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2021/1/26

イベントレポート

1月19日(火)開催「+クリエイティブゼミ Vol.35まちづくり編「空き家の新たな活用方法を、地域豊饒化の観点から考えてみる」」第4回目レポート

去る1月19日(火)に、「+クリエイティブゼミ Vol.35まちづくり編「空き家の新たな活用方法を、地域豊饒化の観点から考えてみる」」の第4回目を開講しました。今回より、ZOOMによるオンラインのゼミに移行し、本格的にグループワークがスタートしました。この「空き家」ゼミでは、利用者層にもとづいて、

①子ども(子どもの活動を支援する個人、団体も含む)
②大人(大学生以上、まちづくり団体なども含む)
③高齢者(高齢者を支援する団体も含む)
④その他(外部からまちづくりに関わる個人、団体も含む)

という4つのテーマ(グループ)を設定し、それぞれの想定する利用者層に基づいて、空き家を活用するアイデアを練っていきます。

グループワークに先立って、永田副センター長から、このゼミで「空き家」の活用のアイデアを練っていく際のポイントが紹介されました。

・1つの空き家の活用だけでなく、他の地域へも水平展開可能なモデルを作る。
・自分自身が、どういった立場で空き家やその地域に関わるか、立場を意識する。まずアイデアを持ち込むのか、あるいはパートナーを見つけることも含めたプランを考えるのか、見つけた上で、活動をスタートさせるのか、どういった形でアクションをするのかをイメージする。
・事業として実現、継続ができるものかどうかを重視する。
・他の地域の事例も参考にしながら、一般の不動産的な2者間、あるいは使い道が固定化されている仲介ではなく、より多くの人、団体、活動を「つなぐ」ことを重視する。

このレポートでは、各グループワークの模様を下記に紹介します。

子どもグループ
全員が顔を合わせるのはこの日が初めてだったので、まずは簡単な自己紹介から始まりました。それぞれ、今回空き家の活用方法を考えていくうえでなぜ「子ども」というテーマを選んだのかを話していると、自身の経験や活動などに絡んだエピソードが飛び出しました。メンバーへの理解を深めたあとは、対象物件を見学したときに気づいた点を共有しました。「ロフトは子どもが喜びそう!」「わくわくして秘密基地感がある」「放課後に子どもたちが集まれるようにしては」等、イメージを膨らませていきます。また、どの年齢層の子どもを利用者の対象とするのかという点でも議論しました。高校生や大学生は運営側に回ってもよいのでは、というアイデアも出て、誰が運営者となるのかなど現実的な部分を考えていかないといけないことを再確認しました。次回は、神戸市の空き家利活用の考え方やほかの事例を参考にしながら、さらに詳しく案を出していきます。


大人グループ
グループワークでは、物件見学に行った感想の共有と普段の生活での違和感や不便さから空き家で解決できないかという視点で、活用するアイデアの種を出し合いました。
物件の印象は「2階の日当たりがとても良かった」「周辺地域の道は迷路のようだった」「高速道路が近くを通っているが、静かだった」「隠れ家、秘密基地のようだった」「自分の実家のようだった」など意見がありました。見学後には周辺地域の様子を各自周り、まちの雰囲気もリサーチしていました。
アイデアの種では、「物置に眠ってしまった健康器具を地域の人で活用できないか」「アウトドア用品を地域で共有できないか」「地域の部活動の部室にならないか」「アトリエや工房など自分の趣味部屋が自宅以外にあるといい」「いきなり住むには勇気がいるのでお試しの生活体験ができるといい」など、大人チームなので自分事として空き家の活用について意見交換をしました。引き続きリサーチを進め、アイデアの種を膨らましていきます。


高齢者グループ
高齢者グループでは、物件を見た際に気づいたことを発表しつつ、そこから、何ができるか、というアイデアを探るところから、グループワークがスタートしました。坂が多い立地は高齢者には負担になる一方で、海も近く、他所から来る人にとっては魅力的なローケーションで、周囲の公園では高齢者が運動する姿も見られたこと、物件じたいの庭、部屋数の多さ、広いキッチン、近隣との近さなどを活かした、高齢者の健康促進、エコハウス、寺子屋的な場所といった使い方が意見として挙げられました。
一方で、周囲との関係にも目を向けて、近隣の別の場所とのつながり、行き来、回遊を生むようなこともできないか、という視点でも意見を出し合いました。また、相乗効果をもたらすには地域から新たな担い手が必要ではないかという点で、活動の場を探している高齢者にアプローチとしてみること、あるいは、地域団体に状況を尋ねてみることが、具体的、効果的なアイデアを作るのには欠かせないという意見も出されました。


その他グループ
最初に対象となっている物件や、その周辺についての感想や意見、疑問を出していくところから議論がスタートしました。物件周辺の状況がまだ把握できていないこと、地域との関係性や、どうやったら良い影響をもたらせるか、という点から、周辺地域で行われている活動、住んでいる人の動きについてリサーチし、地域の課題や協力できそうな団体や動きに注目してみることになりました。
一方で、地域の課題や団体に注目する一方で、「その他」グループとして、空き家を地域に開いていくことや、空き家に広範な可能性を持たせることも考えるべきでは、という意見も出されました。この点から、対象となる物件の部屋数が多いことから、いくつかの活動を同時に展開して、周囲とマッチングをはかっていく、あるいは、マッチングをきっかけにして、逆に地域の課題の解決に協力するなど、活動にとどまらない、新しい仕組みを考えてみるという提案もありました。次回は、周辺のリサーチについて、その対象や尋ねてみたいことを具体化させていく予定です。



各グループとも、そこで活動する以外に、周囲への波及、相乗効果、他の地域団体との連携やつながりを重視する姿勢が見て取れます。次回以降、具体的にどこにアプローチしたり、つながったりするか、つながる仕組みをどう作るか、周辺地域はどんな状況なのか、具体的に探りつつ、アイデアに反映させていくことになりそうです。

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