5% Design Actionは、2018年に新北市にて活動を開始した団体です。アパレル業界をリタイアした専門家12名とユニークなライフスタイルでオシャレを楽しむ高齢者150名、そして、若手のファッションデザイナーやデザインを学ぶ学生30名が所属。「高学年デザイナー」の活躍推進を掲げ、高齢者と若年層がともに何かをつくり上げるための活動を行っています。
「高学年デザイナー」とは、日本語で言うところの、「先輩デザイナー」のこと。台湾で中国語 では、「高年級設計師」と呼ばれています。このNew Age Designerプロジェクトは、そんな先輩デザイナー、つまり、高齢者の先輩デザイナーと若手のデザイナーがともにものづくりを行うことで、新たなプロダクトやサービスを生み出そうとするプロジェクトでした。先輩デザイナーは若手のデザイナーや学生から、新しい刺激をもらえるように。若手のみなさんは、先輩たちがそれまで蓄積させてきた知識や経験に触れて学ぶことができるように。そして、高齢者としてのリアルな想いも反映させながら、ニーズに応えるものをつくろうとしました。
第1回のテーマは、「ファッションデザイン」。あらかじめテーマを設定し、スポーツ・観光・ボランティア・家庭・仕事・社交の6分野における、新プロダクト開発を行いました。テーマ別のチームそれぞれは、いきなりデザインをするのではなく、まずはテーマごと高齢者へのヒアリングやデパートの視察など、調査を徹底徹底的な調査を実施。チーム内での議論を重ねた上で、本当にニーズのあるものづくりの追求がカギでした。もちろん、つくって終わりではなく、ファッションショーでの発表や展示、商品化なども 。初回では、高齢者のオシャレに対するニーズが高いという、想像していなかった発見も得ることができました。
point1
New Age Designerは、たんに高齢者である先輩デザイナーが輝く場所を提供することにとどまりません。先輩デザイナーたちはここで後輩のデザイナー相手に、若手のデザイナーからプロジェクトの相談を受けたり、自分のデザイン経験を共有したり、お手本になるような過去の制作物を提供したり。世代を越えた共同制作だからこそ生まれるイノベーションを模索しました。
point2
今回テーマとしたのは、スポーツ・観光・ボランティア・家庭・仕事・社交の6分野。イベントや展示会、フォーラム、ワークショップ、プロダクトや・サービスなど、様々な機会を通じて、6つの分野における、高齢者のあり方や関わり方を改めて考える機会をつくることができました。年をとること、老いることについての、人々が抱いているステレオタイプを覆していくことが期待されます。
王郁華さん
デザイン科の学生
高齢者の方のニーズを把握することが、いちばん難しいポイントでした。普段のデザインでは、自分と同じような若者の体型しか想定しません。高齢者にとってのいいデザインとは何か、徹底して考える機会だったと思います。
呉羽茜さん
デザイン科の学生
高齢者のみなさんが本当にほしいものって何だろう。私たちがちょっとやそっと考えただけでは、その答えは得られませんでした。彼らとコミュニケーションをしながら、学ぶことで少しずつわかるものだと思います。
呉沛穎
高齢者のファッション専門家
ファッションの分野で自分が過去経験してきたことを若手の方へ直接伝えられる、このような職業訓練の機会はとてもいいと思います。世の中にとって理にかなったデザインを、より多く生み出していけることがから間違ったデザインを限りなく減らすことができると期待できますね。
専門メディアや産官学との協力を行い、「大人のデータバンクWisdom100」という新たなサービスを立ち上げることが決定しました。専門スキルを持つ高齢者たちを登録した、スキルデータバンクのようなもの。さらなる活躍の場を生み出すとともに、同世代のパートナ−とのマッチング、さらに登録している方の人生プランの設計サポートなども行っていく予定です。
それぞれの領域ごと、高齢者のリアルな声で生み出されたプロダクトたち。商品化されたこれらは、デパート百貨店や高齢者向けのセレクトショップなどの販売先チャネルでテスト販売が行われます。New Age Designer独自の、商品開発メソッドを模索中です。
New Age Designerの考える、9大ライフシーンとは、ファイナンシャルプラン・食事・みだしなみ身嗜み・居住・移動・医療保健・習い事 レジャー・旅行・仕事と・社会貢献、などのことです。今回商品開発を行った6テーマはもちろん、この9つのテーマについて、さらにデザインの視点から考えていきます。