NEWS NEWS

2015/3/13

イベントレポート

+クリエイティブゼミvol.13 「食」編「神戸発:自分で食べる“食”の勉強をしよう!」第4回 レポート

2015年2月27日(金)

+クリエイティブゼミvol.13 「食」編 「神戸発:自分で食べる”食”の勉強をしよう!」第4回は、おおや高原有機野菜生産者の金谷智之氏レクチャー「おおや高原有機野菜の現状」を開催しました。

ゼミマスターの米山さんより、有機方法だけでなく、生態系についても話ができる、おもしろいタイプの農家さんですと、金谷さんの紹介から始まりました。おおや高原はどこ?有機JAS法とは何?鹿のライフマネージメントとは?など農業の現状についてお話いただきました。

SONY DSC SONY DSC

おおや高原
おおや高原は、兵庫県の中央に位置する養父市にある。養父市は農業特区にも指定され、日本中から注目されている地域でもり、農地は山の上、標高500~700mにある。おおや高原有機野菜部会は9名の仲間と行い、ビニールハウスは297棟、ほうれんそう、しゅんぎく、みずな、こまつな、こかぶ、ミニトマト、くうしんさいを育てっており、コープこうべで販売をしている。4月~12月で栽培をしており、年間約140tの生産量になる。

有機JAS法
農薬、化学肥料による害が問題になった時期があった。そのころに有機農業運動がはじまった。その後、有機JAS法が作られ、法律も守らなければ有機とは言うことができなくなった。基本的なルールは、化学合成された肥料、農薬を使用せず、播種または植え付け前2年以上の間、堆肥等による土づくりを行った圃場において生産された農産物と定められている。認証という手続きが必要で、格を付けられるのは生産者だけであり、かってにJASマークを付けることはできない。JASマークを付けるための申請には100ページに及ぶたくさんの資料を作成しなければならなく、非常に大変である。農家さんの中にはこの申請資料作成が大変であるため、有機農法でつくっていても、有機やオーガニックとは言わずに販売している例もある。

野菜
6月にほうれんそうの種を撒いた場合、何日で収穫できるか。1ヶ月?2ヶ月?3ヶ月?正解は1ヶ月(30日)。1ヶ月で成長し、収穫することができる。大根などは3ヵ月(90日)かかる。トマトの生産地知っているだろうか。中米が生産地であり、寒さに意外と弱いのである。高原ではトマトの苗をつくることができないため、但馬にある農業高校に苗づくりを頼んでいる。花が咲き受粉はクロマルハナバチに頑張ってもらっている。西洋のハナバチの方が良く仕事をするが、特定外来種のため使用していない。トマトの花はあまり蜜が無いため、ミツバチはあまり働かない。
堆肥は牛の糞からつくられている。昔は自分たちで行っているところもあったが、牛の糞には大腸菌もいるので、しっかり発酵させなければいけない。そういうことも考え、地域堆肥センターと連携し、完熟堆肥づくりを行っている。
野菜の約6割はアブラナ科の野菜である。同じ科の場合はつく虫やかかる病気も同じである。混植といった方法で病気のリスクを下げる方法もある。ビニールハウス内に設置している黄色のテープは、虫を駆除するもので、黄色に虫が集まる習性を利用している。

SONY DSC SONY DSC

農業に虜になった理由
元々コンピューターに興味を持っていたが、親が脱サラし農業を始めたことがきっかけで、はじめは親の手伝いをしている程度であったが、だんだんと農業のおもしろさに惹かれていった。農業は野菜や気候などさまざまな影響を受けるため、すべて自分の責任ではない。プログラミングなどは自分のミスは自分で直さなければ直らない。農業は絶対という答えがない。植物は動物と異なり、多少の事は耐え、少なければ少ないなりに、多ければ多いなりに対処する。生産者というのは農家としてはおこがましいと思っている。育っているのは野菜、育ててくれるのは環境、農家はそれを手助けしているだけである。
40、50年も農業をしている人が、「百姓は毎年1年生なんや」と言っていた。何年も続けていれば、自分の思い通りにできるものだと思っていた。「昨年と今年は同じ天気だと思うか、そうではない。全く同じ天候の年はない」という言葉に、衝撃を受けた。定年がなく、こんな生き方も良いのではないか。生きていくためには食べ物が必要である。

鹿のライフマネージメント
大屋町の人口は約4,000人で、鹿の頭数は、8,000~12,000頭、人口より鹿の頭数が多い。初めは畑で鹿と目が合うと、驚いて鹿は逃げていたが、だんだんと人を恐れなくなっていった。鹿はほうれんそうの一番おいしい部分を知っている。野菜は人間が食べるものなので、おいしく栄養価も高い。兵庫県内でも鹿は、140,000~150,000頭いると言われており、年々農業被害が増加している。猟師の資格を取り、鹿の捕獲や防衛のための電気柵を設置している。電気柵で一番効果があるのは、イノシシである。鼻が直接電気柵に触れるため、ほぼ100%効果がある。鹿は、ジャンプ力が2mもあり、柵を飛び越えたり、線の間を透けるものもいる。多少の痛みがあっても死なないと分かれば、無理にでも野菜を食べに行く。動物も知恵を持っていると感じる。頭数を押さえるだけで精一杯なので、部会メンバーにも猟師の資格を取るよう促している。

最後にゼミ生より「おいしいとは」と質問ありました。「ひとつの環境である。環境一つで日常の食事の印象も変わってくる。自分が健康でいることも大切で、環境などの条件が良いことがおいしいという事ではないか。」自分が入院をしていた経験から、いろいろ感じたそうです。

第5回となる次回は、「食品添加物について考える」と題した、MCフードスペシャリティーズ・パン資材事業部・室町秀夫さんによるレクチャーです。

+クリエイティブゼミvol.13 「食」編 「神戸発:自分で食べる“食”の勉強をしよう!」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/10640/