お知らせ・レポート

10月23日(月)、大丸神戸店6階に10月にオープンした「M BASE」にて、日本酒学「蔵元が語る、日本酒造りと楽しみ方」を開催しました。日本酒の歴史や酒造りの工程、またそこに込められた想いを講師の方にお話しいただき、実際に参加者の皆さんも日本酒を試飲して味わいを楽しむ形式のワークショップです。

この日の講師は、泉酒造株式会社 杜氏の和氣卓司さんと、播州地酒ひの 店主の日野明さんのお二人。まずは灘が日本酒の産地と言われる所以からお話いただきました。


仙介の革新的な日本酒造り
今回の日本酒学は全2回。1回目は泉酒造の和氣さん、2回目は剣菱酒造の社長・白樫さんをお招きするラインナップですが、日野さん曰く「剣菱が伝統を守る蔵だとすれば、仙介(泉酒造)は灘の中でも革新的な酒造りをしているイメージ」とのこと。
泉酒造の酒造りの歴史は、江戸時代後期にまでさかのぼります。1756年、初代当主の仙介が酒造りを始めたのは、神戸北区の道場町。その後、3代目のときに灘に進出しますが、第二次世界大戦中、そして阪神淡路大震災の際に蔵は焼かれてしまいました。
和氣さんは、震災後約12年間休造していた泉酒造が再開した3年後に勤め始めます。「休造している12年の間に、吟醸酒が生まれるなど酒造りが劇的に変わっていたんです。僕が入った時はすごく時代遅れな酒を造っているなあと。そこで、今の灘にはない、灘の風土を生かした味を自分たちでつくっていこうという流れができたんです。」

灘の酒蔵が発達した4つの理由
1.米が播州の軟質米であることと、有名な山田錦という米の産地があるため。
2.川が急流で、山からすぐに水をひくことができ精米が発達しているため。
3.灘の酒が生まれた当時、酒の一番のマーケットである江戸まで船ですぐに運ぶことができたため。
4.宮水を使うことでしっかりと発酵させることができるため。

また、泉酒造は、地元の農家とタッグを組んでやっていきたいという想いからすべて兵庫県産米のみを使用しています。他県の米を使わなくても十分補えてしまう、非常に恵まれた環境です。


酒の種類とそのメカニズム
酒には、醸造酒と蒸留酒の2種類があり、日本酒、ビール、ワインは世界三大醸造酒と呼ばれています。焼酎やウイスキーは蒸留酒です。
まず、酵母菌が糖を食べることでアルコールが発生。そして、糖が無くなった酒を甘くしてくれるのが、副原料と言われる麹です。麹の酵素が蒸した米に作用して、甘い糖にしてくれるのです。酵母がそれを溜め、アルコールと炭酸ガスを発生するこの仕組みが日本酒のメカニズム。ちなみに、ワインのように原料(この場合ぶどう)自体が甘くその糖を酵母菌が食べる発酵は「単発酵」といいます。
一方ビールは麦芽糖を副原料とし、麦芽の中に入っている酵素によって麦芽糖ができます。
基本的に、酵母がアルコールを出し、酵母のエサを作るのが麹の役割というのはすべて共通で、日本酒を蒸留すれば米焼酎に、ビールを蒸留すればウイスキーに、ワインを蒸留すればブランデーになります。蒸留酒には必ず醸造段階があり、芋焼酎のように醸造段階で飲めないような香りのあるものは蒸留酒になります。



今回は、話を聞くだけではなく実際に「大吟醸」「純米大吟醸 生酒」「純米大吟醸 無ろ過生原酒」「特別純米 無ろ過生原酒」「山廃純米 泉チャレンジ」の5種類の日本酒を試飲しました。

①大吟醸
アルコール添加する必要がない酒で、あまりアルコールを薄めず飲みたいときにもおすすめです。

②純米大吟醸 生酒
今回はこの純米大吟醸のみがアルコール添加してあります。「純米酒は含み感が深いので、口に含む前に鼻に近づけると良いですよ」というアドバイスに、みなさん一斉にカップに鼻を近づけ、その後、口の中から鼻に抜ける含み感を楽しんでいる様子でした。

③純米大吟醸 無ろ過生原酒
②の生酒。ちょっとガス感を感じるのが特徴です。
酵母が糖を食べる時にアルコールと一緒に発生する炭酸ガスは、火を入れたりろ過すると抜けてしまうのでなかなか味わえません。泉酒造は、搾ったそのまま感を伝えるためにできるだけガスを残しているのです。

④特別純米 無ろ過生原酒
特別純米の「特別」とは、「精米を使うことで純度を高めてある」もしくは「すべて酒造好適米を使用しており原料米にこだわりがある」という意味です。好適米とは、普段私たちが食べているような乾米ではなく、酒税法で定められた酒のためだけに造られた米を指します。このあたりの知識があるとなかなかの通です。

⑤山廃純米 泉チャレンジ
純米酒。掛け米で、麹米は山田錦、蒸米は一般米のヒノヒカリを使用しています。

 
 

山廃とは
酒母(酵母を培養したもの)のつくり方の一種で、今回用意した①~④の日本酒は速醸という酒母の製法を用いていますが、山廃は酒母の作り方は異なります。速醸の場合は最初に乳酸を入れておくので10日~15日ほどで酒母ができますが、山廃や生酛(きもと)は乳酸がつくられる時間が必要となるため倍の30日もかかります。
酒母造りの工程では硝酸還元菌(しょうさんかんげんきん)という井戸水の中にいる微生物を使って硝酸をつくりますが、硝酸還元菌がいない水で酒を造ると失敗してしまうため、仕込み前に水を調べます。この硝酸の量が増えてくると腐造(仕込み後の酒質トラブル)しなくなるので、重要なポイントです。
ちなみに、山廃は米粒をつぶさずにそのまま徐々に温度を上げて仕込んでいきますが、この米をすり潰す工程を「山卸(やまおろし)」または「酛すり」といい、その作業が省略された、つまり「山卸が廃止された」手法ということで「山廃」酒造と呼ばれるのです。
また、泉酒造の山廃は、あまり深みとコクがなく他の酒造のものと比べるとサッパリした味が特徴。「色も酸味もあるきつい酒を作れと言われたのですが、そんなの作りたくない。泉酒造の仙介カラーを出したくて作りました。山廃らしくない、というよりも、こういう山廃もある、という捉え方をしてほしいです」と、和氣さんの想いが語られました。

