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2021/11/27

REPORT

「創造の交差点―秋田市文化創造館とKIITOのコラボレーションをデザインする」レポート

9月19日
秋田市文化創造館館長の藤浩志さんをお招きし、「創造の交差点―秋田市文化創造館とKIITOのコラボレーションをデザインする」トークセッションを開催しました。

はじめにセンター長永田より、KIITO、そしてKIITO:300についての紹介です。

次は藤さんより、活動や想いについてお話し頂きます。

「そうぞう」すること
秋田市文化創造館にはまだ愛称やロゴがありません。まだデザインされていない、これから作っていく場所です。
ここで「そうぞう」することについて考えてみたいです。
「想像」は、物事の過去や未来をどれほどイメージできるか、またイメージする力をどうやってつけていくのかが鍵になります。ありとあらゆるものについて、どれだけの人が想像できるか。その力が想像力のひとつだと思います。
一方、「創造」はつくるということ。何かをつくろうとするという態度がすごく美しいと考えています。何かをつくりたいと思う背景には、このままでは駄目で、変わりたいという気持ちがあるのだということをイメージできるかが重要になってきます。

 

秋田公立美術大学
秋田公立美術大学では従来の美術大学の枠組と全く異なり、アプローチの方法を変えながら学生に対しどのように新しい価値をつくるかを重要視しています。東京・愛知・石川・京都など昔から美術大学が在るエリアでは、これまでつくる人がたくさん育成され、活動を生み出し、それによってまちの状況が変わっていきました。中心につくる人が居て、そのまわりに色々な活動をする人たちが出てきます。仮につくる人がいなくなれば、皆いなくなってしまう。これが、消費だけでつくる人を育ててこなかった近代の偏った経済や政策の在り方だったのではないかと思います。そういった意味で、美術大学をつくることは秋田の未来をつくることにつながると考えています。

 

NPO法人アーツセンターあきた
以前、秋田公立美術大学内に「社会貢献センター」がありましたが、プロジェクトをマネジメントするプロフェッショナルがいませんでした。そこで秋田市に相談をして、社会貢献センターの中からNPO法人アーツセンターあきたを立ち上げました。色々なことをやりたい、つくりたいと考えているコーディネーターが集まっていて、大学をベースとしてつくられている点が非常に珍しく面白い機関になっています。大学の広報誌を制作したり、大学のスペースで企画展を運営したり、高校生に対して様々な新しい企画を公募したりしています。外部の人を受け入れ、学生と一緒に何かをつくるなど、コーディネーターがいるからこそできることがたくさんあると思っています。地域にある企業や団体などと新しい活動をつくっていくことで、現場に人が集まり、つくる人が増えていき、つくることの価値が考え直されていきます。

  

秋田市文化創造館
もともと秋田県立美術館であり空き家となっていた建物の利用計画を立てて市民が使える場所とし、運営をNPO法人アーツセンターあきたが担いました。アーツセンターあきた、そして秋田公立美術大学がなかったら、この場所の運営はどうなっていたかなとも考えます。こういうことは全部つながっている、とイメージする力も大切です。
2021年3月21日、久保田城跡に文化創造館がオープンしました。1階は、県民ギャラリーであった空間を改装しコミュニティスペースとなっています。センシューテラスというカフェもあります。
食文化は非常に大切ということで、コミュニティスペースにはキッチンが設置されています。また藤田嗣治作品の展示会場であったところを改装した空間が残っています。空間で佇む、空間体験ができるということが建築物のもつ大きな力であり、空間にどれだけ刺激されるかが大事だと考えています。また1~2年に1回は会場の枠にとらわれない大型の面白い活動を時間をかけて仕掛け、皆がそこで過ごせるような、今までにない文化施設になれば良いと思っています。

 

文化創造館と美術館・ホールとの違い
美術館やホールが美味しい料理を頂くレストランだと例えると、文化創造館は、良い種と出会い、作物を育て、いい料理人に注目され信頼される畑でありたいと考えていて、これがKIITOとの連携に結び付く重要なポイントになると思っています。レストランにおける課題を、現実の話に落とし込むと
 
となり、これらを文化創造館とKIITOの共通の課題として一緒に考えていくことができればと思います。
最初に必要なのは、状況を観察する力と視点、つまりイメージする力です。例えば人口減少などの問題がありますが、その裏側にある構造を見られるかどうか。その時々で状況は変化するので、今までの価値観ややり方は通用しないかもしれません。ふさわしい方法を考える力が必要です。先程の秋田公立美術大学の話につながりますが、学ぼうとする態度、知りたいと思う態度、関心を持つ態度、行動しようとする態度が美しく、そこに一番価値があります。価値というのは出来上がったものではなくて、何かをつくろうとすることそのものです。つくろうとすることは変わりたいと思うことですし、本気で何かをやろうとすれば人は変わり、風景も変わってくると思います。

