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2022/2/7

イベントレポート

+クリエイティブゼミvol36 リサーチ・まちづくり編「フラワーロードを軸にSDGs共創イベントを考える。」第10回(最終回)レポート

9月28日(火)、SDGsゼミ最終回(第10回目)となります。オンライン上に集まったゼミ生たちは、ブレイクアウトルームに分かれて発表前の最後の調整をし、発表に挑みます。発表時間は各チーム6分となります。講評時間では、講師だけではなく他グループのメンバーからも感想や質問などもいただきます。

Aチーム|発表

 

今回のテーマ「フラワーロードを軸にSDGs共創イベントを考える」から、「神戸フラワーロードすごろくラリー」を提案します。楽しみながら「すごろく」で街を巡り、巡ることが学びのキッカケをつくり、参加することによって、あなた自身や神戸の未来が変わります。「すごろくラリー」のルートは三宮駅前からKIITO:300までを考えています。マス目のスポットに、東遊園地、こども本の森 神戸、市役所ロビー、通りにあるベンチ、神戸アリーナ、atoa(アトア)などフラワーロードの周辺です。ルールは、参加時にマップと取材手帳をもらいます。マス目を探しながら街を巡り「ミッションスポット」でミッションをクリアすると次のミッションに進み、全部クリアしてゴールを目指します。オレンジ色の丸印がミッションスポットです。各ミッションスポットには「ミッションマン」という案内役がいて、サンドイッチマンスタイルで立っています。すごろくのマス目の中にあるミッションスポットには必ず立ち寄り、その中にあるミッションをクリアします。学びのスポットになるミッションスポットは周辺の協力企業に取材手帳を持ってインタビューに行き、最後に印象に残ったことを記事としてまとめます。協力企業は、日本イーライリリー、P&Gジャパン、ネスレ日本株式会社、株式会社フェリシモ、神戸アリーナです。おしゃべりスポットで紙芝居を見ながら、ミッションマンからクイズが出題されヒントを聞きながら答えをみんなで導きます。体験スポットでは、ペットボトルのごみを使ってプランターをつくり、お花を飾ることでフラワーロードを彩ります。ミッションスポットでミッションをクリアした特典として、クリアカードを渡し専用のポイントをゲットします。

 

コンセプトはSDGsを知る・学ぶから行動に移すことで、それを実現するためにSDGsを自分ごと化する場の提供をします。ターゲットに合わせた展開性も考えています。家族で参加する場合、デートとして来てもらう場合、散歩のついでにすごろくラリーもできるといいねと話をしています。他の都市での展開やボードゲーム化、アプリにもできたらいいなと思います。すごろくラリーに参加してもらうことによって、自分ごと化したものを自ら行動に起こし、そこから小さなアクションが起こせるようになってほしいです。1人の人がたったひとつのことを変えるだけで、10人100人10000人の人が変えれば、未来はいくらでも変えられると思います。神戸から世界を変えていきたいです。

永田:何かをつくるという体験は、とても分かりやすいですが、おしゃべりと学びのカテゴライズに分けた方がいいと思いました。ステークホルダーの企業から学ぶスキームをシステマチックにできる方法を考えた方がいいと思います。「すごろくラリー」は1日で回るのか、1か月で回るのか1年で回るのか、ゲームのスパンも気になりました。

Aチーム:参加者を何人ぐらい呼ぶのか?企業への取材を「すごろく」でコントロールできるのか?など具体的なゲームプランがまだこれからといったところです。それが見えてきたら、「これ1日で回れるよね」とか「レガシーとしてこれは年間でやれるようにしよう」等が見えてくると思います。アドバイスを参考にそこの部分を練ってみたいと思います。

永田:土日だけにすることで、企業の人もその日だけ対応するなど現実味を帯びてきます。いつ来るか分からない人に対応はできないので、こういうこともセットにしてブラッシュアップしてください。