日本酒を様々な側面から見てきましたが、狙う酒質によって酒母のつくり方は決まってきます。山廃はアミノ酸を多く含むため味にコクと深みがありますが、傷みやすく、また酸味が多いためしっかりと熟成させる必要があります。一方で速醸はスッキリとした味の少なさが特徴で、安定した作り方ができると言えます。しかし、必ずしも山廃のほうが手間がかかっているから美味しいということではありません。自分に合う日本酒を見つける際のひとつの知識として覚えておきましょう。


「今日これだけ全部飲まないと帰れませんからね」と冗談を交えつつ、あたたまってきた会場ではワークショップの締めくくりに参加者からいくつか質問が出ました。

Q.種類の色を比べたら、山廃がいちばん透明に近いので、普通のイメージと全然違ってびっくりしました。色のちがいで何か違うのでしょうか。
A.生酒はもちろん吟醸系は色を気にしていません。色が抜けているほど良い酒だと言われる時代もありましたが、今は色のついたグラスで飲んだりもするので色で判断しないのです。山廃は、常温で流通したり、透明ラベルだと酒に光が当たってさらに劣化速度が上がってしまうため、泉酒造では「お客様が美味しく飲める期間を長くしたい」という見解から炭素を使ってある程度劣化を遅くする処理をしています。

Q.燗酒に向いているお酒はありますか。
A.基本的に燗にして温度を上げると甘味が増すため、苦味があっても酸味があっても、飲みやすくなります。甘くしすぎて飲みにくくなることもありますが、それが好きという人もいます。

Q.一回同じ日本酒を飲み始めるとほかに浮気ができません。ラベルを見ても自分に合うお酒かどうかを判断するのは難しいため、どこを見て一番合うお酒を選んだらいいのでしょうか。その基準や秘訣のようなものはありますか。
A.これは酒屋さんにとっても難しいところです。実際、「〇〇が欲しい」というように日本酒の名前が分かれば酒屋さんも出してくれますが、好みまでは難しいです。酒屋さんに行って、何種類か試飲させてもらうのがいいかもしれませんね。


ワークショップを通して、参加者の皆さんはより日本酒に興味を持った様子でした。和氣さんは、「なぜ日本は外からの文化を取り入れてばかりなのか、もっと自国の文化を広めていったらいいのに」と、日本酒のさらなる可能性についても言及し、奥深い日本酒の世界を堪能することができました。


日本酒学「蔵元が語る、日本酒造りと楽しみ方」

「つながる食のデザイン展」会期中の11月14日(土)と21日(土)に、つながる食の連続トーク「“パンじぃ”がパンをつくりながら、夢を語る」を開催しました。神戸を代表するパン職人から本格的なパン作りを学び、KIITOでのイベントや地域のコミュニティカフェで活動を続けている"パンじぃ"たちが、展覧会の会場でパンを焼き上げて来場者にふるまい、現在の活動やこれからの目標、夢について、来場者に語りました。14日(土)は、東灘区青木の「カフェやすらぎ」を拠点に活動する第2期メンバーが、21日(土)は大丸神戸店での「ちびっこうべカフェ」を控えた第1期メンバーがパンをふるまいました。

 
 
11月14日(土)
この日は第2期メンバーが登場。昨年12月から月1回、「カフェ・やすらぎ」にメンバーが集まり、「パンじぃのひるごぱん」と題して、パン焼き上げ、振る舞ってきました。メンバーも様々なパンのレシピについて研究を重ねてきて、満を持してKIITOに登場です。第2期メンバーの講師だった御影・ケルンの壷井豪シェフも、パンじぃたちの次の課題となるパンを携えて、応援に駆けつけてくれました。

この日、会場で振る舞うパンは2種類、50セットほど。少し早めに余裕を持って集合し、仕込みがスタートしました。今回はしっかりと練り上げる作業を行うことが重要になるメニュー。パンじぃたちが力を込めて生地を練り上げる音が、オープンしたばかりの展覧会会場にまで響き渡ります。大きな音に引きつけられて、キッチンまで足を運ぶ来場者の姿も見られました。練り上げに1時間弱、ようやく一次発酵へ。次の作業まで小休止です。

30分ほど発酵に時間を要したあと、成形と二次発酵へ移ります。順調に進んできたと思いきや、ここでトラブルが発生。レシピに不備があったようで、二次発酵に大きく時間を割いてしまいます。予想外のトラブルでしたが、壷井シェフのフォローもあって、パンじぃ全員でピンチを乗り切ります。ようやく二次発酵の工程が落ち着いたところで、焼き上がりを待っている来場者が会場に集まり始めます。手が空いたメンバーから、来場者のもとへ。壷井シェフも加わって、パンじぃと来場者との交流がスタート。第2期が始まった経緯、現在の活動のこと、これからの目標などについて、熱く語らう場面が繰り広げられました。その流れでそのままに、二次発酵を終えたパンが会場内のオーブンのもとへやってきます。来場者の前で続々と焼成がスタート。一緒に焼きあがりを見守ります。

20分ほどの焼成のあと、いよいよ来場者のみなさんと試食。手間をかけただけのことはあって、いつも以上にふっくらした仕上がりのパンとなりました。次回以降のカフェやすらぎのパンも、さらに美味しさを増していきそうなところ。新しいパンへの挑戦も楽しみです。

終了後の反省会では、工程についての反省が出るとともに、各工程の目的、特に発酵の重要さについて、もっとしっかり勉強する機会を持ちたいというメンバーが相次ぎました。つねに研究熱心な第2期メンバー。工夫を凝らした素晴らしいパンが、青木から誕生しそうです。

