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2021/9/2

イベントレポート

+クリエイティブゼミvol36 リサーチ・まちづくり編「フラワーロードを軸にSDGs共創イベントを考える。」フィールドワークレポート

7月31日(土)は、蝉の声がいくつも重なりあう猛暑となりました。ゼミ参加者は、コロナ対策をしてフィールドワークを実施しました。
炎天下でのフィールドワークとなるため、KIITO永田から始まりの挨拶とともに注意事項の共有がありました。

続いて、スライドを使った本日のコース(開発地域)の説明とフラワーロード周辺にある企業のSDGsに関する取り組みについてのまとめです。

~都心・三宮再整備~
三宮を中心に神戸の玄関口にふさわしい装いに変え、ウォーターフロントへの人の流れをつくる計画。
~ウォーターフロント~
新たな魅力と活力ある都心・ウォーターフロントの創出に向け、文化・集客・業務・商業・住機能等を整備した複合再開発。
~神戸ポートミュージアム~
アクアリウム、フードホール、クラシックカーミュージアムで構成された複合文化施設。
2021年秋ごろ開業予定。都市と共存する次世代エンターテイメント施設を目指す。
~Stage Felissimo~
フェリシモ社のクリエイティブな事業活動の場として「フェリシモホール」、チョコレートをアート側面から展示する「Felissmo Chocolate Museum[フェリシモ チョコレート ミュージアム]」、フェリシモの商品に触れられる「フェリシモ ギャラリー」、動画配信可能な「フェリシモ スタジオ」やレストラン、ワイナリーなどの施設も併設。
~GLION Awa-s BuildinG~
輸入車および国産車合わせて17ブランドの正規ディーラー事業を主としたGLIONグループ初の自社ビル。1階~3階はFerrari、BMW、MINIといった3ブランドのショールームが1つのビルに入居する全国規模でみても異例のビルとなる予定。
~KOBE Smartest Arena~
神戸のウォーターフロントで初めてとなる大規模多目的アリーナ「KOBE Smart Arena」。水際の魅力を最大限に生かした1万人超規模のアリーナは、「自然=水際の景色」と「都市=アリーナの造形」が融合するシンボリックなものを目指す。
~こども本の森 神戸~
建築家・安藤忠雄氏の寄付により2022年春に開館予定。都心の公園の中で自由に本にふれあうことで神戸の歴史や文化に出会い、震災の教訓から命の大切さを学び、豊かな感性と創造力を育めるような文化施設。
~税関前遊歩道~
都心三宮とウォーターフロント、東遊園地とみなとのもり公園をつなぐ「渡りたくなる歩道橋」。2023年夏完成予定。
~東遊園地再整備~
東遊園地は都心における貴重な緑のオープンスペース。回遊性向上の拠点として再整備が進められ、道路に面したにぎわいづくりを進める。
~中央区役所・市新庁舎~
フラワーロードに面する市役所本庁舎2号館は現在解体中。新庁舎は三宮とウォーターフロントを結ぶ中間地点として、人々を海側へ誘導するための賑わい施設としての役割を持つ。行政機能の他、商業施設、集客施設が併設される予定。
~市役所本庁舎2号館~
本庁舎2号館の建て替えに向けて解体工事が始まっている。再整備後には庁舎機能に加え、国内外に神戸らしさを発信できる新たなにぎわい機能を導入。
~三宮クロススクエア~
フラワーロードと中央幹線を結ぶ三宮交差点を中心に半径500mの中に6つの駅が点在し、それらを1つの駅ととらえ新たな駅前空間として整備。神戸の新しい象徴となる駅前空間「えき~まち空間」の取り組み。2025年頃第1段階の完成を目指す。
~神戸三宮阪急ビル~
阪急神戸三宮駅に直結する商業施設やホテルが入居。15階には産学官が集うビジネススクエア「アンカー神戸」がオープン。地元のものづくり企業や中小企業、スタートアップ、医療産業都市の機関、大学などが集まるコミュニティの場を目指した会員制交流スペース。上層階にはホテル、レストランも併設。
~さんきたアモーレ広場~
阪急神戸三宮駅東口、JR三宮駅西口の北側に位置するアモーレ広場を含む三宮北西エリアは、より良い広場空間を創出すべく整備計画の検討を進めている。
~三宮駅周辺歩道橋デッキ~
新たなバスターミナル周辺の「えき」と「まち」をつなぐ歩行者の回遊性の向上を目的とした歩行者デッキを整備。
~新中央区総合庁舎整備~
三宮周辺から1日あたり約1700便の中・長距離バスが発着しており、これらを集約する西日本最大級の新たなバスターミナルをビル内に再整備。バスターミナルをはじめとしたオフィスやホテルといった昼夜問わず賑わいを創出する都心にふさわしい機能を導入。2026年頃の供用開始を目指す。
~葺合南54号線~
道路を貴重な公共空間ととらえた「道路のリデザイン」の取り組み。車中心から人中心の道路に生まれ変わり、多くの人の憩いや賑わいの空間となっている。
~磯上公園内新体育館~
中央区内にある勤労会館の体育館・トレーニング室と生田文化会館の体育館を一体化した施設。人に優しい快適な空間を目指し、2022年夏の供用開始を予定している。

