちゃにしながらあてて、緑色のテープでぐるぐる巻きにすると、お面のベースができあがります。そのあと、眉毛、目、鼻、ひげ、口、帽子、髪の毛をつけます。最後に後ろにゴムひもを通して被れるようにしたら完成です。

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1個目で作り方をつかんで、2個目で工夫をする子が多かったです。青くしたり、髪を三つ編みにしたり、鼻を先太りにしたり。子どもの発想力に驚きます。
進み具合によって、うちわ/でかてんぐ/旗/コースター/てんぐメダル なども作りました。



数日にわたって、さまざまな緑色のてんぐを作ってきた子どもたち。作り方も会得したようです。「てんぐ」の定義やイメージが明確にない状態で作っていますが、なんだかすっかり受け入れられたようす。てんぐの不思議なところです。

2日目には、お互いの交流を深めるため、東方さんの地元・北海道でだけ普及しているという「大根抜きゲーム」を行いました。
みんなで腕を組んで、壁に背をつけて座ります。鬼?的な1人が、任意の人の足を、大根のように引っ張って抜きます。壁側の人たちは、抜かれないように腕を強く組んで抵抗します。抜かれた人は抜く側に回ってどんどん抜いていきます。



「ぜったいに盛り上がる!」という東方さんの言葉通り、悲鳴・歓声があがる大盛り上がりに。学校も年も違う子どもたちが顔を合わせて遠慮がちだった雰囲気が一転、ぐっと距離が縮まったようです。

4日間それぞれ、サポーターのみなさんに子どもたちの制作のお手伝いをしてもらいました。今回ちょっと特別だったのは、チュニジア人のSelim Ben Abaさんが通しでその中に参加してくれたこと。日本に2か月ほど滞在する期間中に、ボランティア活動がしたい、とのことでKIITOに問い合わせをしてくれたので、本ワークショップで受け入れました。

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「てんぐ」を知ってる?と聞くと、『名探偵コナン』で見たことがあったそう。日本語が話せないのでコミュニケーションの方法に戸惑う時間もありましたが、そこは造形ワークショップならではで、手を動かしたり、かたちをつくったりしながら、子どもと上手にコミュニケーションを取ってサポートをしてくれました。最後のほうにはお面作りの教え方を完全にマスター。目やひげのかたちは、作るごとに新しいアイデアを提案してくれて、さすがチュニジアの美術大学に通っているだけのことはあります。角をつけよう、と彼が提案すると、子どもが「それじゃあ鬼になっちゃうよ」と指摘する場面があり、てんぐの定義の境界線が見えたような、おもしろい瞬間もありました。

造形ワークショップは今回で終了し、次回9月は、カフェの中で披露するダンスを練習します。いったいどんなダンスなのでしょうか!?


撮影:坂下丈太郎(Instagramを除く)

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