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2020/9/5

REPORT

「KIITOサポーター限定スペシャルトークセッション」レポート

8月14日(金)に、「KIITOサポーター限定スペシャルトークセッション」を開催しました。

KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)のさまざまなイベントで活躍するKIITOサポーターのみなさん。今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くのイベントが中止になり、サポーターのみなさんと関わる機会が少なくなっています。
そこで今回は、サポーター限定のオンライントークイベントを開催。KIITO立ち上げ当初からブランディングに関わっていただいている、コピーライターの岡本欣也さん(オカキン)、アートディレクターの寄藤文平さん(文平銀座)をゲストに招き、KIITO副センター長の永田宏和を案内役として、今までのプログラム制作に対する思いやエピソード紹介を通してKIITOへの理解を深めていただくことを目的に、今回のイベントを開催しました。
今回は、現在KIITOでインターンシップ中の伊藤がレポートします。

二人との出会い…
まずはおふたりの自己紹介と、永田副センター長との出会いの話題からトークがスタートしました。副センター長と寄藤さんの出会いのきっかけは2000年に出版された「デザインの現場」という雑誌だったとのこと。副センター長は、寄藤さんが手がけた東京の統計資料のグラフィックのデザインを見て、「いつかこの人と仕事をしたい」という思いを持ったのだといいます。それから4年後、副センター長の企画で「地震イツモノート」を制作することになった際、イラスト制作依頼のため、寄藤さんのデザイン事務所を訪れたのが、寄藤さんとの仕事での関わりの始まりでした。
一方、岡本さんとの出会いは、2007年開催の「地震EXPO」という、防災とクリエイティブの展覧会でした。展覧会のタイトルや内容を考える時に、寄藤さんから岡本さんを紹介されたのだといいます。
この時から、3人での仕事がスタートしました。「イザ!カエルキャラバン」、「レッドベアサバイバルキャンプ」など、副センター長が理事を務めるNPO法人プラス・アーツのプロジェクトを作り上げる過程で、ロゴやキャラクターのデザインを寄藤さん、キャッチコピーを岡本さんに依頼しました。また、チャイルド・ケモ・ハウスの応援プロジェクトでは、病院づくりの理念に共感した人が、夢の病院の設立に向けて、必要なアイテムを購入することで支援ができるという仕組みをわかりやすく表現するために、魅力的なイラストとテキストを、おふたりに制作していただきました。寄付金でチャイルド・ケモ・ハウスは設立され、今でも支援が続いています。

  

KIITOのブランディング
3人が仕事で関わるきっかけに続いて、KIITOで実施してきた様々なプロジェクトの紹介に話題が移りました。神戸市は、ユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市として認定され、「社会課題+クリエイティブ」をキーワードに、社会課題解決の実践の場づくりや、担い手の育成など様々な活動を展開しています。KIITO設立当初のブランディングについて、おふたりに語っていただきました。
KIITOのロゴは公募作品の中から選ばれたもので、約300の応募があった中、現在使われている寄藤さんが制作したロゴは、最終選考で満場一致で選ばれたそうです。岡本さんの解説によれば、「寄藤さんはロゴを考える上で“エレメント“を意識している」とのことで、KIITOが多くのクリエイターと繋がり、プロジェクトを生み出していく集合体であるという意味を込めて、様々な形を要素としてKIITOの文字ができているという考え方のデザインだといいます。根本的な考えとして、ロゴは見た目の魅力だけではなく、その表現の成り立ちや意味が大事であるという実感があり、「自分にとってもいい提案になった」と、寄藤さんは当時を振り返っていました。ロゴには個性の強さ やただの商標としての役割だけではなく、システムや展開性なども含めたものとして、多面的に考えることが必要だと、岡本さんも寄藤さんの考えに共感を示していました。ロゴマークというと、すでに完成されたものという印象が強いものですが、寄藤さんの考え方とデザインに、副センター長も当時は驚いたと言います。
おふたりにとって、KIITOの仕事は最初のミーティングでアイデアや方向性が明確になっていることが多く、自分にとって理想的な仕事ができている、と感じるのだとか。「みんながクリエイティブ になる、そんな時代の中心になる」というスローガンは岡本さんに作っていただいたものですが、この文章は、目指す方向として勇気づけられる、立ち返られるものになっていると、現サポーターである元KIITOスタッフも語りました。
当時のことを振り返ってみて、「この仕事をした時に、ステートメントの重要性が芽生えた」と岡本さんは話されます。このステートメントを書いた時、まだKIITOとして活動は始まっていませんでした。共感を得るわけではなく宣言をすることの大切さをこの時に感じたと、寄藤さんも当時の想いを語りました。

  

神戸市のシビックプライド「BE KOBE」
阪神淡路大震災からちょうど20年を迎え、「世界貢献都市・神戸」を表現するという取り組みについて考える際、最初に市長のもとを訪ね、その想いを3人で聞きに行ったのがプロジェクトのきっかけだったとのこと。世界的に、「シビックプライド」のような、街の人々の心の支えになるような活動をすることが活発になっていたタイミングで、「このようなインパクトの強い言葉があることは、いろんな人を巻き込む時に大事だ」と岡本さんは話します。この言葉は、最初のミーティングで既に寄藤さんが思いついていたそうです。岡本さんは、掛け声としてだけではなく、込めるべき気持ちを考えながらステートメントを考えたといいます。「BE KOBE」のロゴは上下で線対象になっており、そこにブレない軸のような強さを感じると、副センター長も語りました。
一見文字だけのように見えるロゴですが、「BE KOBE」にかける想いや考え方に筋の通った道があるからこそ、現在の市民によるモニュメントの清掃活動が始まったり、「BE KOBE」の名を冠した基金団体が設立されたりするなど、BE KOBEをきっかけに新たな活動が始まりました。このようなロゴの広がりを見て、あの表現は正しかったとおふたりも当時を振り返られました。BE KOBEのロゴは許可が下りれば自由に使えるため、現在は商品のパッケージなど、様々なところで活用されています。

