お知らせ・レポート

展示

2017年9月30日(土)~10月22日(日)

石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展)を開催しました。

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ストックホルムとパリを拠点にする作家が、2017年5-6月と9-10月に神戸を拠点にリサーチや行いました。その「成果」ではありませんが(※アーティスト・トークのレポートを参照)、期間中に行ったリサーチや、作家なりのKIITOの場所性・歴史の解釈などが織り込まれた「報告」としての展示です。

会場は、カフェの北側、中庭の北側、中庭南、と、固有の名前がなく、ふだん展示会場としては使われていない通路のような空間です。避難経路として空けていますが、利用者の動線には入らないので、ほぼ人が立ち入らない空間です。KIITOは、もともと生糸検査所として建てられた建物をリノベーションしているので、用途変更や改装の過程で、このような空間がいくつか生まれています。
それらの未活用空間が、展示ケースが置かれ、作品が配置されたことにより、見ごたえのある美術展の会場に変貌していました。展示什器も、生糸検査所時代の机やケースが用いられ、隣接するカフェとの親和性が高い展示になっていました。

左:《同じ青い空の下で Under the same blue sky (version 2016)》 2009- 、プロジェクト/ インスタレーション (写真、レーザープリントシール)、 《ルーツと異文化体験に関する思考のスケッチ》2017、オブジェクト/ インターベンション(世界各地の置物)、右:《同じ青い空の下で》(一部)

左:《星たちと月たちと太陽たちと(穏やかな世界) Stars, Moons and Suns (pacific world) 》2011/2016、インスタレーション(紙、オイルパステル)、右:《ポスト・カード プロジェクト Post-Card project》2007-、プロジェクト/ インスタレーション(ポストカード)

展示は、旧作から本展のために選ばれた数点と、「コレクティブ・アクト」の「おすそわけ」の資料(※同レポート参照)、本展で実現されなかったプランのスケッチ、作品のようなノート、随筆など、多岐にわたる内容で構成されていました。中庭南の窓に直接描かれたマインドマップのようなドローイングは、神戸でのリサーチが反映されている作品です。本展の展示設営期間中に描かれました。

右:《知恵とレシピのおすそわけ 『コレクティヴ・アクツ』『種の循環』『共生の儀式』『ゼロから』より》 2008-2014、プロジェクト(一部)

《ちいさな世界を辿ってみると》 2017、ドローイング/ インターベンション(マーカー)

本展は視覚的な作品展示以外にもさまざまな試みがなされていました。
会期中の週末に、KIITO CAFEとコラボレーションし、作家が友人から集めた世界各地の「おふくろの味」といえる煮込み料理を特別メニューとして提供しました。メニューはティガデゲナ、ムサカ、フェジョアーダ、バルシチ/ボルシチ。メニューを注文すると、そのメニューの解説や、レシピをくれた友人のこと、作家の随筆が書かれたカードがついてきます。


また、会場には、作家に代わって作品にまつわる物語を来場者に伝える「ストーリーテラー」が常駐し、来場者の都合に合わせた長さで作品の説明を行いました。ストーリーテラーの目印は、アフリカの布で作られたエプロンです。ストーリーテラーの橋渡しにより、「理解が深まった」と多くの来場者から好評を得ることができました。実験的な試みの多い本展でしたが、来場者一人一人に作品の物語や試みがもたらす気づきの種を届けることができたのではないかと思います。


写真:大島拓也(最後の2点を除く)

石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展) 開催概要

2017年10月21日(土)
「カレーライスを一から作る」先行上映+トークイベントを開催しました。

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元町映画館との連携企画として、「つながる食のデザイン展」の開催期間中に、同じ「食」を扱うドキュメンタリー映画「カレーライスを一から作る」を映画館での上映に先駆けてKIITOにて上映、さらに関野吉晴さんと前田亜紀監督、同時期に展覧会を開催する石塚まこさんの三者でトークを行いました。

映画は、武蔵野美術大学で行われた関野さんのゼミを追いかけたもの。コメも野菜も香辛料も、タネを入手するところから初めて一から育て、肉も鳥を飼育して屠るところまでを行い、文字通りカレーライスを「一から」作っています。回を重ねるごとにゼミの参加者が減ったり、鳥がうまく育たなかったり、育てるうちに屠りたくないと言う学生があらわれたり、とさまざまな壁にぶつかるようすが映像に収められており、いのちとは、食べることとは、を考えさせられる映画です。

KIITOアーティスト・イン・レジデンス招聘作家として展覧会を開催中だった石塚さんも、奇しくも当初は「カレー」が神戸での制作・リサーチのキーワードとして挙げられており、また、作品や、制作過程でつづられるノートの中にも、ものごとの起源や来歴へのまなざしを感じられることから、トークに登壇いただくことになりました。

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トークは、前田監督に進行いただき、映画のテーマや撮影前後のエピソード、教育の現状など、さまざまな話題に及びました。

