ACTION PLAN1

男・本気のパン教室

「職」のあとに、 つながりをつくるのは 「食」でした

男・本気のパン教室の仕組み

家にこもるシニア男性 + 「本気」のパンづくり
プロからパンづくりの技術を学び自分の腕を磨いていく。「パンじぃ」誕生 身につけた技術で“誰かのため”に作る
「パンじぃ」として地域で活躍!

神戸での実施例

LIFE IS CREATIVE 展 ワークショップ「男・本気のパン教室」

日程
2015年9月14日、9月16日、10月6日、10月17日
場所
サ・マーシュ(神戸市中央区山本通3-1-3)
デザイン・クリエイティブセンター神戸
講師
西川功晃(サ・マーシュ/オーナーシェフ)
参加費
無料
参加者
6名
主催
デザイン・クリエイティブセンター神戸

「男・本気のパン教室」

日程
2016年11月8日、11月18日、11月25日、12月2日、12月9日
場所
ケルン本社(神戸市東灘区御影中町1-8-1)
カフェやすらぎ(東灘区青木3丁目メイプル一番館)
講師
壷井豪(ケルン/オーナーシェフ)
参加費
無料
参加者
6名
主催
NPO法人プラス・アーツ、デザイン・クリエイティブセンター神戸
共催
日本財団
協力
社会福祉法人神戸市東灘区社会福祉協議会、東灘区役所、西青木自治会、青木2丁目自治会

実施までの流れ

教室が終わっても、
パンじぃとしての活躍が
つづくように。

1.チラシ等で公募
2.集まって自己紹介
3.プロから指導を受ける
4.自主練(個々に自宅でも自主練…)
5.プロから再度指導を受ける(フォローアップ)
6.カフェをひらいてお披露目
イベントや地域のコミュニティカフェで継続的に活躍

男性は、人とのつながりが、仕事を介した人とのものに偏りがち。地域の人同士や同じ趣味を持つ人同士での接点をつくる機会の少ないことが、男性高齢者の課題であったと思います。

そこで生まれたのが、「男・本気のパン教室」。「高齢者世代の男性がパン職人に学び、本気でパンをつくったら?」というアイデアを発端として、パンづくりを学ぶことを通して高齢者男性同士のつながりをつくり、パンづくりの技術で地域の人や家族を喜ばせる活動をしよう、というものです。これまで3期にわたる教室を開講してきました。

教室としては、全6回程度。チラシやウェブサイトをつうじて受講生を募集し、抽選で6名が「パンじぃ」として活動を開始します。

初回では趣旨や成果発表までのプロセス説明、自己紹介などを行いました。
2回目以降はパン職人の方を講師に指導をしてもらいながら、厨房で実際にパンづくりを行います。
講師のいない「自主練」の回もあり、パンじぃ同士で力を合わせ、教わったことを咀嚼しながら技術を上達させていきました。
最終回では、成果発表としてイベントを。パンじぃたちがつくったパンをカフェイベントで提供し、様々な人に食べてもらいました。

講座が終わっても、パンじぃとしての活動は終わらない。反省会をしたり、新メニューへの挑戦をしたりして、それぞれの新たなパンづくりの楽しみを見つけています。

実施のポイント

point1

全員ゼロから!
でも、本気で!

仕事の引退後、高齢者男性にはハードルが高かった地域活動への参加。しかし逆に、参加者全員が同じスタートラインから協力し合えるチャンスでもありました。
「パンの街」と言われる神戸で、自分たちが普段馴染みあるパンをつくる。しかも講師は有名店の現役パン職人と心強い。
家ではまったく料理等の経験がなかった受講生たちも積極的に取り組み、結束力も強いチームとしてスタートすることができました。

point2

食べてもらいたい
気持ちが完成度を高めていく。

この企画の大きなポイントは、ただパンづくりを習うだけにとどまらず、身につけたスキルで地域とのつながりをつくろうとしたことにもあります。
パンじぃたちのつくったパンは、最終回にカフェイベント(地域の施設など)で提供・販売。「美味しく食べてもらいたい」という気持ちで、みんながアイデアを出し合い、一つひとつのパンへ強いこだわりをもって活動していました。

講師の声

西川功晃さん

1期パンづくり指導
西川功晃さん

サ・マーシュ/オーナーシェフ

エネルギッシュで、
こどものようにピュア。

参加者はみんな生き生きしていて、エネルギーにも驚きました。掛け声をかけながら動いてくれたので、やりやすかったです。こどもと同じようにピュアな所がとても素敵ですね。
「パンじぃ」がどんどん地域に広がっていくことを願っています。

壷井豪さん

2期パンづくり指導
壷井豪さん

ケルン/オーナーシェフ

パンづくりを教え、
人生の先輩から学ぶ。

世代を問わないコミュニティ形成に興味を持っていたので、最初からとても面白い企画だと思っていました。人生の先輩からいろいろお話を聞くことができ自分の社会に向ける視野が広がりました。このような活動は長く続けてほしいですね。

参加者の声

佐々木昌作さん

パンじぃ(1期メンバー)
佐々木昌作さん

パンじぃは、私の人生の
一大イベント。

社会との交わりが大切だと娘から勧められ、応募しました( 笑)。この年齢で新たに学べることが何よりも嬉しかったです。パンじぃになったことは、人生の中でも一大イベントだと思います。今では毎日のように家でパンを焼いています。

米田文隆さん

パンじぃ(2期メンバー)
米田文隆さん

楽しい!計量も、
たくさんの失敗も。

募集チラシを見て娘が「私が男だったら参加したい!」と言うのを聞いて、応募しました。家族がみんなパン好きだったのも理由のひとつですね。はじめは計量がとにかく大変で時間もかかりました。失敗もたくさんしましたが、いまはつくれるレシピも増え、楽しさを感じています。

次への課題

パンじぃのスキルアップ

地域で提供するパンもいつも同じでは、お客様も飽きてしまう。定期的に新メニューを学ぶなど、パンじぃがスキルアップする場も継続的に必要です。
それには講師であるパン職人からの、継続的な支援も重要になるでしょう。

続けるための無理のない活動

パンじぃたちの活動は地域からの注目を集め、取材を受けることも多くありました。モチベーションアップにつながる一方で、受講生の負担が大きくなってしまうことも。
無理なく、しかし目標を持って続けていけるペースを守らなければと感じました。

チーム内でのバランス

受講生は60-80代と年齢の幅が広く、体力にも差がありました。受講生同士で役割の負担が偏ることを気にしてしまう場面が見られたように思います。
各自ができることを理解し、互いにサポートしながらのチームビルディングが求められます。

パンじぃだからできること

パン屋さんではなかなか取り組みにくい低糖質パンなど、パンじぃだからできるメニューを学ぶ。街中のパン屋さんと異なるチャンネルでのパンづくりの可能性を探っていきたいと考えています。