お知らせ・レポート

「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」の店員研修②を開催しました。KIITO1Fにあるカフェで、8月に大丸神戸店で学んだ3大行動や接客用語を実践しました。

 
大丸神戸店で行った「店員研修①」では、指導係の方に、3大行動の「笑顔」「挨拶」「大きな声」、そして接客用語を学びました。カフェでは、お客様がコーヒーを飲んだり、ランチをしたり、様々な方が来られまるため、いろいろと柔軟に対応しなければいけないため大変でした。

カフェの入り口に並び、お客様が来られたら大きな声で「いらっしゃいませ」と言います。はじめは緊張で声が小さく、そろっていませんでしたが、だんだん大きな声で丁寧に言えるようになりました。お客様も喜んでいただけたようです。

 
お客様を席に案内しメニュー表をお渡しします。そして「少々お待ちくださいませ」と言います。カフェスタッフの方が注文を聞き、注文が準備できたら、注文されたメニューをお客様の席まで運んで行きます。
「大変お待たせいたしました」と言い、注文のメニューを置きます。その後「ごゆっくりどうぞ」と言って、入口に戻ります。
ドキドキしながらですが、何回も行うことで、だんだん慣れてきいきました。慣れて自信がつくことで、声も大きく、発音もしっかり、お辞儀も丁寧にできていきました。

 
最後の反省会では、「はじめからもっと大きな声が出せるようにしたい」「笑顔を忘れることがあったので、気を付けたい」「お客さんの喜んでもらえるように頑張りたい」などとても前向きな言葉がたくさんありました。

 
本番は11/3(金・祝)に大丸神戸店、北側の外廊下で「ちびっこうべカフェ」でこども店員として活躍します。ぜひこども店員の成長を見に来てください。

「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」
「ちびっこうべ学校|食|店員研修①レポート」
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2017年9月8日(金)

はじめまして!KIITOにインターンさせていただいております、遠藤百笑と申します。山形県にある東北芸術工科大学のコミュニティデザイン学科に所属しています。8月から9月上旬までの約1か月間、KIITOの様々な活動に参加させていただいています。

2年に1度開催される、子どもの夢のまち「ちびっこうべ」。その間の年である今年は「ちびっこうべ学校」を開催し、子どもたちが神戸のまちの中に出て、食・建築・デザインのプロから直接学び、さまざまなものやことを観察し、創造力を養います。今回のレポートでは、私がサポートさせていただいている「建築」と「食」のワークショップに参加している子どもたちが、どのように学び、感じ、変化したのかをお伝えしていきます。

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「いつものまちじゃないみたい」
|建物だけでない「場」のつくり方や考え方を、子どもたちが建築家と神戸のまちを歩き、居場所を探して観察し、実際につくって、試して、体験しながら学ぶ「建築」プログラム。

まちのいたるところにある「居場所」。座って休んでいる人もいれば、おしゃべりしている2人組もいるし、お弁当を食べている人もいます。居場所ってどんな場所だろう?また、自分だったらどんな場所が居場所になるだろう。

いつもよりゆっくり、よく観察しながら歩くと「あ!」と居場所を発見した子どもたちの声が飛び交います。子どもたちにとって、あまり来たことがないというまち、新開地。いつも通っているという子も、今日は新しい発見の連続で「いつも通っているのに気づかなかった!」と驚いている様子でした。

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ワークショップのはじめに「建築家ってどんなお仕事?」という問いかけをすると子どもたちから返ってきた答えは「家をつくる人」「設計図を書く人」。今回のワークショップを通じて子どもたちに体験してもらうのは、その根っこにある、どんな場所にどう設えたら、居心地が良いのか、人はどうするのかを観察し、考え、実践してみること。
ぐんと視野が広がった子どもたちの勢いは止まりません。大人が想定していた以上の発見や疑問が連発し、なんでここに段差があるんだろう?さっきの段差とどれくらい違う?これは本当にあった方がいいのかな?ここに何があれば居場所になるだろう?と、しっかり物事を理由づけて考えることができるようになりました。

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あたりまえに生活していると、まちの風景や、あらゆるものに対して「なぜ?」という疑問はそもそも生まれにくくなりますが、その疑問をたくさん持つことで新しい気づきがたくさん得られ、考えさせられます。まだ「あたりまえ」が少ない子どもたちは、少しその疑問を投げかけて考え方を教えると自由に疑問を見つけて自分で気づき、考えることができます。大小問わず「なぜ?」という疑問を持てる力は、子どもにとっても大人にとっても豊かな創造力を持ち、より豊かな暮らし、もの、ことを生みだすために必要な力だと感じました。

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「赤ちゃん用の椅子はある?」
|大丸神戸店で店員さんのふるまいを学び、神戸のパン屋さんからパンづくりを本気で学んだシニア男性たち「パンじぃ」のつくった焼き立てパンを子どもたちが販売する「食」プログラム。

ワークショップ初日となる今日、子どもたちは「笑顔」「あいさつ」「大きな声」の3大行動が軸となる接客マナーを学びます。
はじめての体験に緊張しながらも、大丸神戸店のプロが教えるひとつひとつのポイントをしっかりノートに書きこんで、真剣な表情で聞いていました。一連の流れを確認しようと大人がお客さんになりきって練習してみると、実際にやってみることで自ら気づき、考え、動くことができました。

「いらっしゃいませ!」と元気よく笑顔で丁寧なあいさつをして、席へと案内してくれる子どもたち。お客さんが座りやすいように椅子を引いてくれたり、一緒に店員をしている仲間がスムーズに動けるように自分の番じゃなくてもサポートしてあげたり、後片づけまでしっかり「おもてなし」のサービスが行き届いていました。

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練習が終わると、子どもたちから質問が出ます。「赤ちゃんを連れているお客さんが来た時のための、赤ちゃん用の椅子はある?」子どもたちのお客さんを思う気持ちは、もう立派なプロの店員さんそのものです。ワークショップ最終日の11月3日には大丸神戸店でカフェを開き、子どもたちがカフェの店員となってパンじぃのパンを提供します。子どもたちの様子を見たパンじぃも、カフェのオープンに向けて頑張ろうとまたさらに意気込んでいました。

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9月には毎週土曜日にKIITOカフェにて子どもたちが店員さんとなってお客さんをお迎えしています。実際にお客さんを目の前にすると緊張で言葉が出なくなってしまうことも度々ありますが、子ども同士で独自にルールや順番をつくって仲間同士で助け合いながら接客できていました。