永田:
周辺企業の取り組みをいくつかご紹介します。
先日、ネスレ日本株式会社の方に環境問題(ごみの問題)について講演いただきました。公共教育の取り組みもされているようですが、やはりメインの取り組みは環境問題になると思います。
P&Gジャパンさんはジェンダーの問題について一番力を入れていると聞いています。
日本イーライリリー株式会社さんは環境への取り組みも多いですが、高齢化社会や医療系の貢献も大きく、KIITOが力を入れているチャイルドケモハウスの支援を積極的にされています。
そして阪急阪神ホールディングス株式会社さんは、駅があって百貨店があるという意味ではこれからフラワーロード軸の取り組みを考えていく上でもパートナーとして関わっていただきたいと思っています。SDGsトレインをはじめ様々な取り組みをされています。次回8/3のゼミで詳しくお話をお伺いします。
最後に神戸市ですが、それぞれの課ごとに企業との企画や事業を実施しています。現状ではワンストップのセンター機能がない状態なので、検索しても取り組みが見えにくい状況です。これから、今回やろうとしている提案をきっかけに神戸市と一緒に考えたり、センター機能ができるようになってもいいのかなと思います。

●フィールドワークコース
KIITO出発→ウォーターフロント→歩道橋→こども本の森→東遊園地→市役所(1号館、2号館)→三宮駅前→一時解散(各自、気になる箇所を散策)→再びKIITOに集合しグループワーク
レクチャー後は、上記予定で進めます。

次に、山崎さんによるフィールドワーク(入門編)についてレクチャーをいただきました。

  

山崎:
本日はフィールドワークを行う上で、大切にしてもらいたいことや注意して欲しいことを少しお伝えします。
直接見たり聞いたりする情報は、活字から得た情報と意味は同じでも、その時の受け取り方や記憶の残り方が全然違います。そのため、できるだけグループで情報交換をしながら見て歩くことをお勧めします。

フィールドワークで見る情報は活字情報よりもはるかに生のデータで、周りにいろんな情報がくっついてきます。だからこそ、そこに思いがけないヒントがあったり、頭の中で考えていたことと違うものが見えたりします。そこがフィールドワークをする面白さでもあり、調査の上では大事なポイントとなります。

頭の中で整理された学びとそれに対して現実とのズレを発見することは、それぞれのセンスを発揮したり、新しいアイデアを見つけることにつながっていきます。
フィールドワークを行って1回で何かが分かるわけではありません。堅苦しくやるよりは雑談しながら話を進めていくのがいいと思います。

ノートをとる、写真を撮る、頭の中でメモを取るなどやり方は自由です。
フィールドワークはその場が楽しいのでつい盛り上がってしまいますが、頑張ってメモを残しても1週間くらいほっておくと何をやっていたか全く思い出せない状況になってしまいます。
当たり前のようで一番大事なことは、とったメモは何らかの形で必ず戻ってから整理をするということ。
人類学でも調査地でとるメモ書きとは違う、フィールドノートと呼ばれるものに情報を整理します。その日の状況を記し、3年後に読んでもその時の記憶がよみがえるようにしておきます。そこまでできると調査に使えるフィールドノートになります。メモ書きとフィールドノートは違うものとして意識して欲しいと思います。

 
 

山崎さんからお話があったことを忘れないうちに、ゼミ生達はフィールドワークに出かけます。各自、暑さ対策をしてKIITOを出発!

 

神戸の都心部とウォーターフロントを結ぶフラワーロードは、今後の神戸を担う重要なエリアです。エリア内にある企業やこれから建設予定の建物を想像しながら、変わりつつある街並みを記録しながら歩きます。

 

街の歴史や普段見逃していた景色に意識を向けて、同じグループで話しながら街の歴史や思い出話も交えながら意見交換します。テーブルをはさんで会話する時とは違う、風を感じながら街を歩く人たちを見たり、そこに立っている木々やベンチなどに目を向け、座学とは違う感覚に触れながら進めていきます。グループで動いたり、個々に散策するなどそれぞれの時間を過ごしました。

集合時間に再び集まった後は、フィールドワークで見てきたものや疑問に思ったことをグループに分かれて話し合います。

 

 

フィールドワークで街を歩いて感じたことや、普段歩いている時には気が付かなかった街の景色など、これから課題設定する中でどんなことが求められるのか予測をしながら、グループメンバーでこの日を振り返りました。
思いついたアイデアやキーワードをグループごとに書き出す作業を行ったり、話が盛り上がって歴史をもっと深堀りしたい!と意欲的な意見が出てきました。

あっという間に終了の時間となり、話が終わらないグループはいくつか居残りをしてまとめる作業を行いました。

フィールドワークを行って気持ちも高まってきたゼミ生の学びの時間は続きます。
次回8/3(火)からオンライン開催に切り替わり、阪急阪神ホールディングスの平野さんにご講演いただきます。

ゼミ概要|https://kiito.jp/schedule/seminar/articles/49439/