山崎:すごく分かりやすい発表でしたが、ゴールした時に何が起こるのかというイメージがあまり伝わらなかったです。ゴールのイメージとそのゴールに向けてやってみよう!という始まり方があると思います。そこが上手くストーリーになると、参加しよう!という気になるのかなと思いました。もう一つは、自分ごとにできるかが課題になっています。SDGsのような大きな話を考える時は、社会の問題と自分が直にくっついてしまう学び方はしんどいところもあります。一人ひとりが学ぶことは大事ですが、もう少し社会問題との間にいくつかの媒介があり隙間ができることで、みんなで何かに取組めるのではないかと思います。学び方も各自が体験して持ち帰ることもありますが、できればゴールで参加した人達が同じ体験を共有するような何かがあるか、課題に1人で向き合っているのではないことを少し入れ込むとすごく良くなるのではないかと思いました。この企画の拡張、後々他の都市でもできるかもしれないところが、プレゼンの余韻としてやってみようという感じになるのでものすごくいいと思いました。

ゼミ生:企画として楽しそうだと思いました。自分がもし参加するなら1人だと参加しづらいなぁと思う一方、友達とかといっしょに行くと楽しそうだなと思いました。1人でも行ける気軽さがあってもいいのかなと思いました。

永田:一斉にスタートすることを考えると、1つの班にボランティアが1人ついた方がいいと思います。審判員みたいな人がいて、学びや体験で勉強する割り切りをすれば、もっとシンプルになると思います。ついていく人が誰なのかで、おしゃべりしながらSDGsのことをもっと深く学べる構造になると思います。実際にやれそうだなと思っているので、詰めていくともっと豊かになると思います。

Aチーム:参加チームに案内人を付ける形にしようかという意見も出ました。何人来て、どんなグループが何組来るかによってチューター(コンシェルジュ?)の人数が何人必要なのか分からない状況でしたので、エリア毎にミッションマンを配置する形になりました。逆に最初のうちは案内人がついてお世話をし、チームが乗ってきたら自由に動いてもらうなど、その辺ももう一度詳しく考えてみたいと思います。ありがとうございます。

Bチーム|発表

 

子供は考える。おとなも考える。「SDGsこども先生」を提案します。「こども先生」はどんな場かというと、こども同士の対話の場とそこから生まれるたくさんの学びや気づきの仕組みです。学校授業の中にある「総合的な学習の時間」を利用して実施します。その仕組みは、「学びの期間」「対話の期間」「広める期間」の3つの期間に分かれます。神戸市内の小学校5年生を選出してSDGsの事前学習の時間と概略を学ぶ期間を設けます。KIITOでフラワーロード周辺のステークホルダーからレクチャーを受ける。「SDGsワンデイスクールin KIITO」で学ぶ時間を作り、学んだことをまとめてシェアする時間を「学びの期間」で行います。「対話の期間」ではp4cという形式の対話を通じてシェアをします。どうすれば地球が良くなっていくのか、世界が良くなるのか、こどもらしい視点で答えを出してもらえたらと思います。その先にある「広める期間」は、「学びの期間」「対話の期間」を取材して絵本やドキュメンタリー映像という形でまとめ、多くの人に知ってもらえるようにします。そのサイクルを色んな人に体験してもらい、継続的に続けていけるような学びの仕組みを作ります。

 

具体的には「こども本の森」の司書さんにこども向けのSDGs書籍をテキストにしてもらい、博物館の学芸員さんや大学で研究されている専門の方に講演してもらいます。ここでSDGsの概要のレクチャーを行った後、小学校の教育授業でもある「2030 SDGsカードゲーム」を使って、KIITO:300でKIITOスタッフと一緒にSDGsカードゲームをプレイしたいと思います。それらの学びを経た後に、選ばれたこどもたちだけではなく一般のこどもたちも参加できる「SDGsワンデイスクールin KIITO」と題して、フラワーロードの近くにあるSDGsに取組む企業に集結してもらいます。一般参加者向けには事前学習にあたる入門クラスを開講し、「こども先生」のメンバーは自分の好きなクラスを選びます。保護者や企業担当者が参加しやすいよう休日に地域共創のイベントとして実施します。参加者は約40名を想定し、レクチャー内容は会社紹介・取り組み紹介・質疑応答を予定しています。最後に対話の場、p4cというスキームの説明です。こどもたちが哲学的な問いを考えるアプローチで、コミュニティボールというボールをみんなで回して考えを深めやすくする仕組みです。それを専門のファシリテーターを招いて対話を実施します。対話が終わった後、「広める期間」を経て、「学びの期間」「対話の期間」に戻っていくというループで、地域共創イベントとしてはもちろん地域共創の教育モデルとして展開できればと考えています。

