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2023/12/1

イベントレポート

動くと、何かがうまれるぞ。〜『つくる』といわない『つくる』こと〜 レポート

京都を拠点に活動する出版社「さりげなく」と全3回のワークショップ「動くと、何かがうまれるぞ。~『つくる』といわない『つくる』こと~」を開催しました。

打つ、叩く、引っ張る、つなげる…など「つくる」という言葉や「つくりあげる」というゴールを掲げずとも、動作を行う中で自然と「つくる」ことにつながることはたくさんあります。今回のワークショップでは「○○をつくろう!」というゴールを掲げずに、素材の組み合わせや動きの中からうまれてくるものに着目し、創作活動を行う中でものをつくることの根源的な楽しさや達成感など、言葉では表現できない感覚や創造性を育むことを目的に開催しました。

9/9(土)
全3回のワークショップの初回のテーマは「転がす・転がる」
一緒につくる人は、出版社さりげなくの代表、わかめかのこさんと奈良教育大学美術教育講座の准教授でもあり美術家の樋口健介さんが担当します。ワークショップに先駆けてまずは準備運動から。「転がす・転がる」のテーマにあわせて会場をゴロゴロと転がりながら身体をほぐします。

 

準備運動が終わり、ワークショップがスタート。会場には絵具や段ボールなど様々な素材や画材が並びます。まず初めは一人で転がしてみるということで、子どもたちは段ボールやプラケースなど好きな箱を選び、その中に紙を敷きます。そこに絵具をつけたビー玉を落とし、転がしながら描いていきます。不規則に動くビー玉で描かれる線は普段、筆や鉛筆で描く線とは違い有機的です。子どもたちは転がすという動きを楽しみながら描いていきます。

 

箱を動かしながら1人で描いた後は、みんなで転がすことにチャレンジ。大きな模造紙の端と端をそれぞれ持ち、ビー玉を落とし、動かします。1人で描いていた時とは違って、一緒に転がす人の動きや高さによって、まったく予想外のものが生まれてきます。

その後は自由につくる時間。ビー玉以外のものも転がして描く子や、集中しながら一つのものをつくり続けている子どもなど、それぞれのやりたいことを大切にしながら自由に製作を進めていきました。そうした動きの中で出来上がった作品は、ダイナミックに色が混じったものから、鮮やかな線の動きがでているものなど、個性豊かなものばかりです。

 

 

参加した子どもからは「見てみて、すごいのができた!」など言葉では表現できずとも、つくることに対するよろこびを感じられるような発言も飛び出してきました。

9/23(土)
ワークショップ2日目はわかめかのこさんと、京都で廃材をつかった創作やワークショップなどを行うスタジオぐるりの亀井友美さんが担当し「つなげる・組み合わす」をテーマに開催しました。準備運動では「つなげる」ということで、手や足、頭など体をくっつけながら身体をほぐします。

 

今回も会場には、たくさんの廃材が並びます。子どもたちはその中から素材を選びつなげていきます。棒状のものを繋げながら形にこだわる子や、紐状のものをつなげてひたすら長いモノをつくる子など、今回も正解のない自由なものづくりの中で、それぞれものづくりを楽しみます。

 

そして、つなげたり、組み合わせて出来上がったものを道具として使用し、紙に描いていきます。画材は砂と墨を混ぜたもの。墨ならではの擦れや濃淡が独特の風合いを醸し出します。また、砂を混ぜていることで描かれるものにザラザラとした質感が生まれてきます。

 

 

身体全身をつかって描くことで、予想通りにできあがること・予想通りにならないことを体感しながら、2日目のワークショップは終了です。

10/21(土)
ワークショップの最終回となるテーマは「まとめる、編む、切る、通す」。一緒につくる人はわかめかのこさんと、同じく出版社さりげなくでデザインや装丁を担当している古本実加さんが担当します。準備運動は「編む」というキーワードから人間知恵の輪。子どもも大人も一緒になって体を動かします。

 

今回は1日目、2日目で生まれた作品を、ひとつの作品集にまとめていきます。まずは紙を折って、つなげてつくるじゃばら本づくりからスタートです。本づくりにも丁寧に角をあわせてつくる子や段ボールで大きな表紙をつくる子など、つくり方に個性が光ります。

 

 

 

本が完成したら作品集づくりに取り掛かります。これまでつくってきた作品を切り取りコラージュしながら作品集を完成させていきます。みんなの作品のいいところを集める、切り取った模様で文字や数字をつくるなど、編集やデザインの要素を教わるでもなく発揮する姿が印象的です。
終了時間が近づき、参加者15名全員の冊子が完成。子どもたち同士でつくった冊子を見せあいながら楽しそうにしている姿が印象的でした。

 

 

素材や動きを起点にしながら、ゴールのない「つくる」ことに挑戦していくなかで、自分なりつくることの楽しみや達成感を得ることができる機会になったのではないでしょうか。

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