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2022/4/13

イベントレポート

FARMトークイベント300秒プレゼンテーション交流会 レポート

2022年3月16日、KIITO:300を会場に「FARMトークイベント300秒プレゼン交流会」を開催しました。神戸市内を中心に、色々な活動をされている団体や個人の方に、300秒という限られた時間で普段の活動についてプレゼンしていただくイベントです。初回となる今回は、7名のプレゼンターに登壇していただきました。

魚山純子さん|神戸市企画調整局つなぐラボ
 
私は、神戸市企画調整局で、社会貢献支援の担当をしています。これから社会貢献活動を始めようしている方へのワークショップでのサポートや活動場所の紹介、助成金制度などを通じた支援を進め、みんなで社会課題に取り組める社会を目指しています。また、その場として、KIITO:300を整備しました。まだ認知は低いので、もっと知っていただきたい場所です。この空間はとても広く、同時に複数の団体や個人の方に利用いいただくことも可能で、みなさんでワイワイと企画検討など、活動をつなぐ場としてご利用いただきたいです。KIITOセンター長の永田さんをはじめとした3名の相談員が、地域活動のあり方や悩みなど気軽に相談できる体制も整えていますので、ぜひご活用ください。

キャロル・ファンさん|ASTRUSIA Kids CLub(アストラシア・キッズ・クラブ)
 
私は、小学生の国際人材育成を目指しています。語学だけではない、自分と違う考え方や価値観を理解、尊重し、異文化の人と手を結び、世の中に新しい価値を生み出す人を育てたいと思っています。実際のところ、多種多様な、考え方と個性を受け入れながら協力し合うのは難しいです。私自身も中国の出身で、20年前に来日し、習慣や文化の違いで困ったことはたくさんありましたが、20年経って日本の魅力的な部分も発見することができました。実体験を通じて、国それぞれのいい部分を伝え合うことの大切さをこどもの頃から経験することの重要性を感じ、それが自分の役目だと思っています。活動の名前を「SAKU」とつけて、こどもたちの才能を、花のように世界で咲かせることをテーマにしています。現在のプログラムには、オンラインのものとオフラインのものがあり、危機管理力と、企画力とコミュニケーション力向上、マネーリテラシーを学んでもらいます。最終的には、世界のこどもたちのコミュニティをつくることが私の目標です。仲間も募集しています!

薩川勝さん|NPO法人障がい者就労支援事業アンカー神戸
 
私自身が色々転職をし、仕事で抑うつ状態に陥ったことを機に精神保健福祉士という資格に出会い、現在アンカー神戸で勤務しています。認知行動療法のプログラムや、大学でも福祉分野に関する教科を担当しています。SNSでも情報を発信しているので、Twitterなどで全く知らない人から就職に関する相談を受けることも多いです。「就労者の会」というプログラムでは、働いている当事者の人、働きたい人、その支援者に集まってもらう場を作っています。面白い働き方をしている人に、お話をしていいただくことで、一般的に考えられている「働く」という概念を見直し、働くことに対して、異なる目線の理解が広がります。コロナの影響で最近は難しいのですが、会が終わってから、参加者と飲みにいったり食べにいったりという交流も深めてきました。私が一番大事にしているのは、自分も含め、参加者の立場や役割を曖昧にしていることです。活動の場として、KIITO:300も利用させていただいています。

前半の質疑応答|進行:永田宏和(KIITOセンター長)

参加者:つなぐラボみたいな課は他の自治体にもありますか?
魚山さん:つなぐラボは大学連携、企業連携、NPO支援など様々な分野のラインが、1つの課になっています。地域課題解決を進めていくためには、一つの部署だけでの解決は難しいもので、民間企業や大学、NPO、地域団体など、様々な分野をまたいで取り組む必要があります。そういった枠で1つの部署にしているのは、珍しいと思います。

永田:今活動のため、仲間以外に求めていることはありますか?
キャロルさん:個人で活動を始めているので、宣伝が全然できていないところが課題です。SNSでの発信も手段の一つですが、外部から見たときに、外国人がこういうことをしようとしていることへの疑問(蓋然性や信頼感)をどうクリアするかが課題だと感じています。

永田:自分は専門家のように対応せず、参加者と一緒に共有しながら考えていくという場の作り方が面白いと思います。コロナ禍になってからの変化として、コミュニケーションのとり方が変わってきたなどの、変化はありましたか?
薩川さん:カリキュラムは、自分だけではつくれないものなので、集団の力が必要です。自分は触媒として、自分が行動して投げかけることで周りが反応してくれるので、それがつながって広がっていく、そのきっかけづくりと思って会を実施しています。コロナ禍になって、これまで施設内で対面での相談対応などが、オンラインになりました。最初は問題ばかりでしたが、やることによって幅が広がって解決していっています。自分がやっていることはきっかけをつくっているだけ。違う人がきっかけを作っていたら応援したいと思っています。

玉井知世子さん|シニアのためのオンラインサロン神戸

サロンを始めようと思ったのは「最後まで幸せであってほしい」と感じたからです。看護師として訪問看護をしているときに、年齢を重ねて、大切な人が亡くなったり、体が弱ったりして、外出できなくなり、人との繋がりがなくなっていくのが寂しいと思いました。そこで、ZOOMを使ったオンラインでつながれるコミュニティを作れたらと思いはじめました。アラウンド還暦以上の方が集まる学校のような雰囲気にしたく「アラカンスクール」と名づけ、体操などさまざまなプログラムを試す中で、「学級会」というプログラムが残り、それのみを運営しています。シニアからはお金をとってはいけないという風潮がある中で、運営費が必要であり、ボランティアだと続かないのでシニアが参加しやすいよう月2000円の月謝制度を導入。「スマホでZOOMに挑戦」という教室なども実施しています。自分の生活を成り立たせるため、看護師としても引き続き働いています。
月2回のペースで実施しており、月一回はゲストティーチャーを招いています。毎回同じ人とZOOMで会うので、仲間ができ、「アラカンスクール」に所属できている安心感が大きいと思います。今後の課題は、資金面です。今のところ利益ゼロなので会員を増やさないといけません。これを介護ではなく、エンタメにし、ワクワクしたいと思っています!

