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2013/12/25

イベントレポート

神戸料理フォーラム パンデュース米山雅彦シェフと行く体験ツアー 六甲・弓削牧場編 レポート

2013年12月8日(日)

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パンを中心とした豊かな暮らしを提案する「パンデュース」のシェフ、米山雅彦さんのコーディネートで、神戸市北区にある弓削牧場を訪ね、見学や体験、レクチャーを通し学ぶ、ツアーを開催しました。天候も良く、牧場内の畑を見学し、搾乳機の仕組みや牛の生活など学びました。牛乳やチーズについて学び、ホエイ(乳清)やできたチーズを試食しました。最後には場長である弓削忠生氏と米山雅彦氏による牧場の抱える課題や循環型農業についてお話を伺いました。一連の体験、試食、レクチャーは、参加者にとってとても貴重な体験となりました。

牧場内見学

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見学では、場内で野菜やハーブを栽培している畑、ビニールハウス内も見学させていただき、たくさんの種類の野菜、ハーブに参加者は驚いていました。牛舎も案内していただき、牛の特徴や搾乳機の仕組みを興味津々に聞いていました。

チーズづくり体験

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牛乳やチーズについてのお話を聞きながら、チーズづくり体験を行いました。牛乳が2層に分かれており、上に溜まっている部分が生クリームです。ボールに入った牛乳に、乳酸菌と酵素を入れ、かきまぜ少し待っていると、だんだん牛乳が固まります。豆腐のような感触で、その後ヘラを使って約1㎝に切り目を入れてかきまぜ、ざるで濾すと、固形分と水分に分かれます。この水分がホエイ(乳清)で、乳液などの原点です。固形分がチーズで、鰹節とポン酢をかけ、試食しました。独特の触感と味に参加者は感激した様子でした。また、カマンベールのおいしい食べごろ、牛乳、チーズにまつわる知識を得ました。


昼食|ホエイシチュー

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昼食では、先ほど見学した畑で採れたたくさんの種類の野菜やハーブをつかったサラダ、そしてチーズづくり体験で学んだホエイを使った「ホエイシチュー」をいただきました。またデザートは、チーズをつかった4種のケーキから選びました。


弓削忠生×米山雅彦レクチャー

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現在、弓削牧場周辺の開発が進み、木々の隙間から工事の様子が見え、今後牧場はどうなってしまうのか、という参加者の疑問からはじまり、バイオマスや今後の農業、酪農についてお話しいただきました。

周辺開発
六甲山のほとんどは私有地となっており、開発の規制は困難です。ハイキングロードをつくる際に木を切るさえも簡単にできません。周辺の開発を止めることはできませんが、弓削牧場はずっとこのままです。牧場に来てくれるお客さんが、存続のとても大きな力になっています。

農村の宝物
農村は宝物がたくさんあります。今の農家の人々はその宝物を使いこなしていないように思えます。私たちは牛がいて、ミルクがあって、食べていくことができます。循環を考える際、牧場内で小さなエネルギー循環の仕組みができればいいのではないかと思い、牛糞からメタンガスを取り出すプラントを設置し、そのエネルギーを使って、温室の暖房に使っています。神戸市はバイオガスについて先進的な取り組みをしていますが、そのような大きな施設ではなく、牧場のサイズに合った小さなものが必要とされています。ちなみにバイオマスプラントでできたエネルギーを売電することで、年間約360万円の収入になり、とても大きな収入源になります。

上昇スパイラル
TPPに対抗するためにはどうしたらいいのか。北海道の牛乳がどんどん販売されることで、兵庫県の牛乳は売れなくなってしまいます。その理由が、北海道のものは1㎏70円に対して、兵庫県のものは1㎏100円、30円の差があります。高いから売れない、という状況を改善するためには、乳量を増やすことが必要であると考えています。兵庫県の末端価格を下げることによって、消費量が増えれば、牛の頭数を増やし、乳量を増やさなければなりません。牛の頭数が増えれば、糞尿も増え、糞尿を堆肥としては売るだけでなく、バイオマスプラントなどで電気代を下げることができます。またメタン発酵消化液を液肥として農作物に利用することができると、そこからも収入になり、上昇のスパイラルが生まれます。

人間本来の感覚
これからは、消費者にとって野菜などを購入する際に3つの選択肢があります。露地栽培でつくったもの、水耕栽培でつくったもの、化学肥料でつくったもの。それぞれを理解したうえで選択し購入することが大切です。チーズについても今回の体験で、つくる過程を理解することで、買物へ行った際に、こういう食べ方をしたらいいなどを発想する感覚が必要だと思います。賞味期限で判断するというより、人間本来持っている五感を磨き上げることが重要だと思います。

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神戸料理フォーラム パンデュース米山雅彦シェフと行く体験ツアー 六甲・弓削牧場編
http://kiito.jp/schedule/event/article/6191/