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2013/11/7

イベントレポート

〝遊びながら学ぶ”地震ゲームを作るデザインワークショップ

10月8日~13日の6日間、タイを代表するゲームデザイナー・ラッティゴーンさんと、地震をテーマにしたゲームを作るワークショップを行いました。
ラッティゴーンさんは、これまでにユネスコ主催のゲーム作りワークショップなどの講師としてドイツやインドでもワークショップを開催してきました。約1週間という短期間でゲームを完成させるワークショップを実施するのは初めての試みとのこと。「日本に来て実施する貴重な機会を頂いたのでぜひ地震をテーマに良いゲームをつくりたい!」と、事前の打ち合わせから意気込んでいました。
※開催概要はこちら

1日目|10月8日(火) 19:00~22:00

ゲームの構造を知る
参加者には、事前に阪神・淡路大震災の被災者の体験や声をもとに、防災についての知恵や工夫を1冊に集めた新しい防災マニュアル『地震イツモノート』をお渡しし、地震や防災ついて事前勉強をしてきて頂きました。1日目には、各参加者に好きなゲームを持って来てもらい、ラッティゴーンさんが勧めるゲームと併せて、4つのグループに分かれて体験しました。初めて顔を合わせた参加者同士のアイスブレイクの意味もありましたが、これからゲームを作るにあたって、最初にゲームの楽しさを純粋に体験することと、ゲームの仕組みを知るというねらいがありました。

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ゲームを体験しながら、ラッティゴーンさんが制作した、このワークショップ用の教材であるワークシートに、「どういうルールなのか?」「どうやったら勝つのか?」「かかる時間」「ゲームの終わり方」などの項目を書きだしていき、ゲームを構成している”要素”と”タイプ”の種類を学びました。

2日目|10月9日(水) 19:00~22:00

キャラクターとストーリーを作る
1日目の最後に参加者には、「地震に関連するキーワード(人物、場所、職種など)をいくつか上げ、それをもとにストーリーを考えてくる」という宿題が課せられていたので、その内容を各グループで1つにまとめる作業を行いました。
ラッティゴーンさんのゲーム制作の手法は、まずはストーリーをしっかり組み立ててから、そこにゲームとしての楽しさや面白さのアイデアを盛り込んでいくという方法です。

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ストーリーと一緒にキャラクターを決定し、地震というテーマに対して伝えたいことがより明快になるように、場所や状況、起こる災害、出てくるアイテムなどを設定していきます。各グループが最後にまとめたストーリーを発表し、感じたことやアドバイスを伝えあいます。一度、客観的になって見ることで、より誰にでも分かりやすいキャラクターやストーリーになります。

3日目|10月10日(木) 19:00~22:00  4日目|11月11日(金) 19:00~22:00

ゲームのアイデアを考え、実際に何度も試してみる
ゲームのアイデアをどんどん考え、紙やペンを使って試作し実際に各グループで進行やルールを試してみます。ゲームを制作するには、「伝えたいことがうまく伝わるようになっているのか?」「ゲームとして面白いのか?面白くなければなぜなのか?」「このゲームをやってみたいという気持ちになるか?」など、考慮するポイントがたくさんあります。何回も参加者で試作・体験することを通して、それらのポイントを確かめていくのです。

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参加者は工夫して、ペットボトルのキャップを駒代わりにしたり、サイコロにテープを貼って自分たちの好きな目に描き直したりとツールの制作では工夫していました。

5日目|10月12日(土) 10:00~19:00

専門家のアドバイスを参考にデザインを完成させる
いよいよゲームを形にしていくワークショップの大詰めです。この日は、ゲストとして防災ゲームの第一人者でもある吉川肇子さん(慶応義塾大学商学部教授)を招き、ラッティゴーンさんと共に各グループを周りながらゲームの内容についてアドバイスを頂きました。地震をテーマにしたゲームとして、子どもたちが遊んで楽しいものになっているかというポイントの確認を中心に、何回も試作と改良を重ねていきます。

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6日目|10月13日(日) 10:00~19:00

ゲームの見本を完成させ、ゲームを紹介するポスターをつくる
10/14に実施する「防災ゲーム大会」で、開発したゲームを子どもたちに遊んでもらうため、デモ版を完成させる作業を行いました。その際に、分かりやすくそのゲームの内容を伝えるためのポスターも、制作しました。

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最後に、各グループそれぞれ完成したゲームのプレゼンテーションを行い、ラッティゴーンさんと吉川さんに講評して頂きました。地震をテーマにしたゲームでは、災害時の大変な状況をそのまま要素として取り入れすぎてしまうと、ゲームとしておもしろくならないことの方が多いようです。ひとつのグループは「避難所に集まる様々な人を動物に例える」というアイデアを取り入れ、避難所生活での役割分担や協力する事の大切さを、遊ぶなかで楽しく学べるゲームを開発し高い評価を受けました。
今回の短期間のワークショップでは、コマやゲームボードの仕様、カードのデザインなど、ゲームのツールについてじっくり検討する時間がとれず、普及させることを考え使いやすいゲームにするというところでは、少し力不足だったことが課題です。

完成した各グループのゲームは、10/14(月・祝)に実施された「防災ゲーム大会」の中で、実際にワークショップ参加者がゲームの説明や遊び方のサポートを行い、参加者に体験してもらうことで、遊びやすさやテーマが伝わるか、といったことを検証できました。
その様子はこちらから