ACTION PLAN2

大人の洋裁教室

リメイクで生まれ変わるのは、 服だけじゃない。

「大人の洋裁教室」の仕組み

自分のためだけに趣味で洋裁をしていたシニア女性
指導を受けたり、参加者同士で情報交換 講座をサポートしてくれている若者の意見も聞く 自分の技術や自分自身に自信をもてるように
表舞台にでる / 他の人に教えたり誰かのために服をつくったりする

神戸での実施例

「大人の洋裁教室」

日程
2016年10月23日、10月30日、11月3日、11月13日、11月20日
場所
デザイン・クリエイティブセンター神戸
講師
見寺貞子(神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科 教授)、丹羽真由美(神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科助手)、韓先林(フリーデザイナー)
参加費
無料
参加者
6名
主催
NPO法人プラス・アーツ、デザイン・クリエイティブセンター神戸
協力
神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科

「大人の洋裁教室 2」

日程
2017年7月2日、7月8日、7月15日、7月23日、8月6日
場所
デザイン・クリエイティブセンター神戸
講師
見寺貞子(神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科 教授)、丹羽真由美(神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科助手)、韓先林(フリーデザイナー)
参加費
無料
参加者
7名
主催
NPO法人プラス・アーツ、デザイン・クリエイティブセンター神戸
共催
日本財団
協力
神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科

実施までの流れ

いくつになっても
おしゃれで素敵に
いたいもの。

1.チラシ等で公募
2.集まって自己紹介
3.講師から指導を受けたり参加者同士で教え合って制作(個々に自宅でも自主練…)
4.講座の中で発表
5.ヘアメイクもしてファッションショーやポートレート撮影でお披露目

洋裁の技術を生かして洋服をつくり、おしゃれのセンスに磨きをかけ、毎日の装いを楽しむことで、生き生きとした日々を過ごしてもらうことを目指し開催した教室です。

テーマにしたのは、「和服のリメイク」。着なくなった着物を洗ってほどき、反物に戻すところからのスタートでした。基本の型紙を活かしながらオリジナルの型紙をつくります。素材を裁断、柄合わせの仕方を学びながら縫い上げていきました。大切にしていたのは、洋服を仕立てるプロセスを通し、古くなったものに新しい価値を見出すことです。今回の体験を通して、ものの価値や、消費についても考えを巡らせました。

長年培ってきた技術はあっても、家の中で制作したものを誰にも見せず、着ることもなくタンスの肥やしにしてしまっている人が多くいました。ここでは、洋裁という同じ趣味で集まった参加者同士が、制作の過程で作品について意見交換をしたり、技術を教えあうことで、さらに作品のクオリティを向上させることができました。

刺激し合って完成させた洋服を身にまとって、ドレスアップして臨んだファッションショーやポートレート撮影では、参加者全員が見事なファッションモデルへと変身。

制作したものを「お披露目する」というゴールを掲げることで、制作活動にもさらに力が入り、技術はもちろん、センスも飛躍的に向上させることができ、参加する前よりも自信に満ち溢れた彼女たちに出会うことが出来ました。

実施のポイント

point1

あえて難易度の高い
技術・デザインに
挑戦する。

ワークショップは、着物をほどくところから始めます。反物に戻すための作業をしたり、自分の身体に合うように型紙を微調整したりと、専門的で細やかな過程を繰り返しました。
難しい工程を一緒に乗り越えるたびに、受講生たちにはチームワークが芽生え、誰かがつまずいたら誰かがフォローする、という関係性ができ、全員がクオリティの高いものを完成させることができました。

point2

制作のゴールとなる
晴れの日をつくる。

ワークショップの最後には、プロによるヘアメイクを施し、ドレスアップして、ファッションショー出演やポートレート撮影を行い、受講生のみなさんの装いや美容に対しての意識は大きく変化しました。
お披露目の場があるというだけで、制作にはより力が入り、普段は妥協してしまいそうな工程にもこだわりが出てくるなど、洋裁の技術がさらに磨かれるきっかけになったようでした

講師の声

見寺貞子さん

見寺貞子さん

神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科 教授

おしゃれの力で高齢社会を元気に、若々しく。
活力を生む場です。

大人の洋裁教室は、ファッションデザインを通して、高齢社会のおしゃれで元気なリーダーを育てる場です。
洋裁技術を趣味から社会へ、着物を現代に、デザインからエコや伝統美を考えました。おしゃれな大人が行きかう神戸をつくりたいですね。

韓先林さん

韓先林さん

フリーデザイナー

洋裁をきっかけに輪は広がり、
生活はもっと豊かになる。

洋裁を通して、生活の中でのものづくり楽しんでいただきたい。教室の仲間を通じて技術をお互いに学んでいただきたい。
みなさんが勉強出来る場として、いつでも集まってものづくりができるようになっていければと思います。

参加者の声

瀧川芙美子さん

「大人の洋裁教室」参加者
瀧川芙美子さん

今まで想像もしなかった自分に出会う、
特別な時間でした。

洋裁教室に参加してファッションショーに出たあと、友人たちから「洋裁サークルの先生をやってよ!」と誘いがありました。いまは13名の仲間たちと一緒に楽しく活動をしています。新しい自分になるきっかけをいただけたことに感謝しています。

今駒有子さん

「大人の洋裁教室2」参加者
今駒有子さん

装うことをずっと忘れずに
いたいです。

長年自己流で洋裁を続けてきましたが、きちんとした技術を学びたいと思い参加しました。技術はもちろん、装うことの魅力そのものも再認識できた気がします。最近、洋裁学校にも通い始めました。技術もおしゃれもさらに磨きをかけていきたいです。

次への課題

世代間の交流

ワークショップでは、若い世代の講師陣から、流行しているデザインやコーディネートを教わり、普段とは違ったイメージに挑戦できました。様々な世代が互いに学び合えるワークショップとしたいと思います。

新たな技術の学び

洋裁は、洋服をより美しく仕立てようとすればするほど、高度な技術が求められます。制作を続けていく中で、受講生の方々の向上心が高まり、もっと難易度の高い技術に調整したいという声が多く上がりました。好奇心をさらに刺激する、新たなプログラムを模索中です。

その後の支援

自分の住む地域やコミュニティで、自らが講師となり、洋裁の技術を伝える活動をしている受講生がいる一方で運営や広報などでは苦戦している様子。活動をさらに充実させていくため、フォローアップの方法を模索しています。

いつでも制作が行える場づくり

教室を終えてしまえば、また家にとじこもり、ひとりきりで制作しているという方もおられます。修了後も気軽に集まることができ、洋裁という共通の趣味で語り合い、技術を教えあって切磋琢磨できる、アトリエのような場所を提供したいと考えています。