 
11月21日(土)
11月3日(金・祝)に大丸神戸店で行われる「ちびっこうべカフェ」本番を控えた第1期メンバーが集合。本番前最後のリハーサルとなることもあって、緊張も感じられる中、パン作りがスタートします。これまではジャガイモのパンとチョコレートのパンを提供する予定で練習を重ねてきましたが、季節にちなんで、ジャガイモをかぼちゃに変更することに。新しい材料ということもあって、メンバーも慎重に作業を進めていきます。また、「ちびっこうべカフェ」では200セットと、いつも以上に大量に作り上げなければなりません。各工程についても当日を念頭にいれて、注意深く確認していきます。

メンバーがまず苦戦したのはかぼちゃの水分。ジャガイモよりも水分が多いため、水の量には気を配らなければなりません。水を生地に加えていくタイミングも重要になります。ベタベタにならず、良い状態の生地を作るのに悪戦苦闘。試行錯誤と苦労を重ねました。

少しいつもより柔らかめな感じにはなりましたが、生地の練り上げまでは比較的順調に工程が進み、一次発酵へ。発酵後の生地もやや水気が多い感じでしたが、成形もズムーズに進み焼成へ。来場者の目の前で、オーブンへとパンが吸い込まれていきます。香ばしい匂いが漂う中で焼きあがり。新しいかぼちゃのパンもは来場者にも好評です。

パンをふるまいながら、来場者と交流するメンバーたち。大丸神戸店での本番に向けて、意気込みと自信、チームワークの良さが感じられた一幕でした。反省会では、当日に向けて分量や工程について再確認し、万全を期します。

2回にわたって開催された「“パンじぃ”がパンをつくりながら、夢を語る」。パンを作って多くの人たちにふるまう中で、パンジぃたちが目標を持って自分たちの手で、活躍の場を切り開いていく姿を印象づける催しとなりました。


つながる食の連続トーク「“パンじぃ”がパンをつくりながら、夢を語る」
つながる食のデザイン展
パンじぃ

2017年10月7日(土)~22日(日)まで、KIITOを会場に「つながる食のデザイン展」を開催しました。神戸の料理人、酪農家、販売者などの思いや描く夢を、神戸を拠点とするさまざまなクリエイターが、体験や映像、写真などで表現した展示物がKIITOホールに並びました。食をテーマとしているが、食べられない展覧会です。KIITOの建物にも告知チラシやポスターのデザインが装飾され、いつもとは少し雰囲気の違う様子を演出しました。会場に入ると、蛍光オレンジのラインが目に入ります。

 
味覚を体験するもの、牧場で取り組む循環の仕組みを学ぶもの、1つのパンができるまでを詳細に紹介したものなど11個のコンテンツがKIITOホール、ギャラリーAのスペースに展示しました。

 
【味覚の不思議、再発見】パティスリー モンプリュ・林周平さん(シェフ)×DESIGN HERO・和田武大さん(デザイナー)
普段あまり意識しない味覚の繊細さや違いを体感する展示となりました。3種のチョコレートを試食し、甘味、酸味、苦味を表すカラーボールを感じた比率で試験管に入れていくというものです。「最後に少し酸味を感じた」「どれも苦いぞ」など感じ方はそれぞれです。味覚を評価した試験管を持ち、展示の裏に回ると、他の体験者の試験管がたくさん並んでいます。その横に自分の試験管を並べ比べます。「えっ!こんなにみんな違うの?」という感想がほとんどでした。家族でも味覚の感じ方が異なり、たくさんの発見や気づきがありました。

 
【あえて聞きたい/答えたい、食の疑問】出展者:ケルン・壷井豪さん(シェフ)×神戸芸術工科大学・曽和具之さん(ドキュメンタリスト)
生産者、消費者、農家など、日常生活では接点の少ない様々な立場の人たちが、9月にKIITOに集まり、食について知りたいこと、疑問に思うこと、伝えたいことについて垣根を超えて話し合い、多く疑問をぶつけあいました。その様子を映像にまとめ、会場で上映しました。生産者が知ってほしいこと、消費者が知りたいことなど、普段なかなか伝わらずにもどかしく思っているそれぞれの本音をぶつける様子見られます。熱心に鑑賞される方も多くみられました。

 
【牧場からはじまる、もうひとつの未来】弓削牧場・弓削忠生さん(酪農家)×DML・久慈達也さん(デザインリサーチャー)
神戸市北区、住宅街に隣接した牧場が進める“無駄のない実践”から、エネルギー需給に留まらない「食の循環社会」について展示で紹介しました。牛1頭から取れるメタンガスや実物の消化液も展示され、消化液は実際に匂いを嗅ぐこともできました。恐る恐る鼻を近づける来場者も。匂いは牛糞のようではありません。消化液を使って育てられた、実際の農作物も展示しました。消化液を活用し、量産や流通を目的としない、学校や地域、家庭での菜園にて在来作物を育てる未来図も示しました。

 
【豚まん、100年の洗練】老祥記・曹英生さん(シェフ)×神戸芸術工科大学・曽和具之さん(ドキュメンタリスト)
創業100年を超える神戸南京町の豚まん屋「老祥記」の厨房の様子を撮影した映像を上映しました。メニューは豚まん1つです。普段あまり見ることのない、1日に1万3000個つくられる店内で熱気立ち込める中繰り出される洗練された職人技と無駄のない協働作業をまとめました。何度も映像を見られる方も多く、職人の動きや独特のリズムに興味を持たれたようです。

 
【ゴカンノキオク屋-飲食店が子どもたちを見守る寺子屋のようになれる未来-】玄斎・上野直哉さん(シェフ)×KUUMA inc.・濱部玲美さん(クリエイティブディレクター)×Apartment film・野田亮さん(映像作家)
まちのなかの飲食店は、食を提供する以外に、子どもたちを見守り、五感をくすぐる場所になれないだろうかという上野さんの思いに対し、実験として子どもたちが開店前の仕込みの時間に飲食店を訪ね、料理人の手さばきや仕草、店内のにおいや音、手触りなど観察を行い、その様子を映像やパネルで紹介しました。子どもたちが店内で感じたこと、発した言葉や動きなどを通して、大人も感じることが多かったようです。

