ACTION PLAN4

ふれあいオープン喫茶

誰かにとっての楽しみが 誰かにとっての 学びにも変わる場所。

「ふれあいオープン喫茶」の仕組み

家にこもるシニア男性 + 「本気」のパンづくり
プロからパンづくりの技術を学び自分の腕を磨いていく。「パンじぃ」誕生
身につけた技術で“誰かのため”に作る

神戸での実施例

「ふれあいオープン喫茶」

日程
2012年3月25日
場所
神戸市須磨区 竜が台住宅団地 集会所
参加費
無料(飲食は有料)
主催
神戸市保健福祉局
協力
ふれあい喫茶運営ボランティア「お花畑」、きたすまあんしんすこやかセンター、神戸市須磨区社会福祉協議会、サタケシュンスケ(イラストレーター)、白本恵美(テキスタイルデザイナー)

「ふれあいオープン喫茶+(研修×トライアルイべントの実施)」

日程
2016年1月15日、2月9日、3月5日、3月29日
場所
神戸市垂水区役所大会議場、ベルデ名谷集会所、ベルデ名谷旧デイケアセンター
参加費
無料(飲食は有料)
主催
ほっとかへんネットたるみ(垂水区社会福祉法人連絡協議会)、神戸市垂水区社会福祉協議会
協力
デザイン・クリエイティフブセンター神戸、神戸学院大学Shark Family、 和田武大(デザイナー/ DESIGN HERO)、藤原幸司(デザイナー/ 4S DESIGN)

実施までの流れ

高齢者の集いの場所から
まちにひらかれた場所へ。

1.開催場所を決める(実施されているふれあい喫茶や既存の場所、もしくは地域資源として未活用の場所から選択。公民館?集会場?屋外?)
2.企画を地域に向けて説明(学生・シニア店員・こども店員など、色々な人や団体が関われるプラットフォームをつくる)
3.喫茶の方向性を決める(会場レイアウトは?メニューは?必要なツールは?)
4.広報活動
5.ふれあいオープン喫茶開催
お客さんやスタッフの声を聞いて次回へいかす

2011年のプロジェクト以前も、地域のふれあいを目的とした「ふれあい喫茶」は、すでに存在していました。公民館や福祉センターなどを利用して、低価格の飲み物やお菓子を提供する形のもの。喫茶を利用する人は80代が中心で、運営スタッフは60代が中心でしたが、他の世代を巻き込み、さらにふれあいを広げていきたいと考えていました。

そこで2011年に喫茶のリニューアルプロジェクトを開始。みんなが関われる地域のプラットフォームの役割を担えるものにしようとしました。たとえば、ちょっとしたこと。喫茶のテーブルクロスやエプロンのデザインを意識してみたり。地域団体の活動発表の場として利用できるよう、積極的に促してみたり。地域のこどもがスタッフになってみたり。少しずつ地域の中で、 喫茶をみんなにオープンなものへと生まれ変わらせたのが、「ふれあいオープン喫茶」です。

そこから、じつに7年が経ちました。使われなくなった集会場を復活させようと行われた喫茶、大学内の子育てサロンで開催する喫茶、こどもたちが高齢者を招待する形式の喫茶、高齢者男性がオーナーになる喫茶、社会福祉法人の研修プログラムとして実施された喫茶など。喫茶は地域にひらかれた場として、様々な人が様々な企画を実施する空間となり、世代や立場を超えたふれあいを生む試みが行われつづけています。

実施のポイント

point1

既存の居場所を残しながら、
オープンな場所につくりかえる。

高齢者の居場所であった、過去のふれあい喫茶。既存の喫茶は、コーヒーやお菓子などが提供され、高齢者の居場所としては機能していました。しかし 喫茶に集うのも、運営するのも、高齢者しかいなかったのが実情。
目指したのは集える場所としてのあり方を残しつつ、色々な関わり方ができる喫茶であること。そして、まちにオープンな喫茶となることでした。

point2

その地域ならではの
必要な空間とは何か?

まちに対してオープンにしてみる。これは、地域の様々な団体や活動、世代の人たちが使えるプラットフォームとして、喫茶を再構築してみる、という ことでした。
地域のこどもたちに「こども店員」になってもらったり、イベントの発表の場にしてみたり。地域で求められる要素を「ふれあいオープン 喫茶」の場に組み込み、実現させていきました。

関係者の声

桝一美紀さん

桝一美紀さん

須磨区「ふれあいオープン喫茶」 参加団体 灘区社会福祉協議会

「福祉」って
楽しいものなんだ!

準備段階では、地域の方に想いを伝える大切さや難しさを痛感しました。
それでも当日は、カラフルに彩られた会場やスタッフの笑顔を見て、「福祉」を堅いものととらえていた自分の気持ちが、ふわっと軽くなり、楽しむことができました。

樋口勲さん

樋口勲さん

ベルデ名谷「 ふれあいオープン喫茶+」参加団体
社会福祉法人みかり会、神陵台児童館館長

大切な「お出かけの場」で
ありつづけたい。

2年ほど続けてきて、地域の方にとって、大切なお出かけの場所となっているのを感じます。
昔着ていた洋服を引っ張り出して、念入りにお化粧をしてからいらっしゃるという方もいます。ずっとある、みなさんの場所として、継続していきたいですね。

参加者の声

中村妙子さん

ベルデ名谷で開催する「ふれあいオープン喫茶+」参加者
中村妙子さん

ただのゲームやおしゃべりも、
本当に特別に感じられる。

みんなで集まってはしゃぐのが、この場所だけだという人も多いのだと思います。最初は知らない人が多かったけど、だんだん仲のいい関係になって。そんなことも嬉しいです。 特にこどもたちの顔がわかるようになってきたのがいいですね。

次への課題

日常/非日常のバランス。

あくまでベースにあるのは、ただ集える場所としての喫茶。ふれあいオープン喫茶は、定期的に開催される「お楽しみ」の場です。運営側のリソースも考慮し、バランスをとりながらの開催が重要となります。

特別なものにしすぎない。

特別に豪華にしたり、プログラムをたくさん準備しなければならないものだと、継続が難しい。そうではなく、そこに行けば誰かがいて、いつ帰ってもいい、そんな気ままな場所としてまちの中にあり続けることが大事です。

まちの中で、多くの世代が関わる場をつくる。

こども店員がいることで、それまで面識もなかった高齢者の方とこどもたちが普段からあいさつをするようになったり、寺子屋のような取り組みが始まったり。自然とバラバラの世代が一緒にいて、顔見知りになる場として最適にします。

十人十色のふれあいオープン喫茶。

神戸市以外からも「ふれあいオープン喫茶を開催したい」という声を聞きます。「できそう」「やってみたい」と思えるのは、大切なこと。自分たちのまちでは、何が求められているか?どうやってオープンな場にするのか?考える機会を増やしていきたいと思います。