2022/1/13
イベントレポート
9月21日(火)の第9回目のSDGsゼミは、次週がゼミの最終回となります。発表に向けてコンセプトを仕上げる大詰めの段階のため、最初に山崎さんのミニレクチャー、残りの時間を使って最後のオンラインでのグループワークを実施しました。
ミニレクチャー|山崎
最後の詰めの段階だと思います。発表では、提案の内容をはっきり伝えるということは大事ですが、一番重要なのは、初めて聞いた人が分かるように伝える、そして何より、聞いた人が「それ、やってみたい」と思えること、それができれば成功だと思います。これまで積み上げてきたコンセプトはある程度明瞭に出すとして、どんなコンセプトでどういう情報があったらいいのかを考えてみてください。情報としては最低限でいいと思いますが、周辺情報はいくつか必要で、さらに具体的なイメージというものも必要です。やってみようという気になってもらうためのイメージの出し方としては、具体的に一つのストーリーやペルソナを設定するなど、いろいろ工夫があると思います。ゴールから後ろに戻って、そこに到達するにはどういうことが必要か、コンセプトの設定やタイトルなどを確認しながら進んでください。最終プレゼン前ですので、前提となる話や、話のわかりやすさなど、きっちり第三者的に確認してください。
コンセプトというのは、どちらかというと抽象的で大きなものなので、その話と具体的な話がキッチリとマッチする。一つのコンセプトに対して、具体的なデータや場面など、」下調べしたことがバランスよく出てくるということが大事です。
どこまでが提案で、どこから先が今後の課題なのか?というところを、ある程度意識してください。実際にイベントを実施するのはもっと先のことなので、今の段階で決めておくべき事項、譲れないラインがどこか、を明確にしてください。それ以外は、発表してからアイディアを募っても良いので、多くの人から賛同が得られるように、その都度考えていけばいいと思います。完全な提案をしなくても良いということは、逆の言い方をすると、この提案で譲れないポイント、魅力、残りうる課題、超えなくてはいけない障壁など、テーマを分けて話すと、聞いている側は納得すると思います。未完の部分、進めていく方向などを整理せずに見せてしまうと、本当にそれができるのかがわからず、すごく難しい提案のように感じ取れる場合があります。この提案で伝えるべき部分と今後詰めていく部分が切り分けられると、聞いている側は理解がしやすいのではと思います。
もう一つ、こういうゼミの形で多くの方が同じ活動をして、いろんなことを活動しながら考え、疑問に思ってきたと思います。そういう全体の振り返りみたいなものも、最後のディスカッションとして実施して、お互いの発表の感想なども意見交換できたらよいのではと思っています。
5分の発表時間の中で、いかに自分たちの考えたアクションプランを他人に伝えるかということを、すごく本気で考えて欲しいと思います。
Aチーム|
すごろくを実施する上で、班としてずっと話し合ってきたのは、SDGsを自分事化していくということです。これまで、すごろくというテーマでアクションをリアルな場に落としていこうと考えていましたが、メンバーの1人が「ゼミを通して、今までSDGsのことが嫌いだったけれど、自分の生活の中でこれってSDGsと結びつくんじゃないかなという風に思うことが増えました。」というお話があり、例えば水筒を使うことで、自分の普段の行動の中でもSDGsと関係あることをしていると気づくことが、「自分事化」するっていうことじゃないかなと思いました。参加者の人にも、すごろくがそのきっかけになったらいいのではという話が出てきました。このイベントを通して知って学ぶことで、このイベントで終わるのではなくて、今度はそれぞれの日常生活で、ちょっとした時に行動できるようになるのがすごく大事なんじゃないかなと話が発展していきました。