 
【ひとつのパンができるまで】PAINDUCE・米山雅彦さん(シェフ)×NO ARCHITECTS・西山広志さん(建築家)
お店に並ぶパンを見ただけでは、想像することの難しい、原料からパンができるまで、生産者から購入者の手に渡るまでを、原料そのものや細かな工程をイラストで描き紹介しました。関わる人や時間、コストなども詳細に描かれています。1つのパンに必要な小麦の本数は120本。実際に小麦が並び、来場者も大変驚いていました。また砂糖、塩などもイラストで工程が描かれており、じっくりと鑑賞される方が多く見られました。

 
【不便から生まれるコミュニケーション】サ・マーシュ・西川功晃さん(シェフ)×MuFF・今津修平さん/KUAV・北川浩明さん(建築家)×Apartment film・野田亮さん(映像作家)
神戸北野にあるパン屋さん、サ・マーシュの店内を舞台に、Inconvenience(不便)=Communication(コミュニケーション)をキーワードに、売り場でのコミュニケーションのあり方を実験する様子を巨大な写真で展示しました。便利さを求めるあまりにそぎ落とされてしまっているコミュニケーションの重要性や、そこに生まれる付加価値について、来場者が改めて考える機会を生みました。

 
【知っているようで知らない野菜のはなし】はっぱや神戸・加古憲元さん/加古祐樹さん(農産物販売)×坂下丈太郎さん(カメラマン)
野菜を育てる人の手や道具、田畑の美しい様子や野菜が咲かせる可愛らしい花など、普段目にしている野菜の「知っているようで知らない」一面を、フィルムカメラに収めた大小さまざまなサイズの写真とちょっとしたエピソードともに展示しました。来場者はスーパーなどに並ぶ前の野菜の姿を見て、「こんな環境で育っているのか」「オクラって上を向いて育つの?」など気づきがたくさんあったようです。

 
【Experimental Tables 食べる「かたち」の実験室】anonyme・加古拓央さん(シェフ)×DESIGN SOIL(デザインコレクティブ)
食べる行為の舞台となるテーブルのまだ見ぬ可能性を探るためのアイデアテーブルを展示しました。加古さんが普段感じている様々な疑問や思いに対し、DESIGN SOILの学生たちがアイデアを検討した4つのテーブルと高さをスタディするもの、計5点が並びました。各テーブルを体験することもできるため、来場者も実際にテーブルを体験しながら食事をする際のマナーや意識を考えるきっかけが生まれていました。

 
【シニアから始めたパンづくり】
2015年KIITOで開催された「LIFE IS CREATIVE展」で生まれた、シニア男性チーム「パンじぃ」を紹介する展示です。神戸のパン職人から本気でパンづくりを学び、地域などで活躍している様子の写真や実際に使用している道具を並べました。会期中2日間は、実際に会場でパンじぃがパンを焼き、来場者に振舞いながら、パンじぃとしての思いや今後の夢について語りました。「うちの夫もパンじぃになってほしい」など彼らの活動に興味を持った方が多かったです。

 
【KIITOでつながる食のプロジェクト】
これまでKIITOで行った食にまつわるさまざまな企画をチラシや映像で紹介しました。食について共同で学ぶ食ゼミ、シェフや生産者によるトークイベント、シェフとクリエイターのコラボレーションによるパーティ企画「Meets+Design」など、「つながる食のデザイン展」につながった事業が分かります。「このチラシ見たことある」「これ、以前参加した」などの声もありました。

来場者の方は、食べることだけではない視点や考えに触れ、普段の生活の中から様々な気づきが生まれたようです。会期中に開催した「つながる食の連続トーク」も好評で、展示に至るまでの過程やエピソードなど、より深く食を知り、学ぶ機会をつくることができました。食を通してより豊かな神戸のまちにつながっていくことを願っています。

写真:片山俊樹


「つながる食のデザイン展 食べることから、はじまる」
会期:2017年10月7日(土)-22日(日)※休館10月10日(火)、16日(月)
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)1FKIITOホール、ギャラリーA
主催:デザイン・クリエイティブセンター神戸
特別協力:AnyTokyo
企画協力:田中みゆき
後援:NHK神戸放送局、Kiss FM KOBE、神戸市教育委員会、神戸新聞社、サンテレビジョン、ラジオ関西


2017年8月からスタートした「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」の成果発表として、11月3日(金・祝)に大丸神戸店を会場に「ちびっこうべカフェ」を開催しました。参加したこどもたちは、大丸神戸店の教育係の方から、接客用語や振る舞いについて学び、KIITOカフェで実習も行いました。また家でも接客用語など何度も練習をしてきたこどももいます。

 
 
会場は大丸神戸店の北側の外廊で、天気も良く過ごしやすい陽気でした。参加しているこどもは16名で、前半と後半に分かれて接客を行いました。オープン前から行列ができていました。こどもたちも少し緊張気味でしたが、はじまると今までの研修や実習以上に大きな声で丁寧接客を行い、とても頼もしい様子でした。

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カフェのメニューはパン2種類とドリンクのセットです。パンは、「パンじぃ」と呼ばれるシニア男性チームが作りました。2015年にKIITOで開催した「LIFE IS CREATIVE展」から生まれたチームで、イベントなどでパンを焼き提供しています。今回はカボチャをベースに、チーズとチョコレートの2種類のパンを焼きました。お客様が焼き立てを食べられるよう、朝から準備をして一生懸命焼きました。
パンじぃのロゴマークが完成し、おそろいのオリジナルエプロンもつくりました。エプロンは、同じくKIITOの事業から生まれた洋裁マダムの皆様に制作いただきました。

 
 
こども店員は、接客だけでなく、お客様が帰られた後すぐにテーブルの上を片付け、次のお客様用の準備をしたり、提供するドリンクを作ることもしました。お客様もこども店員の一生懸命なおもてなしに感激されている様子でした。満席の状態になるなど会場は終始にぎわっていました。

