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2019/10/25

イベントレポート

+クリエイティブレクチャー「0→0.1のアイデアを発見する ~ブルーパドル思考のすすめ~」 レポート

8/31(土)

デザインやアート、まちづくりなど様々な分野で活躍されるトップランナーの方をゲストに迎え開催を行う「+クリエイティブレクチャー」。今回、株式会社ブルーパドルの代表を務める、佐藤ねじさんをお招きして、+クリエイティブレクチャー「0→0.1のアイデアを発見する ~ブルーパドル思考のすすめ~」を開催しました。

プランナー・アートディレクターとして、ウェブやアプリ、空間、インスタレーションなど様々な企画・制作を行う佐藤さんより発想法やアイデアの集め方についてお話を伺います。

ブルーパドル思考
佐藤さんの代表を務める会社の社名にもなっている「ブルーパドル」。この言葉にはどのような思いが込められているのでしょうか。自己紹介に続きお話がスタートします。
「ビジネス用語で競争が激しい既存市場のことを血で血を洗うような競争の厳しい領域とのことで「レッドオーシャン(赤い海)」という表現をします。逆にだれも手をつけていない、競争相手の少ない領域のことを「ブルーオーシャン(青い海)」と例えます。このご時世において、新しくでてきた義実やテクノロジーもすぐに色々な人が手をつけてレッドオーシャンへと変わっていってしまいます。そんな大きな表現の塊は見つけれないにしても、小さな新しい表現・アイデアが潜んでいる。小さなブルーオーシャン「ブルーパドル(青い水たまり)」を見つけることはできると思うんです。」

「しゃべる名刺」
方法のやりつくされている紙の名刺。ある時、名刺のサイズとipone SEとサイズが同じことに気づき、名刺にハイパーリンクをつけて、タップすることで名刺がしゃべる。

紙の中では、出来る事の範囲は限られているにしてもウェブなどのデジタルコンテンツを使用することで、表現の幅を広げる事例として紹介されました。「小さくてもいいから、新しい表現を探していく」ということが、佐藤さんのお仕事や作品作りにおけるテーマとなっているそうです。これから、アイデアを生み出すための発想方について、いくつか紹介があります。

1:「コンテンツの賞味期限」発想法
料理や散髪といったコンテンツの体験時間を極端に早くすることや遅くすることで面白さが生まれます。
コンテンツに存在する暗黙の体験時間(賞味期限)を「異常値」にすることで生まれる新しい表現をつくる発想法のことです。
「劣化するWEB」
時間が経過する事に“かすみ”や“黄ばみ”が生まれてくるというWEBサイト。WEBサイトの新たな表現をさぐる「変なWEBメディア」という作品の中の一つです。

定期的に劣化具合を確認する固定ファンをつくり、一度見に来るだけで体験としての時間が終わってしまうWEBサイトというものを時間の経過とあわせて楽しむことができるという事例です。

「貞子3D2 スマ4D」
ホラー映画の「貞子2」と連動したアプリケーション。映画を見終わった終わり、家に帰った後にスマートフォンから貞子からの着信がくる。など様々なホラー表現を体験できる。

映画という2時間の体験時間の枠を外すことで新たな表現が生まれるといった事例です。
「UX(user experience)、消費者(ユーザー)がコンテンツを体験している時間の、前と後もコンテンツとして成り立つ。例えば飲料でも、飲み物を飲んでいる時だけでなく、例えば飲み物を買うときや飲み終わって捨てるときにも、コンテンツになる幅がある。体験における時間を変えるだけでアイデアはたくさん出てくる」と事例を交えながら紹介いただきました。

2:「因数分解」発想法
要素をある軸で因数分解して、そこから再構築することで新しい表現が見つかる。方法です。

「顔ハメ絵本」
絵本の最小単位は「絵」と「ことば」と「読む人」の3種類。それを「絵と読む人」+「ことば」に分解して再構築します。絵本にでてくるおじいちゃんやおばあちゃん、鬼など登場するキャラクターの表情になりきって絵本を読み聞かせすることができる事例です。

