SCHEDULE SCHEDULE

7/15 Sat - 7/30 Sun

EXHIBITION

展覧会「JPUKB FRMRS Lebenswelt-生活世界」

展覧会「JPUKB FRMRS Lebenswelt-生活世界」

デザイン・クリエイティブセンター神戸は、神戸市の姉妹都市であるフランス・マルセイユ市を拠点に活動するアーティストブックと版画の研究工房であるアトリエ・ビザビと協同し、展覧会「JPUKB FRMRS Lebenswelt ー生活世界」を開催します。
この展覧会は、アトリエ・ビザビが神戸とマルセイユという2つの港町を横断的に捉えるところから始まりました。杉山圭氏が影響を受けたテーマ「生活世界」を元に、神戸を基点にした作品制作を杉山氏に、それに呼応するかたちでマルセイユの作品制作をドリス・アルーシ氏に依頼し、2人の作家とアトリエ・ビザビが協同してリサーチ、クリエイション、プロダクションを行いました。無機質に感じられる港湾地区に広がる生活世界を、写真、シルクスクリーンプリント、アーティストブックで表現し、また、神戸で実施する2人の作家によるフォトセッションのワーク・イン・プログレスを通して、2つの国・地域・文化・港湾建築を西洋と東洋の視点から考察します。

※展覧会名にある「JPUKB」は神戸港の港コード、「FRMRS」はマルセイユ港の港コードです。


「生活世界(Lebenswelt)」について
ドイツ出身の哲学者のヴィルヘルム・ディルタイが継承し、エドムント・フッサールが取り入れた表現です。フランス人の哲学者ピエール・マシュレは生活世界のある一面をこのように説明します。人間は個々のプロジェクトによって設定された限界の中で囲い込まれた隣同士ではなく、共通に存在し、行動する。この「生活世界」の意味はある一つの意識だけでなく、複数の意識に与えられ、この複数性に連動した相互性と干渉性の効果を持つことになる。

 

展覧会企画者より 「生活世界 共存するということ」

杉山圭が東京の築地市場で行った5年間のリサーチが原点にあるこのプロジェクトはエドムント・フッサールの「生活世界」の考えが反映されています。
ノスタルジックに思えた世界最大規模の魚市場は、80年前は当時最先端の近代建築群であり、その立地的特性や人間性が絶妙に絡み合い実に人間らしい“街”を創出していました。リサーチで築地市場に入り込む度にその人間らしさへの変貌の欠片の数々を見た杉山圭。専門である都市計画デザインの側面からもその欠片の無限とも思えるやり取りこそが、時代の変革期である今、必要である要素なのだと確信を得ました。人間と進化の融合に必要な生活世界とその欠片を神戸で見つける俯瞰的な序章と位置付けています。
都市景観や建築現場の世界をテーマに造形活動を行なっているドリス・アルーシは暫定的に現れる物と、その一時的なバランスの儚さに興味を持ち、構築と無秩序、混沌と整然、パラドクサルな要素が共存する逆説的な場所である建築現場や場を捉え、詩的におさめます。港に存在する全ての要素がそこになくてはならないものであり、無機質と思わせる工業地帯の中には、働く人の日常があり、太陽で褪せた色、船の下の木の破片、人の手で作られた道具、それらの要素が独自のルールで共存しているのです。それを儚い彫刻作品かのように切り取るドリス・アルーシ。杉山圭とはまったく違う視点で生活世界を表現しました。
「生活世界」、それは私たちが「生活しながら体験する世界」であり、あらゆる物事が重なり合いながら「相互性と干渉性の効果と共に(ピエール・マシュレ)」共存する世界でもあるのです。
アトリエ・ビザビは二人の捉えた空間を、版画作品へと移行させるプロセスの中で、記憶とルポルタージュの狭間に見られたこのミクロな秩序が存在する世界を再度考究しつつ、ドリス・アルーシと杉山圭の撮った「生活世界」を一冊のアーティストブックと12点のシルクスクリーン作品に作り上げました。
二人の作家の視点、写真と版画の出会い、そして、思想と技術の融合。作家たちが見た工業湾岸付近の「生活世界」を広く伝えたく、マルチプルアートという複数性の特徴を生かし共有していくことにより、境界の融解を試みたプロジェクト。本企画を通し、東洋と西洋の普遍的な空間・世界を感じる機会となれば幸いです。


Design:明後日デザイン制作所

関連企画
「オープニングトーク」
「サイアノタイプワークショップ」

日 時
2023年7月15日(土)~7月30日(日)11:00~19:00 ※休館日7月18日(火)、7月24日(月)
場 所
ギャラリーC
出 展
Atelier Vis-à-Vis アトリエ・ビザビ、杉山圭(クリエイティブディレクター、アートディレクター)、ドリス・アルーシ(造形作家)
参 加
無料
主 催
デザイン・クリエイティブセンター神戸、Atelier Vis-à-Vis(アトリエ・ビザビ)
協 力
文化人類デザイン研究室、Conseil Départemental des Bouches-du-Rhônes, Région Sud, Urban Gallery, Arches Papers, PAC - Provence Art Contemporain, Studio Aza
助 成
Ville de Marseille, L'institut Français

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