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2020/5/25

イベントレポート

KIITOアーティストサポートプログラム Xhiasma Project #002 「transient X」レポート

KIITOでは、アーティストやクリエイターによる実験的表現や意欲的な活動を展開するアーティストの創作をサポートする「KIITOアーティストサポートプログラム」を実施しています。2019年のアーティストサポートプログラムのひとつとして、舞台、ファッション、メディアアートのジャンルで活躍するアーティストらによるプロジェクト〈 Xhiasma Project(キアスマプロジェクト)〉を招聘し、KIITOホールをメイン会場としてクリエイションを行いました。

 

Xhiasma Projectは、世界の第一線で活躍する振付家・ダンサーの湯浅永麻を中心としたプロジェクトで、振付家やダンサー、ファッションデザイナー、メディアアーティスト、アート・テクニカルディレクター、脳科学者、ITジャーナリスト、企業など多岐にわたるジャンルのメンバーがプロジェクトごとに参加し、対話や時間を重ねながら活動しています。

今回KIITOでのクリエイションでは、ダンサーに湯浅永麻のほか、湯浅も所属していた世界屈指のコンテンポラリーバレエダンスカンパニー〈ネザーランドダンスシアター〉出身のダンサー、アラン・ファリエリ、ファッションデザイナーの廣川玉枝、テクニカルディレクターの遠藤豊、前田勝彦によるソロ・ユニットworld’s end girlfriendを音楽に迎え、「一時的な」「はかない」または「自己を超えて他に作用を及ぼす」などの意味をもつ“transient –トランシェントをキーワードとした創作を、のべ10日間の滞在の中で進めていきました。

 

作品は、神戸滞在前より参加者それぞれがキーワードをもとに考えたアイデアをもとに、会場であるKIITOの中で一つの作品として構築していきました。舞台美術のマケットを実際の会場で再現していく作業は、テクニカルディレクターの遠藤氏が中心となって進められました。KIITOホールの天井から不織布やビニルシートを吊り下げていくと、神殿のような幻想的な空間に変わっていきました。KIITOホールの構造を利用したダイナミックなアイデアは、ホールの特徴や構造が持つ美しさを引き出し、空間の新たな可能性を拡げました。

 

舞台美術の制作が進む間、湯浅氏は、今回のために考えた振付をアラン氏と実際に踊りながら合わせていきます。滞在中は朝から晩まで繰り返し練習を重ね、日に日にブラッシュアップされて作品としての形が生まれていきました。

 

滞在後半は、出来上がった美術空間の中で、どのようにダンスパフォーマンスを見せていくかを、ダンサーとテクニカルディレクターが調整を重ねていきました。
今回作品に使用するための映像は、滞在中にKIITOの中で撮影を行いました。
湯浅氏、アラン氏の動作や表情をもとに、遠藤氏が手を加え、映像を編集していきました。
吊り下げられたスクリーンに投影された映像は、編集によってその動線やシルエットが別の生き物のように立ち上がり会場全体をダンサーとともに動き回ります。

衣裳には、ファッションブランド〈SOMARTA〉を手掛けるデザイナーの廣川玉枝氏が参加し、ダンサーは、第二の皮膚をコンセプトとした同ブランドのスキンシリーズを纏いパフォーマンスを行いました。全身ボディウエアであるこのアイテムを衣裳とすることで、ダンサーは性別も国籍も超えたアノニマスな存在として、空間に立ち上がります。身体、映像、美術、衣裳、音楽。参加アーティストたちの表現が、一つの作品として構築され、 Xhiasma Project の第2弾となる作品「transient X」が完成しました。滞在最終日に予定していた公演は、新型コロナウイルスの感染拡大対策のため、開催目前に中止となってしまいましたが、ゲネプロとして実施したパフォーマンスを記録として撮影しました。ダイジェスト映像は近日公開予定ですので、完成次第お知らせをさせていただきます。

 

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Photo Credit:
Filmed by LUFTZUG & Takashi Kurokawa