「路上絵本」
絵本の最小単位である、「絵」と「ことば」と「読む人」。その要素さえあれば「本」という媒体にとらわれなくても絵本として成り立つのではないか。というアイデアです。「絵」は散歩道の風景、「ことば」は文字の投影を行い、普段の散歩道が絵本になるという事例です。

「アナログデジタルボドゲ」
ボードゲームの最小単位「カード」と「ルール」。その「カード」にIICカードを利用します。スマートフォンのアプリを使用することでゲームができるボードゲームの事例です。

視点をかえることや既存の要素を理解することで、アイデアをたくさん出すことが出来るという事例です。

3:「ネガポジ」発想法
ネガティブな要素をポジティブなものに変換していくことで面白さは生まれてきます。よいネガティブをポジティブな
内容に変えていく発想法のことです。

「レシートレター」
レシートはすぐにすてられる最弱の紙媒体です。不意にレシートを見られると何もやましいことをしていなくてもどきっとしてしまうものです。そんなネガティブな要素を逆に利用して、レシートが相手に感謝を伝える手紙になるという作品です。

4:「機能エラー」発想法
機能を壊すことで新しい視点が生まれるという発想法です。機能とされているものを置き換えたり、意味を無くすことで新しいアイデアが出てきます。

「世界で最も小さなWEBサイト」
4pxで文字が書かれており、コピーしてメモアプリなどを使用して変換しないと見えないWEBサイトです。

「5歳児が値段を決める美術館」
子どもの工作とECサイトを組み合わせ、買えないものが売っているECサイトです。作った工作を、数字の概念がない子どもが値段を決めることで、モノを売り買いするECサイトとしての役割がなくなります。その中でモノの価値を子どもに考えてもらえる機会としています。

「絶対にクリックしてはいけないサイト」
クリックをすると侮辱した画像と共に、サイトのTOPに飛ばされるWEBサイト。

5:「見慣れたものハック」発想法
人が慣れているものが変わると、強烈な違和感が生まれる。その違和感をアイデアに変換していきます。

「館内放送GIG」
聞きなれた館内放送を利用して、GIG(小さなライブハウス)をつくる作品。

6:「観察」発想法
現場の観察から生まれてくるアイデアです。

ハイブリット黒板アプリ「kocri」
プロジェクターをつかって黒板に投影することで授業のサポートを行うアプリです。電子黒板でやっていることをアナログの黒板でできるようにする。ハイブリットな黒板。
これは、電子黒板や生徒にI padを買うようなお金はないとしても、黒板に投影することで、デジタルの良さも活かすことができるという内容です。

アイデアの集め方
次に佐藤さんのこういった、アイデアがどのように出てくるか。そのアイデアの集め方についてお話をいただきます。
自分のことをメモ魔とお話される佐藤さん、1軍ノートと2軍ノートを作って日々の思いつきや感じたことをメモしていくとお話をされます。

「2軍のノートには、アイデアやタスクやメモなど色々な情報があります。その中にベストの情報がつまった1軍のメモを再整理してつくります。イラストなどを交えながらつくります。完璧ではなくても、見返すためのベスト盤を作ること有用です。」
「また、書いたメモの色を分ける事も重要です。アイデアはピンク、タスクは緑、ポイントになるところは水色でマーカーをしています。色のルールをつくることで振り返りもしやすくなります。」
「デジタルのメモはEvernoteというアプリを使っています。その中で「今週のアイデア」というページをつくって、毎週思いついたアイデアを書いていきます。思いついたアイデアを貯めておくハコを作っておく。ハコを作っておくことで、日ごろから日常のことに目をやること出来ます。」
「3軍ノート:捨てメモ、2軍ノート:一番使うメモ、1軍のノート:ベスト盤メモといったように、その状況にあわせてメモをためておきます。SNSで集める情報も特に、何かにまとめず、それぞれのSNSで収集をしておきます。自分の書くメモはアナログやデジタル関係なく集めていっています。」

