2019/11/1
イベントレポート
2019年10月18日(金)
「高齢社会」。
私たちは、日々ニュースで介護の問題や年金の問題、介護をとりまく環境についてニュースで目に、耳にするがどこまで自分ごととして考えているのでしょうか。
家族に高齢者がいる。
また、高齢社会を支える仕事に携わっている。
身近にそういった問題を抱えていなければ、それは他人事で、遠いところの出来事のようにとらえてしまうことが少なくないのではないでしょうか。
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)では、2015年より高齢社会をより豊かなものに出来ないかと考え、専門家やクリエイター、編集者などを講師に迎え、高齢社会について知る・考える事からはじめました。その時点として、高齢者がより豊かに楽しく生きられるための持続的なプログラムづくりを行いました。
そのプログラムとして実施した「男・本気のパン教室」、「大人の洋裁教室」は、高齢者に新たな楽しみとやりがいを生みだす場として機能し、継続的に取り組んでいます。
2015年から4年がたった2019年。
高齢化から超高齢化へと高齢化の問題は進行している今、これまでの活動を振返り、考えつつ、次のフェーズへと進むため、2019年10月19日より「LIFE IS CREATIVE展2019」を開催しました。
今回の展覧会プログラムの特徴は、KIITOの取り組みだけではなく、海外の事例として、同じく高齢化の問題に面している台湾でのリサーチを実施し、その中でクリエイティブな先進的取り組みを厳選して紹介するというものです。
会期1週目の週末には、基調講演のほか、紹介している台湾の事例と神戸の事例を比較、検証する4つの連続トークセッションを開催することから、台湾より関係者一同を招聘し、一般参加者を交えたレセプションを会期前日に開催しました。
レセプションの料理を担当していただいたのは、「男・本気のパン教室」のパンじぃのみなさん、「男・本気のスイーツ教室」パピーのみなさん。そして、台湾にある高齢者シェフが腕を奮うレストラン「食億」より、5人のシェフが来日し、料理をご用意いただきました。
「食億」シェフのみなさんが到着すると、早速レセプションの準備と支度にとりかかっていただきました。慣れないキッチンでの調理のため、調理器などのチェックは真剣。逸る気持ちが抑えられず、「あれはどこ?」「これはある?」と次々に質問が飛び交いました。
レセプション当日は、午前中から食材調達のために神戸の大安亭市場へ向かいました。
見るものすべてが新鮮のようで、まるで遠足に来たかのように楽しそうに買い物をしました。市場の賑わいに負けないはしゃぎようでしたが、野菜の品定めとなるとその目は真剣。皆さんのプロ意識を感じる瞬間でした。
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神戸観光を兼ねたランチを済ませてKIITOに戻ると、調理がスタート。
“食億”シェフの皆さんは、今回担当メニューが決まっており、それぞれ準備に取り掛かりました。慣れないキッチンということもあり、スムーズに進むか気がかりでしたが、その心配は無用でした。皆さん手際がよく準備が進められ、あっという間に料理が完成。
驚いたのは、包丁でにんじんを蝶の形に切り抜くなどの高度な包丁さばきです。
シェフの皆さんの光る技を見ることができた貴重な時間になりました。
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レセプションでは、神戸市企画調整局長・谷口真澄氏による挨拶にはじまり、KIITO副センター長・永田宏和、本展開催の経緯について、本展協力先である台湾デザインセンター副センター長 艾 淑婷氏(にな・あい)、東海大学・リー・リフェィ氏から本展について、展覧会の中で紹介している台湾の取り組みの可能性や意義についてお話いただきました。
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登壇者挨拶のあとは、メニューを担当した“食億”シェフ、パンじぃ、パピーらからメニューについてご紹介いただきました。
今回のメニューはこちら。
・柿餅紅棗鷄湯(干し柿とナツメのチキンスープ)※台湾の伝統的な客家料理(台湾・食億)
・健康小肉丸子(ヘルシー肉団子)(台湾・食億)
・特製 蒼蠅頭(ツアンイントウ)※花にら、ひき肉、豆鼓を炒めた元祖台湾料理(台湾・食億)
・秘製 蔥油餅(秘伝のネギパイ)(台湾・食億)
・手工純米客家粄(客家の味 手製ライスヌードル)※台湾・客家民族の代表料理(台湾・食億)
・チーズパン(神戸・パンじぃ)
・マドレーヌ(神戸・パピー)
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会場では、日本、台湾のシェフが腕を奮った美味しい食事を味わいながら、世代や国を越えた交流が生まれ、あちこちで会話に花が咲いていたようでした。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
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KIITOは、共催団体である財団法人台湾デザインセンター(TDC)と継続的なデザイン分野の相互交流、及び協力を目的として協定を締結しました。
本展をきっかけとし、同じアジアにあるデザインセンターとしてとしての可能性を広げるていければと思います。今後のKIITOのへもどうぞご注目をいただければと思います。
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LIFE IS CREATIVE展 2019 オープニング・レセプション
http://kiito.jp/schedule/event/articles/37711/
展覧会の詳細はこちら
LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。
http://kiito.jp/schedule/exhibition/articles/37102/
photo:片山俊樹