あっという間に終了時間となり、こども店員も疲れているのかと思いましたが、「もっと接客をしたい」とまだまだこども店員といて働きたかったようです。
終了後の振り返りでは、「メニューを運ぶ際にドリンクがこぼれないように注意した」「お客さんの喜んでもらえて良かった」「笑顔で大きな声を出せた」「大きくなったらカフェ店員になりたい」などそれぞれ思いを語ってくれました。

 
 
最後に大丸神戸店さんから修了書とバッジが手渡され、みんなの頑張りをほめていただきました。
こども店員の皆様大変お疲れ様でした!またこのような機会がつくれればと思います。

写真:坂下丈太郎

まとめ映像

映像撮影編集:神戸芸術工科大学

ちびっこうべ学校
店員研修①レポート
店員研修②レポート
パンじぃ

2017年9月30日(土)~10月22日(日)

石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展)を開催しました。

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ストックホルムとパリを拠点にする作家が、2017年5-6月と9-10月に神戸を拠点にリサーチや行いました。その「成果」ではありませんが(※アーティスト・トークのレポートを参照)、期間中に行ったリサーチや、作家なりのKIITOの場所性・歴史の解釈などが織り込まれた「報告」としての展示です。

会場は、カフェの北側、中庭の北側、中庭南、と、固有の名前がなく、ふだん展示会場としては使われていない通路のような空間です。避難経路として空けていますが、利用者の動線には入らないので、ほぼ人が立ち入らない空間です。KIITOは、もともと生糸検査所として建てられた建物をリノベーションしているので、用途変更や改装の過程で、このような空間がいくつか生まれています。
それらの未活用空間が、展示ケースが置かれ、作品が配置されたことにより、見ごたえのある美術展の会場に変貌していました。展示什器も、生糸検査所時代の机やケースが用いられ、隣接するカフェとの親和性が高い展示になっていました。

左:《同じ青い空の下で Under the same blue sky (version 2016)》 2009- 、プロジェクト/ インスタレーション (写真、レーザープリントシール)、 《ルーツと異文化体験に関する思考のスケッチ》2017、オブジェクト/ インターベンション(世界各地の置物)、右:《同じ青い空の下で》(一部)

左:《星たちと月たちと太陽たちと(穏やかな世界) Stars, Moons and Suns (pacific world) 》2011/2016、インスタレーション(紙、オイルパステル)、右:《ポスト・カード プロジェクト Post-Card project》2007-、プロジェクト/ インスタレーション(ポストカード)

展示は、旧作から本展のために選ばれた数点と、「コレクティブ・アクト」の「おすそわけ」の資料(※同レポート参照)、本展で実現されなかったプランのスケッチ、作品のようなノート、随筆など、多岐にわたる内容で構成されていました。中庭南の窓に直接描かれたマインドマップのようなドローイングは、神戸でのリサーチが反映されている作品です。本展の展示設営期間中に描かれました。

右:《知恵とレシピのおすそわけ 『コレクティヴ・アクツ』『種の循環』『共生の儀式』『ゼロから』より》 2008-2014、プロジェクト(一部)

《ちいさな世界を辿ってみると》 2017、ドローイング/ インターベンション(マーカー)

本展は視覚的な作品展示以外にもさまざまな試みがなされていました。
会期中の週末に、KIITO CAFEとコラボレーションし、作家が友人から集めた世界各地の「おふくろの味」といえる煮込み料理を特別メニューとして提供しました。メニューはティガデゲナ、ムサカ、フェジョアーダ、バルシチ/ボルシチ。メニューを注文すると、そのメニューの解説や、レシピをくれた友人のこと、作家の随筆が書かれたカードがついてきます。


また、会場には、作家に代わって作品にまつわる物語を来場者に伝える「ストーリーテラー」が常駐し、来場者の都合に合わせた長さで作品の説明を行いました。ストーリーテラーの目印は、アフリカの布で作られたエプロンです。ストーリーテラーの橋渡しにより、「理解が深まった」と多くの来場者から好評を得ることができました。実験的な試みの多い本展でしたが、来場者一人一人に作品の物語や試みがもたらす気づきの種を届けることができたのではないかと思います。


写真:大島拓也(最後の2点を除く)

石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展) 開催概要

2017年10月21日(土)
「カレーライスを一から作る」先行上映+トークイベントを開催しました。

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元町映画館との連携企画として、「つながる食のデザイン展」の開催期間中に、同じ「食」を扱うドキュメンタリー映画「カレーライスを一から作る」を映画館での上映に先駆けてKIITOにて上映、さらに関野吉晴さんと前田亜紀監督、同時期に展覧会を開催する石塚まこさんの三者でトークを行いました。

映画は、武蔵野美術大学で行われた関野さんのゼミを追いかけたもの。コメも野菜も香辛料も、タネを入手するところから初めて一から育て、肉も鳥を飼育して屠るところまでを行い、文字通りカレーライスを「一から」作っています。回を重ねるごとにゼミの参加者が減ったり、鳥がうまく育たなかったり、育てるうちに屠りたくないと言う学生があらわれたり、とさまざまな壁にぶつかるようすが映像に収められており、いのちとは、食べることとは、を考えさせられる映画です。

KIITOアーティスト・イン・レジデンス招聘作家として展覧会を開催中だった石塚さんも、奇しくも当初は「カレー」が神戸での制作・リサーチのキーワードとして挙げられており、また、作品や、制作過程でつづられるノートの中にも、ものごとの起源や来歴へのまなざしを感じられることから、トークに登壇いただくことになりました。

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トークは、前田監督に進行いただき、映画のテーマや撮影前後のエピソード、教育の現状など、さまざまな話題に及びました。

映画ではいのちの話が大きなテーマとして受け取れますが、本来、関野さんのゼミは、いのちが主題だったわけではなく、一からものを作るといろいろな気づきがある、ということがテーマなのだそうです。開催年によって作るものも違うし、参加する学生によって展開も変わってくる。映画になった2年目のゼミで、たまたま屠りたくない、という人が出てきたので、「いのちになっちゃった」のだそうです。
前田監督は、すべてを撮り終えたときに、すごく心に残っていたのが、関野さんの「植物にだって命はある」という、命に対する定義を考えさせられる言葉で、それを一番大事にするように作ることを考えたとのこと。