イベントについてさらに、参加者は誰かという話がでてきました。今回、鍵になるのは22歳以下の世代と思っています。もう一つの参加者のポイントとしては、フラッと三宮に来た人です。そういう人がすごろくのマス目の一つを経験するだけで「次は自分も体験したいな」と思ってもらえるようなイベントにしたいという意見が出ました。私たちのコンセプトは、SDGsというキーワードを通して、しっかり学ぶことからアクションを起こすためのきっかけを作って、SDGsを自分ごとにする場を作るということです。リアルすごろくを通じて、その場を提供することで、そこで経験したことを今度は自分事化して、自分の小さなアクションを生むためのきっかけを作り出したいと考えています。
コメント|
永田:すごろくのアクションや、各コマの内容などの流れは、ほぼ整理がついているように思います。そこは繋がってきたので、リアルすごろくのイメージ、すごろくをやるリアリティ、その最後のシーンへの展開も考えて欲しいです。すごろくとして、どんな風に楽しくなっていくのか、これを一コマ一コマ進めて、ゴールまで「上がれる」か、何時間・何日かかるのか?など、そういう部分がすごろくという最終的な「システム」にどう落ちるのかっていうところのリアリティが、あと一息詰められればいいと思います。
山崎:何をしたいのか、というコンセプトの部分はすごくよくわかりました。唯一わからなかったのが、ひとがすごろくをしているイメージです。すごろくは上がりまで何時間かかるのか、街角でどういう形で実施するか、参加者が3人組や家族の場合の振る舞い方、子供への対応など、そのイメージが少しでも具体的にあれば、かなり引き込めると思います。来週に向けて、そこのイメージをもっと伝えてもらえるとすごくいいと思います。自分ごと化するというキーワードや、関連付けてSDGsに対する障壁を下げるというのもキーワードとして出てきていて、言葉もすごく説得力があります。ところで、U22世代は、どういう文脈で効いてくる話なんでしょうか。すごろくという話でいうと、難易度の設定なのか、それとも2030年はこの世代の時代になっているとか、そこあたりも一言あればいいかなと思います。
Bチーム|
今回の企画のポイントの一つが「こども先生」の仕組みで、そこの洗い出しと整理から始めました。大きく分けて、子供たちの学びの期間と子供たちの取材と対話の期間、2つのステップをうけて、その様子を絵本とドキュメンタリーの映像にしようとしています。「こども先生」という役割が広まっていく期間というまた1つのステップがある、というところをタイムラインで整理をしてみています。その中で具体的にどういうことをしていくのかというところを書き出していて、書いていく中で詰めが甘い部分、もっと詰めた方がいい部分が明確に見えてきたので、そこの詰め作業に入りました。
詰めた方が良いかなというところで話をした部分としては、まず子どもたちが学ぶという場面を通じてSDGsの概略を学んだ後に、フラワーロードの周辺の企業や、SDGsの活動している人たちの話を聞きに行こうと考えています。具体的にどういう企業の方に協力していただけるのか、どういうテーマでお話をしてもらうべきなのかというところです。
コメント|
山崎:こども先生のコンセプトもぶれてないですし、あとはその主要な部分を詰めていく段階ですね。細かいところを詰めていく段階で一つ考えておいたほうがいいのは、多分、先ほども議論されていましたが、子どもが何人ぐらいで行くのかとか、あとこども先生とはいうものの、どこかで自分たち大人がレクチャーをするという前提を入れないと、子どもたちだけではなかなか話がSDGsまで行かないと思います。そこの仕組みをどうしていくのか、というあたりは、工夫しなくてはいけないところです。小学生だと、自分の将来の事を色々書かされる機会がありますが、社会の将来のことを考える機会にはまずありません。2030年の世界を考えろといきなり言われても、空想では言えると思いますが、多くの企業に協力をお願いしていくにあたって、どういうポイントから切り込んでいくのかというところがキモになると思います。そのあたりがクリアになると、参加する企業の側からしても話がしやすいと思いますし、聞いている側としても企業が子どもたちとSDGsやっている意味が伝わるという所に落ちるかなと思います。
永田:全体的な仕組みはよくできています。具体的に総合学習と言うからには、カリキュラムにリアリティ持たせて、いくつかバリエーション作ったら良いという話をしたと思います。