山崎:コンセプトの部分は分かりやすかったです。こども目線で見た場合、学校の活動と捉えるのかな?と思いました。できれば、学校で学ぶこととは違う要素があった方がいいと思います。最初のレクチャーも、学校で学ぶという枠をどこまで崩していけるかがポイントです。「こどもが学ぶ」は比較的良く分かりましたが、世代を超えて同じものを学ぼうと思った時に、こどもから気付きを得る要素がすごく大事になります。こどもはこの一連の中で吸収することができると思いますが、そこに大人目線でどういう学びがあるかが分かると、魅力が伝わると思いました。絵本作りも具体的なイメージがどのようになっているのかが分かりにくかったです。下手をすると、ものすごくカチッとした学びの場に見えてしまう気もしました。こども目線で遊びながら学べることがあってもいいのかなと思いながら聞きました。

Bチーム:学校っぽくならないように、SDGsの概略を学ぶ時に学校ではなく別のところに遠足に行こうと思います。午前中を使ってKIITOに行き、午後から「こども本の森」に行くというように課外活動感を出します。総合的学びの時間にそのような時間の使い方が許されているみたいなので、学校でばかりやらないようにします。SDGsのワンデイスクールもあえて学校ではない場所で、1日一般参加のこどもたちとイベント感のある形をKIITOで行います。当日こどもたちは自分で好きなテーマを選択できるところに工夫をしました。大人が学べる点では、こどもが学んで家に帰り、家庭の中で学んだことについて会話をするのが大切だと話しています。フランスのドキュメンタリーでも、家に帰ってから家族に話をしてSDGsワンデイスクールにあえて保護者も一緒に来てもらう形をとることで、家に帰った後も保護者の学びになるようにしたいと思っていました。「広める期間」ですが、絵本は子供も大人も楽しめるメディアというアイデアが出ています。ドキュメンタリー映像は、対話の場で出た色んなものを映像に残すのがいいのではないかと思います。ただ、広める期間に関しては実際どのようなプロセスがいいのか分からないので、あえて今回の企画ではファジーな状態にしておこうという経緯がありました。

永田:1つのモデルとなる5年生のクラスのこどもたちが来て、フラワーロードがキャンパスだ!という感じで勉強しつつ、どこかを回って話を聞いてどこかで集まってお話するとういような感じですよね?対話のp4cは東遊園地のような芝生の上でやったらいいのかなという風に聞いていました。絵本やドキュメンタリー映像を作り教材化して、他の学校のこどもたちはそれで学ぶ。モデルを作った子供たちの学びと、そこから出来た教材で学んだ子供たちの学びの深さのギャップが結構あるのではないかと思います。そこの隔たりを縮める工夫はないだろうかと考えました。土日で行うワンデイスクールをオンライン配信し、興味のある人たちが参加できるなど今のプロセスをもう少し整理して、どの部分を教材化するかを考えると、学びのギャップが縮まると思いました。個人的に「こども先生」は大好きで、フラワーロードがキャンパスというところがものすごくいいと思います。フィールドワークみたいなことも体験できて、考えたりお話したりとバリエーションもあって、とってもいい対話まであるのですごく良くできたプログラムじゃないかなと思います。このモデルはぜひやってみたいなと思って聞いていました。

Cチーム|発表

 

