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2020/3/3

イベントレポート

11月23日(土)開催 グッドデザイン連続講座 1.「コミュニティを育むモビリティのデザイン」レポート

グッドデザイン連続講座 1.「コミュニティを育むモビリティのデザイン」
日時:11/23(土)14:00-15:30
講師:森口将之(審査委員/モビリティジャーナリスト)、加藤博巳(チョイソコ/アイシン精機イノベーションセンター部長)
進行:久慈達也(本展キュレーター/DML代表)

今年度の「グッドデザイン・ベスト100」では、喫緊の社会課題の一つとして「モビリティ」(人やものの移動とそのための手法)の取り組みが目立ちました。

この日は、グッドデザイン賞審査委員でモビリティジャーナリストとして国内外の交通事例に詳しい森口将之さんと、デマンド型交通「チョイソコ」で2019年グッドフォーカス賞[新ビジネスデザイン]を受賞したアイシン精機株式会社の加藤博巳さんをゲストに迎え、これからの都市におけるモビリティの可能性についてお話いただきました。

まず、森口さんより、「MaaS(Mobility as a Service)」について説明がありました。MaaSとは、フィンランド発祥で、これまでバラバラだった公共交通機関を、ユーザーのニーズに応じて連動して利用できるように一つのサービスに統合するものです。グッドデザイン賞を受賞したアプリ「Whim」はそれを具現化しており、目的地までの経路をあらゆるモビリティサービスを使って案内することができます。また、日本での地域交通の先進事例として、京丹後におけるUberシステム利用の事例を紹介していただきました。

                               

次に、加藤さんより、チョイソコの仕組みについて紹介いただきました。チョイソコとは、主に高齢者や交通不便者を対象とした、電話申込みで自宅最寄り乗降場から希望の行き先乗降場まで他利用者との乗り合いで送迎する移動サービスです。利用する人のことを考え、電話で申し込みができるようにしたことは重要なポイントのひとつです。また、同様のサービスと差別化したポイントは、行き先乗降場を設置できるエリアスポンサーから協賛を得て、従来の公共交通で課題の多い採算性を安定させたことです。さらに、単にシステム提供に留まらず、高齢者が外にでて経済活動をする仕組みの構築(イベント等のコトづくり)が不可欠な要素だと強調されていました。

                               

トークイベント終了後はしばらく、登壇頂いたおふたりへの質問待ちの行列ができるほど盛り上がった講演会となりました。
地域交通を通じてコミュニティ形成あるいは再生に貢献する好例でした。「コミュニティを育む」ことも地域交通が担う役割として今後、期待されるのではないでしょうか。