阪神・淡路大震災から「30年目の手記」について
阪神・淡路大震災から30年を迎えようとしています。
あれから長い年月が経ったと感じている人も、あっという間だったと感じている人も、まだ生まれていなかった人もいるでしょう。震災を語ることをめぐって、さまざまな態度をもった人がいるでしょう。
震災を語りつづけてきた人、かつては語ってきたけれどいまは語らなくなった人、語りはじめて間もない人、いつか機会があれば語ろうと思っている人、語ってよいのか迷っている人。そして、語るほどのことはないと思っている人。
1995年以降、わたしたちは、地震、風水害、コロナ禍など、いくつもの災害を経験してきました。
誰もが災害の当事者となる世の中だからこそ、あらためて、阪神・淡路大震災について思いを馳せてみませんか。
手記を書くほどのエピソードはもっていないと、書くことを悩まれている方にこそ、言葉をお寄せいただきたいと思っています。
あなたにとって、あまりにささやかだと思えたり、語るほどのことではないと感じる出来事が、誰かの明日を生き抜くためのヒントになるかもしれません。
たくさんのご応募、お待ちしております。
阪神・淡路大震災から「30年目の手記」は、1995年から現在まで震災体験の手記集の出版を行っている「阪神大震災を記録しつづける会」の取り組みをもとに、2021年に東日本大震災の震災手記を集めたプロジェクト「10年目の手記」の方法を援用し、発展させた手記募集プロジェクトです。上記の呼びかけのメッセージとともに、2024年1月17日から約1年にわたって手記を募集しました。
本プロジェクトは、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)および災間文化研究会によるリサーチプロジェクト「災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる」(2023年11月〜2025年3月末)の一環として行われました。
「30年目の手記」募集要項
阪神・淡路大震災にまつわる手記を募集します。お寄せいただくエピソードは、震災当時に限ったものではありません。震災から30年のあいだにあったことや感じたことなど、誰かとわかちあいたいエピソードをお書きください。
募集期間
2024年1月17日(水)〜12月17日(火)
対象
どなたでもご応募いただけます。自作未発表のものに限ります。
字数
1,200字以内でお書きください。
応募方法
・手記
・タイトル
・お名前またはペンネーム(フリガナ)
・手記を書いた理由(300字以内、手記と併せて掲載します)
・ご連絡先(住所、メールアドレス、電話番号)
・1995年の居住地
・年齢
以上を添えて、KIITOウェブサイト内の応募フォームまたは郵送にてお送りください。
郵送先
〒651-0082 兵庫県神戸市中央区小野浜町1-4
デザイン・クリエイティブセンター神戸
「30年目の手記」担当
このウェブサイトについて
このサイトは、「30年目の手記」に集まった105本の手記のうち、41本を紹介しています(2024年12月1日現在)。
ここでは、それぞれの手記の文中から抜き出された印象的なフレーズから、気になるものをクリックし、手記の本文を読むという、これまでとは一味異なる読み方を提案しています。
これは、手記執筆者の名前・年齢・居住地などの属性や、手記を書いた理由などの背景を知るまえに、まずは手記の「ことば」に出会ってほしい、という思いを込めて設計されました。
投稿者の年代順、投稿者の1995年の居住地別に並べ替えてみることもできます。
また、2025年4月頃に、最終締め切り(2024年12月17日)までに集まった手記を含め、「阪神大震災を記録しつづける会」のウェブサイトにアーカイブとして公開予定です。
アートワーク:五月女哲平(『記録と記憶の間に』 Acrylic on wood, 2023)
ウェブデザイン:伊藤晶子
ストラクチャーディレクション:片田友樹(micelle ltd.)
主催
デザイン・クリエイティブセンター神戸
神戸・三宮の海側にある旧生糸検査所を改修した、神戸市の「デザイン都市・神戸」の拠点施設。
災間文化研究会
2021年に実施したTokyo Art Research Lab「災間の社会を生きる術(すべ/アート)を探る 災害復興へのいくつもの「かかわり」から」でのディスカッションをきっかけに活動を開始。さまざまな災厄の間(あいだ/なか)を生きているという「災間(さいかん)」の視点に立ち、社会を生き抜く術としての文化的な営みに目を凝らし、耳を傾け、”間”のメディアとしてのふるまいを模索している。
発足時のメンバーは佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)、高森順子(情報科学芸術大学院大学 研究員、阪神大震災を記録しつづける会)、宮本匠(大阪大学大学院人間科学研究科 准教授)、小川智紀(認定NPO法人STスポット横浜 理事長)、田中真実(認定NPO法人STスポット横浜 事務局長)。2023年5月から、記憶を〈分有〉する表現にまつわるメールマガジン「分有通信」を発行。bun-tsu編集部には編集者の辻並麻由が参加。
https://researchmap.jp/community-inf/Saikan-Studies
阪神大震災を記録しつづける会
阪神・淡路大震災の体験手記を集め、出版する市民団体。阪神・淡路大震災の約1ヶ月後の1995年2月中旬より、神戸で印刷業を営んでいた高森一徳を発起人として手記募集をはじめる。第1巻は、95年3月15日に締め切り5月に出版。以来毎年1冊ずつ、2005年まで出版を続けた。掲載された手記は同会ウェブサイトでも公開している。
10巻までの投稿総数は1,134編(うち外国人107編)、掲載手記数は434編。10巻の脱稿後に、一徳が急逝。2010年に一徳の姪である高森順子が事務局長となり、会の活動を引き継ぐ。阪神・淡路大震災から20年目には10年ぶりに、第11巻となる手記集を発刊。25年目には、手記執筆者へのインタビューを収録した記録集を発行している。
https://www.tumblr.com/hanshinkiroku