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ちびっこうべレクチャー 千葉・四街道に学ぶ まちの見つめ方「日常こそ、ドラマチック」レポート

2016年6月4日(土)
2012年、2014年にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催した、子どものまち「ちびっこうべ」。クリエイターからプロの技を学びながら夢のまちをつくっていくこのプログラムの第3回目を、今年の10月に開催します。
そして、ちびっこうべに向けて、ちびっこうべに関心のある方や子どもの夢のまちを一緒につくりたいという方のための学びの場「ちびっこうべレクチャー」を開催。ゲストには、「ドラマチック四街道プロジェクト」のみなさんをお招きしました。


千葉県四街道市で、「日常こそ、ドラマチック」を主題として、目を凝らし、耳を澄ませて、まちを見渡しながら、等身大のまちの様子を発信している「ドラマチック四街道プロジェクト」。このプロジェクトに関わるデザイナーの両見英世さん、写真家の加藤晋平さん、四街道市役所の齋藤久光さんのお三方をお招きし、それぞれ違った立場から、まちをどのように捉えて発信しているのかを伺いました。

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まず初めに、両見さんより四街道市の概要についてお話をいただきました。

▼千葉県四街道市について
千葉県四街道市は、千葉県の北部に位置する、人口約9万人のまち。昭和40年代ごろから首都圏のベッドタウンとして人口が増加し、自然と都市機能が調和したまちとして成長してきた。とはいえ、自然を生かしたレジャー施設や、大きな商店街などがあるというわけではなく、まちを歩いていても人が多いという印象はない。だが、現在も少しずつ人口は増え続けている。

この、目立った何かがあるわけではない、ごく普通の郊外のまちである四街道に、人が集まってくるのはなぜなのか?それを疑問に思ったところから、ドラマチック四街道のプロジェクトは始まったのだと言います。

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次に、四街道市役所の齋藤さまに、四街道市としての、いまのまちの考え方についてお話をいただきました。齋藤さんの所属する部署では、市民活動を推進する活動をしています。なんと所属している方は齋藤さん1人のみ。おかげで四街道市の人々のことは、大体把握しているのだといいます。

▼四街道市の考え方
1990年には、9.5人で1人の高齢者を支えていたが、2020年には高齢者を2人で1人支えなくてはならない時代がくる。四街道市ではそういったいまの状況をただ悲観するのではなく、「幸せの価値観をかえる」という考えのもと、さまざまな試みに取り組んでいる。四街道市に暮らす人々が、まちの中に自分の役割や居場所を実感できるような、地域との関係性を築いてもらうためのさまざまなプロジェクトを進めている。市民のまちへの愛着、まちへの自負の心を育んでもらいたいと考え活動を進めている。

こういった考えのもと、進めている具体的な事例を紹介していただきました。

四街道こども記者クラブ
千葉県四街道市内に在住、在学している小学生、中学生が中心となって、地域のメディアをつくる活動。四街道こども記者クラブは活動を通じて、自分たちの暮らす地域のこと、自分たちを取り巻く生活環境や社会状況のこと、今まで普通や常識といわれていたものを、改めて見つめ直したり、時には批判的に捉え直したりしながら、情報を発信していくことを目的として活動をしている。月に1度集まって取材に出かけ、手書きの記事をつくっている。
子どもの目線をどのように生かすか、どこまで大人の手を加えるかなど、子どもの主体性を奪わずに、プロジェクトのさらなるブラッシュアップを模索している。
当初は千葉大学の学生が読売新聞社と共に「記事の書き方講座」を無償ではじめたものだったが、社会人や主婦、クリエイターなど、関わる人の輪を広げている。

●コミュティレストラン事業
当初、「地産地消、居場所づくり、生きがいづくり」という3つの課題を設定し企画を進めていたが、行政だけでは3つもの部署にまたがってしまい、ものごとがなかなか動きださないと考え、市民に積極的に参画してもらうコミュニティレストランづくりを計画した。多くの市民の協力を得て、空き家を活用したコミュニティレストランをオープン。毎日は無理でも、週に1回ぐらいだったら料理をふるまっていいよ!という人々が集まり、結果的にほぼ毎日オープンし、人々が出入りする場となった。地域の高校生から、夏休みを利用してレストランをやりたいという声が出たりと、地域とのつながりの輪が広がってきている。