私たちは分断というキーワードから始まり、実際の街がどうなっているのか調べていきました。異文化とフラワーロードにはたくさんの企業があり、実際に様々な活動も行われています。まず、イベントに参加してもらう市民について考えました。フラワーロードの近隣に住んでいる人もそうですが、長い時間この地域で働いている人々も市民と呼んでいいのではないかと考えます。そうすると、フラワーロードは神戸の中でも多くの人々が、人生を過ごしている街であるという事がよく分かります。そして学ぶことについても考えました。社会課題に対して各企業はそれぞれの活動を実施しているが、それを上手く活用してこの地で学ぶという事を広げていけるのではないかと思います。企業という枠を外すとことで、フラワーロードをプラットフォームにしてみると、分断を引き起こしていた枠を外すことになるのではと考えます。私たちはコンセプトとして「枠を超えてワクワクをこの街に」という18番目のSDGsを設定します。前回の中間発表で、山崎先生、永田センター長から課題をいただき色んな目線で考えました。そうすると新たに「エンパシー」というキーワードがあがってきました。相手の気持ちを思いやることが不足していることで枠が作られていることが分かりました。事例学習として「ニューヨークケアーズ」を学び、展示などの見せ方は「EARTH MANUAL PROJECT展」から学びました。私たちの考えることに近しい「5GOALS for 黒部」も参考にして考えました。

 

イベントとしては、まずフィールドワークをしたいと思います。フィールドワークで得た意見を「KOBEゴト」のテーマとして抽出します。先ほどの18番目のSDGsというコンセプトをフィルターにして、新しい「KOBEゴト」のSDGsを見つけていくのが一番いいのではないかと思いました。

見つけ出した街のテーマを隣接する街の各施設や企業のオープンスペースを「教室」にして、興味のあるテーマに触れてみる、体験して参加できる学級会を開催します。「学級会」の仕組みはテーマや課題を展示し、それについて話し合うスペースと「タスカール」という、困っているポイントが書かれたものを持ち帰ってもらい、すぐに参加できる人は「タスケール」カードを持ち、参加はしないが簡単に意見を言うことができる「シランケード」カードでゆるい関わり代を作って色んな人が意見を言える状況を作ろうと思います。色んな意見で悩みを変容させ、活動化までできればと思います。ニューヨークケアーズと生協さんのいいところを組み合わせた仕組みを作れば、神戸らしい活動になるのではないかと考えました。

永田:これまでとてもよく考えてきたのが分かる発表でしたが、活動の枝葉が広がりすぎて幹がぼやけていると思いました。町全体を使ってオープンキャンパスにして、ある期間は色んな所で「教室」が展開されるみたいなことなのかなと思い聞いていました。細かいところまで議論しているので、検討しないといけない項目は全部上がっていると思います。もう少し整理をして強弱をつけたプレゼンの手法も含めて、実際に発表が時間内に収まっていないことも、10月の合同発表会までに整理してもらえたらと思いました。

山崎:これまでの議論を聞いていたので分かった部分と、初見で聞いた時に伝わらないかもしれないと思った部分があります。最初の分断の話は前半の部分と後半の部分の接続だと思います。18番目のSDGsで枠を外すというところまでは、コンセプトから理解できます。そこから、次の具体的なプランになると活動のイメージが壮大なものになっていて、イベントでできる範囲の小さなアイデアにコンセプトを収めていく方が伝わると思いました。組合のような大きな組織までいってしまうと、実現できるか分からないことが出てきてしまいます。どんなイベントにすると、分断の話を生かせるような活動になるのかを考えることで前半と後半がそれなりに繋がってくると思います。分断への着目はすごくいいと思いますし、それが以外に簡単に乗り越えられるものではないかという想定もいいと思います。最初に何が分断を構成しているのかを学び、それが分かったうえで、それをどう外していくのか(乗り越えていったらいいか)の二段構えであると思います。そこが上手く区別されていなかったので、乗り越える対象が何なのかが良く分かりませんでした。それがあったうえで、後半の一緒に何かをしていくというイメージ繋がっていくと思います。その接続も分かりづらかったです。全体の発表をする時には、初めて聞く人にもわかるように壮大なスケールの仕組みの話をする前にコンパクトに事例を説明した方がいいと思いました。