チームワークはただ仲良くすればいいものではなく、個々が自分のできることを全うし、仲間を理解して臨機応変に協力できることが大切です。良いチームワークを築くことで効果や効率だけでなく、活動そのものが楽しくなる満足感やさまざまな学びが得られます。参加している子どもたちのほとんどは初対面で学校も学年も違い、「笑顔」や「大きな声」がもともと得意な子もいれば、苦手な子もいます。たった3日間のワークショップですが、すでに子どもたちのチームワークは抜群で、苦手な子には得意な子が教えたり、自分だけでなく周りを見て行動することができ、さらに協力することを楽しんでいました。同じゴールを目指す者同士、お客さんに対してだけでなく店員同士にも思いやりを持って一生懸命がんばる姿にお客さんも感心している様子でした。

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東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科
遠藤百笑

「ちびっこうべ学校|食|接客を学んで、1日限定のオープンカフェの店員になろう」の1日目の店員研修(8/20、23各8名ずつ)を開催しました。今回の講師は、大丸神戸店で店員さんの指導を行う教育係の長谷場美緒さんです。

 
接客に必要な行動や用語について1つ1つ丁寧に指導していただきました。
まずは「3大行動」というものです。それは、お客さまの身持ちに合わせた接客や心のこもった温かい対応です。
1つ目は「笑顔」。笑顔は人の心を和ませます。いつも笑顔でいるためには口角を2mm上げるようにします。参加した子どもたちは、すでにみんな笑顔ができていました。さすがです!
2つ目は「挨拶」。相手の目を見て気持ちを込めて行います。子どもたちからは「相手の目を見るのは恥ずかしい」など意見がありましたが、「目と目の間を見れば大丈夫だよ」とアドバイスいただき、みんなで練習しました。
3つ目は「大きな声」。講師の長谷場さんも始まりから大きな声でみんなに指導してくれています。大きな声は「自信、やる気、明るさ」を感じさせます。はじめは小さな声でしたが、だんだんと大きな声になってきました。

 
続いて、接客基本用語とお辞儀の角度についてです。
11/3に大丸神戸店で開催する「ちびっこうべカフェ」に向けて6つの言葉を学びました。
「いらっしゃいませ」「ご案内いたします」「少々お待ちくださいませ」「大変お待たせしました」「ごゆっくりどうぞ」「ありがとうございました」です。それぞれお辞儀の角度が30度、15度と異なります。
2人一組になり、先ほどの笑顔や大きな声を忘れずに練習しました。何度か行い、次は大人のサポーターの方たちをお客さんに見立て、席に案内し、メニューを運ぶ動作も合わせて行いました。なかなか慣れない言葉もありましたが、講師の長谷場さんも驚くほどの成長ぶりでした。

 
参加した子どもたちは、笑顔が人に与える影響や目を見て挨拶することなどが特に心に残ったようです。
最後に「毎朝家族に大きな声であいさつをする」「鏡の前で笑顔の練習をする」という2つに宿題が出ました。

次回はKIITOカフェで本当のお客さんを相手に特訓をします。今日のことを忘れずに、宿題にも取り組み、引き続き頑張っていきます。

KIITOカフェこども店員日程:9/2(土)、9(土)、16(土)、23(土)13:00-14:30
ぜひこども店員の頑張りを見に来てください!

ちびっこうべ学校|食|概要はこちら

撮影:坂下丈太郎

2017年7月6日(水)

+クリエイティブゼミVol25「観察のカガク」第1回を開催しました。

観察のカガクについて
観察のカガクは2015年に行われた発想のスタートラインの続編として開催し、「デザインのための観察の力」を学ぶ全5回のゼミになっています。講師は、前回と同じく、DESIGN MUSEUM LABの久慈達也さんと明後日デザイン制作所の近藤聡さんのお2人です。

第1回「オリエンテーション  色や形を扱うデザインという行為において、観察はなぜ必要なの?」

観察の見取り図
久慈さんより、これまで習う事のなかった「観察」というものが何なのか。それがどういう風に社会に生かされているかというお話をしていただきました。「ホームに直角に設置された駅のベンチは線路への転落を防ぐための解決策で、観察が生んだ問題解決である。」という話をされた後に、アイデアを出すために欠かせない観察という行動を、デザインの為の観察と定義しました。

-デザインのための観察-
1.科学的な正確さよりも、観察者の主観性を大切にする。
2.事実や確認や分析のみならず、自らの造形感覚や発想に寄与することを目的とする。

「デザインという言葉で何をイメージしますか?」という久慈さんからの質問に「問題解決の手法」「道筋をたてること」という答えが参加者から出てきました。さらに久慈さんは「行為としてのデザイン」は
・構想(何をどうやってつくるか)
・造形(どのような形・色を与えるか)
の2つを定義しました。構想と造形が伴っているからデザインであるとお話され、最初のワークに入ります。



 

「1本のまっすぐな線」書いてください。
ホワイトボードに参加者が1本のまっすぐな線を書きます。次に「できるだけまっすぐな線を書いてください。」「重ならないようにまっすぐな線を書いてください」と条件を足していき、合計3名の参加者が順にホワイトボードに線を書いていきました。線をどうやって引くかでデザインの捉え方がわかる。というお話に続きます。

・構想:どこからどこまで線をひっぱるか
・造形:どれだけまっすぐな線を引くか
・条件:ホワイトボードに先に書かれた線、後から言われた指示

久慈さんは「普段のデザインの現場において、その条件は、もっと見えにくいところに隠れているから観察という手法で探し出さなければいけない。アイデアに形を与えること、形の為にアイデアを与えることがデザイン。1本のまっすぐな線を書く行為は、1番簡単なデザインの問題であると言える」とお話しされました。


 

対象から条件を受け取るための手段
久慈さんより、「情報を受け取るためには2つの手段があり、1つ目は「観察」2つ目は「学習」。観察はフィールドワークやインタビューといった体験を通して得られる情報。学習は本を読むことやネットで見ることといった実際に体験しなくても得られる情報。外国語や絵画など、見てもわからないこともある。それを理解するためには学習は必要不可欠である」と話され、観察と学習はガソリンとエンジンのような関係であると例えました。

情報の習得には準備が不十分では得ることができず、「見よう」「知ろう」と注意を払うことで情報を受け取ることができる。それまではノイズと一緒である。町中に溢れている様々な情報も注意を向けていないとノイズのままであると話されていました。

「抽象画から情報を抜きだす」
久慈さんが水色と白とピンクの3色がベタ塗された図を投影し、参加者に何に見えますか?と問います。
参加者は「道」や「フランス国旗」「かまぼこ」といったように答えを述べますが、正解は違い、答えはローソンの配色でした。ローソンの写真を見せたときに参加者からあ~と声がこぼれました。人間は自分の見ている物に寄せて考える傾向があり、そこに色が重視されたり形が重視されたりします。都合のよい互換を脳が勝手にするので、人間は細部より全体を認識します。多少、幅が違っていたり、色が違っていても、全体の部分を認識してしまいます。