映画ではいのちの話が大きなテーマとして受け取れますが、本来、関野さんのゼミは、いのちが主題だったわけではなく、一からものを作るといろいろな気づきがある、ということがテーマなのだそうです。開催年によって作るものも違うし、参加する学生によって展開も変わってくる。映画になった2年目のゼミで、たまたま屠りたくない、という人が出てきたので、「いのちになっちゃった」のだそうです。
前田監督は、すべてを撮り終えたときに、すごく心に残っていたのが、関野さんの「植物にだって命はある」という、命に対する定義を考えさせられる言葉で、それを一番大事にするように作ることを考えたとのこと。

関野さんに言わせれば、植物も、口の中の微生物も命。ゼミの中で彼らが嬉々としてやっていた、稲刈りやウコン・しょうがの収穫も、それらを殺すことなのに、動物を屠るときだけ、悲壮な顔をする。ほんとうにいのちを奪いたくないと思うなら、抗生物質も飲めない。たくさんの死の上になりたっている社会に生きているのに、そこまで思いが至らない。生態系全体を考えるようにしたい、と。認識が新たになるお話でした。

ゼミの本来のテーマ「ものを一から作る」に関して、関野さんは、みんな一からものを作るということをやっていない、と指摘します。ゼミが開講されている美術大学でも、彫刻科は木の伐採をしたことはないし、テキスタイルやファッションの科でも桑や蚕は育てたことがない。なんでもいいからひとつ、調べるだけでも、それを作ることで何が起こっているか、誰が利益を得ているか、社会が見えてくる。「一から」の過程で学ぶことは本当にたくさんあり、それを経験することで自分の引き出しが増えるのです。関野さんは、この映画は小中学生に観てほしい、このゼミ自体、ほんとうは小中学生がやるものだとよく話すそうです。
しかしながら、現在の日本の教育現場では、センシティブな親も多く、なかなか難しいようです。
学生も、どんどんセンシティブになっているようです。10年前なら「生を全うさせたい」という学生は出てこないだろう、と。
それには、前田監督が、しみじみ思う、と言う、私たちのいま生きている「きれいな、クリーンな」社会-スーパーではお肉もパックに入って、その来歴も、元の状態もわからない、その状態から始まっていると思っている人もいるような、「包み隠されている」状況、も影響しているように思えます。


来場者から、ゼミの学生たちの食生活に変化はあったのか、という質問がありました。食べるものの原材料をよく見るようになったのだそうです。よく知らない材料があまりにも入っているので、とジュースを飲まなくなった学生や、売っている鶏が何を食べているか分からないから、鶏が食べられなくなった学生がいるそうです。
また、関野ゼミ生は、最初はもちろん美術を志して来ているけれど、卒業すると、だいたい第一次産業-日本を底から支える仕事をしていることが多い、というお話が印象的でした。

映画上映は全国で続き、また小学生向けに書籍化もされています。ぜひ合わせてご覧ください。


『カレーライスを一から作る』先行上映+トークイベント(元町映画館 連携企画) 開催概要
『カレーライスを一から作る』 公式サイト
「つながる食のデザイン展」 開催概要
石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2017 報告展) 開催概要

2017年5月12日(日)

神戸市の総合福祉ゾーンしあわせの村では、障がいのある人たちの創作活動を支援し、その表現の素晴らしさを広く知っていただくための展覧会「こころのアート展」が毎年開催されています。今回、同展の巡回展をKIITOにて開催。巡回にあたり、KIITOの広い空間を存分に活用できる、新たな会場構成や展示什器を提案しました。設計・施工は、株式会社POS建築観察設計研究所にご協力をいただきました。

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広い会場内に配置された展示什器は、出展作家のそれぞれの作風に合わせてデザインされたもの。ひとつひとつが、作者の制作風景や、日常の様子に結び付くイメージから制作されており、作品の魅力をより引き立てました。

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作品とともに、作家の制作風景の写真も展示。書道作品の大胆な筆使いの様子や、愛用している道具の写真なども一緒に展示をすることで、作者が創作活動に没頭しているときの集中した空気や息遣いまで感じられるような、迫力のある展示空間になりました。

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会期中には、出展作家の方にも多くお越しいただき、巡回によって新しく作られた展示空間に、「自分の作品なのに、違う見え方がして面白い。」「作品がもっとかっこよくなった!」などのコメントをいただき、ご自身の作品の新たな一面を楽しんでいただけたようでした。

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私たちスタッフは、障がい者アートに専門の知識があるわけではなく、この巡回展の企画に携わったことをきっかけに、「障がいって何なのか?」「福祉とアートの境界って?」「自分にできることがある?」など、普段生活の中では意識していなかった、障がいにまつわる色々なことに考えを巡らせ、そして頭を悩ませたりもするようになりました。

障がいのある方、子どもや学生、年配の方、KIITOに関わってくださっているクリエイターなど、今回の展示にお越しいただいたさまざまな立場にあるみなさまにとっても、私たち同様、障がい者アートに少しでも関心を持ち、考えるきっかけの場となっていたら幸いです。

今後も、しあわせの村で「こころのアート展」は継続して開催されます。私たちも、KIITOだからこそできる関わり方を模索しながら、障がいのあるアーティストたちの活動をサポートしていきます。


