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2021/11/29

REPORT

社会課題解決手法を学ぶ「1dayワークショップ」レポート

10/2土、「地域課題解決手法を学ぶ、1dayワークショップ」をオンラインで開催しました。オンラインということもあり、県外の方も多く参加されていました。KIITOのセンター長である永田宏和が講師となり、KIITOの活動事例を交えながら、地域課題解決に向けた考え方や手法などのレクチャーをし、グループワークを行い、発表するという流れで実施しました。

風・土・水そして種の話

KIITOの理念はさまざまなところでお話しており、何度か聞いたことがある方もいるかも知れませんが、尊敬する、あるデザイナーが「大事なことはなんど言ってもいい」と言っていたので、また聞いてください。私はこの考えを身に付けたことで、一人前として活動ができていると感じています。
地域豊穣化、活性化ではなく、地域を豊かにする豊穣化を目指します。豊穣化には、風の人、土の人、水に人のそれぞれの役割が重要で、それぞれ作法があります。土の人は、土着、土地の人、そこに居続ける存在、つまり地域住民です。現在は土が乾き、種が育たないので、乾いた環境でも育つことができる強い種が必要で、そのためには種の品種改良をしなければいけません。そして風の人は、種を品種改良し、種を運ぶことができる、つまり企画ができる人を指します。現代は、この風の人が求められている時代です。風の人は地域に居続けることができないので、水の人が必要です。この水に人は、区役所、社会福祉協議会、大学など様々あります。地域には水の人がいるが、風の人がいない、いい種がなくて困っています。

いい種をつくるコツ

いい種をつくるには2つのコツがあることがわかってきました。1つ目は、「不完全プランニング」です。地域の人を参加させたいと思っても、完璧なプランは、参加する人がみんなお客さんになってしまいます。関わり代、余地があることで、地域の人が関わることができるようになります。みんなで一緒につくることでそれがみんなのものになり、定着していきます。協働する場合は弱さが重要です。助けて欲しい、分からないと言ったほうが、みんなが協力してくれます。
2つ目は、「+クリエイティブ」、魅力化することが重要です。楽しい、美しい、感動的、非日常、夢のよう、ワクワクする、かっこいい…など。例えば、今までの防災訓練は楽しくなかったので、それを家族で楽しめるプログラムにしてみるなど、ゼロからつくるのではなく、今あるももの焼き直しに可能性があると思います。そのため、根本から考え直す、既成概念にとらわれない、広い視野で考える、違う角度で見る、情熱と愛情を持って取り組むことで、いい企画になっていきます。いい企画には愛があり、愛で溢れていると感じます。
いい種はみんなつくれます。謙虚な姿勢で、障壁は必ずあるものと思って取り組むことも大切です。まずはリサーチからはじめましょう。リサーチに終わりはありません。時代のニーズや流れを読むことも必要です。課題を立てるときは慎重に進めなければいけません。リサーチ中に浮かぶ直感や妄想も大切ですが、時にはそれを捨てる勇気も必要です。大義、ビジョンを持ち、芯を持つことは、見失ったり、迷ったりしたい際に、立ち返られる拠り所としてとても大切です。

KIITO:300(キイトサンマルマル)とは
KIITO:300はこどもの創造教育と社会貢献活動の支援を推進するプラットフォームです。こどもの創造教育は「キャンプ」、社会貢献活動は「ファーム」と名付けました。空間はKIITOの3Fにあり、約900㎡と広いです。キャンプは長期的な視点で風の人を育て、こどもたちの創造性を育んでいきます。KIITOで実施している「ちびっこうべ」の考え方を軸に計画したプログラムを実施していきます。またプログラムの効果検証を行い、地域や公教育へ展開していくことを目指しています。スペースには創造性を育むためのボードゲームが45種類設置されており、こどもたちはいつでも体験することができます。
ファームは、地域活動に大学生や社会人に参加してもらう、地域団体を元気にしていくこと、新しい風の人を育成すること、支援することを軸に進めています。大学との連携事業やシニアを対象にした企画なども実施しています。また地域/社会貢献活動の相談業務もスタートし、地域団体や企業、個人などもお悩にも対応もしています。私も相談員の一人です。

本日の課題…
今日の課題は、「KIITO:300を舞台に、多世代や多文化をつなぐ活動(仕組み)を考える」です。みなさんの考えたアクションプランは、できる限り実現も目指したいと考えていますので、リアリティのあるプログラムを考えてください。ポイントは、多世代交流なのか多文化なのか、企画のためのリソースの整理、既存活動のステークホルダー、空間、設備などを確認し、テーマを決めてください。素材を組み合わせる、掛け合わせる、時間軸を意識することもポイントです。
グループワークにはお作法があります。KIITOゼミのコピーには「正しい答えより、楽しい答えがより正解です。」と書かれています。これは岡本欣也さんに作成していただきました。ぜひ楽しみながら行ってください。緊張せずにシナジーを生み出すことが大切です。スティーブン・R・コヴィさんの著書『7つの習慣』でもシナジーについて書かれています。シナジーとは、1+1が3にもそれ以上にもなることです。それには、お互いの違いを認め合い、尊重し、自分の強み伸ばし、弱いところを補うことです。グループ全員が古い脚本を捨て、新しい脚本を書き始めてください。信頼と協力を最大限にすることでシナジーが生まれます。

進め方
はじめに1人でワークを5分行います。「悶々タイム」と呼んでおりますので、存分に悶々としてください。その後2人ワークを15分、そして4-5人で1つのチームに分かれグループワークを約70分行います。最後に各グループの発表を行い、講評をして終了となります。みなさん頑張りましょう!