渡辺真紀さん|BE KOBEミライPROJECT(TEAM BE KOBE 1期生)
 
BE KOBEミライPROJECTは、こども支援のために何ができるのかをテーマに据え、行政と企業と大学が一緒に活動を行っているプロジェクトです。学生が中心のチームBEKOBEで取り組んでいる「BE KOBEスペシャルティコーヒー」について紹介します。
イベント出展等のコーヒーの売上の一部をこどもたちへの支援に充てることで、地域課題の解決に繋げようというものです。神戸のこどもたちとコーヒーの生産国エチオピアのこどもたち、両方の支援をしています。神戸のこどもは7人に1人が貧困と言われています。私が関わるようになったきっかけは、大学で「神戸とコーヒーのプロジェクトに関わるメンバー募集」の掲示を見つけたことでした。ワークショップに参加することで、人との繋がり、そして社会課題に対する意識が高まり、身近な人にさらに関心を持つようになりました。大学生活を続けていく中で、今後の活動についても考えていきたいと思っています。

大谷利恵さん・黒瀬勝宏さん|リカバリーカレッジKOBE
 
大谷利恵さん:「リカバリー」という言葉は、精神保健の分野では「(精神的困難を抱えた人が)その人らしさを取り戻すこと」という意味で使われています。リカバリーカレッジは、この意味でのリカバリーを目指す取り組みで、イギリスでは2009年に始まって以来、80ヶ所以上設置されるまでに拡大し、日本でも2013年から活動が始まりました。支援者が当事者に何かを教えるという一方的なものではなく、参加する人みんながそれぞれ等しく学び合う、知恵を出し合う学びあいの場をつくっていくことを目指しています。1年目は準備期間としてKIITO:300を利用し、11月と12月に体験講座を開催しました。想像以上に多くの方にご参加して頂き、リカバリーカレッジは必要とされていると感じ、自信を持つことができて、3月に正式に開校することになりました。「リカバリー」が意味するものも、学びの中で得られるものもその人によって違います。それを認める意味で合言葉を「ちゃうちゃうでええやん」と付けました。ひとりひとりが立場を超えて自分らしさを見つけ、自分のリカバリーとは何なのか、自分がリカバリーするために必要なことは何なのか、仲間と考えることが出来る場をつくっていきたいと思っています。
黒瀬勝宏さん:リカバリーカレッジに関わるようになって、自分も少しずつ達成感を感じるようになりました。一人一人が自分のことを大切にしながら、自分たちが思うことを言葉で表現する、言葉数は少なくとも伝え合うことが大事だと思っています。希望という言葉が、自分は大好きです。リカバリーカレッジに関わってくれる皆さんが、活動の中で希望に出会ってくれたら嬉しいと思います。

後半の質疑応答|進行:永田宏和(KIITOセンター長)
永田:「学級会」が残ったというのに興味があって、その理由をどう分析していますか?
玉井さん:これから何かができようとしているワクワク感が良かったと思います。「学級会」というコミュニティがあるということが重要なのでしょうね。
参加者:「学級会」で一番盛り上がったテーマや話題はなんですか?話が長い人や、喧嘩腰の人がいたらどうしますか?
玉井さん:サプリメント、スマホという話題が盛り上がっていたように思います。また、話始めると長くなりがちな人の場合は、適宜話に割って入って調整しますし、講師から人はそれぞれ違うということを最初に共有して始めるので、あまりそういうことにはなりません。

永田:プロジェクトにのめりこんだきっかけはなんですか?また、プロジェクトから得られるもの、企画する楽しさは?
渡辺さん:日頃からチャレンジが好きなタイプであること、また大学に入って一人暮らしをして「ひとり」を感じたことが重なって、最初は人脈を求めていたところがありました。参加後自分の考えを整理したときに、この活動を知り得る人はもっといると思ったことがきっかけです。自分の企画や思いが形になっていくのは楽しいと思います。

参加者:参加者を集めるための工夫はありますか?
大谷さん:自分たちの活動紹介などを聞いてくれた人が多く参加して下さっています。直接訴えかけることが大事だと思っています。
参加者:かっちゃん(黒瀬さん)が参加しようと思ったきっかけはなんですか?
黒瀬さん(かっちゃん):りえっち(大谷さん)が報告会でカレッジのことを話していたのを聞いて、そこから盛り上がって団体が立ち上がって、その流れの中で参加することになりました。
永田:場の作り方の面白さがすごく印象的で、おそらくどういうプログラムをやるかということはそんなに大事ではなく、みんなが来る場所があることが大事だと感じています。本当は学校教育でこういうことをやるべきだと思うのですが、現場の実感としてどうですか?
大谷さん:レクチャーのようなものは最初の部分だけで、ほとんどの時間はグループワークをしたり、雑談したりしていることもありますが、そこが大事だと思っています。教えることではなく、話しながら他の人の考えを聞き、自分を見つめる学びこそが、このカレッジでは重要です。

 

終始、和やかな雰囲気でした。トークイベント終了後、短時間ですが、プレゼンターと参加者との交流会を実施し、名刺交換や感想、アイディアの交換などが行われ終了しました。次年度も引き続き、300秒プレゼンイベントを実施していきたいと思います。

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