こころのアート展巡回展inしあわせの村2016 KIITO巡回展開催概要はこちら
こころのアート展inしあわせの村2017開催概要はこちら



KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016招聘作家・東方悠平さんによる「てんぐバックスカフェをつくろう!!」の、追加ワークショップから、まちオープン日までをレポートします。


2016年10月1日(土)、2日(日)

8月に造形ワークショップ、9月にダンスワークショップを行ってきた本プログラム。9月のワークショップ終了時点で、もう少し練習や作業が必要かと判断し、10月1日、2日に追加ワークショップを行いました。2日とも、ダンス練習と造形物制作を半々で行いました。
通常のてんぐダンスは1回につき3~4人が踊るものになりますが、10月8日のオープニングイベントと、15日だけ、「てんぐダンスショーDX」と題し、まちの中央に設置された大きなステージで子ども13人全員が一緒に踊る、まさにデラックスなダンスショーが予定されているので、大きなステージとカフェ内のステージ、両方でリハーサルを行いました。


この日、ほぼ設営が終わった状況のユメミセや、てんぐバックスカフェをはじめて見る子どもたち。興味津々にいろいろなところを見て回っていました。
追加の造形物制作では、大きな紙を広げて、てんぐの絵を描きました。カフェの壁やテーブルに設置するものです。大きな紙に自由に絵を描くという体験が、なかなか普段はできないことのようで、はじめは恐る恐るでも、とても楽しそうに描いていました。

10月8日(土)
ちびっこうべオープニングイベントの日です。ここで、全員で「てんぐダンスショーDX」を披露しました。
ステージの両脇には、サーキュレーターで膨らんだバルーンてんぐをすでに設置済み。観客の期待をあおります。
登場にも演出がありました。自分で作ったてんぐのお面とエプロンをつけ、お神輿を担いでステージ上にあがります。数人はホイッスルを吹きながら。
お神輿はスチールのフレームに、バルーンてんぐが載っています。

撮影:辻本しんこ 撮影:辻本しんこ

撮影:辻本しんこ

お神輿をステージ中央の後ろに置き、代表者として参加者の一人、たっくんが堂々とご挨拶。その後、音楽がスタート。2分半ほどのダンスが披露されました。
音楽は東方さんがネット上で探したフリー素材のもので、音楽に合わせて東方さんが振付を考えました。振付するのは初めてのことだそう。カフェミュージックのような軽妙な音楽に、カフェでドリンクを注文し、サーブするときをイメージした動きや、真似したくなる顔フリフリ、リズミカルな手拍子、足拍子などが組み合わされ、なかなか中毒性のある独特なダンスです。そこに、明滅する照明がドラマチックさを付加させていました。
最後にももう一人、ゆさちゃんがかわいい挨拶をしてくれて、無事、オープニングイベントを盛り上げるというお役目を終えました。


10月9日(日)、10日(月祝)、15日(土)、16日(日)
まちがオープンする4日間です。練習してきたダンスのほかに、カフェでのドリンク提供や両替、入国ゲートの仕事に取り組みました。また、この4日間は、ダンス以外の部分を、当日参加の子どもたちと半々で一緒に仕事をしました。

●オリジナルメンバーの仕事
・ダンサー:ステージでダンスを踊る
・カフェ:てんぐドリンク(4種)を販売
・両替:「キート」(子どものまちの通貨)と「てんぐ」(てんぐバックスカフェ内だけで使える通貨)の紙幣を両替する
・出入国:てんぐバックスカフェに入国する人にパスポート(似顔絵を描ける枠付き)を発行、出入国スタンプを押す



撮影:森本奈津美
撮影:衣笠名津美 撮影:衣笠名津美
撮影:辻本しんこ 撮影:辻本しんこ

●当日参加する子どもたちの仕事
・カフェ、両替、出入国:オリジナルメンバーと同じ
・バックミュージシャン:てんぐダンスの音楽にのせて楽器を演奏して盛り上げる
・PA:てんぐダンスの音楽を再生し、ダンス中の照明を操作する
・コースターづくり:カフェのお客さんにコースターづくり体験を提供する
・幕間のパフォーマー:ダンスの合間に自分の得意芸を見せる

撮影:中村寛史 撮影:辻本しんこ


カフェで販売したドリンクは4種類。
・てんぐのなみだ(緑茶) 10~15てんぐ
・てんぐのちしお(ローズヒップティー) 10~15てんぐ
・てんぐのはつこい(レモネード) 10~15てんぐ
・てんぐのゆ(白湯) 1てんぐ

撮影:衣笠名津美 撮影:辻本しんこ


カフェの空間は、ワークショップで子どもたちが作った造形物を活用しながら、東方さん自身が作ったものも加えて、東方さんが構成しました。巨大なバルーンてんぐ、農業用の大きな黒ビニールで覆って作られた壁、クラフト紙に大書したTENGUBUCKS CAFEの字やロゴと、子どもたちの個性あるてんぐの絵が組み合わさっています。
まちオープン日までに、パイプや発泡スチロールの筒、プラダンの折れ目、ロートなどを、流水が絶妙なバランスで通過して、循環していく装置がカフェの中央に作り上げられていました。
照明を減らして全体的に薄暗い空間になっていて、ダンス公演時の照明が映えます。そこに、クッションとローテーブルが点在しています。