 

「discover(発見)」は「cover(行為)」を「dis(否定)」すること。
最初に集まった2階のライブラリの部屋から3階の会議室に場所を移し、その部屋の特徴を観察します。観察者に選ばれた5人が各々メモを取りながら案内された部屋を観察します。2階の部屋に戻り、それぞれの観察の結果を発表していきます。

・全体のサイズが6m×10m、高さが4m。
・入口があって床がフローリング。
・右側の扉は右開きで後ろの扉は両開き。ガラスがついている。
・ホワイトボードには紙が貼っていて、青いマグネットが右下に貼ってある。
・コンセントが6個くらいある。
・椅子の色は黒。
・折りたためる白い机。
・入ったら目の前に丸い電気が3つ。
・時計が8時21分を指している。
・教卓のようなものが左奥にある。
・全体的に下の部分が茶色で、上側が白くなっている。
・部屋の形は長方形。
・床とドアは木、エアコンはプラスチック。
・窓が二つ。
・無臭。
・ザーッというエアコン音。
・クラッシクな会議室の印象。

視覚以外の情報や動き、環境、空間の印象、参加者の主観で得られたそれぞれの観察が発見されました。見ている視点やそういった個人の主観を大切にしていくとお話されました。


 

観察が上手くなるための方法
久慈さんより、イメージ(視覚情報)から「文字にする記述の力」と「目で見えている以上のことを体験する力」の2つのベクトルを意識することで観察は上手になる。手元にくる情報のほとんどが視覚情報でくるので、それを超える記述と体験の力が必要である。モノを触ったり音を聞くことも観察においては大切というお話をいただきました。

-観察が上手くなる2つのベクトル-
記述力:眼で見たモノゴトを言葉にする能力
体験力:眼で見たモノゴトを体験する能力

次回は、イメージから文字にする記述の力について内容を詳しく掘り下げていきます。
「みる→かく…つくるための観察その1:みたものを言葉に帰ること」

+クリエイティブゼミVol25 デザイン編「観察のカガク」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/22773/

ケイ・オプティコムのWebメディア「Zing!」で「はじめての観察」の連載を開始しました。
こちらよりご覧いただけます。↓
http://eonet.jp/zing/articles/_4100847.html

2017年6月23日(金)

未来のかけらラボvol.11 トークセッション「問題と思われていることから新たなプロダクトを生み出していく。—エコロジー、エシック、日本の知恵」を開催しました。

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ゲストはファッションデザイナー/うるとらはまいデザイン事務所の浜井弘治さんです。タイトル通り、地域の「お荷物」になっているようなものを新しい製品や事業に変えていくような試みを精力的に展開されている方です。その興味深い活動について、具体的な事例を実際に作られた製品やスライドを交えてお話しいただきました。

八王子の繊維産地の幡屋さんにいて職人をやったり、三宅デザイン事務所に勤めたり、現場からハイファッションの世界までさまざまな経験のある浜井さん。現場では制作過程や職人たちの持っている技術を、デザイン事務所では、机上でなく現場で考える、というもの作りへの姿勢を学び取り、現在の活動へと活かしておられるとのことでした。ご紹介いただいた事例も、その視点やそこからのプロセスが興味深いものが多数でした。ご紹介いただいた事例から一部を紹介します。


残糸でTシャツを作る
-生地を作る時は少し多めに糸を作り、余った糸は少しの間保管するが、あとでお金を払って捨てる。これが問題になっていた。一方、ある軍手工場で作っていた手袋は、手袋が1点ずつ違っていた。色の取り合わせがカラフルで美しいのもあれば、気持ち悪いのもあった。これはファッションのすべてを体現しているようなものだと衝撃を受けた。
-そこで、軍手工場とTシャツを作ったが、ただ作っても全く売れなかったので工夫をした。残糸はあらゆる色があり、また、それなりの量があるから、ほとんどのことはできる。でも、それを2回やろうとすると職人が大変なことになるので、色の系統だけ振り分けて、これはないな、という色だけを落として作った。そうしたら売れ始めた。簡単だけど、その仕組みが重要。「こうでなければ」をデザイナーが求めすぎると、現場が大変なことになるから、許容範囲を決めて、あとはすべてOK、とする。
-大量生産は、全部同じものを作ることを強いられる。いわゆるB品と言われるものも、2回目3回目の生産でもB品があれば、それはもうB品ではない。そういう発想で、最初始めた。
-残糸を使うと、放っておいても大量生産の1点ものができる。選ぶ楽しみができる。1点ずつ違うと、取引上は不都合なことがある。ジャッジしているのは流通、売り場、もしくは問屋。ひょっとしてもの作りで足かせになっているのは、エンドユーザーではないのでは、業界内の製品規格をうまくとっぱらったら、いたってシンプルだけど変わったもの、が出てくるんじゃないかと途中で気が付いた。

-ハイブランドから生まれるものは、ものすごく造形力があって、ひとつの未来を提示していると思うけれども、Tシャツ一枚とか、いたって身近なものでも、なにかもっと未来を作り出すことができるんじゃないか、と。

-売り方も「工場見学」というインスタレーションを考え、実験的な試みをした。繊維産地にある機械を会場に持ち込んだ。糸から最終の製品になるまでの作る過程の映像を見せたり、時には機械を止めて工場の休憩時間としたり。飛ぶように売れ、受注もとった。そのとき共感してもらったのは、1点1点違うことの良さ。


和紙で服を作る
-ポリエステルは、肌着からアウターまですごく汎用性があり、昔から魅力的に思っていたもの。あるとき、和紙で作ってある江戸時代の雨合羽みたいなものに出会った。梅雨がある日本の雨合羽なんて相当すばらしいのでは、ポリエステルの開発は大きな会社でないとできないだろうけれど、和紙なら可能性があるのではと思った。
また、糸を撚る撚糸屋さんから、どんどん周りが廃業していて、世の中の人が誰もこの職業を知らないまま無くなっていくのが悲惨だ、そもそも糸を作っているが、最後何になっているかさえ知らない、という話を聞いた。撚糸屋の存在は、ファッション業界も、どうかすると繊維業界の人も、ほとんどの人が知らない。撚糸はすごい技術で、糸を思いきり撚るとシャリ感が出てドライな質感になるし、戻すとやわらかい質感になる。糸を撚ったときにはステテコ、戻したときにはタオルができる。その技術をつかさどっている。
それならうちが最後まで売るから一緒にやりましょう、と協働がはじまり、和紙の機能についてかなり話し合い、テストもした。和紙の重量は綿の3分の一、吸水性が10倍。日本の建具に和紙が使われているのは、季節によって水分を逃がしたり吸収したりするから。呼吸する繊維。洋服もここを目指すべきじゃないかと。
和紙を太古のものとかイメージとして求めたのではなくて、どうにかして未来の繊維にできないかと考えた。和紙の最大の欠点は、縦に伸びない、伸度がゼロに近いこと。弱いからではなくて、伸びないから切れる。和紙そのものは強いけど、伸びない限りは、編めも織れもしない。そこの工夫をした。

