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2015/7/20

イベントレポート

+クリエイティブゼミvol.13 「食」編「神戸発:自分で食べる“食”の勉強をしよう!」第8回 レポート

2015年5月1日(金)

+クリエイティブゼミvol.13 「食」編 「神戸発:自分で食べる“食”の勉強をしよう!」第8回となる「屠殺について」を開催しました。兵庫県健康福祉部健康局生活衛生課の都倉敏明氏をお招きし、食肉加工についての映像とお話を伺いました。

過去に国内でBSE食肉に関する事件が起こり、食肉に関する不信感が増していった時期があり、給食に牛肉を出さないこともあった。偽装などを行っていないことやきちんと処理されているお肉は安全であることを消費者に理解してもらうために、映像が作られた。
映像は、子牛が生まれてから、飼育、屠殺、食べる、一連の流れをドキュメンタリータッチで描いている。加古川にある食肉加工センターは、日本でも唯一、食肉加工の現場の全てを見ることができる場所である。5~20名ほどの団体であれば事前に申し込みをすれば、見学可能。年間50団体ほど見学に来ている。

 
繁殖・肥育
子牛が生まれてから、約960日後に食肉になる。繁殖することを専門にした繁殖農家、牛を太らせる肥育農家がある。牛は消費者に届くまで10桁の番号で管理され、農家では見回りを常に行い、耳が垂れ下がっている、歩き方が少しおかしい、咳をしているなど牛の状態を確認している。牛が弱っているなど異常があった場合は地域の獣医が診断、治療を行う。季節の変わり目などは体調を崩しやすい。
オス牛は6ヶ月程度で去勢しなければ、性格が乱暴になり、喧嘩などをする。去勢することで肉質が柔らかくなるとともに、温厚な性格になる。良い肉にするためには、体調管理・衛生管理がとても重要で、糞尿を吸収したおがくずをこまめに交換し床を清潔に保っている。出荷までは穀物を食べさせ、牛を太らせていく。

食肉加工
食肉にセンターに運ばれた牛は、全頭生体検査が行われ、健康状態を確認する。牛の様子や歩き方などをチェックしている。屠殺の際は、苦痛を与えないよう打撃銃を使い脳震盪で失神させ、動脈を切り、放血させる方法を取っている。汚染防止対策として、食道は胃の内容物が逆流しないように締める。そして、吊り下げてオンレール方式とよばれる解体作業が行われる。牛の体が壁や床、機械などに触れることなく進んでいく。各作業場所には手洗と消毒槽が設置され、一頭ごとに手洗い、消毒を行い他の牛に汚れが移るらないようにしている。皮などは専門業者が回収し皮革工場へ運ばれる。内臓は検査員が各持ち場で一頭一頭すべて検査する。リンパ節を中心に病気の有無を確認している。合格した内臓は内臓処理室へ、内臓と枝肉(牛を2つに分割したもの)は番号で管理され、検査に合格するまで保管される。BSE特定部位は焼却処分される。兵庫県ではBSEの陽性は出ていない。検査には約4時間かかる。検査、解体を終えて、必要に応じて精密検査を行い、合格したもののみが市場に出される。
合格したものは、毎週火、金曜に競りが行われる。兵庫県産で神戸肉流通推進協議会の基準を満たしたものが、但馬牛、神戸肉の印を押される。競りが終わった枝肉は順次出荷される。そしてお店で販売され、肉が消費者のもとへ届く。
 

食育講座
牛は数パーセントの割合でO-157を持っている。保菌していても牛自体には影響がないが、人間が食べると悪さをするため、肉に着かないようきっちり処理を行っている。よく焼いて食べることが大切である。この映像は、子牛の状態から販売、消費者に届くまでを映像で見せており、衛生的に食肉加工していることを伝えるものとして使用している。現在は食育教材として、高校生や中学生の見学の際に映像を見てもらっている。また小学生への出前講座も行っており、その際はイラストなどを使用しながら短い時間で伝えるようにしている。

ゼミ生の質問
■オンレール方式ではないところもあるのか?
O-157の事件からオンレール方式が良いとされ、日本のほとんどの場所で採用されている。1日に10頭ほどしか解体を行っていない小さなところではベッド方式(床から浮かす)で行っている。日本だけでなく、世界的にオンレール方式が採用されている。

■1日50頭の解体を行っている加古川の食肉センターは施設として大きい方なのか?
大きい方である。1日100頭を解体している施設もある、兵庫県内では、加古川と神戸が大きく、忙しい時には100頭解体を行う事もある。普段は8:30-13:00に作業を行っている。年末などの多忙な時期には15:00頃まで作業を行う時もある。屠畜場は県内合計8か所あり、豚の解体を行っているのは、加古川、神戸、姫路、西宮の4か所で、牛と同じくオンレール方式で行われている。

■食肉センターへ行く牛は県内から来るのか?
県外から来る牛が多い。枝肉の競りをするとことで肉を高い値段で売ることができるため、農家はより高く売れる競りを行っているところへ牛を持っていく。地元では値段が固定されている為、農家も自信のある牛は競りに出したい。

■イノシシやシカなどの解体は行われているのか?
解体を行っている施設もある。保健所の食肉処理業という許可必要である。昔はイノシシだけ解体を行っていたが、近年シカが急激に増加しているため、シカの消費を増やすように呼びかけを行っている。解体施設をつくる際の補助金制度もある。

■食肉センターは何人ぐらい働いているのか?
職人は約20名である。10~60代以上まで年齢幅は大きい。20~40代の体力のある年代が難しい作業をする部分を担当している。

普段なかなか聞くことのできない、食肉についてお話を聞くことができ、大変学びの多い回となりました。何気なく口にしている肉も、様々な人が関わり、たくさんの工程を経て、消費者に届いてることに改めて気づきました。見せていただいた映像も非常にわかりやすく作られており、牛の健康管理から、衛生面と数多くの管理・検査をされていることが分かりました。

次回は第9回「塩について」です。赤穂市海洋科学館・塩の国にて施設を見学し、専門家の方から塩のお話を伺います。

+クリエイティブゼミvol.13 「食」編 「神戸発:自分で食べる“食”の勉強をしよう!」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/10640/