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2022/9/30

イベントレポート

KIITO:300|FARMトークイベント|第3回 300秒プレゼンテーション交流会「市民活動の助成と活動実績について」 レポート

2022年9月21日、「FARMトークイベント 第3回300秒プレゼン交流会」を開催しました。神戸市内を中心に、色々な活動をされている団体や個人の方に、300秒という限られた時間で普段の活動についてプレゼンしていただくイベントです。
今回は神戸市内で活動されている様々な市民団体とその活動をさせる助成事業についてお話しいただきました。

しみん基金KOBE

阪神淡路大震災があった1995年は「ボランティア元年」と言われ、ボランティア団体がたくさんできました。しかし財政面の課題で活動を続けていくことが困難になった団体も多くありました。そのため1995年に阪神淡路コミュニティ財団が震災支援の助成をしていたのを引継ぎ、1999年にしみん基金KOBE設立されました。草の根活動に対する支援を通じて、震災に学んだ「市民主役の市民社会形成」を目指しています。年に1回250万円の助成事業をしていて、7月に公募をして10月に公開審査会を行っています。「おたがいさまの基金をめざして」共助と互助を社会化させる仕組みとして、助成先団体にも協力をしてもらい恩送り形式をめざしています。
基金が減っていくので募金活動もしていて、古着を集めて引き取ってもらったお金や洋菓子屋さんに協力していただき寄付付き商品を販売したり、Tポイントでの寄付、チャリティーイベントなども行い寄付を集めています。

全国ギャンブル依存家族の会兵庫

毎月第一日曜日にギャンブル依存症を抱えた家族が集まり正しい実施と対応を学んでいます。ギャンブル依存症はWHOにも認定されている脳の病気です。ギャンブルを原因とする多重債務や貧困といた経済問題にも加え、うつ病などの健康問題や、虐待や自殺、犯罪、家庭内での不和など社会問題も生じる場合があります。
こうした問題に取り組むために各関連機関や民間団体の連携が必要ですが、現状そうではなく活動予算も当てられていないのが現状です。私たち家族の会は様々な機関におもむき研修や啓発活動をしています。今年度はしみん基金KOBEの助成金をいただき、県内の地自体職員を対象に支援者との意見交換会を開催しました。そこに参加した明石市長がギャンブル依存症対策の重要性を感じ、早速今年9月に明石市にはギャンブル問題の専門相談所が開設されました。そこでは私たちが相談員として対応させていただけることになりました。すでにたくさんの相談が寄せられ、すでに9月の相談枠は埋まりました。
ギャンブル問題を家族だけで抱え困っている方が数多くいます。日本社会にはさまざまなコンテンツでギャンブルがあふれかえり、若者もターゲットにされています。ネットカジノにもスマホひとつで簡単にアクセスできるようになっています。そうした影響で自殺や犯罪に至るケースも増加しています。しかし日本ではギャンブル依存症の対策は全く進んでいません。ギャンブル問題が多様化、深刻化しているにもかかわらず、このように全国的に取り組まなければならないことが山積みになっています。
私たちも以前は家族のギャンブル依存症に悩まされていましたが、家族の会につながることによって、元気を取り戻し、同じように苦しんでいる人のために活動しています。

被災地に学ぶ会

原点は阪神淡路大震災でした。神戸をはじめ、他の被災地の支援活動を始めたのがきっかけでした。東日本大震災の時には、神戸や東北の対学生と一緒に被災地の支援を行いました。活動をと通して多くの被災地の方々のお話しを伺い、大学生たちが成長していく姿を目にしてきました。
被災地から学べることは次の3つがあると考えています。1つは、人の命や暮らしの大切さを知り、ひとりひとりに寄り添うことの意味を考えるきっかけになります。2つ目は、命と暮らしを支えるために地域社会のつながりを感じ、地域の文化や歴史を知ることができる。3つ目は災害を通して地域や日本、国際社会の未来と課題を考えることが出来ます。阪神淡路大震災の時には超高齢化社会、東日本大震災の時には原発問題などが見えてきました。
被災地に学ぶ会は、2019年4月に発足した団体です。被災地の支援活動を通して、未来の日本を担う人材の育成をし、学びあいや支えあいという関係を形成したいと考えています。2019年には西日本豪雨水害で被災をした岡山県倉敷市間備町の仮設住宅で活動しました。2020年の2月からは、コロナ禍において現地での活動が難しくなり、大学の課外活動も制限されるようになってしました。そこでオンラインで被災地と結ぶオンラインサロンを行い学生と被災地の方の関係が途切れないようにしました。オンラインで災害ボランティアに関する講座を開催したり、九州や東北の学生との交流会なども企画してきました。
コロナ禍で大学生自身が同級生ともなかなか会う機会や、大学に行く機会が少なかった学生の支援にもなりました。10月から福島で復興に携わることになり、今後神戸をはじめ多様な地域と繋がりをつくり、様々な学びの機会を提供できればと思います。

質疑応答
Q:今日いらっしゃったのがたまたまなのか、ギャンブル依存症家族の会の中心は女性なのでしょうか。また会員はどれぐらいいますか。今の課題と、その課題の解決についてお聞かせください。
A:家族の会には男性メンバーもいます。会員は約30名です。今の課題としてIR計画が進んでいますが、兵庫県も隣の県なので大いに関係があります。兵庫県はギャンブル依存症対策が全くできていないのが現状です。全国的にギャンブル依存症の基本計画が実施されていますが今のところあまり機能していないのが現状です。予防教育が絶対的に必要なのですが、教育委員会は県の管轄なので、若者に対して予防教育ができていません。今のネット社会では、ギャンブルが身近にあり、その危険性や回復するための啓発活動が絶対的に必要だと思います。
ギャンブル依存症は、借金問題や家庭内でのDVや虐待、窃盗、横領などさまざまな形で現れます。しかし相談に行った先でギャンブル依存症というのが認知されておらず、治療につながらず、表面上の問題だけを解決しようとして、ギャンブルを繰り返してしまう場合もあります。各施設や相談窓口との連携も必要だと考えています。

