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2023/3/20

イベントレポート

【レポート⑤】+クリエイティブゼミvol.37 リサーチャー養成編「リサーチ・リテラシーを学ぶ」例題3:空き家をじっくり考える。

7月26日(火)には+クリエイティブゼミvol.37 リサーチャー養成編の5回目が行われました。
グループワークの前に大阪大学COデザインセンターの山崎吾郎さんにリサーチと発表についてのお話しをしていただいた後、フィールドワークで訪れたエリアで不動産をされている斎藤さんにお越しいただき地域の課題についてお話しいただき、ゼミ参加者のみなさんからの質疑にもお答えいただきました。

良い調査をするために
山崎:時間をかけて足を運んで調査することは、もともと持っていた考えや想いが変わり発見があることに意味があります。自分の主張をするためにいろいろなデータを根拠にすることも、違った視点があるにも関わらず、自分の都合のいいように切り取ってしまうことに気をつけないといけません。
わかりやすいキーワード、流行っていることばや通りの良いことばに引き寄せられてそれが発表のすべてになってしまうとありきたりなイメージがついてしますので、せっかく調査した努力が表に出にくくなってしまうこともあります。目立つ主張をする必要はないので、素直にわかったことを話した方が聞いている人たちは新しい発見を見つけることができます。

■良い調査をするために 内部の基準と外部の基準
・内部の基準:調査が正確であるか、信ぴょう性があるか
・外部の基準:調べてわかったたことがそれぐらい一般的に意味をもつか
■悪い調査の特徴(できれば避けたい)
・主観的な意見や個人的な主張

 

発表の目的を意識する「何を伝えたいのか、何を聞いてほしいのか」
山崎:発表をするにあたって、背景から仮説、データ、考察、結論というストーリーがあるかないかによって聞いている側に残るか残らないかも変わってきます。今回は研究の作法などに載っとる必要はありませんが、聞いている人たちの頭に残るような構成をすることも大切です。同時に情報も詰め込みすぎると断片的になってしまうので、情報の取捨選択も必要になってきます。
①新しいアイディアを聞いている人からもらいたいという発表
②納得させる発表
山崎:中間報告や進捗共有などの発表の場合はフィードバックを求めたりするので、聞いている人からもアイディアをもらう構成をします。逆に方向性がはっきりとできている場合には、納得してもらえるような構成にします。いづれにせよ調査の目的をはっきりとしておくことが大切です。

斎藤さんへの質疑応答

 

Q:不動産をされているエリアでは賃貸の物件と個人の持ち家の比率はどうなっていますか。
A:現状個人宅の方が圧倒的に多いです。7割ほど弊社が管理していますが、相続などの関係で把握しきれていないとこともあります。今わかっている範囲で3件は確実に空き家状態です。

Q:地域に関わるようになったきっかけなどはありましたか。
A:さかのぼると江戸時代まで戻りまして、そのころから土地を管理していました。

Q:宅配などはどうなっていますか?
A:バイクは入れるので配達をしてくれます。地域住民で接道をつくろうと動きましたが、接道をを作ったら公道に戻ってくる道を作らなければいけないそうで、現実的にはそれは不可能だということがわかりました。

Q:最近はレトロな街並みなどもブームにはなっていますが、住まれている方は何を優先していますか。
A:接道などがあり利便性を優先したいと思っていると思います。バイクを載っている方は多いと印象です。

Q:地域住民の方は、どんなお仕事をされているかなどご存じでしょうか。
A:以前大工さんや職人などをされていた方が多いと聞いています。

Q:実際に住まれている方の満足度などはどうでしょうか。
A:正直低くなっていると思います。人口も減っているし、活気がなくなっていると思います。昔に比べて子どもも少なくなっている。

Q:管理されている方からみる地域の魅力はなんですか。
A:ネガディブではなく、昔懐かしい街の様子が神戸じゃないみたいだとみなさん口をそろえておっしゃります。湧き水があり、震災の時はそれを使っている方もいました。

Q:地域内で何かアクションを起こそうとしたとき、住民の方たちはどう受け取られると思いますか。
A:全員はわかりませんが、地域のことに対しては協力的な方が多いと思います。

Q:今あげられている問題はいつごろから問題とされていたのか、経緯などをお聞きしたいです。
A:2、3年ほど前に管理者代表者が変わったタイミングで管理できてない部分が生まれ、そのまま放置してしまったことが原因にあると思います。

~グループワーク~
後半はそれぞれグループに分かれて、先日のフィールドワークから得た情報、本日現地で実際に物件を管理されている斎藤さんからお聞きした話などをもとにさらにアイディアを深めていきました。

 

A班:先週から若者が訪れたり、住みたくなる地域づくりについて考えました。坂道の苦労や家で過ごす時間の多い高齢の方が多いというお話しを伺いました。外部部との関わりや生活圏を広げるために、以前大工さんをされていたかたもいらっしゃるそうなので、DIYをやってみたい若者に教えてもらいながら一緒に暮らすというアイディアを考えました。人が集まれる場所でパブリックビューイングが出来たり若者や高齢者が参加できる媒体や場の作り方をリサーチして考えていきたいと思います。
今では一人乗り用の小型のモビリティなども開発されており、カーシェアのように高取山町の中で使えるというアイディアもでました。坂道の多い地域では有効なのではないかと考えました。
 

B班:ある意味便利な道がなかったから、自然の風景が残っているところもあり、普段は便利な世界に生活しているが、あえて火起こしをしてみたり、山が近いので登山者などが楽しめる利用方法など、それに価値を見出していく利用方法も考えました。またフィールドワークをした際に、子どもの気分になったようでとても楽しかった。都市の管理された世界に住む子どもにとって隙間のある、遊ぶゆとりのある街のように感じました。
 

C班:ゼミのテーマの空き家問題と対象地域の課題をどのようにつなげるのかを話し合っているところです。
 

山崎:それぞれの班でいろいろアイディアがでていて面白いです。見てもらうためには、何のための提案なのかというのが大切になってくるので、どこに課題意識をもって、これを提案するとそれがどうなるのか、どういう人が関わってくるのか、などのイメージが付いてくると単にアイディアを出したということよりも聞いている側に伝わるものになると思います。必ずしも一つの提案に落とし込む必要はないと思います。方向性によって面白いアイディアが出ている班もありました。

次回は今回の+クリエイティブゼミの最終発表会となります。

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