●寺子屋事業
公民館や、学校の空き教室などを利用し、子ども達の学習支援・体験学習の場となる「寺子屋」を運営している。千葉大学の1人の学生の社会教育実習の企画から始まり、現在は市内在住・在学の学生を中心として60名以上の高・大学生がボランティアに登録しており、若者の社会参画の場としての役割も担っている。地域・学生・行政など様々なコミュニティの結びつきを生かし、貴重な学びの場となることを目指し活動を続け、その規模はどんどん拡大している。

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▼ドラマチック四街道について
そして、両見さんより、今回のレクチャーのメインでもある「ドラマチック四街道」の取り組みについてお話をいただきました。はじめのお話に主あったように、平坦で起伏の無い時間が淡々と流れている四街道のまち。ですが、顕微鏡のぞくように毎日の日常を拡大してみると、実は小さな起伏がたくさんあるのでは?と考え、もう一度まちを見直したといいます。

きっかけは、四街道市から「まちを紹介するなにかをつくってほしい」と声をかけられたこと。何をつくろうかとまちを見渡した時、改めて「やっぱり、なんにもないなぁ」と感じたそう。ですが、まちをよく見ていると、森に絵本を持ち込んで読み聞かせをしている親子たちや、商店で集まり一日中喋り続けている高齢者たちの、穏やかな自然体の風景があり、その何気ない空気感がまちの魅力になるのではと考えついたのだそうです。
この風景と空気感を記録し発信するために、写真と動画というビジュアルでの見せ方にたどり着き、制作をすることにしました。
日常をそのまま切り取るためには、制作チームがまちの人々と近い距離で関わり、関係性を築く必要があったため、撮影を担当する加藤さんは、四街道でゆっくりと時間を過ごしながら、まちを自分たちのところに引き寄せていく作業からはじめたといいます。まちを歩きながらたてたコンセプトは、「四街道をひとりの人に見立てる」こと。時間とともに人(まち)の記憶となっていくものを細やかに記録し、将来に残していくイメージで写真を撮っていったといいます。

そして、「ドラマチック四街道」から派生し、たくさんの新たな事業も生まれました。
みんなでカレンダープロジェクト
四街道に関わるすべての方の「四街道に対する想い」をスケッチブックに書いてもらい、ホームページに日めくりカレンダー形式で公開するものです。普段の暮らしの中で感じる「四街道への想い」と皆さんの「笑顔」に溢れたカレンダー。日々の出会いをコツコツと収集し、ゆるやかにまちとのつながりを作っている。

ドラマチック四街道リサーチプロジェクト
「ドラマチック四街道」の制作チームでは無い、一般の四街道市民がそれぞれに日常の中でドラマチックだなと感じているものを集めるワークショップを実施。人と活動、生業、
歴史のテーマで4人一組のチームに分かれてリサーチをし、ドラマチック四街道自体の活動のヒントとなる種を見付けることができた。

よつぼくん
四街道のいいところ(ツボ)を知っている「よつぼくん」というキャラクターをデザイン。やすらぎグリーン、フレキシブルグリーン、ほがらかイエロー、思いやりピンクという四つの意味を持つ色を使ってデザインされています。twitterやLINEスタンプなどを制作すると、四街道に住む若い世代との交流のきっかけとなった。


最後に、ドラマチック四街道のまとめのお話をいただきました。この活動で制作した映像や写真集は、今このまちで暮らしている人ではなく、少し先の未来にこのまちで暮らす人へつくったものだといいます。何の変哲もない日常は、これまでそのまちで暮らしてきた人々が積み重ねてきたものがあるからこそ生まれる環境。まちの人々がそれを自覚しているかはわからないが、少し先の未来にも、人々がこのまちを選び、暮らしつづけたいと考えてもらうための手がかりを残すために活動をしているとのことでした。

これから、KIITOが子どもたちと一緒に夢のまちをつくる「ちびっこうべ」に取り組むにあたり、まちに必要な、小さくても欠かすことができない「かけら」の見つけ方を、今回のレクチャーを通して学ぶことができました。

ちびっこうべ2016 特設サイトはこちら

2016.6.9

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