Q:被災地へのオンラインでの支援はリアルに比べてどれぐらい繋がることができるのでしょうか。
A:コロナ禍では現地の団体の方に繋いでもらいました。一度きっかけが作れると、物珍さと特別な経験ということもあり、普段の会話よりも盛り上がることがありました。

一般社団法人デフサポートかもめ

基本的には聞こえない人が中心で活動しています。しかしほとんどが高齢者です。高齢者にとって必要なことは場づくりだと考えています。例えば、おしゃべり会とか日本語のワークショップを行ったりしています。ろう者は基本的には手話での会話をするので日本語があまり得意ではない人もいます。それによって社会に入りにくいという方もいます。そういった意味で場づくりを大切にしています。ですがコロナが原因でみんなが家に引きこもってしまいました。しみん基金こうべの助成をいただいて、オンラインでの企画をはじめました。ですが、高齢の方にとってはオンラインのハードルの高さもありました。また画面が止まってしまったりといった難しさもありました。オンラインでもオフラインでも私たちの置かれている状況は変わらないのではないかと感じてしまいます。今政府はソサエティ5.0を打ち出していますが、それが本当に可能なのか私としては疑問を持っています。ろう者と市民が交流できばを作ることも今後行っていきたいと思っています。またギャンブル依存症の話を聞かせていただきましたが、私たちろう者にとっても関係のない話ではありません。他の団体とも連携ができればと思っています。

NPO法人ガジュマルの船

摂食障害や依存症などの当事者や支援者の居場所づくりのためにスタートしました。依存症の支援団体などは横の繋がりがあり、そこに集まる人たちが2018年にNPO法人として設立しました。その後2020年の春に事務所をオープンさせました。私たちも集まることが難しい中、オンラインでの場を設けました。オンラインでのミーティングや読書会、依存症からの回復プログラムなども行っています。それに加え、畑作業や会報作成なども同時に行い、活動を続けています。依存症の回復は孤立からの回復でもあり、正直に自分の抱えていることを話せる仲間と出会うことが重要だと考えています。そのためにも出会うための場が必要になります。オンランだと実際には会えませんが、マスクが要らなかったり、事務所だけではなく遠隔でもミーティングに参加できたりしたことはプラスでした。依存症の当事者にとって、たまに会うとか、たまに病院に行くというだけではなく、日々ちょっとしたしんどさでも話して吐き出せる場が必要なんです。

一般社団法人Bokk Jambaar

セネガルのウォルフ語で「がんばる仲間たち」という意味です。私は青年海外協力隊としてセネガルに派遣されていて、帰国してから団体を立ち上げました。日本では、人が集まり繋がるコミュニティの場づくり=アフリケア事業を行っている。2013年にセネガルから日本に帰国して、とても気になったのが、人々の顔でした。セネガルでは毎日知らない人たちと何度も挨拶を交わし、互いに自然と笑顔になっていた。日本では大人も子どももとても疲れた表情をしているように感じました。そして地域をもっと元気にしたいという想いから事業が生まれました。アフリカでは日々互いにケアに溢れていました。私たちの造語である「アフリケア」は日常の中でのケアや、その人が存在していること自体に価値があるという共に大切に思うケア、社会において共に支え合うおたがいさまのケアなどの想いで活動しています。元気な社会を作っていくためには、こういった考え方が必要なのではないかと思っています。
兵庫区にある事務所では、交流できる場を作っています。地域の中でも、商店街や神社などでイベントを開催しています。高齢の方から子ども、外国籍の方など様々な人が交流する拠点となっています。

質疑応答
Q:ガジュマルさんのはオンラインでのイベント開催はどのようにされていますか。
A:アルコール依存から脱するための12のステップというものがあり、それを基に自分の経験や内面を共有を当事者同士で共有することなどをしています。みんなで輪読をした後に体験談を話したりしています。
Q:制度に乗らないことによって得られるものはありますか。
A:今の福祉の制度は作業所だと利用者と支援者がいて、利用者一人につき行政から予算が降りるようになっています。仲間として同じ立場でケアしあうことはその制度内では難しいと考えています。

Q:賛同してくれる方や支援者の開拓はどのように行っていますか。
A:地道にいろんなところに顔を出して、繋がりを作ってきました。メンバーそれぞれが持っているネットワークが生まれ、神戸に事務所を構える2、3年前から一緒に活動できる方などの繋がり作りを始めていました。
Q:どうやって伝え、どういう参加してもらい、どんなことを感じてほしいですか。
A:今はとにかく地域の中からセネガルのことを知らなかった人たちに事務所に来てもらったり、交流が生まれ、知るきっかけになればよいと思って活動しています。またオンラインでの講座やSNSツールを使って発信も行っています。考え方とか、アフリカでの暮らしなど、自分の中での当たり前ではなく、ちょっと違ったことを感じてもらえればよいと思っています。

KIITO:300 FARMでは今後も社会貢献や地域活動をされている個人や団体との繋がりを広げていく活動を展開しています。
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