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2021/8/20

REPORT

+クリエイティブゼミvol36 リサーチ・まちづくり編「フラワーロードを軸にSDGs共創イベントを考える。」第2回レポート

7/27(火)に「フラワーロードを軸にSDGs共創インベントを考える」第2回目のレクチャーを実施しました。今回からグループに分かれて、本格的にグループワークがスタートします。

コロナの感染症対策をしっかり行ったうえで、無事に対面での実施となった2回目のゼミですが、次回からは状況を見ながらしばらくの間はオンライン開催に移行することをKIITO永田から挨拶がありました。
この日の予定は、KIITO永田と山崎さんから簡単なレクチャーをしたあとグループワークに入りました。

テーマはフラワーロードを軸にSDGsを考えていくということで、地域豊饒化における風・水・土と種の話やリサーチのタイプと先進事例調査の話など、目線を変えたり、考え方や捉え方を変えるだけで解決策はいかようにもあることを例に話が進みます。

  

永田:
フラワーロードの周辺がイキイキと暮らせる元気な町になることや、そこに関わる色んな方達が、やっていて楽しくなるようなことをテーマにできるかが問われています。それと同時に元気になるための種を考えながら、誰がその種に水をやってくれて、一緒に育ててくれるのかを設定していくことが大切です。
少なくとも、種(活動・プログラム・イベントなど)自体に魅力が無ければ、誰も水をやる気にもならないし育ててくれません。いろんな可能性があるなかで、どの答えが一番いいかは誰にも分かりません。もっとすごいアイデアを求めたり、突き詰めてブラッシュアップしながら、絞り込んだり深く掘り下げていくプロセスが必要です。

いい種(活動・アイデア・プロジェクトなど)を作る2つの条件

①いろんな人に関わってもらうために、完璧に作り込み過ぎず余地を残し関わりシロを作る
KIITOの活動紹介をしていると、「イベントそのものを形作るのではなく、イベントの仕組みを作っていかに人を巻き込みながら一緒に作っていけるかの仕組み自体をデザインしているのですね」と言われます。
余地があればみんなが関わろうとしてくれる。関わりシロがあることでいろんな人が参加できる。不完全であるがゆえに、みんなで一緒に作ってみんなのものにする仕組みです。

楽しい、美しい、感動できる、普段できないことができる、など夢のようなことやワクワクできる魅力にあふれていることに、人は関わろうとします。こういう魅力を作るときに、クリエイティブの力が求められると思っています。このゼミもまさに、クリエイティブを使ってアイデアをどう出すかという所を問うています。

クリエイティブというとゼロから新しいものを作ると思われますが、マンネリ化して困っている既存の活動を作り直したり、焼き直すことでも可能性はいっぱい広がっています。既存の施設がやっていることにSDGsをかぶせてみると、広い視野で物事を考えられ、違う角度でアプローチすることで情熱と愛情を持ち続けられることもあります。
コミュニティの醸成には強い種が必要です。今の時代は、夢みたいなことを語れる人がいなくなって、誰も何も言わなくなった時代。だからこそ、このゼミでは夢みたいなことを語る重要性があると思います。今回の地域共創イベントはSDGsをテーマに、どういう「構想・夢」を語れるかが重要なポイントになります。

②小さい取り組みをいくつかたちあげて、段階的に大きなものにしていく
始めから最強の種(活動・プログラム・イベントなど)は作りにくいので、段階的に強くしていく方法がります。最終的に夢のようなイベントをやるにしても、最初は小さい取り組みを同時に複数立ち上げます。小さな規模の活動でも、育ててきたいくつかの取り組みを一カ所に集めると大きなイベントになります。KIITOの取り組みでいうと、「パンじぃのプログラム」を「ちびっこうべカフェ」の取り組みに合わせることで、多世代が交流できるいいイベントになりました。

「多くの人に知ってもらう」「学んでもらう」「そこから活動を生み出すきっかけを作る」ことをSDGsをテーマに、どうするためのイベントなのかをブレイクダウンしてほしいです。周辺の企業の取り組みにも関心を持ち、既存の活動とリンクできる余地があるか、提案したり仕掛けたりしていけると思います。
イベントは集客やメディアがどれだけ来たかで評価されますが、イベントに至るまでの種まきや、イベント後に何が残せるかが重要です。イベントは1つの表現ではあるけれど、それが仕掛けとなり日常にどう落とし込んでいくかを意識して欲しいと思っています。

このゼミは、みんなで一緒にアクションプランを考えます。最適解がないので、どんなことを意識して考えるかの最初の入り口をお伝えしました。カタチだけを意識したイベントではなく、フラワーロードをどうやって盛り上げていくのかと、学びでデザインしていくエリアデザイン構想を掲げて、学びとSDGsはどう絡んでいくのかKIITOとしては意識せざるを得ません。

続いて、山崎さんからリサーチに関するお話をいただきました。

  

山崎:
イノベーションとは
永田さんは“クリエイティブ”という言葉をキーワードとして使われていましたが、“イノベーション”という語感の似た言葉があります。何か新しいことをしないといけないのかと強迫観念を持つ人もいますが、イノベーションがどんな言葉なのかを整理しておきます。