ゼミ生:「枠を超えてワクワクをこの街に」というフレーズが大好きで発表の内容もシステマチックな部分で構成されていてすごいなと思いました。このコンセプトで気になったのが、すごくたくさんのお膳立てをしているところです。舞台をたくさん用意していますが、参加する人がお膳立てをしてくれた舞台を経験することでワクワクするのか?それとも参加した人がワクワクを生み出せるような仕組みを作りたいのか?そこをCチームの方はどう考えていたのか教えてください。
Cチーム:そこは、私たちもすごく考えていました。枠を外して、また違う枠を作ってしまうのかみたいな話もしました。まず入り口として、「我が街感」とか「自分たちの街の課題」って何だろうという課題設定のところを考えたいと思っています。「こんな事を解決したいのだー」「こんな事が楽しいと思います。」「こんな事を実はしたいと思っているのです。」という、みんなの意見を聞くようなイベントをフィールドワークとして行いたいです。そこから、自分ごと化することがSDGsのゴールになります。

Dチーム|発表

 

SDGsのスローガン「誰一人取り残さない社会の実現」は避けて通れず、しかし解釈の仕方がたくさんある言葉で、この言葉をかみ砕くところから始めました。そうすると3つの大切にしたいことが出てきました。①自分は唯一無二の存在であるということを自覚すること ②相手の価値観・生き方を知ろうとすること ③一緒に何か解決できないか考えよう を企画の軸にしました。イベント名は「かりもの共創」と名付けます。コンセプトは、誰かの日常(自分にとっては非日常)を体験して(かりて)みて、感じたことを言葉にします。その言葉をもとに次のアイデアに昇華していくコンセプトです。まずは、エピソード形式の「見えにくい多様性」をオンラインで集めます。イベント当日に困りごとのエピソードを実際に体験し、その後「どうすればいいか」のフィードバックを抽出して一緒に考えます。

 

例えば「足腰に不安がある」という言葉より、「距離の長い横断歩道を歩くときは、渡りきれるか分からないからドキドキします」というようなエピソードにすることで共感を呼びます。このような困りごとが書かれたカードを用意し、「足腰に不安がある」と書いた人を当日の現場で見つけて、「距離の長い横断歩道を渡る時はドキドキします」というエピソードをその方と一緒に体験し、どんな風に困っているのかを聞きます。実際に歩きにくい状態を同じように体験するために重量のあるサポーターを装着するなど、エピソードトークに近しい状況を作り出します。「そこがつらいのだ。」「段差がしんどいですね。」と、感じたことや教えてもらったことを付箋にまとめます。ここから皆さんの意見を聞きたいです。当日もらったフィードバックや感想をもとにイベントを共創しますが、今のところ考えている案が2つあります。1つ目が、体験イベント後に参加者の学びが書かれた付箋をWEBサイトで公開し、事務局が「こんな困りごとがあるそうですよ。」と、行政やステークホルダーに提案します。イベント当日の「体験する」「一緒に考える」に重きを置いたプランです。2つ目は、体験イベント後に、関心のあるテーマ毎に集まりKIITO:300ファームを舞台に当日集めたフィードバックをもとに活動するためのコミュニティを作ります。「つくる(共創)」に重心を置いたプランとなり、体験イベントはこの場合プレイベントの意味合いになります。今回、案1と案2のどちらの方向性で行くかを皆さんに相談したいと思っています。同時に「集める」「体験する」「一緒に考える」「つくる」までの接続や、もともと人に言えなかった悩み事を「かりて」体験し昇華していくというプロセスがスムーズかどうかの意見を伺えたらと思っています。

