ACTION PLAN3

omusubi

高齢者のための情報を、 高齢者が発信しなくて どうする。

「omusubi」の仕組み

定年後、地域参画の仕方がわからないシニア + 「omusubi」プロジェクト
情報の「受け手」から「送り手」へ 自分で街のことを取材。カメラマンから技術を学んで撮影もする 地域の広報誌「omusubi」に自分が取材した記事や写真が掲載
「omusubi」をきっかけに地域で活躍!(写真の技術がどんどん上達!・SNSで日々発信!・シニアチームの広報担当に!)

神戸での実施例

地域情報誌『 omusubi』プロジェクト
地域の手と手を結ぶ、できごとメディア「 omusubi」神戸・東灘

発行
社会福祉法人神戸市東灘区社会福祉協議会
企画・制作
デザイン・クリエイティブセンター神戸
編集・取材・執筆サポート
二階堂薫(コピーライター)
デザイン
和田武大(デザイナー/ DESIGN HERO)
発行
年1回/東灘区内全戸配布(約10万部)

第1号(2014年3月発行)
「子育て中のママさん・パパさんに知っておいてほしいこと」
協力:甲南大学地域連携センター(KOREC)
写真:森本奈津美(フォトグラファー)

第2号(2015年3月発行)
シニア男性に伝えたい取り組み」

第3号(2016年3月発行)
「個性を認めて尊重しあい、地域で、共に生きる」

第4号(2017年3月発行)
「防災に関する取り組みと災害時の要援護者」

実施までの流れ

読者だった人がつくる。
究極の「読者目線」。

既存の区協会だよりをリニューアル
POINT 1「地域」と「自分」をむすぶ / POINT 2「高齢者」と「若者」をむすぶ / POINT 3「区社協」と「地域」をむすぶ

『omusubi』発行のきっかけは、2011年から2012年にかけて行っていた、「孤独死」をテーマとしたゼミでした。

ゼミの活動の一環として発足したのが、「見守りマガジン」と題したプロジェクト。高齢者に必要な情報を 伝えるため、わかりやすく手に取りやすい情報誌をつくることを目指しました。ゼミ終了後の2012年の1月と3月には、トライアル誌を神戸市東灘区 で発行しています。

トライアルが神戸市内における社会福祉協議会の相談員など、福祉の現場で情報誌をつくっている方々に非常に好評であり、新たに「 情報誌のデザイン」をメインテーマに据えた講座を開講。伝えることの大切さを意識し、読者視点で地域の福祉情報を発信していくことになりました。ここで本格的にomusubiがスタート。東灘区社会福祉協議会が発行していた区社協だよりをリニューアルする形で、年1回の発行が決定しました。

サポートには、ゼミのときから関わっていたプロのコピーライターやデザイナーの方を。取材や撮影、記事の執筆などは、地域の高齢者と大学生が編 集のチームを組み、自分たちの手で行いました。過去4回、「高齢者の男性」「子育て」などをテーマに発行しています。現在は方針変更のため休刊となっているものの、福祉情報を身近なものにする活動を行うことができました。

実施のポイント

point1

自分たちで取材して、発信する。
だからもっと、 知りたくなる。

たとえば、高齢者や子育て、共生、防災。さまざまな福祉の取り組みをよりわかりやすく伝えていくための、東灘区社会福祉協議会による広報紙制作プロジェクトがomusubiです。
これまではたんに情報を受け取るだけだった地域の方たちが、編集チームとして、自分たちで取材し、編集し、発信をする。
これまで以上にまちに対して興味をもつ足がかりとなりました。

point2

プロに学んで私がつくる、
まちの情報誌。

取材や記事の執筆は、地域の高齢者たちと甲南大学や神戸国際大学などの学生で結成された編集チーム。
コピーライターやデザイナー、カメラマンなど、 その道のプロから編集や取材などのコツを教わり、現場でのリアルな声や体験を大切にしました。プロのサポートがあることで、情報誌としての質が向上するとともに、編集チームのメンバーもそれぞれがスキルを得ることができました。

講師の声

二階堂薫さん

講師
二階堂薫さん

コピーライター

優しく、厳しく
先生として、黒衣として。

主体は、地域のシニアと大学生&東灘区社会福祉協議会の担当者。
制作の過程を支える黒衣に徹しました。これからは取り組みが自走する方法の確立が必要です。

和田武大さん

講師
和田武大さん

デザイナー/ DESIGN HERO

編集部メンバーのイメージが、
カタチとなる手助けを。

デザインの工夫を実感してもらうこと。地域の事を自分事として考えるキッカケをつくること。

鎌田あかねさん

鎌田あかねさん

東灘区社会福祉協議会

多くの人の、
多くの力が心を結ぶ。

大学生のセンスと行動力。地域のシニア世代の経験と人間力。そしてプロのクリエイティブ。さまざまな力が結集したのが「omusubi」。
つくる 時間が、人と人、心とを結んでいます。

参加者の声

北岡 裕さん

北岡 裕さん

地域の情報でつながると、
暮らしが豊かになる。

仕事一辺倒だった僕が、何かしなければ、と参加した「omusubi」。知らなかった地域を知ることは楽しく、「地域でいつまでも現役でいたい」と昔は想像もしなかった気持ちに。

都築郁子さん

都築郁子さん

お互いに見守りあって
暮らす輪をつくりたい。

omusubiは様々な世代の方と出会い、地域に知っている顔が増えていくのが楽しかったです。継続していくことが大事だから、ぜひ今後も続 く情報誌であってほしい。

中山諒子さん

中山諒子さん

甲南大学文学部社会学科2回生

多世代の交流は、
地域の居心地をよくしてくれる。

自分の暮らす地域に目を向けることで、自分たちの暮らしは自分たちの手でつくっていくのだと感じました。いろんな世代と出会える地域の行事 に積極的に参加していきたいです。

次への課題

いろんな世代が、ともに取り組める仕組みとは?

さまざまな世代が関わることは、多くの視点での情報誌づくりができるメリットがある一方で、活動時間や連絡方法、記事での言葉の使い方、まちに対しての関わり方など、それぞれの目線やスタンスを合わせるのに時間を要するという課題が見えてきました。

「 伝える」に困っている人たちへ。

市内の社会福祉協議会で、同じく広報誌をつくっている方たち向けに「伝える」をテーマにしたプログラム「omusubi 講座」も実施。「omusubi」は情報誌の制作のみにとどまらず、そこでのノウハウを広めていくことも、地域への貢献につながるということを見つけました。

学んだことは、omusubi以外でも使っていける。

「omusubi」で学んだスキルは、個人が「omusubi」以外でも活かしていけるはずです。ライティング、デザイン、撮影。高齢者や学生が地域で学んだことが、また、地域の別の活動につながる場をつくることもできると考えています。

次のomusubiのかたち。

「omusubi」は4年間発行した後、現在は休刊中。編集チームのメンバーからも継続を望む声があり、発行し続ける仕組みや福祉を地域の方たちがより身近に感じるための、次のかたちを模索しています。