-和紙糸を編んでほしいと工場に持ち込んだら、いままでさんざんやってきたけれど編めたことがないと断られた。それでも頼んだら、この糸なら編めた、さらに、ほぼ同時期に大きな会社が同じ依頼をしてきたけど、そこの糸は編めなくて、あわよくば編めても、穴が開いてとてもじゃないけど繊維にはならなかった、とすごくやる気になってくれた。

-販売先に素材やデザイン提案をして、セレクトショップのなかのブランドでまず売ったり、また、機会があったので、原材料~和紙~糸~素材~最終製品になっていく過程を見せる展覧会をした。

-ファッションは、ショーでも雑誌でも、作る結果ばかりがあって、作る過程が存在していない。メンズ誌はどう作ったかのウンチクが書いていることがあるが、女性誌は特に。だから、作る過程を見せるようなファッションってありえないかなと考えた。

-作る過程に合わせて、ものづくりに伴うエピソードも合わせて紹介した。作る過程に対して持たれがちな暗いイメージをなるべく明るく、イメージだけでもかっこいいほうにと、マンガにしたり、工場のものをインスタレーションのように見せてみたりした。

-工場サイドから見せるようなファッションショーってないかな、と。あれはかたちを変えたファッションショーでもある。ファッションの中での新たなプレゼンテーションでもある。


ドクターデニム
-友人の医師からの依頼。まず自分の白衣を作ってほしい、それが良かったら一緒に売ろう、と。白衣は世の中にたくさんあって安いし、白衣の素材は、大手の合繊メーカーとライセンス契約の関係で、小さい企業はほぼ入手ができないから、最初は断ろうと思った。
ただ、友人の「これまでの白衣は、医師のためでなく、安価で丈夫で洗濯しやすいという病院の都合ではなかったか。何年も着られるけれど、まるで洗濯のために作ったような服だ。着ていても全然かっこよくもない」の言葉を聞いて、考えを変え、快諾した。
現場の声を聞き込むと、その中でおもしろいアイデアがたくさんあり、取り入れた。やたらポケットがあって、すべてに意味がある。デニムでやりたい、というのが彼からの提案でなにより不思議だったが、医師は24時間勤務があるので、快適であって肌になじむのがいいという理由だった。
-病院でも、医療保険制度への懸念から、将来予想される病院への格付けに向けて、院の独自性を打ち出すために、単に治療する場所でなく、デザインを重要事項とし、快適さを目指すところが出てきている。少ないけれどそういった病院からの注文が入って、希望を感じている。昨年、すごい数の大手が参入してきたけれども、みんな似たような白衣しかない状況。

裁落ジーンズ
-ジーンズの製造過程で出る残り生地(裁落)で作ったジーンズ。残り生地の組み合わせになるので、自然に大量生産の1点ものができる。デニムはロットの違いで味が違う生地がたくさんあるので、裁落は魅力的な素材で、けっこうおもしろい。

-このデニムはインスタレーションにして現代美術のギャラリーで展示した。欲しいという人もけっこう現れた。このころ(3年前くらい)はファストファッションがピークで、本当に市場やアパレルも、安いだけでいいのか、と言われ始め、急に匠だとか地方だとか言われ始めた。ひょっとしたらエンドユーザーも、こういった実験的なやり方を面白いと思ってくれる、同じ意識を持っているんじゃないかと考えていたところ、本数限定だけれどけっこう売れた。


竹素材の製品
-山口県は竹林面積が全国で3番目か4番目をいったりきたりしていて、竹林公害がある。竹林は放っておくと山を死滅させてしまう。いま山を管理する林業が衰退し、里山という概念が崩壊すると言われている。それを数年前に知り、県の農林課に状況を聞きに行くと、いろんな面白いことが分かった。ファッション製品にできないか相談されたが一足飛びにはかなり難しいので、ボタンを作ってみたら、思いもよらない結果が出てきた。原材料を分けてもらっている家具の会社は、竹を炭素化させることによって、強度がプラスチックの倍にする技術がある。そもそも山口県の竹は、除雪車の重要なパーツに萩の竹が使われていたり、日本一しなりが強くて丈夫だというデータもある。いまはボタンやバックルを作って、色を付けられないかテストしたり、新しい試みをしている。


後半の芹沢とのトークセッションでは、浜井さんのもの作りやアイデアの源泉や、現在の繊維産業についての思いなどがお聞きできました。

-興味があったらやっぱり現場に行ってみることにしている。行くと全然違う。その人が何やってるかわからない状態で出会って話をすると、実はこんなにすごいものを作っていた、ということがよくある。三宅デザイン事務所在籍時、三宅一生氏が、机の上でものを考えるな、みたいなことをよく言っていて、その影響も大きい。現場に行って、作る過程を見て、そこから考える。

-何かの原材料と出会って興味を持った時に、原材料から最終製品まですべてを見るようにする。特に現場に何かヒントがあると思う。たいていにおいて優秀な工場は、継続してやっているので、知恵みたいなものがある。たとえばデニムの工場は、今でこそデニムを作っているけども、その前は手織りの絣の工場で、絣のノウハウと、デニムを作るノウハウは似てる、と言う。そこに気づくと、次何を作ればいいのかが分かるような気がする。日本の知恵みたいなもの。
繊維産地はたくさんのノウハウを持っている。ところが、海外生産では、突然何もないところに作った工場では、最新式の機械と人が日本から行って安価な良いものができていくが、過去の文化がないので、本来の開発ができていくのかという点が心配。これは勝手な理想だけれど、アジアの中でもその地域ごとにおもしろい繊維技術はあるから、それを使って生産するなら意味もあるし、そういうものをうまく未来につなげた発信の仕方があれば、きっと未来に向かったものが生まれていくと思う。


未来のかけらラボvol.11 トークセッション「問題と思われていることから新たなプロダクトを生み出していく。—エコロジー、エシック、日本の知恵」
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2017年6月14日(水)