関野さんに言わせれば、植物も、口の中の微生物も命。ゼミの中で彼らが嬉々としてやっていた、稲刈りやウコン・しょうがの収穫も、それらを殺すことなのに、動物を屠るときだけ、悲壮な顔をする。ほんとうにいのちを奪いたくないと思うなら、抗生物質も飲めない。たくさんの死の上になりたっている社会に生きているのに、そこまで思いが至らない。生態系全体を考えるようにしたい、と。認識が新たになるお話でした。

ゼミの本来のテーマ「ものを一から作る」に関して、関野さんは、みんな一からものを作るということをやっていない、と指摘します。ゼミが開講されている美術大学でも、彫刻科は木の伐採をしたことはないし、テキスタイルやファッションの科でも桑や蚕は育てたことがない。なんでもいいからひとつ、調べるだけでも、それを作ることで何が起こっているか、誰が利益を得ているか、社会が見えてくる。「一から」の過程で学ぶことは本当にたくさんあり、それを経験することで自分の引き出しが増えるのです。関野さんは、この映画は小中学生に観てほしい、このゼミ自体、ほんとうは小中学生がやるものだとよく話すそうです。
しかしながら、現在の日本の教育現場では、センシティブな親も多く、なかなか難しいようです。
学生も、どんどんセンシティブになっているようです。10年前なら「生を全うさせたい」という学生は出てこないだろう、と。
それには、前田監督が、しみじみ思う、と言う、私たちのいま生きている「きれいな、クリーンな」社会-スーパーではお肉もパックに入って、その来歴も、元の状態もわからない、その状態から始まっていると思っている人もいるような、「包み隠されている」状況、も影響しているように思えます。


来場者から、ゼミの学生たちの食生活に変化はあったのか、という質問がありました。食べるものの原材料をよく見るようになったのだそうです。よく知らない材料があまりにも入っているので、とジュースを飲まなくなった学生や、売っている鶏が何を食べているか分からないから、鶏が食べられなくなった学生がいるそうです。
また、関野ゼミ生は、最初はもちろん美術を志して来ているけれど、卒業すると、だいたい第一次産業-日本を底から支える仕事をしていることが多い、というお話が印象的でした。

映画上映は全国で続き、また小学生向けに書籍化もされています。ぜひ合わせてご覧ください。


『カレーライスを一から作る』先行上映+トークイベント(元町映画館 連携企画) 開催概要
『カレーライスを一から作る』 公式サイト
「つながる食のデザイン展」 開催概要
石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展) 開催概要

2017年9月29日(金)

KIITOアーティスト・イン・レジデンス招聘作家の石塚まこさんの展覧会「ちいさな世界を辿ってみると」のオープンに先駆けて、アーティスト・トークおよびオープニング・パーティを開催しました。

芹沢高志(デザイン・クリエイティブセンター神戸 センター長)が聞き手を務めたアーティスト・トークでは、石塚さんがどのように作品を構想しているのか、今回の展示についてなどをお話しいただきました。
以下、トーク内容を大まかにまとめました。
※まとめるために、話された言葉そのままを使っていない部分もあります。予めご了承ください。

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作品の3つの方向性
作品は大まかにいうと3つの方向に分類できる。
1.視覚美術。ドローイング、写真、ビデオや、目に見えるものを空間の中に配置するインスタレーションなど。
2.社会プロジェクト。2003年から住んだスウェーデンの社会に対する印象が、制作の発端のひとつといえる。スウェーデンは、社会福祉の充実などで知られるように、政府がしっかりシステムを作っているので、人と人がつながっていなくても生きられる社会。いいかえればシステムが支配的な社会で、人と人との距離がすごくあり、寂しく感じられた。それで、社会に対しての疑問を投げかけつつ、人と人をつなぐようなプロジェクトにつながっていった。
「コレクティブアクト」は、あるテーマのもとに、特定の人を集めて、討論してもらうというシリーズ。討論の場には食事が介在し、食をソーシャルメディアとして用いている。自由参加ではない。たとえば、2010年にスウェーデンを代表してブラジルに派遣されることになったとき、何を代表するかが分からなかったので、「サウナについて語って」「水のあると都市してのストックホルムを語って」といった、スウェーデンについてメディアのインタビューを受けたことがあるスウェーデン人を8人集めて、自分がスウェーデンについて語る時に、主題を選べるのであれば、どのように対外的にスウェーデンを見せたいか。どのようなステレオタイプに困惑するか。自分の中での思いを投げかけて、討論してもらった。
3.随筆。始まりは、2015年のアーティストブック『Collecting Distances』の出版。1996年からつけているスケッチブックのようなものや、制作の過程で使った画像など、作品の背景だけを集め、作品にまつわる小話のようなものを書いて収録した。テキストは英語という自分にとって自信のない言語で書いたが、多くの反響があった。2016年のアーツ前橋での展示を機会に日本語にしたが、そのときは辞書を何度も引かないといけないような状態で、自分の母国語であり、自信があると思っていた日本語からいかに離れているのかが分かった。また、辞書を引くと、言葉の定義について発見があったり、ひとつの言葉でも三つくらい意味が出てきて、そこから想像が始まり、頭の中での旅が始まったりして、おもしろい作業だった。いまは、言語を別の言語に変換するプロセスのあいだに抜けていく/消えていく/出てくるものに興味を持っている。これは、自分の中では始まったばかりの制作方法。

KIITOでの活動
KIITOでは、リサーチや、人と交わったりすることに時間を費やしていった。また、もともとの地元が神戸だったので、自分が今までたどってきた道を振り返るような時間もあった。日本にいたときの自分と海外との距離について考える時間にもなった。

