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2013/3/4

イベントレポート

神戸スタディーズ#1 神戸レイヤーマッピング

神戸スタディーズ#1 神戸レイヤーマッピング
2013年2月23日(土)

さまざまな専門分野の方を講師に迎え、これまでなかった視点で神戸を見る「神戸学」をつくる試み「神戸スタディーズ」。第一回目の今回は、中沢新一氏『アースダイバー』などの地図製作を手がけた編集者、地図デザイナーの深澤晃平さんを講師にお招きしました。センター長の芹沢がモデレーターとなり、みなさまを地図と地形の旅にお連れしました。

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レクチャー

まず、レクチャーでは、神戸の自然環境、地理的な特徴など、ごくベーシックな情報をあらためて整理していただきました。神戸は山と海が大変近く、その間に横長く街が広がっているのが特徴です。
加えて、川が大変多く、さらに水害などのため大幅に付け替えが行われています。また、神戸の川の特徴として、川の周囲がその他の地面より高い「天井川」であることが挙げられます。川が山から運んでくる砂礫が川床に積もっていき、川が氾濫したのちに堤防が作られ、その川床にさらに砂礫が積もり、堤防が作られ…というようにして形成されます。

深澤さんに本日のために制作していただいたオリジナルの地図をご用意しました。地形図、市街地図、市街の主要なスポット(神社仏閣、史跡など)をレイヤーマッピングした特製です!

 

まち歩き~生田川跡編~

さあ、いよいよまち歩きです!今回は、生田川跡と湊川跡の二か所をたどり、今も残る川の痕跡を確かめていきます。

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まずは、KIITOからフラワーロードを北上し、三宮駅まで上がる「生田川跡」。

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神戸市役所南側に立ち、フラワーロードから西側を見ると、ものすごい傾斜になっており、建物1階層分高低差があるのです!同じく、フラワーロードの東側も土地が下がっています。これは、旧生田川であったフラワーロードが天井川であった名残です。

 

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東遊園地のフラワーロード寄りにひっそりとたたずむ「加納宗七像」。明治政府が計画した生田川の付け替え工事をはじめ、この地域の区画整備に貢献した人物です。「加納町」の名前の由来にもなっています。

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こちらは「北向き地蔵」。阪急三宮駅のすぐ北側の、ビルの外壁にひっそりと祀られています。その昔、生田川が増水したときに、堤防の決壊を防いだと伝えられています。面白いのは、祀られているビルの名前も「地蔵ビル」。

 

まち歩き~湊川跡編~

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次に、新開地商店街を経てミナエンタウン、湊川公園、湊川公園商店街を通り、東山商店街を抜ける湊川跡コースです。

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湊川公園は、もともと高台に土砂が積もっていたところを一度削って、コンクリートで作りなおした場所だそうです。すぐそばの湊川商店街のアーケードと同じ高さに公園があり、下には大きなトンネルがあり車が走っています。そして更に驚くことには、湊川公園の真下には「ミナエンタウン」といって、映画館やスナック、喫茶店などがならぶ街ができているのです!方向感覚まで失ってしまいそうな構造です。

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「パルシネマ」の支配人が、この場所の成り立ちを話してくださいました。ありがとうございます!

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湊川商店街を北に抜けると、左手にまたもや驚くべき傾斜が。これが東山商店街の入り口です。生鮮食品に花屋、雑貨屋など、多くの人で賑わっている「神戸の台所」。商店街の左右を意識して見ると、左右とも地面がとても低くなっています。東山商店街は天井川の痕跡をたどるように形成されていることがわかります。

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商店街を北にほぼ抜けようかという地点に、この地域が水害とともに歩んできた歴史が説明されている案内板が建っています。「荒田」という地名が残っていることからも、その歴史が伺えます。

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そして、この土手が川のつけかえの跡です!まち歩きに参加したメンバーは、昔の川の跡がもはやありありと目に浮かぶようになりました。

まち歩きは一時解散しましたが、このあとも30分ほどオプショナルツアーが続くほどの盛り上がりでした。講師の深澤さん、大変ありがとうございました!