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2019/1/14

イベントレポート

Designers 17 B面チームを作った理由と世の中のチームとの違いは?レポート

デザインの現場の第一線で活躍されている方々からトークセッションという形でお話を伺うDesigners。
2018年はTRITON GRAPHICSの松岡賢太郎氏をインタビュアーに迎え、建築・プロジェクト創出・写真といった様々な分野で活躍されるゲストの方をお招きしてお話を伺います。

今回のテーマは「抜け出す勇気」
ライバルが多い業界の中で、生き残るためには「自分の価値を信じ、他人とは違うことを考える事・実践していくこと」と松岡さんはお話をされます。もちろん他人と違うことを実践していくには、経験や知識以上に「勇気」が必要です。今回のトークイベントでは、周りから一歩抜け出すための方法とそのための勇気をゲストの方の活動と考えから探ります。

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12/1(土)に開催した「Designers 17 B面チームを作った理由と世の中のチームとの違いは?」ではゲストに広告代理店電通の中でも電通Bチーム代表を務める・倉成英俊さんをお招きしました。電通BチームとはA面(本業)以外、B面(個人活動)を持った社員を束ねるオルタナティブアプローチチームのことです。その電通Bチームの実態や活動ないようについて深く掘り下げながらお話を伺います。

倉成さんと松岡さんの出会いからお話がスタートです。
お2人の出会いは10年前「ECO DESING EXPO」。そこで出店した倉成さんが出した作品が「Sun×5」というものでした。太陽光で充電できる乾電池を、バルセロナ、ハワイ、沖縄、ヘルシンキ、サンパウロに送り、現地の友人たちに充電してもらって送り返してもらった。豆電球と一緒に展示し、世界5カ所の太陽エネルギーを神戸で再生できるようにした。というものでした。この作品を見た松岡さんが、まったく新しいアイデアに刺激を受けたといいます。

そもそも電通Bチームって?

話題は「電通Bチーム」についてに移ります。
倉成さんはこう話しを始めます「基本は電通の社員です。で、Bチームって仲良しグループなんですよ。気の合う仲間と気の合う仕事をしているっていう感じです。文化祭実行委員会みたいな。そもそもの発足としては、電通総研から、チームを作ってほしいといわれた所からだったんです。その理由は?成果は?と問い詰めたら、2年以内にリサーチチームを作って仮設を立てて成果を出せばいいと言われたんです。それ以外は何やってもいいと。」「広告って副業文化で電通ってそもそも、面白いことやっている人がたくさんいたんです。そういう人達の頭の中には知識はもちろん、現地の情報を知ってたりすごい繋がりを持っている人がわんさか居たんです。そいつらとチームを組めば、もうシンクタンクができたといっても過言じゃないと思ったんです。」「もう一個はB面で集めた情報が、他の世代に応用できるということに気づいたんです。お菓子業界の情報が釣り業界でつかえるかもしれない。みたいな。社員のB面をつかっているということ。閉塞している世の中に違う方法をつかったらいい“プランB”を提供するチームという2つの意味を込めてBチームとをつくりました。」

「電通Bチームのコンセプトは「アンチビジネスライク」と「好奇心第一」ぼくらの大事な仲間の人生の時間を1秒でもつかいたくない。と思っているんです。チームとして、仕事仕事しない。気を使わない相手と一緒におもしろいと思うものを作っているだけなんです。」

将来の夢は発明家

そして、倉成さんの事例を紹介しながら「抜け出す勇気」についてトークを進めます。
まず、例に挙げられた作品は「INDUSTRIAL JP」という町工場の機械の音でつくられる音楽レーベルについてでした。
「きっかけは、彼。大学で一番ノートを貸してくれていた良い奴。そいつが町工場の3代目なんです。」と話をはじめました。
「誰と組むか、1人目は町工場をブランディングして復活させた彼。2人目は映像をつくれる下浜臨太郎。この映像のアートディレクションは彼。3人目はDJ MOODMAN。こうして形になってきたんです。」

今回のトークテーマに沿って「抜け出す勇気」にそって、倉成さんの半生についてお話を進めていきます。
「小学1年生のときの将来の夢文集なんですけど。発明家になりたい。って書いているんです。男の子は野球選手かサッカー選手、女の子はお花屋さんか看護師さん。それで、みんなと同じは嫌だなって思ったんです。それで発明家ってかいたら褒められたんです。これが言わば初めのブランディング活動だったといえます。」「競合が何をするか見て、後出しじゃんけんで、競合がやらない目立つことをする。しかも自分の個性で。」

次の転機は大学生の時だったと話を続けます。東大に機械工学科に通う倉成さん。みんなが大学院に行く中疑問を感じたそうです。進路を考えた時「本屋さんで見つけた“広告業界”の本を見つけたことがきっかけにコピーライター養成講座に通うようになったんです。そこで気づいたんです。僕が発明家になりたいと思っていたのはエンジニアリング的なものではなくて、もっと生活に近い。主婦のアイデアみたいなものの方が好きだなって。そこで、広告業界に進もうと思ったんです。」とお話をされました。

その後、いざ就職ってなったときに、電通のクリエイティブ塾の採用でこんな課題があったんです。と話を進めます。
「1週間が8日に増えたら、その1日何をしますか?800字でかきなさい。」当時のカレーにはまっていたと倉成さん「そんなのカレーを追加で1日寝かせるに決まっているじゃないですか。」と作文を書き、さらにそれじゃインパクトが足りないなと、スパイスをつけた「匂い付き作文」で提出しました。そしたら合格通知がきたんです。後で話を聞いたらカレーに付けていたスパイスの油分が他の書類にしみてしまってたんです。そのインパクトで合格を得たんじゃないかなって(笑)」

次の転機はAPEC2010 Japanの仕事でした。「日本が議長国として発信すべきメッセージとは?」というお題に対し、倉成さんは知り合いや当時の先生などから話を聞きリサーチを始めていきます。外務省でのプレゼン後、一人の議員よりお話をされたと話を続けます。「お金も時間もないなかで成果を出さなくてはいけない。知恵を貸してほしい」倉成さんはこう答えます。「お金がない・時間がないことはチャンスなんです。時間がないから締切が近いからって理由で偉い人に挙げちゃうこともできる。」その後さまざまなつながりや知恵をつかって事業を成功におさめます。「さまざまな仲間と一緒に仕事をする。信用できる友人をたくさんつくる。ゴールを決めればあとは、そういった友人に託せばいい。誰と仕事するかが大事」という話を繋げます。

最後に、3年半前にエコノミー症候群と大腸ガンで死を目前にした経験から「自分の仲間の時間を無駄につかうことは罪だ」と感じるようになったということ。アーティスト川島猛さんから送られた「Why bone」の絵から「君は世の中の何係?自己定義をしてください。」と話をし今回のトークは終了となりました。
倉成さんのお話の中でも、谷尻さんのお話と同じように、何をするかよりだれとするか。また、アイデアは実践をしていくなかで繋がっていくものということを感じることができる内容となりました。

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