山崎:最後の案1と案2から私の所感をお伝えします。この2つの案は、両方をやっていくのかなと思います。案1を形にしたうえでかつ、次のステップとして案2を考えていくという風に分けた方が自然です。案1もそれなりにやり方が難しく、エピソードを色々出してもらえると思いますが、それをコミュニケーションツールになるような形にまで落としていく作業をしないといけません。その辺の仕組みも工夫が必要です。当日、実際に引いたカードを知らない人と突然急にやれるのか、ファシリテーターみたいな人が付いてディスカッションがあるのか、細かいことではありますが詰めていけたら良いと思います。全体の大まかなイメージがつかめる発表で、プレゼンとして面白く聞かせてもらいました。

永田:案1か案2かという質問には、両方必要な気がします。これまで、概念的なところを議論していた中でプログラムとして落ちてきているので、すごくいいなと思って聞いていました。気になったのが、フラワーロードでなきゃいけない必然性があまり感じられなかったことです。特にこのチームは、イーライリリーさんのヘンズツウ部から始まっているので、フラワーロードに来ないとできないイベントとしての場所性を問い直してみてはどうかと思います。

Dチーム:まさにおっしゃる通りで、完全に詰め切れていない部分だと思います。一つは、最後のアウトプットの「つくる」をKIITOと一緒に取り組む、地域を良くしていく、多様性を輝かせるためにお店や企業や学校で何ができるのかということをイメージしています。イベント当日も、多様性を知っていただく機会として、それがフラワーロード周辺の企業や関わっている人じゃないとできないものかは分かりませんが、イーライリリーさんやネスレさんのようなグローバルな企業からお話を聞く機会を設けることでフラワーロードとしての場所設定がもう少し出てくるのかなと思います。

山崎:永田さんの意見を聞いて確かにそうだなと思いました。誰かの日常をかりるというエピソード出しの時にフラワーロードの近隣で生活していることが前提にあり、それがエピソードにのってくると、出てきたエピソードに場所性が生まれます。場所性を入れ込むとしたら、そういったやり方もあるかもしれないと思いました。生活者の目線で困っていることを書くというのがすごくいいことだと思います。それの出し方書き方(オリエンテーション)が上手くいくとすごくいいのではないかなと思いました。

Dチーム:オリエンテーションのようなyou tubeライブをプレイベントでやりたいなと思っています。フラワーロード周辺で生活するにあたって「こんな風になりたいよね」というトークセッションの機会を設けて参加していただくことで、フラワーロード沿いで生活するうえで何か困りごとありますか?というお声をホームページで募集していることを周知します。情報収集もどうやっていくか、今後考えていきたいと思います。

ゼミ生:関わり代のところや「かりもの共創」という名前やテーマがすごく面白いなと思いました。多様性を集めるというのが、かなり個人の資質に寄ってしまうのが大きいと思うので、面白いものが集まるかどうかがすごく重要になってくると思います。それを編集するスキルにも大きく作用されるので、永田さんもおっしゃった「こういうことを出せばいいのだ」というプロトタイプの準備がしっかりできていて、それを少しずつ広げていくみたいな形の方がプロジェクト自体を伝えるという意味でもいいのかなと思いました。

<総評>
永田:私たち二人のコメントを聞いていれば分かると思いますが、相当レベルが上がってかなり完成に近づいてきています。そうとうリアリティもあるし、やってみたいなと思わせてくれている、すごくいいプランだと思います。だけど、もうちょっとまだ詰まっていないところがあったので、今日は突っ込んだことを言いました。10月の合同発表会では、最高に素晴らしい形に仕上げてもらいたいです。あと少し、もうひと踏ん張り頑張っていただきたいなと思います。

