スケジュール

KIITOアーティスト・イン・レジデンス2014 濱口竜介 映画『ハッピーアワー』編集ラッシュ公開上映

イベント

日 時
2015/2/21(土) 13:00-19:00(アフタートーク 19:00-20:00)
場 所
KIITOホール  
講 師
濱口 竜介(映画監督)
アフタートークゲスト:港 千尋(写真家/映像人類学者)
モデレーター:芹沢 高志(センター長)
参 加
無料
途中休憩あり 途中入退出自由 ※終了時間は前後する可能性があります。
定 員
80名
主 催
デザイン・クリエイティブセンター神戸
レポート
http://kiito.jp/news/report/2015/03/05/18007/

「KIITOアーティスト・イン・レジデンス2013『即興演技ワークショップ in Kobe』」の成果発表から1年が経った。ワークショップ参加者をキャストとし、KIITOや神戸市内を主なロケ地として、2014年5月から12月まで、8ヶ月にわたる映画撮影が終了したところだ。
「編集ラッシュ公開上映(*)」では、「即興演技ワークショップ」からスタートした濱口竜介監督作品『ハッピーアワー』が、未完成の状態ではあるが、一篇の物語をもつ映像としてはじめて一般に提示される。撮影された映像素材を、脚本に添う形で編集したものを上映する。完成映画とは異なり、カットがつなぎ合わされた、未整音・未色調整・クレジットなしの状態での上映である。
*編集ラッシュとは
撮影した画面の内容をチェックするため、映像素材を試写することをラッシュといい、ある程度編集作業を経た映像を試写することを編集ラッシュという。一般的な映画では、監督を含めたスタッフと希望するキャストのみで行われる。

 

監督ノート―――濱口竜介
『BRIDES』という仮題の下に撮影されたこの映画について、知っている人は少ないと思うが、結果的に『ハッピーアワー』という少し間抜けなタイトルに落ち着いた。その経緯も含め、書いてみたい。

物語は「BRIDES(花嫁たち)」という仮題の示す通り、既婚女性4人を主人公として展開する。ただ、約8ヶ月にわたる撮影の中で、脚本の改稿を状況に応じて頻繁に行なった。改稿及びでき上がった脚本の特質は、この映画制作の特質そのものに由来している。「即興演技ワークショップ in Kobe」の参加者であり、メインキャストとなった4人の女性をはじめ、演者の多くは演技経験をまったく持たなかった。脚本は彼女らの演技を支え、助けるため、彼女らが演じる登場人物たちの生活や、できごとの推移、会話の発展の「一部始終」が、できうる限り詳細に書き込まれたものになっていった。結果的に撮影稿となった第7稿はページ数から慣習的に計算したところ6時間弱の長さとなった。

その結果、脚本というテキストに書き込まれたのはある種の「生」であるという実感を持っている。それは当初の射程を超えた。例えば結婚制度への疑問を突きつけるのでも、結婚生活の不毛を見つめるのでもない、単なる、しかし厚みのある生がそこにはあるような気がした。そして、そのテキストを生きるようにして、演者たちは演じ、カメラはそれを捉えた。ある日思いついた『ハッピーアワー』というタイトルは、そこに含意される楽天性や、「ごく短い時間」というニュアンスがよりよく物語の主題と重なるように思えた。加えて言うなら、それは何より我々が撮影しながら過ごした時間を想起させた。この映画にふさわしいタイトルと感じている。

現時点(2015年1月)では「編集ラッシュ」版から多くの部分の削除/組替が行なわれることによって、一般に流通し易い3時間弱の最終版ができ上がるものと考えている。ただ、ラッシュをしていて感じるのは、結局のところ写し取られてしまった「生」の手触りであって、それに強く誘惑されている。最終版がどのようなものになるのか、現時点ではまったく見えない。ただ、この6時間弱の「編集ラッシュ」版がこの映画の最も魅力的な形態である、という可能性は十分にある。それを観る唯一の機会になるかも知れない。是非、ご覧いただきたい。

 

『ハッピーアワー』2015年 公開予定
エグゼクティヴ・プロデューサー:高田 聡、原田 将、徳山 勝巳
プロデューサー:岡本 英之、野原 位
監督:濱口 竜介
脚本:はたのこうぼう(濱口 竜介、野原 位、高橋 知由)
撮影:北川 喜雄
照明:秋山 恵二郎
録音:松野 泉
助監督:斗内 秀和、高野 徹

 

告知リーフレット(PDFをこちらからダウンロードいただけます)


 

 

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濱口 竜介

映画監督

1978年神奈川県生まれ。映画監督。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。東日本大震災の被災者へのインタヴューから成る『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(2011〜 2013/共同監督:酒井耕)、4時間を越える長編『親密さ』(2012)を監督するなど、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。最新作『ハッピーアワー』は第68回ロカルノ国際映画祭最優秀女優賞受賞をはじめ、海外映画祭で高い評価を得ている。

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港 千尋

写真家/著述家/NPO法人Art Bridge Institute代表理事

1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科教授。記憶、イメージ、群衆などをテーマに、映像人類学をはじめ幅広い活動をつづけている。近著に『芸術回帰論』(平凡社新書、2012年)、『ヴォイドへの旅』(青土社、2012年)、『ひょうたん美術館』(牛若丸、2014年)、『革命のつくりかた』(インスクリプト、2015年)、『言葉の宇宙船 わたしたちの本のつくり方』(芹沢高志との共著、ABI+P3共同出版プロジェクト、2016年)。最近のグループ展に『近未来的交陪』(蕭壠文化パーク 台湾台南市 2017年)など。台北ビエンナーレなど国際展のキュレーションも行い、2007年には第52回ベネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2016の芸術監督も務めた。

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芹沢 高志

デザイン・クリエイティブセンター神戸
センター長

1951年東京生まれ。神戸大学理学部数学科、横浜国立大学工学部建築学科を卒業後、(株)リジオナル・プランニング・チームで生態学的土地利用計画の研究に従事。その後、東京・四谷の禅寺、東長寺の新伽藍建設計画に参加したことから、89年にP3 art and environmentを開設。99年までは東長寺境内地下の講堂をベースに、その後は場所を特定せずに、さまざまなアート、環境関係のプロジェクトを展開している。帯広競馬場で開かれたとかち国際現代アート展「デメーテル」総合ディレクター(02年)、アサヒ・アート・フェスティバル事務局長(03~16年)、横浜トリエンナーレ2005キュレーター、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」総合ディレクター(09年、12年、15年)などを務める。2014年、さいたまトリエンナーレ2016ディレクター。

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