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2016/7/4

イベントレポート

+クリエイティブゼミ vol.19 まちづくり編「神戸まちラボ CASE02 つなぐデザイン ~市街地西部地区(兵庫区南部・長田区南部)の豊醸化をめざして~」第6回

2016年6月28日(火)

第6回目は、これまでのゼミの成果を発表する中間発表です。班ごとに、これまでのリサーチやディスカッションで生まれたコンセプトやアイデアを発表しました。講評は、講師の永田と、藤 浩志氏(藤浩志企画制作室代表)、神戸市の企画調整局の担当の方にお話をいただきました。

以下、各班のプレゼン内容です。

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■A班/「街の写真部」計画
長田エリアの、下町情緒があり画になる街並みを、街の中の人々が写真で切り取り、共有・発信する「街の写真部」を提案した。街の中の幅広い年代の人々が集まり参加してもらえるよう、拠点となる施設(街の喫茶店など)にインスタントカメラを設置して、自由に持ち出して写真を撮ってもらい、また撮影した写真を気軽に共有し、発信できるまち街の仕組みづくりを提案した。また、リサーチで出会った、長田の風景の写真をテーマにしたフリーペーパー「o-chan」の発行者と実際に会って話を聞いたり、六軒道のカフェ「r3」にインスタントカメラを期間限定で設置する実験をしたりと、提案の内容を深めるため、さまざまな街に対してのアプローチを行っている。

講評|写真・街の風景というキーワードの中に、もう少しフェチっぽさがあると良い。「写真現像部」「写真活用部」など、アウトプットの中に、参加する人々が個人の興味や好みを生かすことのできる余地があると、もっと面白い展開になる。

■B班
長田エリアのリサーチから、今はあまり使われていないものづくりのための機械(ミシン・革すき機など)や、特別な技術をもっている職人と出会い、それらの長田の「ものづくりのまち」としての特色を生かし、若手のクリエイターをターゲットに、ものづくりを通して人と人、人とものをつなぐコミュニティづくりを提案。企業とクリエイターのマッチングや、ものづくりに関連するイベントやワークショップを実施し、まち全体にものづくりのイメージを確立する。

講評|
移住してきた若手のクリエイターが、このまちにどう関わり、どのような態度でものづくりを行うのかその指針が重要になる。まちを俯瞰で捉えるのではなく、ここにしかないまちの資源をもう少し整理してほしい。

■C班
長田の靴工場の見学ツアーを定期開催し、靴職人の技術力を発信して、観光客を誘致する仕掛けづくりを提案。また、もう一つの方向性として、長田で働いているアジア諸国の出身の人々とつながり、アジアのさまざまな魅力を紹介するマーケットを開催し、まちの個性としてその文化を発信するというアイデアについても考えを進めている。

講評|
せっかく靴産業が盛んな地域なので、制作工程の紹介や商品の流通だけではない、靴の新しい在り方・役割をもっと模索した方が良いのではないか。また、アジア文化の発信については、何かもっと強い核になるものがあれば、地域に根差す魅力になるのではないか。広くアジアの文化を発信するのではなく、どこかの国に焦点を当てるなど、もう少し深く掘り下げてみて欲しい。

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■D班
兵庫区南部エリアの、空き倉庫や木材の端材が手に入れやすいなどの土壌を生かして、DIYの拠点施設をつくる提案。施設内には、作業をできる広々としたスペースや、端材をシェアできるスペース、情報交換ができるスペースなどの機能が備えられ、まちで新しく何かを始めたいクリエイターやそのたまごが、活動の核となる場として利用する。また、近くを流れる兵庫運河を利用し、クリエイターたちがDIYで船を作るレースをするなど、地域性を生かしたイベントも開催していきたい。

講評|活動のモチベーションを高めるためには、なにか自由に使えるツールが備わっていることも重要だが、誰かがそのツールで常に活動をしているような状況があることが重要になる。人の魅力によって人が集まり、活動が連鎖していくような動きが作られるといい。端材の提供のしかたについても、ただ設置するのではなく、その先のワンアクションが提供できると良いのではないか。

■E班/「てしごと・ば」
現在新長田に多く見られる、区外から移住してきた若い世代のママたちと、神戸に根ざすハンドメイドの伝統に着目し、子育てをしながらハンドメイドの仕事ができ、また情報交換の場ともなるような場づくりを提案。拠点となるスペースには、ハンドメイド・クラフトのための道具や、ワークショップなどを行うイベントスペース、親子が一緒に過ごせるカフェなども併設し、ママが仕事と暮らしを両立しながら参加ができる、新しいコミュニティをつくる。また、リサーチの中で、すでにまちの中に古着や廃材を使ってハンドメイドの活動を行っているママがいたので、ネット販売などの新しいリソースを組み合わせることで、より広く発信をしていきたい。

講評|いま地域でハンドメイドの活動をしている人々は、ほとんどの人が自宅で制作を行っていると思うが、特に子育て世代のママたちのコミュニケーションは重要なので、同じ趣味によって集まり、会話を楽しみながら情報交換をできる女性の遊び場のようなものがまちには必要だと思う。また、神戸は特に働く女性が少ないと言われるが、決まった時間で仕事ができ、子育てとの両立も図ることのできる場というのは、大いに可能性があるのではないか。

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全体講評|
班の提案に対して、自分が実際にどのような立場で関わりたいかを考えてみることが重要。興味関心はそれぞれ違うので、自分が担うことができる役割は何か、今後やっていきたいことは何かを再確認し、できるところから始めていければいい。
また、まちの資源を「いじる」ということも、もう一度意識をしてほしい。例えば、現在長田で、無料で提供されているような「おかんアート」も、もっとセンスを磨き、おかんアートに「デザイン性」を加えてみることで、新たな可能性をもっと広げてみることができるのではないか。現在の班の提案におけるまちの資源はなにか、見つめてみて欲しい。

次回は、まちの資源をもう一度見直し、アイデアをブラッシュアップしていくため、移住のニュースタンダードをテーマにUターン・Iターンなど地域の暮らし・仕事の今を伝える、ローカルライフ・ウェブマガジン「雛形」の編集を担当されている、菅原 良美氏にお越しいただき、レクチャーを行っていただきます。

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