ただ、何故この企業とのコラボするのかというところが、まだ掘りきれていないように思えます。あとは、自分の企画だとしたら、総合学習なので例えば45分の内容の授業を何個か作って、取材先に散っていくみたいなことを考えています。そういうことを考えると、どれぐらいの時間で実施した、みたいなのが積み重ねていければいいと思うんのですがそこは本当にやるとなった時の企画の余地として、どこかで区切って、今積み始めていたところを詰めていけばすごくいいじゃないかなと思います。
Cチーム|
中間発表で頂いた意見を踏まえて、分断はどうして起こるのかという話をしています。分断にはたくさんの理由があるものの、おそらく些細な理由で壁が大きく見えているのではと思います。
エンパシーという言葉が出てきているように、結局のところ、お互いの気持ちを汲む場が不足してる、お互いに交わろうとする、お互いのことを理解しようという「場」が少ないのかと考えました。
それを解決する場として「課題見本市」を想定しています。その「場」に、解決済みの大きな課題を持ってきてもらいたい訳ではなく、小さいけどこんな課題があると、いろんな団体や企業にプレゼンする。その課題が結局いろんな人にとっての関わり代になるところで、この部分に関わっていただくことで、その課題をみんなで解決し、新しい未来につないでいくという、その「きっかけ」を作る場として、課題見本市をやろうと考えています。先週伺った「ニューヨークケアーズ」の自分たちができる範囲で自由に参加できる仕組みと良さ、SDGsと言わずに、アートとか社会の貢献というところで様々に活動できる仕組みを、「神戸ケアーズ」みたいなところに落とし込めないかなという方向でまとまっています。
コメント|
永田:NPOやボランティアに、もっとライトな関わりや、アクセスできる場を作る。入り口や敷居を低くして、先に進むにつれて関わる人を増やすということが大切だと思います。まさに「神戸ケアーズ」、「ニューヨークケアーズ」のマネだけでなく、神戸らしさとか神戸でやることのオリジナリティを、どこかに入れる事は必要だと思います。それも含めて、最終的な「神戸ケアーズ」という形がどういうものなのかが楽しみです。ただ、ここまで時間がかかって辿り着いてないというところもあり、最後時間切れにならないように、もうひと踏ん張りです。最後の肉付けの部分をちゃんとできるかに、成果がかかっているかなと思います。
山崎:「課題」がどういう形に展示されるのか、レイアウトの重要性以上に、見る側の受け取り方と、そこでどういうメッセージを見せるのかが、「見本市」という言葉からくるイメージとしてはかなりクリティカルだと思います。最終プレゼンで正解を示す必要は全くありません。ただ、そのイメージを持っていると、それを見た人がどういう行動を次にするのかというところに繋がってくると思います。また、内容を具体的なイメージに落としていくときに、敷居を下げて入りやすくするというところと、それで実際に行動に移って、さらにディープに感情移入まで入っていくところは違うステップだと思います。そこの1ステップをケアするものを用意するべきだと思います。そこで「ニューヨークケアーズ」との比較が必要になってくるのではないかなと思います。「見本市」の場で、人が何をしているのかというイメージが出てくると、イメージと行動がセットになって、コンセプトについても納得がしやすいと思います。
Dチーム|
自分たちが大切にしたいことは、「誰一人取り残さない社会の実現」です。それを私たちはどう解釈して、どう実現できるのかということを考えています。自分が何らかのマイノリティであり、自分という個性であるということを自覚すること、相手の価値観を知ろうとすること、一緒に何か解決できないかと考えることを大切にしたいと思っています。人の暮らしは人の数だけ違い、日々の暮らしの中で構成されるものが異なって、それが個性になっていくと思います。そこでイベントを考えた時に、それぞれの生き方はすごくアートなのではと思い、コンセプトとしては、違う誰かの日常を体験してみるイベントができたらと考えました。