撮影:衣笠名津美 撮影:辻本しんこ
撮影:辻本しんこ 撮影:辻本しんこ


4日間のあいだは、大人の想定通りでなく、子どもの動きやアイデアによって変えた・変わったこと、独自に生まれたことが多くありました。

出入国:入国時に「入国税」を徴収する予定でしたが、特に最初の方はみんなお金を持っていないためにカフェに入ってくれず、税を撤廃し、無料に。
ダンス:時間を決めて、定期的に公演を行う予定でしたが、お客さんの入り状況を見てフレキシブルにはじめることにしました。結果、大人が来場する「ちびっこ観光ツアー」が来るタイミングに合わせることが多くなりました。
両替:レートを頻繁に変動させる予定でしたが、両替のシステムが理解されにくく、1キート=10てんぐのまましばらく続きました。
カフェ:ホットのみ提供の予定でしたが、コールドの要望が多く、いつのまにかコールドメニューが生まれていました。
バックミュージシャン:段ボールドラムやプラカップマラカスはダンスを大きく盛り上げてくれました。後半はオリジナルマラカスを作ることから始めて、充実感倍増。
幕間のパフォーマー:十八番を持っている出たがりな子どもの出現を期待していましたが、初日に、男女でノリノリのコントを披露してくれた奇跡のコンビ以外は、シャイな子どもたちが多く、この仕事は廃業に。

撮影:衣笠名津美
撮影:中村寛史 撮影:中村寛史

てんぐ銃:てんぐの鼻(=銃)から出る玉をキャッチしたら、素敵な特典がもらえる!というイベントを子どもが独自で考案。銃と玉を段ボールで自作して幕間に開催し、奪い合いになりそうなほど大人気でした。特典は、てんぐドリンク一杯無料や半額割引など。
おばけ屋敷:カフェと外のエリアを分かつ可動壁に、機材を収納する扉付きのスペースがあることを発見した子どもが、ここでお化け屋敷を開催することを考案。配線を自分たちで勝手にやり、宣伝活動も熱心に展開し、多数の集客に成功。おばけ屋敷目当てに入国する子どもも多かったです。壁の隙間にカフェをしのぐ行列ができていました。稼ぎも多かった様子。
クジ引き:おばけ屋敷が大枚を稼いでいることに触発された子どもがクジ引きを考案。箱とクジを自作し、大当たり~ハズレまでを設定。これもそれなりのお客さんを得られたようです。

4日間とも、一日の後半に向かうにつれて、お客さんが増えて大忙しの状態でした。
事前ワークショップでは、恥ずかしがったり、集中力が途切れて、なかなかダンスを最後まで踊ることのなかった子どもたちですが、本番となると、お客さんに来てほしい、という思いや、オリジナルメンバーとしてのプライドが働くのか、大きな声でお客さんを呼び込み、ダンスをこなし、独自のイベントまで起こす、というアクティブさを見せてくれました。


15日に行われた2度目の「てんぐダンスショーDX」は、子どものまちオープン真っ最中のため、ステージの周りを本当にたくさんの観客が取り囲んだ状態に。華々しい舞台でした。

撮影:辻本しんこ

撮影:森本奈津美 撮影:森本奈津美


ちびっこうべのまちに今までになかった、まったく異質な要素としての存在感を強烈に放ったてんぐバックスカフェ。東方さんは、ちびっこうべが、すでにシステムができあがっていてきっちり作られているように感じたそうです。そこで、それと対比させられるようなものを作って、まちの中に介入し、影響を及ぼしていくようなものを作っては、という着想から今回のプロジェクトが練り上げられていきました。
今回、ちびっこうべをさらに複雑にさせるこの異質な環境を訝り、浸り、遊ぶ、百人百様の子どもたちが見られました。また、笑い、不条理・ナンセンス、といった東方さんが作品制作において注目しているテーマを、まったく自然に取り込んで、独自に展開させてくれていたようにも感じられました。
今回の体験が、子どもたちの中でじわじわと育まれ、新しい気づきや創造に向かう、何かの大きい力となるかもしれません。それが見られるかもしれない未来に期待させられてしまうプログラムでした。

プログラムはすべて終了しましたが、記録冊子を制作予定です。引き続き楽しみにしておいていただけたら幸いです。


撮影:衣笠名津美、辻本しんこ、中村寛史、森本奈津美

KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016 東方悠平 てんぐバックスカフェをつくろう!! 開催概要
「ちびっこうべ2016」 特設サイト
★特設サイト内に、東方さんによる、滞在中やワークショップ時のこぼれ話を掲載しています #てんぐバックスカフェ

2016年9月18日(日)、22日(木祝)

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KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016招聘作家・東方悠平さんによる「てんぐバックスカフェをつくろう!!」ワークショップの、ダンスワークショップの回を開催しました。