未来のかけらラボvol.10 トークセッション「家庭菜園のようにエネルギーを楽しむ暮らし」を開催しました。

ゲストはNPO法人グリーンズ代表/greenz.jp編集長の鈴木菜央さんです。
モデレーターを務める芹沢高志(KIITOセンター長)は、再生可能エネルギーは長年気になっていたテーマだが、がどう扱うか考えあぐねていたとのこと。ウェブマガジン「greenz.jp」は、ストイックにではなくて、ライフスタイルのひとつとして楽しみながら活動している事例をたくさん紹介していて、突破口としてふさわしい方なのでは、ということでお招きしました。

鈴木さんからは、自己紹介からグリーンズのビジョン、greenz.jpで紹介してきた豊富な事例まで、たっぷりお話をお聞きできました。以下、ご紹介いただいた事例や鈴木さんの言葉をピックアップしてご紹介します。

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一人一人が人生の主役になれる社会
greenz.jpは「一人ひとりが『ほしい未来』をつくる、持続可能な社会」をめざす非営利のメディア。2006年からスタートし、年間600本くらいの記事が更新されています。個人的にも鈴木さんは、なんでも作れる人になりたい、とタイニーハウスを購入したり、エネルギーをなるべくかけない暮らしを模索し、「一人一人が人生の主役になれる社会」をビジョンとしています。実は、それに気づいたのは神戸だったのだそうです。友人の誘いで、4か月くらい阪神・淡路大震災のボランティア活動をした18歳のころ、そこでは、日本中から集まった人たちが肩書き関係なしに、次々に降りかかってくる課題にみんなでクリエイティブに話し合って解決していた。そのときのスピード感、みんなの笑顔、一生懸命さに驚き、そしてそのあと東京に帰ったらみんな疲れて働いているギャップに驚いた。震災以外の場所で人が輝かないなんて、社会のデザインの失敗なんじゃないかと思った。当時は言葉にならなくて、ずいぶん後で思ったことだけれど、一人一人が人生の主役になれるような、神戸で見たような風景が、普通の日常の社会で見ることができたら、と思ったのだそうです。

エネルギーめがね
エネルギーめがねで見ると、世の中みんなエネルギーと言える。太陽熱。夏の暑さ、光。風、水、地熱、木もエネルギー。暮らしの中でエネルギーに関わらないことはほとんどない。きれいな水が蛇口をひねったら出てくるのは、多大なエネルギーを投入した結果できている。お寿司の魚だって、近くでとった魚にくらべて、遠くでとった魚には相当なエネルギーが集中している。食べたものをゴミに出すと焼却のエネルギーがかかるが、コンポストを使えば、そのエネルギーがいらなくなるし、土が元気になって、それで作物ができたら、エネルギーの循環がそこで生まれる。そう捉えると、難しいことはなくて、家庭菜園を楽しむように、エネルギーを捉えることができる。


動機は「楽しい」「かっこいい」「おいしい」
以下、レクチャーでご紹介いただいた、greenz.jpで取材されてきた、さまざまな事例と関連リンクです。
どれも、エネルギーを単体でなく暮らしの中で考えて、みんながハッピーに暮らしていく中でとらえていく、ということを実践されています。

特に環境問題に興味はなかった横浜の夫婦が、家を建てるとき、玄関の目の前に電柱を立てる?いや無いでしょ、ほかの方法はないのか、と探ったら、200万あれば家をオフグリッドにできることがわかり、車一台買うくらいでしょ、と試しに実践。やってみたらすごく楽しかった!
http://greenz.jp/2015/05/01/wataden_sato/

千葉県の焙煎屋さん「スローコーヒー」。ジブリが「原発の電気を使わないで映画をつくりたい」と表明したことに共感し、自分だったらコーヒーでやりたい、と実践(資金はクラウドファンディングで調達)。コーヒーは嗜好品なので「うまいなあ」という感覚が大事。太陽のエネルギーで作ったコーヒーは明らかにおいしい、気持ちがいい。
http://greenz.jp/2014/11/04/slow_ozawayosuke/

「軽トラオフグリッド号」。NPOが運営。軽トラの荷台にいろいろなオフグリッドの装置を積み込み、北関東を中心に回っている。電気エネルギーでビールを冷やしてみんなに飲んでもらう、など楽しみながら自然エネルギーを体験できる。
http://greenz.jp/2015/01/22/offgrid_harappa/

環境のこととかいろいろあるけど、とにかく太陽熱はおいしい、それが理由でソーラークッカーを使う料理研究家。
http://greenz.jp/2014/11/20/solarcooker_nishikawa/

大きな音楽フェスに音響を提供する会社が太陽光で電源をまかなう試みを実践。音を比べると、電力会社から送られてくる、送電時のノイズを拾った電気とそうでない電気の違いが如実に出る。プロも圧倒的に音がクリアで違う、という。「音が良いから」自然エネルギーを使う。
http://greenz.jp/2014/04/01/energydesign/

鎌倉のパッシブハウス。真夏でもひんやりしていて、真冬でも無暖房で人が来ると暖かくなる。自然と人が集まる。断熱材を4,5倍入れていて建築コストは高いけれど、工夫をたくさんしているので、結果的にそんなに高くない。
http://greenz.jp/2015/07/30/kamakura_passivehouse/

神奈川県の藤野で2011年に立ち上がった藤野電力が、50ワット(ノートパソコンと電球1個をまかなえるくらい)のパネルと電池を42800円でつくれるセットを開発。このワークショップを全国で実施。小さな試みが広がっている。藤野ではオフグリッドが普通になりつつある。
http://greenz.jp/2012/02/21/fujino_denryoku/
藤野では、みんなでエネルギーを使わず環境負荷を低くして、まちに経済危機が起きても、災害が起きても生きていける、つながりの豊かな、暮らしやすいまちをつくろう、という動きが花開いている。
地域通貨も展開し、移住者がそれで家財道具を調達し、代わりに自分のリソースを提供して交流している。みんなすごく楽しそう。
森部、マーケット部、糸つむぎ部、など、部活動も盛んで、その受け皿がある。

活かしあう関係性をデザインする
海外の事例では、アメリカ・ポートランドとイギリス・トットネスの事例をご紹介いただきました。

ポートランド・プラネットリペア研究所では、水位の差で水をキッチンに運び、その排水が庭の水やりになったり、廃品でキャットタワーを作ったり。エネルギーを使わない暮らし、環境負荷を下げ、コミュニティを育てることを学ぶことができる。
ホームレスのために、その人らしい家を学生たちほかと協働して作る取り組みがある。食べ物を自給できるように菜園をつくり、苗木を育てて売って収入をつくる。シャワーのためのプロパンガスが痛い出費なので、太陽熱でまかなえないか、試みるなど、コミュニティで、ホームレスの課題を解決する。
パーマカルチャーとは、いわば、活かしあう関係性のデザイン。一人一人がデザインしあえる方法論。それが息づいている。

