2015/5/31
イベントレポート
2015年5月26日(火)
第3回目となる今回は、一般社団法人Think the Earthの上田壮一氏にお越しいただき、レクチャーをしていただきました。
Think the Earthはその名の通り、「地球的視野で考え行動する人」を育てることを目的とした団体です。
今回、我々が問題点としてあげた地球温暖化問題を含む、様々な環境や社会問題への無関心とあきらめの心こそ最大の課題ととらえ、書籍やウェブサイトなどで情報発信を行っているほか、企業、NPO、クリエイターとともにどんな方でも参加のできるプロジェクトを開発、提供し、環境問題、社会問題を自分事として捉え、考えてもらうことを目標に活動をされています。
まず、プロモーションを行うという視点から、無関心の状態をどのように関心に傾けるかという話がありました。
人間が行動するに当たっては、「理性(あたま)」「感性(こころ)」「感覚(からだ)」の3つの起点があり、頭でばかり考えさせようとするのではなく心に働きかけたり、身体を直接使って取り組んでみることで、より良い理解、興味を誘うことが出来ることを
「心が動けば体と頭が動く。」
「体が動けば頭と心が動く。」
という2つの言葉を用いてお教えいただきました。
次にこれまで上田さんが行なってこられたプロジェクトや環境問題に対するプロモーションの事例を紹介いただきました。
また、「緩和策」と「適応策」の2通りの活動の方法があることを紹介いただきました。
※「緩和策」・・・ex.二酸化炭素の削減、資源有効活用
「適応策」・・・ex.氾濫する河川に対して流域に即した都市の形成
合わせて、「サスティナブル(持続可能)」を実現するための状態を表す表現として「レジリエンス」という言葉を紹介いただきました。レジリエンスは”しなやかな強さ”を意味しており、例えば、津波での被害が起きたことに対して「巨大な堤防を築く」のではなく「住む場所を改め、街を環境に適応した形で再建する」というふうに創造的に回復、適応していく能力を表す言葉です。
環境問題を緩和、または適応していく上で持続を可能にするためには柔軟な判断と創造力が必要であることを解説いただきました。
お話の中で2000年代に「ベロタクシー」が東京を走った事例の紹介がありました。
ベロタクシーは人力で走る自転車タクシーです。燃料がいらない代わりに街にはガソリンスタンドを模した「水スタンド」が設置され、運転手が水分補給をしたそうです。
ガソリンを使わない社会を想起させるこのプロモーションについて、「見れないはずの未来を街に登場させ、純粋に『街がこうなっていったら素晴らしいよね』と、イメージさせる力があった。デザインには少し先の未来でも現代に登場させ、体験させることが出来る。」と当時の街の反応も含めて紹介いただきました。
最後に、「ほんの30~40年前は美しい星空が見えていたが、今は殆ど見えなくなってきている。エネルギーの消費についてのことが今一度見直され、いつかまたかつて見た星空を見れるようになることを望んでいる。」とお話いただき、自分を取り巻くの狭義な生活のことばかりでなく、意識を「地球規模」に広げ、身の回りの環境を今一度見直すことの大切さを学び、上田氏のレクチャーは終了しました。
レクチャー後には質疑応答を行いました。
「環境問題に対して自分事として捉えてもらうにはどのようなアプローチが望ましいか。」
という質問に対して、
「一番わかり易いのは”お金”。例えば、ガソリンが増税するとなれば化石燃料や再生可能エネルギーへの関心が高まる傾向がある。自分事と捉えるきっかけとして生活と深く関わるものにアプローチをかけると受け手も理解を深めやすい。」と回答されました。
別のゼミ生からは、
「経済活動と自然を守るための活動は二律背反であり、やるせない気持ちになるのですが。。」
という声があり、
「やるせないのは仕方がない。しかしネガティブになってはいけない。とはいえ、楽観的であってもならない。”悲観的でありながらもポジティブ”に受け止め、取り組むべき。」
と回答がありました。
永田さんからは今回のレクチャーを受けて、「『”対策”を促す』よりも、『活動した”結果”が実は”対策”になっていた』という方が目指すプロモーションとしてふさわしいのではないか。また、世代を絞ったターゲット設定を行うことも重要。」とのコメントがありました。
第4回目の次回は、中間発表に向けたグループミーティングです。
+クリエイティブゼミ vol.15 環境編 「地球温暖化対策プロモーション大作戦!!」
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