1人のワークから順に実施しました。人数を増やしながら、自分以外の考え、視点、アイデアを共有し、チームとしてのアクションプランにまとめていきました。

Aチームの発表

私たちは、胃袋を掴むことで交流を生む、「KIITO世界のアツアツ鍋祭り」を考えました。参加対象は神戸に住むひとたちと外国人です。KIITOにはあまり多国籍のイメージがないので、外国人の方に来ていただき、食を通して、こどもからシニアまでが楽しみながら多文化にふれる機会になればと思います。毎回テーマを決め、いろいろな国の鍋を作ります。KIITOで活躍しているパンじぃメンバーに鍋に合うパンを作ってもらうことも考えました。「あなたの国の鍋料理を教えてください」とリサーチを行います。鍋料理はレパートリーがあり、どこの国にもある寛大な料理だと思います。アーカイブとして、鍋の写真やレシピ、コメントなども300内に掲出したいです。鍋に合うドリンクなども考えるなども面白いと思います。

講評|永田
胃袋を掴む、食はとても強いコンテンツなので良いと思います。鍋はとても面白いと感じました。調理道具としての鍋をアーティストとつくるなど、お祭りのような印象もあるといいです。以前「〇〇さんちのカレーまつり」というイベントに参加しました。各家庭のカレーが並び、それぞれ家の味があり、「このカレーはうちのに近いな~」など、未だに記憶に残っています。いろいろな国の鍋を持ち寄るなど、いじれるところがあると更に良いと思います。ぜひトライアルしてみましょう。

Bチームの発表

300のキッチンを活用すべく、料理をテーマに考えました。タイトルは「わたしたちの1からつくるリサイクルエコクッキング」です。こども5人で1つのグループをつくり、料理のメニューを決め、食材やお皿、お箸もつくります。食材の野菜などは、農家さんに協力いただき育てるところから進めます。調理で出る生ゴミなどは、コンポストに入れ土をつくり、次回のグループが野菜を育てる際に活用します。3-6ヶ月の長期プロジェクトです。食材の循環、モノの循環を促していきたいです。参加するこどもたちにはそれぞれ役割を与え、現場で学ぶ機会をつくれればと思います。

講評|永田
地産地消、ゴミ問題などエコの中に含まれたアイデアだったのではと思います。またさまざまな学びが料理の中に含まれたプログラムで良いと感じました。しかし、アイデアがとても真っ当で、もっと強度を持ったアイデアへ広げてほしいと思います。神戸らしさ、KIITOらしさを加えるにはどんなことができるのか、ここからどれくらい高めていけるかが大事だと思います。

Cチームの発表

KIITOのコンセプトを現状に合わせて読み解き、テーマのストーリーから考えはじめました。UNESCOの創造都市ネットワークの活用も考えました。タイトルは「世界の技を学ぶ!免許皆伝キャンプ!」です。日本在住の外国人の方が先生となり、自国の郷土料理、民族舞踊、文化などを神戸のこどもたちへ教えるキャンププログラムです。3ヶ月のスパンで各国の技を習得し、マスターすることで、特別なバッジがもらえます。そして3ヶ月間の成果を発表します。その後、年に1回、グローバルナイトパーティを開催し、学んだこどもたちや先生が集まることもできればと思います。また日本のおじいちゃんやおばあちゃんが先生となり教えることもあります。

講評|永田
KIITOの弱点、伸び代部分をご指摘いただいた印象です。こども向けに国際交流はあまりできていません。おもしろいアイデアなので、実践するには、既存のイベントなどに絡ませるなども検討できると良いと思います。現在KIITOで進めている、ダイバーシティーファッションショーの衣装づくりと絡める、ちびっこうべの中に外国のお店を出店するなど、すでに実施されている企画とタイアップすることで、よりリアリティが増します。

Dチームの発表

「+暮リエイティブ 今日の生徒は明日の先生」をタイトルとしました。日常をより楽しくしていきたいと考え、あまり楽しくないとされる家事などに注目しました。家事の得意なおばあちゃんなどから、こどもやお父さんが学び、家庭で実践してみることができればと思います。実践を促すためにアイロン検定など資格を設け、楽しみながら学んでいく仕組みも考えました。学生劇団、親子劇場のような方々と洋裁マダムを掛け合わせて、衣装をつくる、衣装づくりの中でも交流を生んでいくことも考えています。誰が教えて誰が学ぶのかを限定せず、得意なことを教え合う学び合うところから交流を生み、日常として楽しむ場にしたいです。

講評|永田
プログラムばかりでなく、プログラム化する前のようなことができると面白いと思います。昔は、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に住むことで、いろいろな技を引き継いでいました。今は核家族化が進み、あまりそのようなことが無くなってきています。KIITOで味噌作りワークショップを実施した際は、若い方の参加が多かったです。無理なく、それぞれの得意が出せる場、プログラムの前のようなものが300でどんどん生まれるといいなと感じました。

総括|永田
すべての発表がとてもおもしろかったです。主催者として辛かったのは、オンラインになってしまったことで、KIITO:300がテーマの会場であるのに、その場でできなかったことです。それぞれのアイデアはぜひアクションしていきたいと思います。もちろん企画や提案の詰めの作業が必要ですが、みなさんにお声がけさせていただき、近いうちにオンラインでの企画ミーティングを実施したいと思います。できるところから進めて行きましょう。やってみないと分からないこともたくさんあります。考えるプロセスも大切ですが、実現するプロセスも大切です。

開催概要|https://kiito.jp/schedule/workshop/articles/50511/