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2022/12/23

イベントレポート

【レポート③】+クリエイティブゼミvol.37 リサーチャー養成編「リサーチ・リテラシーを学ぶ」例題3:空き家をじっくり考える。

7月12日(火)には+クリエイティブゼミvol.37 リサーチャー養成編の3回目が行われました。
今回からグループに分かれてそれぞれが空き家課題に対するリサーチの準備を行っていきます。
まず初めに、大阪大学COデザインセンターの山崎吾郎さんからフィールド・リサーチをする上での基本のお話しをうかがいました。

リサーチの基本と情報を知る

■リサーチの基本の2つ 客観性と主観性
①実際に現地を訪れるフィールドワークから見えてきたこと、感じたことをから情報をつかんで自分の考えに活かしたり、整理していく
②文献やデータ、先行事例の結果などすでにあるものにあたる
山崎:2点つをバランスよく見ていくことが大事です。実際に現地を訪れると、等身大の自分で物事を見れるのでとても距離が近くなります。しかし、現場に入ってしまうと俯瞰(ふかん)して見ることができなくなってしまう可能性もあるので(決してそれが悪いわけではない)、自分が今そういう状態にいるということを意識していないと場合によってはリサーチが行き詰まってしまうこともあります。のめりこんでしまうと見えなくなることもあるので、距離感を意識してリサーチすることが大切です。

■情報の種類と特徴
山崎:ブログに書かれている情報、新聞に書かれている情報、文献(学術書、入門書)、週刊誌など書かれているものによって情報の信ぴょう性が異なってきます。このことに注意をして資料を見る癖をつけると良いと思います。また、データには質的データと、量的データの2種類に分けることができます。
・質的データ:解釈、分類、お互いを関係づける、言葉を定義する、ということができる。一方尺度を付けたり計算することはできない。
・量的データ:数値として比較、尺度として考えられる。

山崎:それと同時に一回しか出会えない情報というのが世の中にはあります。科学の世界などは条件を設定して繰り返しデータが取ることができますが、フィールドワークなどはその時は会える人がいても次の時には会えない人もいます。いろんな条件が複雑に絡み合っているので一回しかないものもデータとして、とても重要になります。新しいものや、新しい価値を作っていくこと、人にとって良いものを提供するなどすべて質的なものです。そういうものにアプローチしていく上では、結構質的なデータが大切になってくる場合があります。

長田区での展開について 

永田:このリサーチゼミの後、ゆくゆくはアクションに移っていきたいと思っています。アイディアを出し合いながらアクションでは長田区で(条件や期間などが合えば)KIITOのサテライト的に空き家を借りてみようと考えています。
長田区の駒ヶ林など南ではすでにいろんな活動があるので、あえてKIITOがそこに入っていってなにかをするということは考えていません。しかし近くに好事例がたくさんあるということはとても学びになります。今神戸市の方に相談して候補にあがっているのは、少し北のエリアです。
渡辺(神戸市):いろんな活動が動いているのは実際には長田区南部と北部の一部で、それ以外の場所があまり動いていないのが現状です。かなり空き家率が高い地域もあります。なぜ空き家が多いかというと、階段が多かったり道が狭くて車が入ることが出来ないという点です。

~グループワーク~
後半はそれぞれグループに分かれて、まずは自己紹介から空き家というものに対するイメージなどを共有するところから始めました。最後にはそれぞれが話し合ったことを発表し進捗を共有しました。

A班:今回の対象エリアの特徴として、静かなところであり地域的にも空き家が多いと聞いているので、その地域一体を改修したり、テーマパークのように人が集まれるあり方や土地の特徴的に夜景スポットなどを考えました。「静かさ」は不安などにもつながる場合もあるのでポジティブに考えたいと思います。空き家そのものだけではなく、周辺の道や作りも特徴的なのでそれも含めて考えていきたいです。
フィールドワークでは実際の地域の様子や階段が多い点において、どのあたりで休憩したくなるか、などスポットも見てきたいと思います。
永田:静かさをポジティブに捉えられないかという視点がいいなと思いました。肌で感じたことと考えていたことのギャップなどもリサーチして共有いただければと思います。

B班:みんなで気になることを上げました。「静かさ」と「不便さ」というところにポテンシャルがあるのではないかと考えました。静かな場所を求めている人もいる人もいると思いますし、山があるのでウォーキングする人に向けて自然な環境も整えていければ良いのではないかと思います。住宅が密集していたり車が入れる道がないので、火災などに対する防災面はどうなっているのか気になりました。
山崎:具体的な人のイメージが出てきていましたね。誰が見るかによって見えるもののイメージは異なります。高齢者の目線や子どもの目線など、自分の中でいろんなキャラクターを持ちながら観察をしてみると面白いと思います。

C班:空き家を改修して住みたいという人も一定いると思います。お試しで宿泊できるスペースや、DIYしたいがわからないという人に向けての学べる場などのアイディアが出ました。そうすることで空き家を有効的に使う人が増えるのではないかと考えました。「空き家」という名前がネガディブなイメージがあるので、一緒に考えられてらと話し合いました。またそれぞれが持っている空き家のイメージが違うことがわかったので、長田区なけではありませんが、空き家に対する価値転換を改めてできれば良いと思いました。
山崎:空き家が問題だ、ということを崩していくことはとても大事ですね。ネーミングを変えることもそうですし、遊びながら楽しくイメージを膨らませていくことも出てくると思います。

次回7月17日には実際に長田区でのフィールドワークで、空き家や空き家の活用事例の見学を行う予定です。

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