    

デートのまち神戸から生まれた「date.KOBE」
KIITOの事業である「+クリエイティブゼミ」から生まれたプロジェクト「date.KOBE」。現在の施設で活動を始める前の、準備室時代から続くプロジェクトで、現在も続いています。神戸のまちを観光で盛り上げることをテーマにしたゼミで、「神戸はデートの街」いう話題で盛り上がり、そこからプロジェクトに発展していったと、副センター長が当時のゼミの様子を語りました。ロゴは神戸市の市章とハートを組み合わせたマークになっています。その後、イベントに合わせたキャンペーンや、ホームページの作成の取り組みを通して、まちの盛り上げに携わってきました。現在は神戸で撮影された映画「思い、思われ、ふり、ふられ」のロケ地マップ制作のプロジェクトが進行しており、担当者はそれをきっかけに神戸の街の魅力を地域の人を巻き込んで紹介していきたいと話しました。

災害大国から学ぶ防災展示「EARTH MANUAL PROJECT展」
KIITOでは隔年で社会課題をテーマとした展覧会をしています。2013年は「災害+クリエイティブ」をテーマに「EARHT MANUAL PROJECT展」を開催しました。「災害大国は、防災大国になれる」というコピーは、前向きで魅力的だと副センター長は語ります。寄藤さんは、現在はより重みが感じられる展覧会になったと、この展覧会の重要性を述べました。「EARHT MANUAL PROJECT展」では、各国の災害に対する取り組みに対し、それぞれにキャッチコピーと詳細な説明を加え、災害に対する行動をマニュアル化して展示しました。計23個の活動をページとしてファイリングしていくことで、最後に災害に対するマニュアルを持って帰れるという仕組みです。岡本さんは以前から、展覧会の意図や、メッセージが 伝わりにくいと感じていたため、テキストやコピーが充実した展覧会を実現でき、思い入れのある仕事になったそうです。その後、23の活動のうちの一部を海外(フィリピン、タイ、ニューヨーク、インドネシア)で紹介する巡回展を開催し、各地域における防災への取り組みを考えるワークショップで生まれたアイデアを追加展示する「10+1」という企画も派生しました。アメリカのニューヨークにあるパーソンズ・スクール・オブ・デザインでは、災害とデザインという実習が、このプロジェクトをきっかけに設けられました。

  
※右のステートメントは「LIFE IS CREATIVE展2019」のもの

ワクワクする高齢社会を目指すプロジェクト「LIFE IS CREATIVE 展」
2015年には、「高齢社会」+クリエイティブをテーマにした展覧会を行いました。ここで3人はポスターのデザインの話題で盛り上がります。このポスターは、(自分の生きてきた)足跡に世界があり、今まで過ごしてきたことに価値があるということを表現したものだと寄藤さんは語ります。「高齢者になってからの方が人生を楽しめる」というコンセプトを表現することに難しさを感じたそうです。この展覧会では8つのテーマが設けられ、期間中もさまざまな取り組みを実践しながら高齢者と一緒に作り上げました。2019年も同様のテーマの展覧会を開催し、継続中のプログラムの紹介や、高齢社会に対する取り組みがめざましい台湾の事例紹介をメインにした内容となりました。台湾では、高齢者のプロ野球リーグや、高齢者の運営する飲食店など、高齢者が関わる多くの事業が展開されています。台湾の事例から学ぶことは多く、ここからKIITOも高齢者のプログラムのさらなる展開を模索しています。

最後にサポーターを交えた質問および交流の時間が設けられました。市役所に勤務しているサポーターの方は、KIITOの活動がクリエイティブで魅力的だったことが、市役所に入ったきっかけだったそうです。岡本さんは、デザインの魅力は作る側と受け取る側の理解度が半分ずつ必要であると指摘をした上で、KIITOのデザインを市役所の方が理解し、認めてくれている実感があるとのことでした。

他にもロゴやステートメント制作、KIITOの活動に関する質問が多数寄せられ、おふたりに答えていただきました。

トークの締めくくりの寄藤さんからのコメントでは、今回のイベントがオンライン開催となったように、これまで当たり前のようにできていたことができなくなっている状況が多く発生しているその状況に対して、「どうやって新しい設定(これからの時代に合った過ごし方)を見つけていくか」ということが、これからKIITOに取り組んでほしいテーマとして挙げられました。

終始和やかな雰囲気で、プロジェクト紹介や様々なものが制作された当時の話、それに対するおふたりの考えなどを聞くことができた今回のスペシャルトークセッション。クリエイターの方に直接お話を聞ける機会は少なく、インターン生としても貴重な体験になりました。また事例紹介を通してKIITOの考えや想いなどに対し、より理解が深まるイベントとなりました。 

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