前回の造形ワークショップでは、カフェの内装に使う造形物や、ダンスの衣装となるお面やエプロンを作りました。
今回はオープニングイベントやカフェの中で披露する「てんぐダンス」を練習します。ダンスは東方さんによる振付です。

9月18日
まずはラジオ体操、人間知恵の輪ゲームを行いました。
前回のワークショップから約1か月がたち、髪型が変わったり、ちょっと成長して見える子どもたち。「ちょっと知ってる人に久しぶりに会う」このシチュエーションに子どもたちが少し緊張して人見知りしてるようすを東方さんは感知し、(子どもたちの緊張が)うつって緊張してきた、と笑っていました。みんな、体操やゲームで体と緊張がほぐれたでしょうか。

そのあと、ダンスの中で、それぞれがオリジナルのキメポーズをとるパート用に、一人ずつポーズを考えて決めました。
また、3人組で行う振りのため、3~4人組に分かれました。分かれると、「チーム名を決めたい」と子どもから提案があり、チーム名を決定。「チワワ」「カラーズ」「HMYR」「きのこブラザーズ」という個性が際立つネーミングになりました。

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この日は基本的に、パートごとに練習。お客さんと店員のやりとりをイメージした振りの部分は「コーヒー」「できました」「はいどうぞ」などと言葉を交えてストーリーで覚えられるように工夫しました。




9月22日
最初に参考資料として、東方さんが集めている、日本の各地で行われる天狗が登場する祭礼や踊りを少し見てみました。「てんぐダンス」に似た踊りの動きがある地方も!

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東方さんが通しで踊った様子を記録したお手本動画を見せつつ、通しで練習。
何回か踊った後に、すでに1階ホールに完成している、オープニングイベント用のステージに立ってテストで踊ってみました。
全員が並ぶとステージがいっぱいになってしまったので、フォーメーションを再検討する必要がありそうです。

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練習しながら、造形ワークショップで作った旗がお気に入りで、旗を振る役を望む子どもがいたので旗振りのパートを作ったり、造形物の素材として置いていた棒を華麗に操るので、聞くとバトンを習っているというのでバトン役を作ったり、ワークショップ中に、子どもに合わせたダンスのアレンジも行われました。

何度も踊って、チェックして、を繰り返し、3時間のワークショップの中で、集中力も途切れそうになるのを、ハンカチ落としや休憩で補いながら、2日間を乗り越えました。
振りはどうにかみんな覚えたようですが、全員で合わせたり、立ち位置を守ったりするのにもう少し練習が必要そうです。


まだ追加ワークショップがありますが、本番も近づいてきています。
観客のみなさんにすてきな「てんぐダンス」を披露することはできるでしょうか?



撮影:坂下丈太郎(9月22日分およびinstagramを除く)

KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016 東方悠平 てんぐバックスカフェをつくろう!! 開催概要
「ちびっこうべ2016」 特設サイト
★てんぐバックスカフェのほか、「ちびっこうべ2016」ワークショップのようすをinstagramで公開中! @chibikkobe

2016年8月9日(火)~12日(金)

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KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016の招聘作家として、美術家の東方悠平さんをお迎えしました。10月に行われる子ども向けのクリエイティブ・ワークショップ「ちびっこうべ2016」の「ユメミセワークショップ」と足並みを揃えるようなかたちで、「てんぐバックスカフェ」を子どもたちと作り、実際に運営する、というプロジェクトを展開します。

てんぐバックスカフェ」は、東方さんが2013年に制作した作品のひとつ。その当時まだスターバックスカフェの出店がなかった鳥取県に、一足早く上陸させた、期間限定のカフェでした。(2013年、鳥取県倉吉市灘手地区で行われているアーティスト・イン・レジデンスに招聘された際に制作)

今回、子どもだけで運営し、子どもしか入れない「ちびっこうべ」のまちの中にオープンさせる「てんぐバックスカフェ」は、さまざまな新しい要素が盛り込まれています。
8月に造形ワークショップ、9月にダンスワークショップを行い、10月に控えるオープニングパフォーマンスと、まちオープン期間のカフェ運営に向かって準備を進めます。


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8月9日:オリエンテーション
合計13人の子どもたちと東方さんが初めて顔を合わせました。まずは東方さんから、自己紹介と作品紹介、てんぐバックスカフェとは何か?、これから何をするのか?、が語られました。子どもたちも簡単に自己紹介をしました。
一方的に話を聞いているだけでも退屈してしまうので、さっそくカフェに必要なものを作りはじめました。ダンスの衣装にもなる、エプロンです。てんぐの顔が描かれていて、鼻の部分は手が通せるように筒状に長くなっています。この鼻はダンスの振付けにもかかわってくるとのこと。
素材はビニールです。さまざまな色をしたビニールを切ったり貼ったりして作ります。すぐに作り始める子も、いくつかデッサンをしてから制作にかかる子もいて、目をキラキラさせたり、ヒゲに切り込みを入れてもじゃもじゃにしたり、作るプロセスもできあがった形も異なった、それぞれのてんぐエプロンができあがりました。
子どもたちには、ビニールでこんなことができるんだ、人によって全然違う顔ができるんだ、と、さまざまな驚きや発見があったようです。



