2014/5/30
イベントレポート
2014年2月22日(土)、2月23日(日)
大分県別府市にて発展した「低温スチーミング」調理法をテーマに「未来のかけらラボ」を開催しました。別府市鉄輪(かんなわ)を拠点にギャラリーやイベントを運営しながら調理法を実践している安波治子さんを講師に招き、2日間にわたり、レクチャー及び調理のデモンストレーション、モデレーターである芹沢とのトークセッションを行いました。
湿度を100%に保ったまま、40℃~95℃の範囲で素材に合わせた温度で蒸す「低温スチーミング」は、食材の酵素が活性化し旨みが増すだけでなく、食べ物の酸化を極力減らし保存性が高まる調理法であることが安波さんより紹介されました。また、その前段階の下ごしらえとして「50℃洗い」も取り上げました。食材保管時に50℃の湯で洗うことで、鮮度が長く保たれるだけではなく、ワックスや農薬、虫や汚れ、肉や魚の表面の酸化した油を落とすことができることが紹介されました。
次に調理のデモンストレーションを行いました。水菜、玉葱、椎茸、鯖、鶏肉を使って「50℃洗い」と「低温スチーミング」を実践しました。参加者のみなさまに試食していただき、食材の色が鮮やかに保たれ、食感はシャキシャキ感が増すといった、調理の効果を実感していただきました。
最後にトークセッションを行いました。安波さんは、別府市鉄輪の老舗旅館「冨士屋旅館」を壊すことなく、今後100年耐久性を持つ建物へと再生工事を施し、また別府固有の景観である、別府石を用いた石垣や石畳の保存に力を入れるなど、次世代へ文化や景観を残す活動に取り組まれています。それらについてもご紹介いただき、伝統的な技術や文化を見直し、先駆的な知見や取り組みにつなげていく「温故知新」の重要性や、それらを実践していく上でのジレンマが話題に上りました。
今回紹介した調理法は、どなたでも家庭で実践しながら、その結果を持ち寄ることで今後も進化させてゆける調理法です。一人ひとりが実践の成果を理論に還元することのおもしろさがあり、可能性が広がるテーマですね。
「未来のかけらラボvol.3~低温スチーミング調理法の可能性~」
開催概要はこちら