研究においてもそうですが、企画を考えているときは自分自身に過剰に期待しすぎたり、素晴らしい回答を出さないといけないと思いがちです。
イノベーションという言葉は、ラテン語の「何かを新しくする」という意味があります。ドイツの経済学者が経済発展の理論を書く中で使った言葉を、英語に翻訳されたとき「ニューコンビネーション」と訳されました。「新しいつながり」「新しい結びつき」です。イノベーションという言葉はゼロから作るという話ではなく、すでにあるつながりというわけです。その関係をうまく組みかえたり、これまで繋がっていないところを繋げてみたり、違う繋ぎ方をしてみる発想にあることをお伝えしておきたいです。ゼロから何かを生み出すのではなく「これとこれって、つながるんじゃないの?」とか、「なんで、ここってつながってないの?」という発想を膨らましていくことが大切だと思います。

もう一つ英語の辞書のイノベーションという言葉には、「invention」=発明する・創る、と「implementation」=実走する、の2つの意味が含まれています。新しいつながりを頭の中で考えただけでは、イノベーションになりません。無数にあるアイデアに形を与えていくことが一番難しいことだと補足しておきます。

SDGsという言葉はそれなりに歴史のある言葉で、1972年に発表された「成長の限界」という有名なレポートがあります。このまま地球上の人口が増えていき、環境汚染をほったらかしたまま続けると、100年以内に地球の経済成長は止まってしまう。どんどん豊かになると思った時代に、先見の目をもって提言されました。国際社会の中において、地球規模で持続可能な国や社会、人の集団みたいなものを維持していくために何をしないといけないかということに、問題は置き換わっていったのです。それから10年くらいたってようやく政治や政策にも転換されてきました。

1992年の国連環境開発会議は、研究者にとって重要な年となりました。研究の仕組みが変わり、化学においても社会にとって必要な化学は何だというテーマに変わってきました。持続可能性というのは、先ほどの永田さんの話ともつながるのですが、結構大きなキーワードです。神戸あるいは三宮の界隈で持続可能なイベント、持続可能な地域のイメージが、一体はどういうものなのかも一つの切り口としてあるだろうと思います。

社会全体とどういう風に新しいつながりを作ってリサーチしていくのか。様々な立場で関わることを考えながら、どういう関わりシロを作っていけるのかという形でリサーチを進めていく必要があります。今回の取り組みでは、関わって興味を持っている人たちが、それぞれの視点で何かを調べ、それぞれの視点で見える世界を記述して、そこから何かを作り出していく共創の仕組みを少しでも形にできればと思います。

現在地と未来を把握する
情報は、調べれば調べるほど雑多でたくさん出てきます。できれば目に見える形でアウトプットして、そこから出てきたものを組み合わせるのがいいと思います。
リサーチをするにはテーマが必要で、リサーチクエスチョンを作らないといけません。この調査で、何を明らかにしたいのかをはっきりさせるのです。どこかでテーマを絞り込み、チームの中で言葉として共有しておく必要があります。ヒントとしては、魅力的なテーマ、分かりやすい課題の出し方を考えるにあたり、今の状況を把握し将来こうなりたい理想を並べます。そこにはいつもギャップがあります。その差がまさに課題であって、向かいたい未来に続く道でもあります。この現状と未来をテーマとして見るようにしておくと、この先の調査も進めやすいのではないかと思います。いろんな情報を集めるのも大事ですが、常に立ち止まって、いま自分が何のための調査をしているのかを俯瞰で考えながら取り組んでもらいたいです。

情報を行き来する
調べるとは社会調査に関わることでいうと2つあります。
1つ目は、実際に現場に行って、いろんなものを見たり、人に話を聞いたり生の情報を見ること。写真をとったり、議論をしてもいいです。
もう1つは、SDGsに関してもたくさん事例がありますし、共創イベントに関してもいろんな取り組みがすでにあります。成功したもの、失敗したもの、そういうところから学ぶこともできます。図書館に行って調べたり、インターネットで調べるなどありますが、現場と違って活字を中心に調べていきます。
この2つの調べ方は決して矛盾するものではないので、人類学でも社会調査でも基本的には行ったり来たりしています。文献で調べたことが、実際にはどうなのかを調査して、落としどころがどこにあるのかを定めていきます。

好みや癖に引っ張られない
誰しも好みや考え方の癖を持っていて、見たものがすべてだと思い込みやすいです。大切にしてもらいたいのは、見たい物しか見ない、聞きたいことしか聞かない、読みたい物しか読まない状態に陥らないために常にバランスをとることです。
情報を集めてくるだけではなく、SDGs共創イベントの「みんなが欲しているものは、こういうものじゃないかな」という枠組みを、一人ひとり調査やディスカッションをする中で作り、それをどうすれば満たしていけるのかをセットで考えてください。
最終的には、リサーチにおいてはリサーチクエスチョン、イベントの場合はどういう枠組みを設定するかがゴールになると思います。せっかくいろんな人が集まってやっているので、それぞれの良さや持ち味を出せるような議論ができればと思います。

ここからは、残った時間を使ってグループ内で自己紹介や話し合いを始めました。

  

  

短い時間でしたが、グループ内での話し合いも熱を帯び、次回のフィールドワークも楽しみになりました。

次回7月31日(土)は、ウォーターフロントから三宮周辺のフィールドワークとなります。

ゼミ概要|https://kiito.jp/schedule/seminar/articles/49439/