デザインの見方を学ぼう レポート

3/28(日)

「ちびっこうべ2020:デザインの見方を学ぼう」を開催しました。

ちびっこうべ2020では、ちびっこうべで行ってきたクリエイターと一緒につくる創造的な学びの場を地域や家庭といった、これまでとは違う場で実践をしていくことを目的にワークショップや動画の配信などを行っています。「デザインの見方を学ぼう」ではデザインリサーチャー/キュレーターの久慈達也さんを講師に迎えて日用品を使い、形の理由や色の理由等に着目しながらデザインの意図を探るための観察方法を学びました。今回は地域での開催を想定したカリキュラムのトライアルとしてKIITOを会場に行います。

まず「デザインって何だろう?」と題し、デザインというものを理解するために久慈さんから新幹線を例に出し話が始まります。

「新幹線の先端は少し丸みのある尖った形をしています。その意味はなぜか?それはトンネルに入る時の騒音を軽減させるための形です。カモノハシが水に潜る時にこの嘴の形をしていると抵抗が少ない。という生き物の特徴から着想を得てデザインをされています。モノの形や色には理由がある。それを決めていくことがデザインです。」

次に「いろを見る」という内容に映ります。今回、宿題として「白いモノ」を一点持ってくるようにアナウンスをしており、それぞれ子どもたちが持ってきた白いモノを見ていきます。重曹、マスク、器など、みんなが持ってきた白いモノを机の上に並べます。同じ白色でも少しずつ色が違い、その違いを見るためにカラーチャートを使います。「こっちの方が近い色かも?」「これは真っ白だね」と子どもたちも初めて触るカラーチャートに興味津々です。

自分たちが持ってきたものがどんな白色かカラーチャートで見終えた後、久慈さんから「例えば赤色だと危険とか注意に使われることが多い。何かの情報を伝えるために色をコントロールすることも大切です」と色にも意味があるというを伝えました。

次は「かたちを見る」です。100円均一ショップで売っている商品の形からそれがどういう商品か、何に使うモノなのかクイズで考えます。

ギザギザうねりのあるモノや先端が四角になっている棒状のモノなど、一見すると何に使うモノか分かりにくいモノをよく観察していきます。「このギザギザにはどんな意味があるんだろう?」「どういう風に持って使うんだろう?」と子どもたちもそれぞれ考えを巡らせていきます。

「ドアストッパーとして使います」「これはバターを切るための道具です」と答え合わせをすると、子どもたちからは全然分からなかった。そんな使い方するの?と驚きの声があがりました。

次に、かたちを見る練習として、ハサミの観察を行います。違うメーカーから発売されている2種類のハサミを見比べていきます。ハサミを見て気が付いたところ、雑紙などを切りハサミを使ってみて感じたことをかき出していきます。

「こっちのハサミの方が切りやすい」「こっちのハサミは持ち手のカーブが丸っこいかたちをしている」など比較をしながら形の違いを観察していきます。

ハサミの観察が終わったら久慈さんから、どちらのハサミがよかったか子どもたちに問いかけます。2つのハサミを比べてみて子どもたちはどちらかよかったが選び、久慈さんはこう話します。

「使う用途や使う人によって違うので、どちらがいいハサミということはないですが観察して比べていいと思う方を選ぶことは大切です。」「デザインを見る時に比べてみる、別のモノがあると違いを確認しながらどっちがいいか決める事ができる。Aはここがよかった、Bはここがよかった。僕にとってはここがいいと思った。と思うことが大切です。」

次に同じようにホッチキスの観察をします。同じ役目で同じ機能を持っているものですが、その違いを見たり使ったりしながら比べていきます。「こっちのホッチキスの方が重たい」「こっちのホッチキスは紙を留めやすい」など子どもたちが気付いた違いを話していきます。

子どもたちの観察が終わった後に久慈さんから「このホッチキスは工業用と一般用の違いがあります。例えばホッチキスの留めた針がフラットな形をしている。机の上に立てておくことができる。といった違いがあります。デザインを見るっていうのは使ってみて、触ってみて、比べて試してみることが大切です。」とまとめの言葉がありました。

続けて形の見方について話が続きます。

「例えばスーツケースもパスタもどちらもなみなみの形をしている。そういった形の共通を探してみる。この形一緒な形だなと感じることも大切です。比べることも大切ですが細かい部分に分けてみることも大切です。切る、留める、挟むみたいに、その行為をする時に必要な形がわかります。」「今日デザインの見方で学んだことは4つくらいあるデザインの見方の中の使う側の視点で見てみる・触ってみるというところしかできていないです。どうやって作るのか?今の社会がどういうことを要求しているのか?そのモノにはどういう歴史があるのか?といった見方もあります。なので僕たちもデザインを考える時はたくさん勉強をします。」「新幹線は早く走る形が良しとされていた時代がありました。でもこれからの時代は早く走ることが環境に負担をかけない形の方が大切にされる時代がくるかもしれません。」

そして最後に「デザインの練習」として2Lの重さのペットボトルをA4の紙を使って支える形で考えます。

また少ない枚数で、一番高い位置で支えられた人が優勝として2人でチームを組みワークを行います。「デザインは素材の特徴を知ったうえで、機能に向けて適切な形を考えること、今回の内容も簡単ではあるがデザインの要素がたくさん詰まっています。」と久慈さんから説明がありました。

机の上にA4の紙と2Lのペットボトル、そしてテープのりが配られます。子どもたちは紙を丸めたり、折ったりしながらペットボトルを支えるための形をつくっていきます。丸めた紙がペットボトルの重さ潰れたり、トライ&エラーを繰り返して高さを出していきます。

一番高さを出したチームで40cmのペーパータワーが完成しました。ペーパータワーのワークショップを終えて「デザインって色んな条件があってその中でつくる仕事、だから、自分が好きなものをつくるのはデザインではないんです。でも、その中でみんな違うつくり方ができる。答えが一つじゃないのがデザインなんです。」と久慈さんがまとめます。

今回ワークショップでは日用品を使って色や形といったデザインの意図を観察することを学びました。これまでとは違った視点でモノを見る力を養うことができる機会になりました。