8月10日~12日:造形ワークショップ
カフェに必要なさまざまな造形物を作りました。
必ず作るのは、てんぐのお面。ダンス用と装飾用で、一人につき、笑った表情と怒った表情の2種類を作ります。ボウルに新聞紙をぐちゃぐちゃにしながらあてて、緑色のテープでぐるぐる巻きにすると、お面のベースができあがります。そのあと、眉毛、目、鼻、ひげ、口、帽子、髪の毛をつけます。最後に後ろにゴムひもを通して被れるようにしたら完成です。


1個目で作り方をつかんで、2個目で工夫をする子が多かったです。青くしたり、髪を三つ編みにしたり、鼻を先太りにしたり。子どもの発想力に驚きます。
進み具合によって、うちわ/でかてんぐ/旗/コースター/てんぐメダル なども作りました。



数日にわたって、さまざまな緑色のてんぐを作ってきた子どもたち。作り方も会得したようです。「てんぐ」の定義やイメージが明確にない状態で作っていますが、なんだかすっかり受け入れられたようす。てんぐの不思議なところです。

2日目には、お互いの交流を深めるため、東方さんの地元・北海道でだけ普及しているという「大根抜きゲーム」を行いました。
みんなで腕を組んで、壁に背をつけて座ります。鬼?的な1人が、任意の人の足を、大根のように引っ張って抜きます。壁側の人たちは、抜かれないように腕を強く組んで抵抗します。抜かれた人は抜く側に回ってどんどん抜いていきます。



「ぜったいに盛り上がる!」という東方さんの言葉通り、悲鳴・歓声があがる大盛り上がりに。学校も年も違う子どもたちが顔を合わせて遠慮がちだった雰囲気が一転、ぐっと距離が縮まったようです。


4日間それぞれ、サポーターのみなさんに子どもたちの制作のお手伝いをしてもらいました。今回ちょっと特別だったのは、チュニジア人のSelim Ben Abaさんが通しでその中に参加してくれたこと。日本に2か月ほど滞在する期間中に、ボランティア活動がしたい、とのことでKIITOに問い合わせをしてくれたので、本ワークショップで受け入れました。

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「てんぐ」を知ってる?と聞くと、『名探偵コナン』で見たことがあったそう。日本語が話せないのでコミュニケーションの方法に戸惑う時間もありましたが、そこは造形ワークショップならではで、手を動かしたり、かたちをつくったりしながら、子どもと上手にコミュニケーションを取ってサポートをしてくれました。最後のほうにはお面作りの教え方を完全にマスター。目やひげのかたちは、作るごとに新しいアイデアを提案してくれて、さすがチュニジアの美術大学に通っているだけのことはあります。角をつけよう、と彼が提案すると、子どもが「それじゃあ鬼になっちゃうよ」と指摘する場面があり、てんぐの定義の境界線が見えたような、おもしろい瞬間もありました。

造形ワークショップは今回で終了し、次回9月は、カフェの中で披露するダンスを練習します。いったいどんなダンスなのでしょうか!?


撮影:坂下丈太郎(Instagramを除く)

KIITOアーティスト・イン・レジデンス2016 東方悠平 てんぐバックスカフェをつくろう!! 開催概要
「ちびっこうべ2016」 特設サイト
★てんぐバックスカフェのほか、「ちびっこうべ2016」ワークショップのようすをinstagramで公開中! @chibikkobe

2016年6月17日(金)~7月24日(日)

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撮影:加納俊輔


KIITOアーティスト・イン・レジデンス2015-2016の招聘作家として、写真家の長島有里枝さんをお迎えし、本プログラムの成果発表展として、「縫うこと、着ること、語ること。」を6月17日から7月24日まで開催しました。

2015年10月末から短期滞在を重ねて、本展での発表のために、取材や制作を行いました。展覧会では、古着を素材にしたタープ(キャンプ用の日よけ)と、滞在制作時に撮影した写真が大小さまざまに約40点ほど展示されました。
本作品は、2016年3月に、東京のMAHO KUBOTA GALLERYで発表された、母親との共作で作られたテントの作品の姉妹版となるものです。
タープの制作は、神戸に住む、彼女のパートナーの母親との共同制作によって作られました。タープの素材となる古着は、神戸在住または在勤の女性に、「捨てたいのに捨てられない服」はありませんか、と尋ねて集めました。服をもらう際、その服のエピソードを取材し、その服を身にまとった写真を作家が撮影した上で、その写真や、作家自身の古着と物々交換することで集めました。
滞在制作半ばの2016年3月26日には、キュレーター、批評家の竹内万里子さんを聞き手に迎えてアーティスト・トークを開催し、長島さんのこれまでの作品や、今回の制作についての思いをお話しいただきました。
アーティスト・トークの様子は、一部を再編集して、KIITOの季刊誌「KIITO NEWSLETTER」vol.13に掲載しました。

