ACTION PLAN2
リメイクで生まれ変わるのは、 服だけじゃない。
洋裁の技術を生かして洋服をつくり、おしゃれのセンスに磨きをかけ、毎日の装いを楽しむことで、生き生きとした日々を過ごしてもらうことを目指し開催した教室です。
テーマにしたのは、「和服のリメイク」。着なくなった着物を洗ってほどき、反物に戻すところからのスタートでした。基本の型紙を活かしながらオリジナルの型紙をつくります。素材を裁断、柄合わせの仕方を学びながら縫い上げていきました。大切にしていたのは、洋服を仕立てるプロセスを通し、古くなったものに新しい価値を見出すことです。今回の体験を通して、ものの価値や、消費についても考えを巡らせました。
長年培ってきた技術はあっても、家の中で制作したものを誰にも見せず、着ることもなくタンスの肥やしにしてしまっている人が多くいました。ここでは、洋裁という同じ趣味で集まった参加者同士が、制作の過程で作品について意見交換をしたり、技術を教えあうことで、さらに作品のクオリティを向上させることができました。
刺激し合って完成させた洋服を身にまとって、ドレスアップして臨んだファッションショーやポートレート撮影では、参加者全員が見事なファッションモデルへと変身。
制作したものを「お披露目する」というゴールを掲げることで、制作活動にもさらに力が入り、技術はもちろん、センスも飛躍的に向上させることができ、参加する前よりも自信に満ち溢れた彼女たちに出会うことが出来ました。
point1
ワークショップは、着物をほどくところから始めます。反物に戻すための作業をしたり、自分の身体に合うように型紙を微調整したりと、専門的で細やかな過程を繰り返しました。
難しい工程を一緒に乗り越えるたびに、受講生たちにはチームワークが芽生え、誰かがつまずいたら誰かがフォローする、という関係性ができ、全員がクオリティの高いものを完成させることができました。
point2
ワークショップの最後には、プロによるヘアメイクを施し、ドレスアップして、ファッションショー出演やポートレート撮影を行い、受講生のみなさんの装いや美容に対しての意識は大きく変化しました。
お披露目の場があるというだけで、制作にはより力が入り、普段は妥協してしまいそうな工程にもこだわりが出てくるなど、洋裁の技術がさらに磨かれるきっかけになったようでした
見寺貞子さん
神戸芸術工科大学芸術工学部ファッションデザイン学科 教授
大人の洋裁教室は、ファッションデザインを通して、高齢社会のおしゃれで元気なリーダーを育てる場です。
洋裁技術を趣味から社会へ、着物を現代に、デザインからエコや伝統美を考えました。おしゃれな大人が行きかう神戸をつくりたいですね。
韓先林さん
フリーデザイナー
洋裁を通して、生活の中でのものづくり楽しんでいただきたい。教室の仲間を通じて技術をお互いに学んでいただきたい。
みなさんが勉強出来る場として、いつでも集まってものづくりができるようになっていければと思います。
「大人の洋裁教室」参加者
瀧川芙美子さん
洋裁教室に参加してファッションショーに出たあと、友人たちから「洋裁サークルの先生をやってよ!」と誘いがありました。いまは13名の仲間たちと一緒に楽しく活動をしています。新しい自分になるきっかけをいただけたことに感謝しています。
「大人の洋裁教室2」参加者
今駒有子さん
長年自己流で洋裁を続けてきましたが、きちんとした技術を学びたいと思い参加しました。技術はもちろん、装うことの魅力そのものも再認識できた気がします。最近、洋裁学校にも通い始めました。技術もおしゃれもさらに磨きをかけていきたいです。
ワークショップでは、若い世代の講師陣から、流行しているデザインやコーディネートを教わり、普段とは違ったイメージに挑戦できました。様々な世代が互いに学び合えるワークショップとしたいと思います。
洋裁は、洋服をより美しく仕立てようとすればするほど、高度な技術が求められます。制作を続けていく中で、受講生の方々の向上心が高まり、もっと難易度の高い技術に調整したいという声が多く上がりました。好奇心をさらに刺激する、新たなプログラムを模索中です。
自分の住む地域やコミュニティで、自らが講師となり、洋裁の技術を伝える活動をしている受講生がいる一方で運営や広報などでは苦戦している様子。活動をさらに充実させていくため、フォローアップの方法を模索しています。
教室を終えてしまえば、また家にとじこもり、ひとりきりで制作しているという方もおられます。修了後も気軽に集まることができ、洋裁という共通の趣味で語り合い、技術を教えあって切磋琢磨できる、アトリエのような場所を提供したいと考えています。