KIITO招へいの話があった当時は、その国の食文化にはないのに「国民食」と呼ばれているカレーに興味を持っていた。スウェーデンではケバブやピザが日常食べるものにはなっているが、国民食ではない。
カレーの材料の原産地は南米やアジアだったり、その伝播は大航海時代の人の移動によるものだったりする。カレー一皿を作るのにどれだけの国が関わっているのかと考えると、カレー一皿がものすごく遠くまでつながっているんだな、と、カレーを根っこに調べはじめて、寄り道や脱線をしながら、自由にリサーチを続け、いろいろなところに思いを馳せた。たとえば北野では、さまざまな宗教施設を見たり、友達の家から竹中大工道具館に行く途中に神戸市文書館を見つけたり。でも、寄り道と思ったところでも、意外とカレーから派生した考えとつながっていくこともあった。それが窓のドローイングにあらわれているかもしれない。

KIITOでは通常、滞在制作の「成果」発表が求められているが、今回はプロセスを見せるような展示でもあり、成果という言葉がそぐわず「報告」展とした。
美術展というと、作家本人が行かなくても展示ができるような、場所性がそぎ落とされた白い空間が用意されているイメージもあるが、KIITOは歴史や人の居た跡がすごく感じられる空間なので、人に会って話をするときのように、そこの歴史や空間とどう対話するか、を意識して展示を制作していった。

今回は初めて、展示の中で、社会プロジェクトを来場者と共有する方法を考えた。プロジェクトに参加できなかった、と惜しい感じになるよりは、違う角度からそのプロジェクトを見られるように、コンセプトや行ったことの報告もしつつ、そのプロジェクトの中で見つけたものや、教えてもらった知恵を「おすそわけ」として展示した。


オープニング・パーティ
トークの後はオープニング・パーティを行いました。
KIITO CAFEの大きなテーブル(生糸検査所時代に使用されていた家具)を全員で囲み、ティガデゲナをいただきました。ティガデゲナは、牛肉をピーナッツバターで煮込んだもので、西アフリカ発祥の料理。本展の構成要素の一つとして、会期中の週末にKIITO CAFEにて提供された、4種の世界各地の煮込み料理のうちのひとつです。作家の軌跡と物語に寄り添うこれらのメニューは、作家が友人たちから集めたレシピをもとに作られました。
テーブルを囲んだ後は、おのおの展示を見たり、会話を楽しんだり、なごやかな時間を過ごしました。

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石塚まこ アーティスト・トーク&オープニング・パーティ 開催概要
石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展) 開催概要

「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」の店員研修②を開催しました。KIITO1Fにあるカフェで、8月に大丸神戸店で学んだ3大行動や接客用語を実践しました。

 
大丸神戸店で行った「店員研修①」では、指導係の方に、3大行動の「笑顔」「挨拶」「大きな声」、そして接客用語を学びました。カフェでは、お客様がコーヒーを飲んだり、ランチをしたり、様々な方が来られまるため、いろいろと柔軟に対応しなければいけないため大変でした。

カフェの入り口に並び、お客様が来られたら大きな声で「いらっしゃいませ」と言います。はじめは緊張で声が小さく、そろっていませんでしたが、だんだん大きな声で丁寧に言えるようになりました。お客様も喜んでいただけたようです。

 
お客様を席に案内しメニュー表をお渡しします。そして「少々お待ちくださいませ」と言います。カフェスタッフの方が注文を聞き、注文が準備できたら、注文されたメニューをお客様の席まで運んで行きます。
「大変お待たせいたしました」と言い、注文のメニューを置きます。その後「ごゆっくりどうぞ」と言って、入口に戻ります。
ドキドキしながらですが、何回も行うことで、だんだん慣れてきいきました。慣れて自信がつくことで、声も大きく、発音もしっかり、お辞儀も丁寧にできていきました。

 
最後の反省会では、「はじめからもっと大きな声が出せるようにしたい」「笑顔を忘れることがあったので、気を付けたい」「お客さんの喜んでもらえるように頑張りたい」などとても前向きな言葉がたくさんありました。

 
本番は11/3(金・祝)に大丸神戸店、北側の外廊下で「ちびっこうべカフェ」でこども店員として活躍します。ぜひこども店員の成長を見に来てください。

「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」
「ちびっこうべ学校|食|店員研修①レポート」
「ちびっこうべinstagram」

2017年9月8日(金)

はじめまして!KIITOにインターンさせていただいております、遠藤百笑と申します。山形県にある東北芸術工科大学のコミュニティデザイン学科に所属しています。8月から9月上旬までの約1か月間、KIITOの様々な活動に参加させていただいています。

2年に1度開催される、子どもの夢のまち「ちびっこうべ」。その間の年である今年は「ちびっこうべ学校」を開催し、子どもたちが神戸のまちの中に出て、食・建築・デザインのプロから直接学び、さまざまなものやことを観察し、創造力を養います。今回のレポートでは、私がサポートさせていただいている「建築」と「食」のワークショップに参加している子どもたちが、どのように学び、感じ、変化したのかをお伝えしていきます。

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「いつものまちじゃないみたい」
|建物だけでない「場」のつくり方や考え方を、子どもたちが建築家と神戸のまちを歩き、居場所を探して観察し、実際につくって、試して、体験しながら学ぶ「建築」プログラム。

まちのいたるところにある「居場所」。座って休んでいる人もいれば、おしゃべりしている2人組もいるし、お弁当を食べている人もいます。居場所ってどんな場所だろう?また、自分だったらどんな場所が居場所になるだろう。

いつもよりゆっくり、よく観察しながら歩くと「あ!」と居場所を発見した子どもたちの声が飛び交います。子どもたちにとって、あまり来たことがないというまち、新開地。いつも通っているという子も、今日は新しい発見の連続で「いつも通っているのに気づかなかった!」と驚いている様子でした。

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ワークショップのはじめに「建築家ってどんなお仕事?」という問いかけをすると子どもたちから返ってきた答えは「家をつくる人」「設計図を書く人」。今回のワークショップを通じて子どもたちに体験してもらうのは、その根っこにある、どんな場所にどう設えたら、居心地が良いのか、人はどうするのかを観察し、考え、実践してみること。
ぐんと視野が広がった子どもたちの勢いは止まりません。大人が想定していた以上の発見や疑問が連発し、なんでここに段差があるんだろう?さっきの段差とどれくらい違う?これは本当にあった方がいいのかな?ここに何があれば居場所になるだろう?と、しっかり物事を理由づけて考えることができるようになりました。

