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2023/11/22

イベントレポート

「KIITOと、おどる~動きと音をつむぐ時間~」レポート

2023年8月5日(土)

デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)にて、子どもの創造性を育む〈KIITO:300キャンプ〉の活動の一環として、ダンスワークショップ「KIITOと、おどる~動きと音をつむぐ時間~」を開催しました。
1927年に建築された当センターの建物内には、かつて生糸検査所として機能していた頃に使われていた検査機器や、生糸を彷彿とさせる意匠など、歴史の欠片が随所に残されています。散りばめられたテーマの数々から、子どもたちは自分のからだを使ってKIITOをどう表現したのでしょうか。
 

最初は自己紹介。床に座ってみんなで輪になり、子どもたちとKIITOサポーター、そして講師の方々がはじめましての挨拶をする時間です。
今回いっしょに踊りを考えるのは、ダンサー・振付家の高野裕子さん。音楽家の橋本次郎さんも、事前に館内を回ってKIITOをイメージした“音”をつくってきてくださいました。最終的にできあがった踊りにこの“音”を合わせるため、みんなと一緒に館内リサーチをしていきます。
そして、この日集まった子どもたちはチアダンス・日本舞踊・カポエイラと、なんとダンスの経験者ぞろい!サポーターのお二人も、からだを使って表現するプログラムに興味があって参加してくださったとのこと。

 

お互いのことがわかってきたところで、次はストレッチでからだをほぐしていきます。見えないボールでキャッチボールをする場面では、パスする相手の名前を言ってから、トスしたり、時には受け取った流れでリフティングしてみたり。だんだんとからだも温まってきました。

 

ウォーミングアップが完了したら、本日のプログラムひとつめ「めぐる時間」。
生糸検査所ギャラリー」「階段」「長い廊下」「ホール」の4つの空間をめぐって、まずはKIITOがどんなところなのかリサーチします。
とりあえずからだを動かして、いろいろ探ってみよう!裕子さん、次郎さんといっしょに館内探検へ出発です。

【生糸検査所ギャラリー】
巨大な糸巻きの機械や、糸から水分をとばすための見たことのない設備、検査が完了した糸につけるラベルなど、ギャラリーには珍しいアイテムがたくさん。
糸巻きからはどんな音がする?動きはどんなイメージ?
真剣にメモをとりながら、次のポイントへと向かいました。

 

【階段】
アーチ形の高い天井に、左右から伸びて広い踊り場につながる階段。家の階段とは全然違うデザインに、子どもたちも興味津々の様子で上ったり下りたりを繰り返します。
下の階から来た人は突然ニュッと現れたように見え、上っていくと姿が消える。出たり入ったりする動きが面白くて、みんな夢中になって動き回っていました。
 

 

【長い廊下】
3階にあるとってもながーい廊下では、歩きながら踊ってみるからだの動きの実験。
ぐるぐる、ぐるぐる、壁にぺたり。時にはそろーり、そろーり、歩いたり……長い距離の中でいろいろな動きを表現しながら、端から端を動いてみます。
この場所では、次郎さんがKIITO近くの海で収録した波の音を流してみるという演出も。新しい動きのヒントになったでしょうか?
 

【ホール】
最後に訪れたのは、ショーイング会場にもなる大きなホール。広い空間で思いきりからだを動かしたり、相手の動きを真似する「ミラーリング」を試してみたり。裕子さんから踊りのパターンをいくつか教えてもらいながら、次のステップとなる振付に活かします。
 

 

午後、お昼ご飯の時間を経てさらに仲良くなった5人がホールに集合しました。
まずは裕子さんから、振付の考え方についてを説明。舞台には上手と下手があり、どっちから誰が出てくるか、という点も演出に関わってきます。
専門用語を確認できたところで、午前中のリサーチを振り返っていきます。めぐった4か所での体験を思い出しながら、音は擬音語に、動きは実際にやってみてイメージを洗い出してみる作業です。
「ガカガカ」「ダダダダダ」くるくる回る動きがちょっとハムスターみたい、静かなところもあったよね、など、動きのヒントになりそうなキーワードをホワイトボードに書いていきます。
 

 

すると、子どもから「ホワイトボードも使ったら?」との意見が。階段でやった、姿が現れたり消えたりする動きを再現できるのではないかとのことで、アイテムとして使ってみることに!隙間の空間をつかって支柱をまたいでみたり、面白い動きも生まれそうです。
 

ときどき自分たちの動きを動画で確認したり、次郎さんの音楽ブースを覗いてみたり、練習は続きます。
 

 

そして最後はみんなで寝そべり、輪になって……どんな振付にまとまったのかは、ぜひショーイング映像をご覧ください。
ショーイングを見るために、保護者の方や当日KIITOを訪れていた方々が集まってくる中、円陣を組んで気合を入れたらいよいよ本番です!
 


***
【シーン1:生糸検査所ギャラリー】
糸が巻き取られていく様子を、体全体をつかった大きい動きから、腕をくるくると回す動きへ。「動」から「静」へと移り変わっていきます。

【シーン2:階段】
階段の上がり下がりで現れたり消えたりする様子を、ホワイトボードを使って表現。ここでは高野さんも加わり、即興的にさまざまな動きが生まれました。

【シーン3:長い廊下】
遠くからだんだんと近づいてくる様子を表現。最初の人の動きを真似していく「ミラーリング」で、うねうねとした波のような動きが伝染していきます。

【シーン4:ボビン】
実際に生糸検査所時代に使われていたボビン(糸巻き)を転がして、ランダムな動きや音を楽しみます。

【シーン5:クライマックス】
シーン1のくるくるとした動きに戻り、最後は天井を仰ぐかたちで終幕。
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最後に、無事ショーイングを終えた5人、そしてご観覧のみなさまへ講師のお2人からコメントをいただきました。

 

〈橋本次郎さん〉
朝からずっとみなさんと一緒にKIITOをめぐっていて、どんどんストーリーができあがっていく様子がすごいなと感じました。

〈高野裕子さん〉
本番では、練習とはまた違った新たなものが生まれていてすごく面白かったです!関係者で練ってきたワークショップの想像をはるかに超えて「こんなことができるんだ!」と驚きました。

みなさんもぜひ、KIITOにお越しの際は館内各所で歴史の息吹を感じてみてくださいね。

 

◎「KIITOと、おどる~動きと音をつむぐ時間~」
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