ある人の生き方やヒントを自分の日常に取り込んでいく、そしてヒントを与えてくれたその人のためにできることを考えるようなイメージです。その中でフラワーロードをどう使うのかということで、簡易的なアイディアとして、三宮駅からKIITOまでのフラワーロードを使って、例えば、点字ブロックの上を、白杖を使って歩くのに点字ブロックがどれぐらい必要なのか、白杖で歩く歩幅などを体験する。車椅子でKIITOまで行くとどれだけ時間がかかるのか、妊婦さんが何kgという赤ちゃんがお腹に入っている状態で歩くことを体験してみる、そういう日常を「歩く」ということで体験できないかと考えています。日常にある大変さを、歩くことで「すごいな」と気づく、また、実際に歩いてみて、「これをなくしたら楽なのではないか」とかそういう気づきがあってもいいと思います。
また、視覚障害者の方から白杖の使い方や盲導犬と一緒に歩くことを習ってみるなど、イベントを様々重ねていく中で、 最終的にこういう街がいいと思うシーンを実現できればと考えています。イベントを継続的にできるにはどうすればいいのかという点は、また検討したいと思います。
コメント|
山崎:以前はコンセプトが開いている印象がありましたが、今回の説明で多分中心になるものははっきりしてきた印象です。9月の段階の話や以前の論点が途中でなくなっていますが、そこがチームの中でちゃんと消化できていれば問題と思います。提案の部分に持っていくところで、マイノリティをどう定義するのか、どういう人をマイノリティというものか、イメージや対象というのが結構難しい問題だと思います。そこの見せ方の仕組みが気になるのが一つ。あとは、いくつかのイベントのイメージは出ているので、イベントを通じて違う日常を体験し、理解してからディスカッションしていくという流れはいいと思いました。体験の部分の見せ方とバリエーションとして、視覚的に見えやすいマイノリティ性を問題に扱っていますが、社会の中のマイノリティ性にも多様性であって、その多様性へのアプローチを工夫すると、いろんな人が参加しやすく、いろんな学びができるようになると思います。そこの工夫が必要だなと思います。
永田:ここまでは、人それぞれの個性があっていい、それをみんなが共有するというコンセプトと理解していて、部活みたいなことを考えていたと思います。その辺が「歩く」という行為にフォーカスして、スッキリしたと思います。「歩く」という体験イベント企画にフォーカスして、「何がマイノリティなのか?」というところを体感できるという方針でトコトン貫き通すか、歩くということをメインに、色んな展開があるイメージなのか、「歩く」の次は「座る」とか、ちがう行為が出てくるのか、そういうイメージのイベントを積み重ねていくのか、そこがポイントだと思います。活動というものは、コミュニティを生みながら、そこで脈々と流れていくようなイメージのものだと思っています。今日のお話だと、イベントという表現になってきた時に、どういうふうに地域共創イベントに続いていくのかというところが、ちょっと見えづらくなったように感じています。今回、その部分の最終的なイベントでの位置付けや、発展の仕方などをデザインしながら、最終的な提案にまとめてもらえればと思います。
まとめ|
永田:何度も言うようですが、2023年には本当にやろうとしているプランを求めています。どこかで最終的なリアリティを意識しながら仕上げていただきたいなと思っています。自分たちの中でも納得のいくリアリティが生まれていて、それが人に説明している時に伝わって、それ面白いね、一回やってみたいなという風に思わせることができるかどうか、そこが最後のポイントではないかなと思います。
山崎:5分で話せることは結構少ないと思います。これまで話し合ってきたストーリーも5分に詰め込もうとすると、色々無理があると思うので、使うスライドは1か2枚で、伝えたいコンセプトをストレートにシンプルに伝えてください。いかに印象とイベントに参加してみたいという思いを植え付けられるかが勝負だと思います。次回は最終提案ではありません。発表を受けて、終了後さらにディスカッションできればと思います。
次回9月28日(火)は最終発表会となります。