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あたりまえに生活していると、まちの風景や、あらゆるものに対して「なぜ?」という疑問はそもそも生まれにくくなりますが、その疑問をたくさん持つことで新しい気づきがたくさん得られ、考えさせられます。まだ「あたりまえ」が少ない子どもたちは、少しその疑問を投げかけて考え方を教えると自由に疑問を見つけて自分で気づき、考えることができます。大小問わず「なぜ?」という疑問を持てる力は、子どもにとっても大人にとっても豊かな創造力を持ち、より豊かな暮らし、もの、ことを生みだすために必要な力だと感じました。

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「赤ちゃん用の椅子はある?」
|大丸神戸店で店員さんのふるまいを学び、神戸のパン屋さんからパンづくりを本気で学んだシニア男性たち「パンじぃ」のつくった焼き立てパンを子どもたちが販売する「食」プログラム。

ワークショップ初日となる今日、子どもたちは「笑顔」「あいさつ」「大きな声」の3大行動が軸となる接客マナーを学びます。
はじめての体験に緊張しながらも、大丸神戸店のプロが教えるひとつひとつのポイントをしっかりノートに書きこんで、真剣な表情で聞いていました。一連の流れを確認しようと大人がお客さんになりきって練習してみると、実際にやってみることで自ら気づき、考え、動くことができました。

「いらっしゃいませ!」と元気よく笑顔で丁寧なあいさつをして、席へと案内してくれる子どもたち。お客さんが座りやすいように椅子を引いてくれたり、一緒に店員をしている仲間がスムーズに動けるように自分の番じゃなくてもサポートしてあげたり、後片づけまでしっかり「おもてなし」のサービスが行き届いていました。

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練習が終わると、子どもたちから質問が出ます。「赤ちゃんを連れているお客さんが来た時のための、赤ちゃん用の椅子はある?」子どもたちのお客さんを思う気持ちは、もう立派なプロの店員さんそのものです。ワークショップ最終日の11月3日には大丸神戸店でカフェを開き、子どもたちがカフェの店員となってパンじぃのパンを提供します。子どもたちの様子を見たパンじぃも、カフェのオープンに向けて頑張ろうとまたさらに意気込んでいました。

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9月には毎週土曜日にKIITOカフェにて子どもたちが店員さんとなってお客さんをお迎えしています。実際にお客さんを目の前にすると緊張で言葉が出なくなってしまうことも度々ありますが、子ども同士で独自にルールや順番をつくって仲間同士で助け合いながら接客できていました。

チームワークはただ仲良くすればいいものではなく、個々が自分のできることを全うし、仲間を理解して臨機応変に協力できることが大切です。良いチームワークを築くことで効果や効率だけでなく、活動そのものが楽しくなる満足感やさまざまな学びが得られます。参加している子どもたちのほとんどは初対面で学校も学年も違い、「笑顔」や「大きな声」がもともと得意な子もいれば、苦手な子もいます。たった3日間のワークショップですが、すでに子どもたちのチームワークは抜群で、苦手な子には得意な子が教えたり、自分だけでなく周りを見て行動することができ、さらに協力することを楽しんでいました。同じゴールを目指す者同士、お客さんに対してだけでなく店員同士にも思いやりを持って一生懸命がんばる姿にお客さんも感心している様子でした。

ちびっこうべ学校|建築|概要はこちら
ちびっこうべ学校|食|概要はこちら

東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科
遠藤百笑

「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」の1日目の店員研修(8/20、23各8名ずつ)を開催しました。今回の講師は、大丸神戸店で店員さんの指導を行う教育係の長谷場美緒さんです。

 
接客に必要な行動や用語について1つ1つ丁寧に指導していただきました。
まずは「3大行動」というものです。それは、お客さまの身持ちに合わせた接客や心のこもった温かい対応です。
1つ目は「笑顔」。笑顔は人の心を和ませます。いつも笑顔でいるためには口角を2mm上げるようにします。参加した子どもたちは、すでにみんな笑顔ができていました。さすがです!
2つ目は「挨拶」。相手の目を見て気持ちを込めて行います。子どもたちからは「相手の目を見るのは恥ずかしい」など意見がありましたが、「目と目の間を見れば大丈夫だよ」とアドバイスいただき、みんなで練習しました。
3つ目は「大きな声」。講師の長谷場さんも始まりから大きな声でみんなに指導してくれています。大きな声は「自信、やる気、明るさ」を感じさせます。はじめは小さな声でしたが、だんだんと大きな声になってきました。

 
続いて、接客基本用語とお辞儀の角度についてです。
11/3に大丸神戸店で開催する「ちびっこうべカフェ」に向けて6つの言葉を学びました。
「いらっしゃいませ」「ご案内いたします」「少々お待ちくださいませ」「大変お待たせしました」「ごゆっくりどうぞ」「ありがとうございました」です。それぞれお辞儀の角度が30度、15度と異なります。
2人一組になり、先ほどの笑顔や大きな声を忘れずに練習しました。何度か行い、次は大人のサポーターの方たちをお客さんに見立て、席に案内し、メニューを運ぶ動作も合わせて行いました。なかなか慣れない言葉もありましたが、講師の長谷場さんも驚くほどの成長ぶりでした。

 
参加した子どもたちは、笑顔が人に与える影響や目を見て挨拶することなどが特に心に残ったようです。
最後に「毎朝家族に大きな声であいさつをする」「鏡の前で笑顔の練習をする」という2つに宿題が出ました。

次回はKIITOカフェで本当のお客さんを相手に特訓をします。今日のことを忘れずに、宿題にも取り組み、引き続き頑張っていきます。

KIITOカフェこども店員日程:9/2(土)、9(土)、16(土)、23(土)13:00-14:30
ぜひこども店員の頑張りを見に来てください!

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撮影:坂下丈太郎

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