会期中は、神戸市内に限らず、遠方からも多くの来場者に恵まれました。アンケートに共感の思いをつづってくださる方も。
近年、執筆活動でも高い評価を受ける長島さん。本展でもテキストの展示を検討していましたが、最終的には展覧会とは異なるかたちで触れてもらうことを選択しました。これから制作する成果冊子で、今回の滞在制作の違った側面を見てもらうことができそうです。
というわけで、展覧会は終了しましたが、まだ楽しみは続きます。年内完成を目標にしています。完成時には報告しますので、ご期待ください。


関連企画
長島有里枝アーティスト・トーク「女性の話/about women」3/26開催、ゲスト:竹内万里子(キュレーター、批評家、京都造形芸術大学准教授) 開催概要レポート

参考資料
KIITO NEWSLETTER vol.13(3/26開催のアーティスト・トークの一部を再編集して収録)

主なメディア掲載記事
「神戸にて」p.56-63, 4/21,「歩いてめぐる神戸本」、京阪神エルマガジン社(※本人によるエッセイと写真)

「写真家・長島有里枝個展 女性の物語、縫い合わせ」7/13, 毎日新聞大阪夕刊、清水有香
http://mainichi.jp/articles/20160713/ddf/012/040/007000c

「写真家・長島有里枝さん 思い出の服テーマに個展」7/15, 神戸新聞、堀井正純
http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201607/0009286461.shtml
(全文を読むには会員登録が必要です)

フォトレポート、7/19, KANSAI ART BEAT、Reiji Isoi
http://www.kansaiartbeat.com/kablog/entries.ja/2016/07/kiito_nagashimayurie.html

「写真家・長島有里枝 “女性”という役割について考え、表現することで社会とゆるやかにつながっていく」7/24, 雛形, 孫奈美(インタビュー)
https://www.hinagata-mag.com/report/12561

「ARTIST INTERVIEW 長島有里枝」p.137-151、9/17、「美術手帖」2016年10月号(美術出版社)、聞き手:中村史子
http://www.bijutsu.press/books/2016/09/-201610.html


長島有里枝「縫うこと、着ること、語ること。」(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2015-2016成果発表展)
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2016年3月12日(土)

オープンKIITO2016のイベントの一つとして、東京のフリーペーパー専門店・ONLY FREE PAPER(以下OFP)によるイベントを開催しました。

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撮影:芦田博人

過去2回もオープンKIITOに合わせて開催し、「今読んでほしいフリーペーパー50誌」を展示・配布し、好評を得てきた企画ですが、今回は特別に、この日のために、OFPが2010年のオープン以来蓄積してきた、膨大な数のフリーペーパーアーカイブから、記憶に残る「ベスト100誌」を選出・展示する「FIVE YEARS-100 BEST FREE PAPERS by OFP」、というスペシャルコンテンツが加わりました。


今も発行が続いている人気のものから、廃刊となってしまったもの、くしゃっとしたゴミと間違えられそうな紙で作られたもの、などさまざまなフリーペーパーがNo.1~100にランク付けされて展示されました。100誌に選ばれたひとつひとつへの、松江健介オーナーによる熱いコメントがまとめられた解説書も合わせて配布しました。A4サイズ12ページものの、それだけでも読み応えのある解説書でした。

例年開催してきた「今読んでほしい50誌」の展示・配布コーナーでも、精選された50誌が並びました。じっくり選び、気に入ったフリーペーパーを両手いっぱいに抱えて持ち帰る来場者がたくさん。早々になくなってしまったものもありますが、多めに提供いただいたものは、引き続きライブラリに配架をしていますので、KIITO来館時には覗いてみてください。

終日、松江オーナーとスタッフの渡辺さんが会場に常駐くださり、来場者の好みに応じてフリーペーパーのオススメや情報交換も行われており、活気のある会場でした。フリーペーパー発行者自身の来場も多数あったようで、発行者側のコミュニケーションの場ともなっていたようです。

なお、今回、「ベスト100誌」展示をするにあたり、展示用のフリーペーパーラックが必要になったので、KIITOで1月に開催したセルフ・ビルド・ワークショップ「余白不動産-余白につくる小さな建築」でDIY技術を身に着けたワークショップ参加者に声をかけ、ワークショップ参加者有志でフリーペーパーラックを作る、という特別企画に挑戦しました。


ラックの設計と制作指導は、当該ワークショップにゲスト講師として参加したNO ARCHITECTS。土台に、KIITOに既にある小学校の机を利用して、計4台のラックを1日で制作しました。棚板が段違いなっていたり、45度になっていたり、バリエーション豊富で楽しいデザインです。イベントでも展示に花を添えてくれました。
イベント終了後は、館内でラックが必要な場所で再活用することにしました。これも来館時に出来栄えを見ていだたくことができます。


今回は、これまでの中で一番だったのではないか、というくらい絶え間なく来場者に恵まれ、フリーペーパーファンの多さ、フリーペーパー文化の豊かさを実感しました。KIITOでも引き続き、継続的なイベント企画・発信をしていきたいと考えています。


