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2017/12/27

イベントレポート

+クリエイティブゼミ vol.26 高齢社会編 “風の人”になるための“種”の作り方を学ぶ実践ゼミpart.1 『パンじぃ、洋裁マダムにつづく、高齢者がワクワクできるプログラムを考える』第1回レポート

12月12日(火)

全4回からなる、「+クリエイティブゼミ vol.26 高齢社会編 “風の人”になるための“種”の作り方を学ぶ実践ゼミpart.1 『パンじぃ、洋裁マダムにつづく、高齢者がワクワクできるプログラムを考える』」がスタートしました。
KIITOでは、2015年から「高齢社会+クリエイティブ」をテーマに、超高齢化社会を迎えている日本において、元気な高齢者がワクワクでき、学んだコトをイキイキと地域社会で生かせる、そんなプログラム(種)をいくつか生み出してきました。男性高齢者が本気でパンづくりを学び、地域デビューする通称「パンじぃプロジェクト」や、女性高齢者が、着なくなった服をリメイクし、おしゃれに磨きをかける通称「洋裁マダムプロジェクト」は代表的な“種”の事例です。
今回の「+クリエイティブゼミ」では、こうした着実に効果をあげつつある既存の“種”に続く新しい“種”を考えていきます。

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第1回目となるこの日は、まずKIITO副センター長の永田宏和から、今回のゼミの目標やこれまでの実践例の紹介がありました。

最初に、プロジェクトを進めていくうえで大切な、地域豊穣化における3つの役割について。生活の質を上げ、人々がイキイキと暮らせるような地域をめざすために、ここではあえて「活性化」ではなく「豊穣化」という言葉を使います。地域には「風」の人、「水」の人、「土」の人がいます。今回のテーマに沿ってあてはめてみると、地域に居続ける「土」の人は高齢者。そして、「風」の人が地域豊穣化のための新しい種(プログラム)をつくり、「水」の人がその種を育てていきます。最近では「光」の人として「メディア」を挙げることもあります。これらの役割は自立していると捉えることもできますが、それぞれが必要となるスキルだと捉えることもできます。

また、種をつくる際に完全なプロジェクトを考える必要はありません。むしろ、隙や穴だらけの「不完全プランニング」を設定することによって、みんなが関わりながらつくりあげることができ、「みんなのもの」としてより定着するのです。
そもそも「クリエイティブ」とは、新しい何かを創り出すために「既存のものをぶち壊す」こと。クリエイティブな発想をするためには、これまでの事業やプログラムを「根本から考え直してみて」「既成概念にとらわれず」「広い視野で」「違う角度から」「情熱と愛情を持って」考えていくことが重要です。そうして生まれたアイデアにデザインを注入し、事業やプログラムに強度を与えてより伝わりやすくするのが「+クリエイティブ」なのです。

ここで、今回のゼミタイトルにも入っている「パンじぃ」「洋裁マダム」をピックアップして、過去のゼミから生まれた種についても触れていきます。
パンじぃは、増加する“社会から独立する男性高齢者”のために立ち上がった「男・本気パン教室」というプロジェクトから誕生したおじいちゃんたち。プロフェッショナルから本格的なパンづくりを学んで、様々なイベントを通してパンを人に振る舞う喜びを知り、東京で出張パンづくりをしたこともあります。洋裁マダムは、“おしゃれでいることで毎日の暮らしに活力を生み出す”ための「大人の洋裁教室」プロジェクトから誕生したおばあちゃんたちです。着なくなった着物をリメイクして、生まれ変わったワンピースでファッションショーを開いたり、手作りしたシャツを着てポートレイト撮影をするなど、年齢を感じさせないイキイキとした様子で取り組んでいました。パンじぃ、洋裁マダムはどちらも、誰かのために自分の技術を活用することで喜びを生み出すプロジェクトなのです。

このような継続する種を生み出すためには、リサーチ強度を上げていくことが一つのポイントとなります。リサーチの手法としては大きく次の3種類が挙げられます。
・ネット検索、書籍、雑誌
・電話、アンケート
・インタビュー、観察
インターネットは便利ですが情報の正確性に欠けるため、なるべく現場に足を運び、直接耳を傾けることがリサーチ強度を上げるコツです。限られた時間とリソースの中で、効率よく、分担し、アイデアを出すことが、的確で有効なリサーチをデザインすることにつながります。
また、+クリエイティブな企画には「シナジー」が必要不可欠です。シナジーとは、相乗効果を意味し、ある要素が他の要素と合わさることによって単体で得られる以上の結果を上げることができる、というものです。その本質は、お互いの違いを認め、尊重し自分の強みを伸ばし弱いところを補う点にあります。自分の考えを押し通すのではなく「どう思う?」と聞くことによって、周囲の意見がプラスされ新しいものが生み出すことができます。協力関係と信頼関係の積み重ねによって、シナジーが創り出されるのです。
そして重要なのは、高齢者が“ワクワク” “イキイキ”の両方を実現できるプログラムを考えるということ。それを叶えるためには、高齢者のニーズと地域のニーズの両方の側面から捉えていく必要があります。誰とやるか、どこと組むか、お金はどのくらいかかるのか、逆にお金をかけずにできる方法を考えるのか等、具体的なアクションプランを練っていきます。

ゼミに対する意気込みを新たにした所で、いよいよチーム分けをします。今回は、あらかじめ設定されたテーマの中から、自分が興味のある分野ごとに分かれるという手法を取りました。さらに、「この中にやりたいテーマがない」というゼミ生は新たにテーマ設定をしてもよいというルールのもと、いくつかテーマが加わりました。“3名以上でチーム成立”という条件付きで分かれてもらう中で、テーマにかける想いをゼミ生が熱く語る場面や、その想いに動かされてテーマを移動するなど小さなドラマが生まれ、最終的に次の6つのチームが誕生しました。

◇食
◇ものづくり(DIY)
◇音楽・ダンス
◇観光
◇メディア(カメラ・編集・イラスト)
◇医療

全体での自己紹介のあと、ゼミ生たちは各チームに分かれ、さっそくテーマに対する自分の考えを熱く語り合っていました。既に、用意した付せんを使いアイデアを貼り出し始めているチームもあり、それらを元に第2回に向けたリサーチ計画を立てていきます。

 

 

次回は、リサーチを元にしたグループワークです。いったいどんなアイデアが生まれるのでしょうか。

+クリエイティブゼミ vol.26 高齢社会編 “風の人”になるための“種”の作り方を学ぶ実践ゼミpart.1 『パンじぃ、洋裁マダムにつづく、高齢者がワクワクできるプログラムを考える』
※全回聴講可|聴講希望の方は、school@kiito.jpまで、聴講希望日・氏名・アドレス・電話番号をお送りください。