山崎:短い作業時間の中で出てきたものとしては、私もびっくりするくらいコンセプトもしっかりしていますし、プレゼンの組み立ても分かりやすく皆さん話してくれました。永田さんは、企画を実施する側の視点でコメントされていましたが、次のプレゼンに向けて参加する人がどういう風に「これ面白い!」となってくれるかという目線が、プレゼンの中に入ってくると全体が盛り上がると思います。「やってみよう!」「これやってみたら、こんな風になるかもしれない!」と思わせてくれるところがすごく大事な気がしています。細かい話はいくら詰めても詰め切れない部分があると思いますので、魅力的なプレゼンということで考えるとすでに企画としての魅力はあると思います。これを聞いた人が「これだったら自分も関わってみたい」「やるのだったら、参加してみたい」なところが出てくるとほんとに盛り上がってくるのではないかとそれぞれのチームに関して思います。発表時間の5分がかなり厳しい条件設定だと思うので、コンパクトに入れ込んでください。とても楽しみにしています。

永田:Cチームもそうですが、最終的にチラシとかポスターに落としこめるかということです。相当編集を効かさないといけないし捨てるところもたくさん出てくると思います。考えたプロセスとしては重要ですが、言わなくてもいいよね?ということもあるし、結局何をしたいの?来る人に何を訴えるの?どういうタイトルなの?という話なので最後の仕上げの段階で「チラシにしてみようか」となります。そのままプレゼンするかは別として、一回そのプロセスがあると結構整理できるので参考にしてください。

<ゼミ生の感想>
ゼミ生:体験という二文字をチームでずっと使ってきたんですが、体験という言葉の理解のツボをそろえておくこと。人によって体験の規模感が全然違ったと思いました。言葉の解釈がどんどん個人によって差が開くと、最終的にそんな体験をかんがえていたの?となってしまうことになるのかなと思いました。いい学びとして、言葉の整理をし続けることが今回大事だなということをチームの活動で感じました。

セミ生:初めてゼミに参加してみて、出席率にも驚きましたが仕事との兼ね合いもあり参加する事自体が大変でした。途中からすごい使命感に燃えてきて、Aチームは自主ゼミを3回も行い、熱い議論を繰り広げられたのがすごく印象に残っています。その中で、話がどんどん膨らんで収集つくのかな?と心配していた部分もありましたが、終わってみれば今日のプレゼンシートもちゃんと出来てよかったなと思いましたし、色んなチームの意見を聞いて、みんなすごく話し合ったというのが感じられて本当にいいゼミに参加できてよかったなと、今しみじみ思っています。ありがとうございました。

ゼミ生:今回初めて参加して、イメージと現実を埋めていく作業がすごく苦手でした。チームの皆さんと一緒に話し合うことで、皆で一つの形をつくるという経験がとても楽しかったです。同じBチームのメンバーは、とても能力の高さを感じる皆さんで助けられました。楽しい時間をありがとうございます。10月の合同発表会までもうしばらく、どうぞよろしくお願いします。

ゼミ生:本当に有意義な時間を過ごすことができました。チームの皆さんにも感謝しています。こんないいゼミに参加できてよかったと思います。個人的な感想ですが、自分をリサイクルしてペットボトルからTシャツになりたいなと思いながらできるだけ努力しましたが、まだTシャツにはなり切れず、言っていることとやっていることが普段とあんまり変わっていないので反省をしています。まだまだ色んなゼミに参加して勉強したいと思います。ありがとうございました。

ゼミ生:初めて参加させてもらって大変楽しかったです。会社でもマーケティング部なので、マーケティングの目線からのレポートを書いているのですが、今回こちらに参加してみて若い方がかなりガッツリ「なかなか見えない多様性」などディープなところに真剣に向き合って、それを何とか解決したいと情熱を持っていることにすごく驚きました。

これまでの充実した学びの時間がうかがえる感想をいただきました。チームメンバーと過ごす時間もあと少し、今日新たに出てきた課題に向き合って本番の合同発表会に臨みます。次回、10月の合同発表会は、神戸大学4チームと大阪大学1チーム、KIITOゼミチーム4チームが参加します。7月から長い時間をかけて議論を重ねてきたゼミですが、同じように取り組んできた学生たちも一緒に学びの時間の集大成を共有したいと思います。

+クリエイティブゼミvol.36 リサーチ・まちづくり編概要|https://kiito.jp/schedule/seminar/articles/49439/