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2020/3/9

イベントレポート

12月1日(日)、8日(日)開催 GOOD DESIGN WORKSHOP「審査委員体験」レポート

GOOD DESIGN WORKSHOP「審査委員体験」レポート
日時:12/1(日)13:00-16:00、12/8(日)13:00-16:00
講師:(1日:大学生向け):服部滋樹(審査委員/graf代表)、日本デザイン振興会
講師:(8日:一般向け):日本デザイン振興会

会期中に2回開催された「審査委員体験」では、グッドデザイン賞の審査委員になりきり、実際の審査の過程を体験することで、参加者にグッドデザイン賞を選ぶ視点を学んでいただきました。1日の講師はグッドデザイン賞審査委員でgraf代表の服部滋樹さんと日本デザイン振興会の渡部さん、8日の講師は日本デザイン振興会の津村さんでした。

                               

まず、日本デザイン振興会より、グッドデザイン賞の概要について説明がありました。グッドデザイン賞では受賞対象を点数の合計や多数決ではなく、審査委員の合議で決めているそうです。今回の模擬審査もそれに倣って、話し合いを重視したプログラムになっていました。

手始めに「お試し審査」から。審査対象となる「鉛筆」とその鉛筆に関する「審査資料」が配られ、個々人で鉛筆にグッドデザイン賞を与えるか否かの審査を行いました。それから、3-4人のグループで、個々の審査結果を共有します。その後、グループで話し合い、グループとして最終的な鉛筆の審査結果を出しました。

                               

参加者は、自分とは違う視点を持ったグループのほかの人の意見に耳を傾け、よく話しあった上で、審査をしていました。

次に、会場に展示されている32点の製品・取り組みを対象に、「ベスト3」を選出するという課題が出されました。参加者は展示会場内でメモを取ったり、触ってみて機能を確かめながら、どれを選ぶべきか、じっくりと検討していました。

         

審査対象を観察した後は、お試し審査の時と同じように、まず個人でどの作品をベスト3にするか検討し、その理由を発表しながら、グループ内で話し合ってベスト3を決めました。それから、グループの代表者が全体に向けてベスト3を発表します。代表者はグループのメンバーの作品に対する思いも代弁して伝えました。

全グループのベスト3が決まったら、次はいよいよ大賞の審査に移ります。各グループが出したベスト3の作品の中から、どれを大賞にすべきか、まずひとりひとりが投票します。ここでも本当の審査に倣い、すぐに多数決で決めるのではなく、その作品に自分はなぜ大賞を与えると思ったのか、その作品の良い点についてのプレゼンテーションを行いました。

                               

実際の審査でも、審査委員は、この作品にぜひグッドデザイン賞を与えて、社会に広めたい、という思いで熱いプレゼンテーションを繰り広げるため、プレゼンテーションを経て全体の作品への評価が変わることはよくあるそうです。講師からは、作品への「愛」を伝える気持ちでプレゼンテーションすることが大事とのアドバイスがあり、参加者も力をこめて作品の良い点についてのプレゼンテーションをされていました。

         

全てのプレゼンテーションが終わった上で、あらためて大賞の審査を行います。参加者はとても悩んでいる様子でしたが、1日の模擬審査では、「Ontenna」が大賞を受賞し、8日の模擬審査では実際の審査と同じく「結核迅速診断キット」が大賞を受賞しました。どちらも、今年のグッドデザイン賞の審査テーマ「美しさ」と「共振性」を持ち合わせていることが高く評価されました。

3時間にもわたる模擬審査でしたが、じっくり作品を観察して知り、いろいろな人の意見を聞き、悩み抜いた上で賞を決める、という審査のプロセスにおいては、まだまだ時間が足りないという参加者もいました。また、実際の審査委員は4,500点を超える審査対象からグッドデザイン賞を決定することから、審査委員の大変さを実感したとの感想もありました。
今回の審査委員体験を通じて、参加者には、作品の良い点を発見し、その良さを社会に広めていくていくというグッドデザイン賞の審査を、身近に感じていただけたのではないでしょうか。