世代
世代についてよく考えます。私は33歳、66歳、99歳、と一世代33年で捉えているのですが、その間に「成長」「活動」「醸成」という段階があります。
一世代の間で変化するということは、人が生まれてから死ぬまでの間に色々なものを見て過ごすということです。33年をさらに細かくみていったとき、0歳、11歳、15歳、22歳は色々なものを吸収し何かつくるための準備期間と考えており、この中で「社会」に接する時間帯と「子ども」とよぶときの区別もすごく重要な点です。

 

contact:コンタクト
「communication:コミュニケーション(=対話)」という言葉はよく耳にする一方で、「contact:コンタクト(=接触)」という言葉はあまり使われていませんが、実は非常に重要です。接触する機会、対話をすることによって人やまわりの環境は変化、変容していくということに注目したいです。自分から遠いところまでどれだけ触手をのばし、人や活動とつながっていけるか。そういった「コンタクトゾーン」をKIITOと一緒に作っていきたいと考えています。
 

トークセッション

視聴参加者からのアイデアや感想を交えながら、藤さんと永田で今後の連携に向けて話を進めていきます。

■連携を始めるにあたって
永田:連携にあたって、何からスタートしていきたいですか。
:まずはプログラムを試してみたいですね。他の地域で実施したらどうなるのかを試す手段として、KIITOのプログラムを秋田で実施したいと思っています。秋田にいる人たちが色々な意味で変わっていく、学ぼうとすることに気づいていく様子をみてみたいと思います。
永田:パンじぃをそのまま秋田で実施するというより、秋田で実施した場合にどう変化していくのかに興味があります。合同プロジェクトのような形でやってみたいです。
永田:人材交流は是非やりたいと思っています。スタッフ間だけにとどまらず、市民やクリエイターの皆さんとも交流したいですね。高校生向けのプログラムはKIITOではまだ少ないので、アーツセンターあきたで企画運営されたcreative awardに注目しています。
:中高生は社会に対して自主的に何かをし始める世代で、その際周りの環境が重要になってきます。現在はインターネットがコンタクト方法の中心ですが、接触の質の問題を考えたときに、もっと多様なコンタクトの在り方がある気がしています。それをどう作っていくかがポイントです。
永田:視聴参加者から、両館にキッチンがあるという声、また秋田と食文化の交流をしてみたいというご意見もいただいています。神戸はパンがひとつの食文化ですが、キッチンをうまく使って何かやりたいですね。
:大学が農業を教えなければいけないと思っています。そこで食文化を学ぶ。現在はコンビニエンスストアがあり、料理をしなくてもすぐ食べることができてしまいますが、自分で作って食べるという行為は大切で、セルフマネジメントにつながると思っています。秋田には潤沢な自然がありますが、流通の仕組みが今までとは変わってきているので、食との関わり方を新しく考える必要があります。素材はあっても、仕組み、要するにマネジメントがない状況です。
永田:相談窓口もスペースのイベントについての質問が多いですが、マネジメントの必要性を強く感じています。
:今は新しいマネジメントが必要になってきている時代です。過去の価値に拘っていては、新しい活動は生まれないと思います。

■今後の広がり
:水都大阪で、メインプログラムのまわりに色々なものが発生していて、若い方々が交流していました。そのように、メインだけに着眼するのではなく、その周辺で起こっている人材交流含めたプログラムから新しい価値が生まれていることに注目しています。現場が魅力的だとそれに反応した方が参加し、今後の活動の担い手となっていきます。その状況をつくるためには、閉じた形で管理するのではなく、ゆるくつながり、広がっていくのが良いと思います。
永田:藤さんとお話しているとどんどん妄想が広がっていきますが、キャラバンを実施したいと思いました。
:昨今レクチャーはオンラインで共有できるようになりました。ゼミをオンラインで実施し、その実践をキャンプ形式で対面にて実施しても面白そうです。
永田:視聴参加者から秋田と神戸のデザイナー連携案も出ています。来年度ちびっこうべを実施しますが、秋田で店舗を出していただきたいですね。
その他も、最初は二館で連携をはじめつつ、今後はネットワークや連携をどんどん広げていければと思います。
:「切実さ」が重要です。何が一番切実なのか。そこから考え始めると、確かなものになってきます。
永田:芯の部分、藤さんの表現でいうと「つくろうとする態度」ですね。これから色々な人々が色々な形でつながり広がっていければと思いますが、これは皆さん次第です。是非皆さんと一緒に連携して実施できればと思っています。

協定締結式

トークセッションの後、二館の「デザイン及び芸術文化などの新しい価値の創造に関わる分野の交流協力のための協定」締結式を行いました。
記念すべきこの日に、実は藤さんが誕生日というサプライズもありました。

 
 

秋田市文化創造館と、KIITO。これから様々な連携を進めていきますが、引き続き沢山のアイデア、そしてプロジェクトへのご参加をお待ちしています。

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