藤野の元祖といえるイギリスのトットネスでは、地域経済活性化のために、まちの現状を調べたところ、食に関する支出の60%が大手スーパーに流れ、食料自給率が27%であることがわかった。そこで地産地消を推進し、学校で地域の食材を使い、地域のレストランを応援するマップをデザイナーがつくる、など、みんなで助け合いながら考えて活動した。それだけでなく、地域に起業家を増やし、おもしろい店を増やして、地元の材料で、地元の人を雇い、地元ならではの味を作り、誇りを持てるような商品を開発して売る、そんな存在が育っていかない限りは僕たちに未来はないんだ、と気づいて、フォーラムをやるようになった。使われなくなった建物を利用し、運営も持ち寄り。2年に1回、4人選ばれてプレゼン、入場料やおひねりがプレゼンターの収入になり、入場者が4人を支えるようにあらゆる協力をしていく。その4人は必ず成功し、次のフォーラムを支える。
食に関してだけでなく、まちが、気になるテーマの部活動をたちあげられる仕組みを持っている。

エネルギーはエネルギーだけでとらえると損をする。暮らしの中であまねく関係していて、いろいろなやり方がある。
これらはすごいプランナー、スーパーマンやスーパーウーマンがやったことではなくて、「家庭菜園のように」やった人が集まって話し合って続けた結果こうなった。それがすごい。
どんなことやってもエネルギーにつながっているし、自由に考えてもらっていい。一歩一歩、プロセスを楽しめばいい、自分の暮らしの中でできることをやってみればいい。


ワクワクする、楽しそうな事例や印象的な言葉をたくさんお聞きした後には、鈴木さんの提案により、参加者同士で感想を共有・意見交換する時間を設けました。3分の設定が10分ほどになる盛り上がりでした。聞いて終わりではなく、咀嚼し伝え、さらに、自分の生活にフィードバックさせる一歩へと、背中を押してもらったように感じました。


未来のかけらラボvol.10 トークセッション「家庭菜園のようにエネルギーを楽しむ暮らし」
開催概要はこちら

2017年5月26日(金)

様々な分野で活躍されているデザイナーの方々にお越しいただき、仕事の紹介やその進め方、デザインの考え方や今後の活動について、お話をしていただく、デザイン・トークイベント「Designers」。

講師であるDESIGN MUSEUM LABの久慈達也さんに、お話していただいた内容をレポートにまとめていただきました。
今回のイベントに参加できなかった方も、是非こちらをご覧いただき、ミラノサローネのことや世界のデザインスクールのことに興味を持っていただくきっかけになればと思います。



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ミラノサローネ2017レポート 久慈達也さん(DESIGN MUSEUM LAB/デザインリサーチャー)
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5月26日、「ミラノサローネ2017-世界のデザインスクール最新動向-」と題して、ミラノサローネ国際家具見本市およびミラノ・デザイン・ウィークの報告会を開催した。登壇者は、神戸芸術工科大学Design Soilのディレクターとしてミラノ・デザイン・ウィーク出展を指揮した田頭章徳、デザインスクールの展示に焦点を当てて取材してきた筆者の2名である。今春ミラノでどのような特徴がみられたのか、報告内容を振り返ってみよう。

毎年4月に開催され、世界中からデザイン関係者が集まるミラノサローネ国際家具見本市。東京ビッグサイトの約4倍の広さを誇るミラノ国際展示場(Rho Fiera Milano)を舞台に、多くの家具メーカーの新作発表が行われる。本年は4月4日〜9日の会期で行われ、来場者は約34万人。この世界最大規模の家具見本市にあわせて、ミラノ市内でも様々な展示やイベントが催された。

■街全体のデザインフェア
「街全体がデザインに染まる」と形容されるが、市中心部のショールームやギャラリーはもちろん、南部のトルトーナ地区、東部のランブラーテ地区など市周縁部でも工場空間を利用してイベントが開催され、その総数を把握すること自体が難しいほどだ。世界中のデザインスクールや卒業したての若手デザイナーの出展が多いことも特徴で、企業とは異なる視点で時事問題や潜在的な社会課題などデザインの範囲を再定義するような展示もみられる。



サローネサテリテ(ミラノサローネ国際家具見本市内)

ヴェンチューラ・ランブラーテ
■7度目の出展-Design Soil
神戸芸術工科大学のデザイン・ソイル(Design Soil)も、この世界最大のデザインの祭典に2011年から出展を続けている。デザイン・ソイルは実験的なテーマで作品制作に取り組むことを目的に発足した有志のデザイン・プロジェクトで、これまでに発表された作品は国内外の企業から商品化されたほか、海外の展覧会に招待出展されるなど着実な成果を残している。今年は「GOOD LACK」をテーマに、「欠落」というモノにとってネガティブな要素を、逆転の発想で新しい機能として読み替えた作品を発表した。



デザイン・ソイル展示風景

デザイン・ソイル移動の様子
日本から海外の展示会に出展するためには様々な苦労があるが、とりわけ輸送は大きな障害となる。デザイン・ソイルも制作期間と輸送費の問題から、全ての作品と展示什器を機内受託手荷物として移動する。さらに今年は公共交通が利用できず、宿泊先から徒歩でランブラーテ会場まで1時間かけて作品を運ぶことになった。作品制作に加え、輸送、英語での作品解説と参加学生にとっては高いハードルを一つ一つクリアしながらのプロジェクトであるが、世界中のデザイン関係者に自分の作品を直接プレゼンテーションができるのは大きな魅力だ。若手デザイナーの登竜門である「サローネサテリテ」20周年にあたる本年、これまでの軌跡を振り返る展覧会「SaloneSatellite.20Years of New Creativity」が開催されたが、デザイン・ソイルの作品十数点も選出された。



デザイン・ソイル設営の様子

サローネサテリテ20周年記念展
■柔軟な発想と確かな造形感覚-Salone Satellite
サローネサテリテにはデザインスクールの出展も多数含まれる。その中ではドイツのヴァイセンゼー美術大学(Weißensee Art Academy Berlin)が頭一つ抜けていた。同校の「リアクティブライト・プロジェクト」には、炎に接するように息を吹きかけることで照度を変えられる照明作品など、センサーの使い方とプロダクトとしての造形力が高次元で融合した作品が揃っていた。サテリテには国内からも京都工芸繊維大学と名古屋工業大学が出展。京都工芸繊維大学岡田ゼミは「鏡」をテーマに作品を出展。アルミシートを折り曲げることで生まれる表情を素直に活かしたものや手製のパンを3Dモデリングで型取りしてフレームに仕立てた作品など、ユニークなアプローチが光った。