世の中で何が面白いとされているかということを調べれると同時に、自分の中で面白いと思っていることは何かをメモによって整理していきます。とお話をまとめました。

質疑応答
Q:チームでのアイデア出しはどうしていますか?
A:ブレストではブレストでの方法があります。ファシリテーター(まとめ役)とアイデアを出す人で分かれてネタを出していきます。アイデアの切り口を考えるブレスト、課題を単純化していく軸を探すブレスト。両方を行います。

Q:アイデアを具現化するために気にかけていることありますか
A:子どものアイデアを出すときも、自分の少年時代で考えるとズレてしまうんですね。だから現場の観察を常に行います。時代とズレないために環境を整えていきます。

Q:観察からどのようにアイデアにしていますか?
A:カラーバスのようにテーマを決めて、自分で情報を収集する軸を決めて観察をしています。自分の中で軸をつくるとポンっと情報が入ってきたりするんです。

Q:アイデアを深めていく方法は?
A:アイデアには文脈があると思うんです。アイデアが出てくるルートをどんどんと辿っていくと、より濃いアイデアが出てくるんです。アイデアの要素を分解して、他の要素に組み替えたりしながら、アイデアを転がしていきます。

Q:提案の突破方法は?
A:さっきも言っていたようにアイデアを転がして、相手が望むものに組み替えていったりします。

Q:アイデアが固まった時に通らなかったときはどうしますか?
A:またどっかで使えばいいと思って別のアイデアをだします。でも確実にいい案であれば、めちゃくちゃプレゼンをします。

Q:最初はおもしろいと思っていたアイデアが、面白くなくなってしまった時どうしますか?
A:けっこう頑張ります。面白くならないための環境を作っていきます。どうしてもしたいアイデアで予算が足りないというようでしたら、自分で投資をすることもあります。どう、より良いモノを実現させるかを探っていきます。

Q:企画に対する費用はどう計算していますか?アイデアの値付けはどうつけますか?
A:全体の予算からいくらということもあります。企画についていくらというのもあります。クライアントとの信頼度にもよります。

Q:好きな曲はなんですか?
A:岡崎体育

Q:神戸に来てアイデアはでましたか?
A:美術館とか待ちを歩いたりするとアイデアは出るんですけど、映画見たりしている時ってアイデアは出ないんです。神戸の街を歩いている時、銅像が多くて帽子をかぶせてみたりして見ました。もっと深堀していくと何かアイデアが出てきそうだと思いました。

Q:小学校でプログラミング教育がはじまりますが、テクノロジーに対して期待することはありますか?
A:プログラミング教育を先生が教えるための先生のための教材が必要になってくるんじゃないかなと思っています。学ぶ場所が今よりも必要になってくると思っています。

まとめ
佐藤さんより、今回のトークイベントのまとめとしてこう話を始めます。「今回はアイデアの出し方をメソッドとして取り上げましたけど、アイデアの出し方や思考法はたくさんあります。自分のとって考えやすい方法を考えてみるのがいいのではないでしょうか。また、メモをきちんと取ることも大切。アイデアを貯めるための箱をつくってそこにためていく。アイデアを出すことを習慣化させていく事が大切なんじゃないでしょうか。」「デザインやクリエイティブに関わらない人でも今、情報を発信できる場所はたくさんあります。そういった所で発信していくことがいいんじゃないでしょうか。普段の家事や仕事でも、たくさんアイデアを転がしていってみてください。」

生活の中の小さい発見も、見方や転がし方によってはアイデアに変わっていく事を実感できる機会となりました。

イベントページはこちら:
http://kiito.jp/schedule/lecture/articles/36546/