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2023/12/31

イベントレポート

Assembleー変容する「場」の可能性を考えるトークセッション 第3回 「いしいしんじのその場小説と蓄音機音楽会」レポート

2023年12月16日(土)

神戸市立三宮図書館との連携事業、Assembleー変容する「場」の可能性を考えるトークセッション。
第3回は、独特の物語世界から幅広い層に支持を得ている、小説家・いしいしんじさんによる小説創作ライブ〈その場小説〉と蓄音機音楽会を開催しました。

 

〈その場小説〉は、小説家であるいしいさんが、マイクを左手、鉛筆を右手に原稿用紙に向かい、その場の空気や人々と呼応しながら即興的に言葉を書き下ろし読み上げてゆくという、小説創作のライブです。

今回の会場は、生糸検査所の歴史を伝える生糸検査所ギャラリーが舞台です。まずはいしいさんの自己紹介。その後に、その場小説についてお話をいただいてから、「でははじめます。」といしいさんがおもむろに席に座り、えんぴつとマイクを握るとその場小説がはじまりました。

 

 

会場にはいしいさんの声と、鉛筆とペンの音だけ。目の前で生まれていく、まさしく「生」の物語に参加者は静かに聴き入ります。
40分以上途切れることなく言葉が紡がれ、一遍の小説が誕生しました。タイトルは「糸」です。物語の中には、神戸というまち、生糸検査所という場所性が浮かびあがり、その地の歴史、そこで生きる私たちの息遣いが感じられる作品となりました。参加者は、書きあげた小説のいづれかのページをお土産に持ち帰っていただきました。「何ページ持ってます?」と声をかける、参加者同士でページを交換し、小説をコピーして持ち帰られていました。

 

後半は、いしいさんがナビゲーターとなり、蓄音機音楽会を開催しました。
1950年代まで生産されていた蓄音機用レコードの愛好家でもあるいしいさん。
手回し蓄音機コロちゃんとの出会い、レコードとの出会いなどの貴重なエピソードを聞きながら、音楽会に合わせて選曲いただいたレコードを蓄音機で聴かせていただきました。

 

 

蓄音機の音圧は、まるで目の前で演奏を聞いているかのようにリアルで、会場からは思わず歓声が沸きあがりました。まるでライブやコンサート会場にいるようにも感じるほどです。
「自由に好きな場所で聞いてみてください。」といういしいさんの呼びかけで、参加者は席を立ち、会場を歩きながら音の響き方や聴こえ方の変化を楽しみ、好みの場所を見つけて蓄音機の魅力に浸りました。

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