ヴァイセンゼー美術大学

京都工業繊維大学岡田ゼミ
■不安定な社会における「デザイン」—Ventura Lambrate
サローネと並んでデザインスクールの出展が多いヴェンチューラ・ランブラーテだが、ジュネーブ造形芸術大学(HEAD Geneve)と、これまで中心的な立場にあったデザイン・アカデミー・アイントホーヘン(DAE)が別のエリアに会場を移すことになった。
ランブラーテ地区では、セントラル・セント・マーチンズ(CSM)のマテリアル・フューチャーズ(Material Futures)コースを筆頭に、コンセプト重視のプレゼンテーションを行う学校が例年以上に目立った。マテリアル・フューチャーズが遺伝子操作や食の倫理観など際どいアプローチで現代社会に潜む課題を突きつけたのに対し、チェコのプラハ工芸美術大学(UMPRUM)はファストファッションを風刺するパフォーマンスで話題になった。両校の展示はミラノ・デザイン・ウィークの各主催団体が表彰する「ミラノ・デザイン・アワード」にノミネートされ、コンセプチュアルなアプローチが評価につながっている現状がうかがえた。



CSM マテリアル・フューチャーズ

プラハ工芸美術大学
ユトレヒト芸術学校(HKU)は、個人のプライバシー保護をテーマに、自作できるアンチ・ドローン銃や街頭カメラによる顔認識を阻害するヘッドギアなどを展示した。この他、「境界」を主題にしたブルグ美術大学(Burg Giebichenstein University of Art and Design Halle)など、ヨーロッパを取り巻く様々な不安要素が各校の展示をシリアスな方向へと導いていることがうかがえた。企業が生み出す「トレンド」とは異なる、こうした社会課題に対する「リアクション」は「デザイン」という言葉の多面性を教えてくれる。一方で、こうしたスペキュラティブ(考察的)なデザイン・アプローチには造形的な弱さも付きまとう。ここ数年盛り上がりをみせた素材重視の潮流もリサーチに終止する傾向にあったが、アウトプットの精度を軽視した「提案のための提案」が増えるようなら気がかりである。



ユトレヒト芸術大学

ルンド大学「SPEKTERUM」
■アイデアに適切な形を与えること
コンセプトとフォルムのバランスが非常によく保たれていたのが、スウェーデンのルンド大学(Lund University)であった。客員教授のステファン・ディーツとIDEOのレイフ・ハフの指導による照明作品21点を展示したが、いずれもシンプルな機構や造形が機能的に働くようにアイデアを練った秀作が揃っていた。他大学がコンセプチュアルな方向性に流れる中、同校の展示からデザインの原点は「アイデアに適切な形を与えること」にあると改めて教えられた。
学校を超えたキュレーションに新たない可能性を感じさせたのが、スイスの家電ベンチャー企業PUNKTのアーバン・モビリティ・プロジェクト「PUMP」。デザイン・アカデミー・アイントホーヘン(DAE)、ローザンヌ州立美術学校(ECAL)、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の三校に電動アシスト自転車をそれぞれ提案してもらうという試みだが、アイコニックなフレームデザインで知られるオランダの自転車ブランド、ヴァンムーフのような造形を与えたDAE、坂の多い街を移動するためどんな自転車でも電動アシスト化できるキットを提案したECAL、シェアオフィス等の都市型の労働環境にフィットする機構を盛り込んだRCAと、コンセプトにもフォルムにも各都市の地勢がしっかりと反映される結果となっていた。



PUNKTによるプロジェクト「PUMP」

ECALが提案した電動アシスト化キット
デザイン・ウィーク全体に目を向ければ、初開催のヴェンチューラ・チェントラーレ(Ventura Centrale)はミラノ中央駅の高架下空間を会場に、マーティン・バースはじめ力の入ったインスタレーションで集客を伸ばした。アクセスの良い中心部のイベントだけに、来年以降の盛り上がりも期待される。
今年はあちこちの会場で「入場制限」がかかる場面が多く、長蛇の列が印象に残った年であった。なかでもnendoの個展は2時間待ちも当たり前という盛況ぶりだったし、COSやHERMESのようにここ数年デザイン・ウィークを牽引してきたファッションブランドによる展示も入場までに相当の時間を要したようである。これらに共通しているのは「インスタレーション化」された展示である。モノ単体でみせるのではなく、空間全体を使ったプレゼンテーションを用いて世界観とともにモノを示す時代なのだ。もっとも「行列」の原因はアトラクション的魅力にばかり求められるわけではなく、うがった見方をすれば、来場者が集中せざるをえないほどに見所が限られていたということかもしれない。実際、本会場での新作発表は量においてやや低調であったし、デザインスクールの展示もどことなく精彩を欠いていた。



ヴェンチューラ・チェントラーレ

nendo個展「invisible out outlines」
生き物のように、訪れるたび少しずつ表情を変えるミラノ・デザイン・ウィーク。今年デザインスクールの展示に表出したそこはかとない不安感はデザインの未来に少なからぬ影を落としているようにみえた。ヨーロッパの若手デザイナーや学生たちが不安定な時代の中でどのようなデザインを紡いでいこうとしているのか、これからも注視していきたい。(文責:久慈達也)

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Designers 14 デザインレポート01:ミラノサローネ2017 -世界のデザインスクール最新動向- 開催概要はこちら

2017年6月10日(土)

今年で4回目を数える、「KIITOマルシェ2017」を開催しました。KIITOマルシェは、ポートアイランドにある、病気とたたかう子どもと家族のための施設「チャイルド・ケモ・ハウス」を応援することを目的としています。連携イベントとして同日に「チャイルド・ケモ・ハウス チャリティーウォーク2017」も行われました。


会場の1000㎡を超える大空間には、ワークショップや飲食、物販など44ブース並び、大変にぎやかなマルシェとなりました。
会場デザインは、「ちびっこうべ2016」で建築家チームとしてご協力いただいた、中村×建築設計事務所さん、チラシやサインなどのグラフィックデザインには、同じくデザイナーチームのDESIGN HEROさんに手掛けていただきました。
入口には紙管と軽く透けた布(オーガンジー)を使ったタイトルゲートが作られ、各ブースの上には、同じく軽く透けた布(オーガンジー)の緑、赤、白が暖簾のように天井から垂れ下がり、各ブースの位置を伝えています。入口すぐには巨大な円形のレジャーシート敷かれた広場エリアがあり、こどもなどが靴を脱いで自由に遊べる空間です。小さな紙管の積み木がたくさん転がっており、重ねたり、転がしたりしながら遊ぶ様子が見られました。


