15 おいしいコーヒー

東方悠平さんによる、ワークショップや神戸滞在中のできごとについてのレポートを不定期にお届けします。15回目は「おいしいコーヒー」の話。)

「おいしいコーヒーの真実」という映画を見ました。
先進国の人たちがコーヒーを楽しむ一方で、そのコーヒー豆を栽培しているエチオピアの農家の人たちの過酷さについてのドキュメンタリーです。
直接物を売ったり買ったりというシンプルな経済システムなら良いのかもしれませんが、複雑なコーヒー市場で放っておいて生産者が幸せになることは、絶望的なほど難しく感じられました。
市場を牛耳るお化けのようなグローバル企業に対抗することは容易ではなく、自由な資本主義経済の競争に任せていても事態は悪化するばかりのようでした。
かといって、それを一発で解決出来るような妙案が僕にあるわけではないのですが。

昔から人間は、病気や自然災害などの目に見えない圧倒的な恐怖や力に姿を与え、どうにかそれらをコントロールしたり共存したりする術を探ってきました。そういったケースは世界中で宗教儀式などにもたくさん見られます。
今回はそんな資本主義経済の怪物に天狗という姿を与えて、人とそれらとの関係について考えてみました。


(写真は鳥取県の倉吉市の祭事で、地域の家々を周る天狗)

写真・文:東方悠平