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2014/12/15

イベントレポート

AXIS x IDEO x takram「Collective Dialogue」レポート(+クリエイティブゼミvol.12連携企画)

2014年12月10日(水)

AXISギャラリー(東京)で開催された「Collective Dialogue」の第3回目「Our Park」をレポートします。

「Collective Dialogue」は、AXIS x IDEO x takramの3社が共同で開催する、オープンな対話を通じて、「社会の課題を、デザインで解決する。」ことを目指した、創発型クリエイティブセッションです。
第3回目のテーマは「Our Park」。KIITOの+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編「これからの公園のあり方について考える。」(公園ゼミ)の連携企画として開催されました。公園ゼミ生3名が、参加者と一緒にセッションに加わります。

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会場には、人口芝生と公園遊具がレイアウトされていて、遊具や芝生に座って説明を聞いたり、グループセッションでも遊具を自由に使いながら行いました。各チームのテーブルには、iPad、紙粘土、折り紙、厚紙、付箋など、アイディア創発を手助けするツールが並んでいます。

5,6人で1チーム、計7チームに分けられ、チームごとには役が設定されています(A:じぃじぃ、ばぁばぁ/B:おひとりさま/C:ヤングシニア(アーリーリタイアド)/D:アベック(english only)/E:パパママ&キッズ/F:みんなでのんびり/G:アスリート)。チームに与えられた役になりきって、自分たちの理想の公園を考え、最後にプレゼンテーションをします。KIITOゼミ生3名は、「アスリート」Gチームに入りました。

1チームにつき、参加者の他に、ゲストが入って一緒に考えます。NPO理事、ジョガー、エデュケーター、IDEO 、takram、公園遊具メーカーの社長など、それどれの立場からユニークな活動をされている方々が参加していました。

takramからの概要説明、公園ゼミ第2回目のゲスト・長濱伸貴さんによる超短縮版レクチャーのあと、グループセッションに移りました。発想~プレゼンテーションまで、短めに時間が区切られ、ヒントとなる考え方が、印象的な言葉で示されました。

【発想】
まず、自分の中にある考え、気付き、問題から始める。(公園に関してふだん思っていることをあげてみる)
 ↓
【問いの設定】
書きだした問題を、how might we?(どうしたら私たちは○○「できる」だろう?)に書き直す
×how can we?(私たちはどのように○○「すべき」だろう?)ではないのがポイント。
そのとき、具体的になり過ぎないように&抽象的になり過ぎないように。
 ↓
アイディアの中で形にしたいものを選ぶ。
 ↓
アイディアから、デザイン・ルールを抽出する。次にどういうアクションを取ればいいか、伝わるもの。一般論ではなく、具体的に。
 ↓
so what?(だから何?)の問いを2段階くらい繰り返して、そのアイディアの何が面白いのか?の核を見つける。
 ↓
デザイン・ルールを1つか2つ抽出する。
 ↓
【プレゼンテーション】
説明はしない。ポイントを明確にしてデザイン・ルールとアイディアの紹介をする。何を言うかではなく、何を言わないか。メッセージを研ぎ澄ませる。
発表はパフォーマンスを交えるのも良い。

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プレゼンテーションでは、どのチームも、使用される場面を想定したパフォーマンス込みの楽しいプレゼンテーションで、会場を沸かせていました。
A:「じぃじぃ、ばぁばぁ」チーム
高齢者と利用者がつながるネットワーク装置を設置。公園利用者が教えてもらいたいことを書き込む(ex.日本語教えて!from 留学生)と、じぃじぃ、ばぁばぁにメッセージが届く。やってもよければ、公園に連れて行ってくれるバスに乗って、実施してもらう。
B:「おひとりさま」チーム
「TRIP PARK」。日々の生活のなかで楽しめる。世界各地の公園と大小スクリーンでリアルタイムにつながっていて、そこに行けば、一人でも楽しめるし、出会いもある。TRIPをきっかけに会話が広がる。
C:「ヤングシニア」チーム
「Park Presso」。ヤングシニアの公園デビュー支援。おいしいコーヒーが飲める装置とともに、ヤングシニアが公園で、公園利用者をおもてなし。ヤングシニアにやりがいを持ってもらい、公園を盛り上げていける仕組み。
D:「アベック」チーム
「きれいだね」など会話の糸口となるパネルや、「まいっか!」「ごめんね」が口に出さなくても伝えられるゲートを設置。これからのカップルも、マンネリ・ケンカ中のカップルも、公園で幸せになれる。
E:「パパママ&キッズ」チーム
「ダンベルさん」の設置。わくわくを生み、迷惑を減らす、プレイリーダーがいて、公園を管理し、利用者の相手をしてくれる。多世代をつないでくれる。
F:「みんなでのんびり」チーム
「自然と人が集まる場所」→自然を作って人が集まるようにする。足踏み発電が動力となる、夏は日陰をつくって涼しく、冬は暖房になる空間をつくる。二人の距離が近づく、一緒に座らないとバランスがとれないベンチの設置。
G:「アスリート」チーム
「ガチがつながる」公園。世界の公園とつないだり、相手の運動能力がわかる「スカウター」のような装置を設置。本気のアスリートが思う存分運動・競争できるようにする。運動しない人もサポーターや観戦者になれて、利用者みんながつながっていく。

各プレゼンテーションのあとには、参加者やゲストが質問やコメントをして、フィードバックします。また、総評として、長濱さんから「公園っぽくないアイディアが良かった。公園はもともとは輸入品。「らしくない」アイディアが、逆にこれを日本から本場に輸出できるんではという可能性も感じた」、KIITO副センター長・公園ゼミ講師の永田からは「コミュニケーションが関心事であることが共通していて、時代性を感じた。またシステム作りよりは装置型のアイディアが多いことが印象的」とのコメントがありました。
最後に、会場を「Our Park」として、ピクニックしながら、参加者同士の交流を楽しみました。

計3時間強でスピーディに進行される、中身の濃いプログラムでした。公園ゼミの課題解決にあたって、たいへん参考になる考え方が示され、個性的なアイディアがたくさん生まれました。ここで得られたものを神戸に持ち帰り、今後の公園ゼミへ活用します。また、ゼミ終了後には、AXIS, IDEO, takramと共催でシンポジウムを開催し、公園についてさらに議論を深めていきます。

Collective Dialogueについて
https://www.facebook.com/CollectiveDialogue

+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編 「これからの公園のあり方について考える。 ~高齢化するニュータウンにおける公園を事例にして~」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/10142/