ワークショップエリアには、好きな革を選んで作るブレスレットや部屋に飾れるプリザーブドフラワーづくり、1年後に手紙が届く未来郵便局などたくさんのブースがならび、終始にぎわっていました。水玉の衣装に赤い鼻、口からピーピー音がでるクラウンも現れました。

フードエリアには、珈琲などのドリンクのほか、ポテトフライ、カレー、水餃子、トッポギ、かき氷、ハートの形をしたパン…など、1日では食べきれない、魅力的なメニューがたくさん並んでいました。会場にある、大きな丸いベンチや土管型のベンチなどがたくさんあり、くつろいでいる様子も見られました。


あっという間に終了時間となり、今年のKIITOマルシェは終了しました。毎年続けることで、「チャイルド・ケモ・ハウス」を知っていただく機会をつくり、さらに支援の輪が広がることを願っています。
本イベントの売上の一部は、「チャイルド・ケモ・ハウス」へ寄付し、患児や施設のために使っていただきます。
ご来場いただきました皆様、そして、本イベントの趣旨をご理解いただき、ご協力いただきました出店者の皆様、本当にありがとうございました。


「KIITOマルシェ2017」開催概要はこちら


映像撮影編集:星野文紀

2017年5月6日(土)5月7日(日)

2年に1度行われるちびっこうべのワークショップ。今回は子どもたちが集めてきたKIITOの館内のさまざまな音を集めて1つの音と音マップを作り出す「ちびっこうべサウンドスケープワークショップ」を開催いたしました。まずは、サウンドスケープの紹介から入ります。講師の橋本次郎さんがあらかじめ神戸の街で録ってきた波の音や汽笛の音を利用したベースの音楽をみんなで聞きながら、身のまわりにある様々な「音」について学んでいきます。最後に、そのベースに音にみんなが録音してきた音を重ねて一つの音を完成させます。その後、レコーダーの使い方をみんなで教わりKIITOの中の色々な音探しに出かけます。この日、KIITOでは078kobeのイベントが行われており、KIITOの館内は様々な音にあふれていました。



 

KIITOの建物の中で耳を澄ませ、どんな音が聞こえてきたかを考えながらレコーダーに録音していきます。「あっちに音が鳴りそうな場所がある!」「床がちがうと足音も変わってくる!」と今まで気づいていなかった、色々な音の発見がありました。レコーダーを初めて使う子どもも多く「良い音捕まえた!」と取り組んでいる姿が見られ、KIITO館内の1階から4階までの様々なスペースでの”音採集“に積極的に取り組んでいました。どこで、どんな音が、どんな風に聞こえてきたか忘れないようには手持ちの音マップにメモをしていきます。


 

音が録れた子から、イヤホンで録ってきた音をサポーターと確認して、録音してきた音の中から使いたい一音を選びます。録音してきた音と実際に聞こえてくる音がちがうことを自分たちで実感していきます。音選びが終わったら、橋本さんに音を渡しにいき、子どもたちと、どの所にどういう風に音を入れていくか決めて、ベースの音に子どもたちの録音してきた音を足していきます。音を編集している間に、音探し中にかいたマップを大きいマップに書き写していき、一つの大きな音マップを完成させていきます。


 

その後、編集し終わった音をみんなで聞いていきます。神戸で録られたベースの音にみんなで録ってきたKIITOの館内で録られた音が足されて一つの音になりました。自分たちで録ってきた音がどこで使われているか、どんな風に聞こえてくるかを作った音マップを見ながら感じ取っていきます。子どもたちの作った音マップには「トントンだれかが歩いているみたい」「消防車がいるみたい!」といったように、子どもが思うままにマップにコメントが書かれています。


 

ワークショップを通して、身近なところにも意識をしていないと聞こえない様々な音があるということを、ということを参加した子ども達に気づいてもらえる機会となりました。ワークショップに参加した子供たちには参加者賞として「音バッチ」をプレゼントしました。

今回作った音と音マップは6月10日のKIITOマルシェで成果展示いたしますのでぜひお越しください!

写真:槌谷綾二

2017年5月12日(日)

神戸市の総合福祉ゾーンしあわせの村では、障がいのある人たちの創作活動を支援し、その表現の素晴らしさを広く知っていただくための展覧会「こころのアート展」が毎年開催されています。今回、同展の巡回展をKIITOにて開催。巡回にあたり、KIITOの広い空間を存分に活用できる、新たな会場構成や展示什器を提案しました。設計・施工は、株式会社POS建築観察設計研究所にご協力をいただきました。

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広い会場内に配置された展示什器は、出展作家のそれぞれの作風に合わせてデザインされたもの。ひとつひとつが、作者の制作風景や、日常の様子に結び付くイメージから制作されており、作品の魅力をより引き立てました。

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作品とともに、作家の制作風景の写真も展示。書道作品の大胆な筆使いの様子や、愛用している道具の写真なども一緒に展示をすることで、作者が創作活動に没頭しているときの集中した空気や息遣いまで感じられるような、迫力のある展示空間になりました。

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会期中には、出展作家の方にも多くお越しいただき、巡回によって新しく作られた展示空間に、「自分の作品なのに、違う見え方がして面白い。」「作品がもっとかっこよくなった!」などのコメントをいただき、ご自身の作品の新たな一面を楽しんでいただけたようでした。

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私たちスタッフは、障がい者アートに専門の知識があるわけではなく、この巡回展の企画に携わったことをきっかけに、「障がいって何なのか?」「福祉とアートの境界って?」「自分にできることがある?」など、普段生活の中では意識していなかった、障がいにまつわる色々なことに考えを巡らせ、そして頭を悩ませたりもするようになりました。

障がいのある方、子どもや学生、年配の方、KIITOに関わってくださっているクリエイターなど、今回の展示にお越しいただいたさまざまな立場にあるみなさまにとっても、私たち同様、障がい者アートに少しでも関心を持ち、考えるきっかけの場となっていたら幸いです。

今後も、しあわせの村で「こころのアート展」は継続して開催されます。私たちも、KIITOだからこそできる関わり方を模索しながら、障がいのあるアーティストたちの活動をサポートしていきます。


こころのアート展巡回展inしあわせの村2016 KIITO巡回展開催概要はこちら
こころのアート展inしあわせの村2017開催概要はこちら



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