【オープンKIITO2016】ONLY FREE PAPERのオールタイムベスト100
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2015年8月22日~9月6日まで、KIITO 2Fライブラリで開催した「OUR DIARIES KOBE -100人が日記で綴る、神戸の日常生活と冒険-」展で神戸の100人に執筆いただいた日記をまとめた冊子を制作しました。
デザイン・制作はもちろんIN/SECTS。トレーシングペーパーのカバー、ミシン製本でかわいらしく仕上がりました。
展覧会の会場風景写真も収録し、手に取ってゆっくり100日記を本企画を読み返すことができます。
企画の発端となった『IN/SECTS』日記特集号と見比べながら合わせて読むと、また違った面白さが出てくるかもしれません。
KIITO内のライブラリでご覧いただけますので、来館時にはぜひ手に取ってみてください。


「OUR DIARIES KOBE -100人が日記で綴る、神戸の日常生活と冒険-」展
開催概要 / トークイベント「日記の魅力 〜日記文学と日記のことば〜」開催概要 / レポート

8月22日(土)~9月6日(日)

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2Fライブラリを会場にした企画展「OUR DIARIES KOBE 100人が日記で綴る、神戸の日常生活と冒険」を開催しました。

大阪のローカル・カルチャー・マガジン『IN/SECTS』を発行する編集プロダクション・インセクツとの共催企画です。
『IN/SECTS』の最新号・日記特集内の1コーナー、「関西1日記」をベースに、KIITOの展示では、神戸在住または勤務の100名の方に、1日だけ日記を書いていただき、日付順に並べることにしました。本展では「ことば」に注目し、文章だけの日記です。また、日記の他に、日記からピックアップされたフレーズも会場に点在させました。「もう脳みそが煮えくり返っています」「エルヴィス・プレスリー像の前で踊り狂う」など、その日にいったい何があったのか?と興味が湧く、印象的なフレーズばかりです。

会場構成はNO ARCHITECTS。KIITOの他の催事で使用し、余っていた角材を利用して、本展のために、三角形の構造体を設計・制作しました。タイムラインを示す1本の横棒を基準にして、上下の視点の動きが生まれるような作りになっています。


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9月5日(土)

関連企画として、9月5日(土)には、「日記の魅力 〜日記文学と日記のことば〜」と題したトークイベントを開催しました。
大阪の詩人・辺口芳典さん、元恵文社一乗寺店店長の堀部篤史さんをゲストに、インセクツの中村悠介さんが聞き手となり、それぞれの視点から、日記の魅力について語っていただきました。

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堀部さんは、『IN/SECTS』の日記特集に寄せたコラム「日記を読む、という悪趣味な愉しみ」に沿って、日記文学の分類や、各分類の中からお薦め日記文学:植草甚一、横尾忠則、『アンネの日記』、『古川ロッパ昭和日記』『池袋母子餓死日記』などの紹介、楽しみ方などを語ってくださいました。

日記文学は、見られることを前提として書かれたもの/そうでないものに大別できるが、淡々とした著述の中に、意図しないところで詩情がにじみ出ることがある。100人の日記も読んでいると自由律俳句や現代詩みたいに感じるときがある。作為的な記述の中だけに詩情があるのではない。また、見られることを前提として書いている日記でも、横尾忠則の日記は、自意識のあり方みたいなものを逆手にとって、淡々と露悪的なことを書いていて、横尾忠則だという自意識がみなぎっている。
日記を、自意識のあり方を背景に感じながら読むと楽しいし、作為のなさに事実の価値を読み取れたり、ポエジーを見出せたりする。フィクションしか読まない・日記文学には手が出ないという人も、そういう楽しみ方に比重を置いて読んでみると、楽しめるのではないか。 …等々、興味深いお話ばかりでした。


辺口さんには、「ダイアリー」「ポエトリー」「ローカル」をキーワードに、詩人という立場から語っていただきました。以下、辺口さんの言葉です。

日記は書かないが、常にメモを取っている。それに日付を書けば日記になってしまうようなもの。メモすることで自分を整理できる。何に自分が心を捉えられたか、どんな世界を見ていたかを記する。ボールペンの減り日本一だと思う。
日記、詩、ローカルはつながっている。
日本語で詩を書くという手法は世界とつながりにくいと思っていたけれど、突きつめていったら世界につながっていった。極端なローカルは日記に行くんじゃないか。そしてローカルは突きつめると世界に行ける。ダイアリーはローカルを突きつめる方法の第一歩。いちばんローカルを追求できるのが詩人。

最後には、100人の日記から辺口さんが気になった言葉をカットアップして、「ダイアリーを経てポエトリーに到達する、一歩手前」の朗読を披露し、締めていただきました。100人の日記から、一部が長短バラバラにカットアップ、リミックスされていますが、不思議とつながり、リズムができ、新しい響きが生み出されていました。


展示、トークを通して、神戸というローカルな100人の日常から浮かび上がる、同時代の共感、それを読み解く楽しみ。日記という形式の奥深さ、そこから広がる世界の幅広さを目の当たりにすることができました。


「OUR DIARIES KOBE -100人が日記で綴る、神戸の日常生活と冒険-」展
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