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2023/3/17

イベントレポート

【第3回】地域活動に役立てるためのクリエイティブ講座 「KIITO:300ファームスクール/写真編」

はじめに

KIITO:300ファームスクールは、地域活動や学生活動といった取り組みを進めるなか、広報や記録、イベントの企画などで悩みを抱える方々に向けた地域活動に役立てるための5テーマのクリエイティブ講座です。

第3回となる今回は、講師に写真屋じょうちゃんこと坂下丈太郎さんをお迎えし、プロのカメラマンの目線から「使える写真」を撮るためのテクニックをたくさん伝授いただきました。また撮り方だけではなく心構えも教えていただき、写真との向き合い方について考えるきっかけとなりました。

    

撮影時の心得

早速写真を撮るときに気をつけるべき心得を教えていただきます。
人物を撮るときに気をつけるべきことは、以下3点。
・相手を嫌な気持ちにさせない
・威圧感を与えない
・コミュニケーションはしっかりと

今回の講座では面識のない方同士で実際に写真を撮り合います。カメラを向けられた人が嫌な気持ちにならないための配慮が必要です。恥ずかしさを感じたとしても挨拶をするなど、いい写真を撮るためにコミュニケーションは欠かせません。

イベント撮影の際に気をつけるべきことは、以下3点。
・周りに迷惑をかけない
・撮影より優先すべきはイベントの成功
・謙虚な気持ちを忘れない

写真を撮ることに必死で周りにぶつかり怪我をさせてしまってはイベントが台無しです。周りにできるかぎり目を向け、参加者の方々にイベントを楽しんでもらう気持ちを忘れないことが大切です。

人物撮影に大切なことを体験しよう!

心得を学んだあとはワークショップで実際に写真を撮ってみます。「インタビュー記事を作る」カメラマンとして、話す人のプロフィール欄に使える写真を撮影します。
4人または5人で一組となり、テーブルごとに話す人、聞く人、撮る人に分かれて一人一回各役割を担当します。
被写体がニコッと笑った瞬間、ジェスチャーが入った瞬間などを撮影するのは案外難しいことです。場が盛り上がっていないときには自ら介入し、話題が途切れないよう話を振ることや、感情が動き続けるように工夫することもカメラマンの仕事の一部だと教えていただきました。

    

また、撮られるときの「ドキドキ」する気持ちをちゃんと覚えておくことが大切だそうです。いきなりパーソナルな部分に入りこみレンズを向けられることは、撮られる側にとってはこわいことかもしれません。その気持ちを理解していればやさしい気持ちで写真を撮れると坂下さんはおっしゃいます。

続いて、実際に坂下さんがお仕事で撮った写真を見せていただきながらテクニックを伝授していただきます。
自然な表情を引き出すために「インタビューの始まる前から写真を取り始める」、「壁に飾ってある写真やポスターなどパーソナルな部分を撮る」ことで個性を引き出す、「エピソードのある写真は記事になりやすい」など、撮影を始めるタイミングや何を撮るかの選択もカメラマンの腕の見せ所です。
人物を撮影するときは、「対象の気持ちを常に考え、反応を予測する」、「背景に余計な情報が入りすぎていないか注意する」、「いろいろなアングルを試す」、「自分の目線の高さでなんとなく撮らない」などの気をつけるべきポイントがあります。撮る角度を変えると背景や余白の移り方が変わることに改めて気づかされます。

  

また、「バリエーションがあった方が、やさしさに繋がる」と坂下さんはおっしゃいます。撮影側がいいと思った表情が、必ずしも撮られる側も好きであるとは限りません。
可能であれば、撮る側、撮られる側での気持ちの共有が必要とも教えていただきました。
そして「適当に撮らない」、「考えて撮る」、これだけ忘れずに心がけていれば必ず上達しますとのアドバイスもいただきました。

カメラの知識をふやそう!

休憩後のゆるりとした雰囲気の中、カメラの知識をなんとなくつかむために専門的なお話を伺います。カメラで写真を撮るためには光が欠かせません。「絞り」「シャッタースピード」「感度」は明るさに関係し、「色温度」は色味に関係することを教えていただきました。さらに、レンズの種類や使い分けに関して、光の当たり方、光の向きで写真の印象が変わることも学びました。

「スタジオ撮影体験イベント」の写真を撮ってみよう!

スタジオ撮影体験イベントと題して、参加者10人、撮影者10人、観察者10人の3グループに分かれて交代で写真撮影を行うワークに挑戦しました。
「見た人が参加したくなる写真」を撮ることを目標に取り組みます。
このワークでは「観察」も重要な役割です。観察者の方々へ「現場の動きを俯瞰して“みる”」、「撮影者それぞれの“ねらい”を想像する」という2つのリクエストが提示されました。考えながら撮影する感覚を忘れないことが大切だと教えていただきます。

  

坂下さん曰く、ここでいう「見た人が参加したくなる写真」とは「どんなイベントなのか伝わる+αの写真(参加者が楽しそう、先生がいい感じ、会場がキレイなどの一目見てわかるもの)」だそうです。「何をしているかわからない写真でかっこいいものはいくらでも撮れる」というご発言にも納得させられます。

イベント撮影は忙しく焦りがちですが、そんな時こそ落ち着いて時間の管理が重要です。だからこそ、撮るものリストをあらかじめ用意しておくことも欠かせないそうです。イベントのスケジュールや撮りたいシーンはいつどこにあるのか、事前に把握することを忘れてはいけません。また、「予測とシャッターチャンスをできるだけ待つ我慢が必要」とのこと。構図(位置取り)を決めたら待つことで、自然と撮影したい瞬間がやってきてくれることもあるからだとお話ししてくださいました。さらに、あそこから撮ったらどうなるんだろうとイメージする力も必要です。

地域活動に役立てるための写真とは

「要望があるということは正解の写真があるということ」、ここでいう正解とはわかりやすい写真のことだと教えていただきます。また、「記録」ができるようになるために全体、詳細を撮り分けることで正解率が上がるそうです。さらに、全体と詳細を分けることでメリハリがつき、バランスが良くなります。

広報活動に使う写真は「トリミング」(画像の不要な部分を切り取り、必要な部分のみを表示させる加工)を考える必要があります。撮影方法が変わってくるからです。縦長なのか、横長なのか。正方形かそれとも丸いのか。写真に文字は載せるのか、余白は必要か。最終的にどんな枠で写真を見せるか、撮影した写真がどのように使われるのかを考えて撮影することが大切です。

  

おわりに

自分が「いいな」と感じた広報物を参考にして写真の撮り方をマネしたり、なぜ魅力的なのかを分析したりすることもこれからできる写真を上手く撮るための訓練です。
「相手のために考えること」を最優先に、自分に依頼してくれた相手のために、思いやりのあるいい写真を撮ってください、とメッセージをいただき講座は終了しました。

第4回は3月10日(金)に神戸芸術工科大学の曽和具之准教授を講師にお招きし、映像編を実施いたします。

地域活動に役立てるためのクリエイティブ講座「KIITO:300ファームスクール:初級編」
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第1回デザイン編レポートはこちら
第2回編集編レポートはこちら