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2018/3/29

イベントレポート

神戸スタディーズ#6 「”KOBE”を語る―GHQと神戸のまち」 レポート

神戸スタディーズ#6「”KOBE”を語る―GHQと神戸のまち」を開催しました。

2016年に行った神戸スタディーズ#4「”KOBE”を解す―せめぎあいにみる神戸の都市史」で講師を務めていただいた都市史・社会史研究者の村上しほりさんを再びお迎えして、今回はGHQ占領下の神戸の暮らしを学びながら、当時を過ごした方々のお話を直接聞き、語り合う場を設けました。
戦時下の神戸については、これまで長い時間をかけて解明されてきましたが、戦後、とくにGHQ占領期(1945年9月~1952年4月)の暮らしに関する記憶は十分に語り継がれておらず、いまだ知られていないことが多くあります。村上さんによるレクチャーと、公開ヒアリングの全2回で構成した今回の企画は、村上さんの丹念な調査により見出された記録資料に加え、当時を経験した70~90代のヒアリングゲストが直接語り合う言葉に触れることができる、非常に貴重な機会となりました。

2018年1月13日(土)
第1回レクチャー「GHQと神戸のまち」

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第1回はレクチャー。第2回の公開ヒアリングの場を、より理解できるようにするための準備も兼ねたものです。「資料からみるGHQ占領期のくらし」「占領下神戸のまちとくらし―闇市の展開とGHQの影響」の2つのパートに分け、そもそも「GHQ占領期」とは、という基本から、戦時中の神戸の空襲罹災状況、GHQ占領期の神戸のまちと暮らしについて、当時の日本における神戸の位置づけなどを、豊富なスライドを交えて分かりやすく解説していただきました。
神戸は1945年上半期に128回もの空襲があり、1945年3月17日と6月5日の空襲は特に大きなもので、市街地の6割以上が罹災しました。「神戸市戦災焼失区域図」を参照すると、いかに広い範囲で罹災していたかがわかります。第2回の公開ヒアリングでも空襲の記憶は多く語られました。また、カラフルな屋根の色が目を引く六甲ハイツのカラー写真や、GHQによる「KOBE BASE」パレードの写真など、貴重な写真の数々は特に印象的でした。

2018年1月27日(土)
第2回公開ヒアリング

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第2回は、占領期を神戸で過ごした記憶のある方7組にゲストとしてお越しいただき、村上さん司会のもと、「空襲から終戦~住まいや学校の思い出」「生産/消費」「“進駐軍”」と3つのテーマに分けて、当時のお話をお聞きしました。
お越しいただいた方々は、現在77歳~90歳/終戦時5歳~18歳、男性4名/女性3名。もちろんそれぞれで体験も記憶も異なり、さまざまな視点からの占領期の姿が浮かび上がってきます。
ゲストのお一人で、「これまで占領期の思い出は人に話したことがなかった」とおっしゃる方もいましたが、こうして語ってもらい、空襲、終戦、戦後と一体に語り継ぐことが重要だと村上さんは話してくださいました。

現在のまちには、占領されていた時代があった痕跡が残っておらず、日常を過ごしているなかで、当時について考えてみる機会はほとんどないでしょう。そのようななか今回は、占領期の資料や当事者の記憶をたどることで、神戸のまちとその時代を経験した人々の姿を思い描くきっかけを得ることができました。
各回の詳しい内容は、記録冊子にまとめて発行いたします。また、占領期に関するリサーチについては継続して行っていきたいと考えていますので、今後もご期待ください。

神戸スタディーズ#6「”KOBE”を語る―GHQと神戸のまち」
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