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2015/10/22

REPORT

LIFE IS CREATIVE展 終活ラボレクチャー 「今と未来の終活のはなし」レポート

2015年10月12日(月・祝)

LIFE IS CREATIVE展「終活ラボ」内の企画、レクチャー「今と未来の終活のはなし」を開催しました。

朝日新聞社教育企画部ディレクター、立教大学社会デザイン研究所研究員である星野哲さんと、浄土宗大蓮寺、應典院のご住職である秋田光彦さんにお越しいただき、終活をテーマにレクチャーをしていただきました。

まずは星野さんより、終活がいま注目されているその経緯をお話いただきました。
星野さんは新聞記者として、葬送の分野にご興味を持たれ、死に関する家族や、社会のあり方について取材・研究を進められてきました。
「終活」という言葉はそもそも朝日新聞社が作られた造語だとのことです。
その背景には「ファミレス社会(=ファミリーレス社会)」つまり家族が離れて暮らす状況が原因にあり、個人化が終活を後押ししていることがあるのだそうです。
個人化することが原因でお墓の用意や遺言書の作成、遺産相続の準備などを行う動きが出てきたことが「終活」という言葉を誕生させたのです。
これらは全て死の準備のためとして行われます。
ただ、終活と呼ばれる活動の中では終身医療のことは抜け落ちてしまっていることが現在問題視されているそうです。

今後の終活の変化として、死のための終活ではない、生のための終活をご紹介いただきました。
死は家族、友人、仕事や地域などとの新しい縁・関係性を生みだすきっかけになります。
例えば、墓友やホームホスピス、お寺との生前契約です。これらは、今までになかった新たな関係性で個人の死をサポートする動きです。このような、色々な関係性を選択できる社会になっていくことが大切であるとお話いただきました。

次に秋田さんより、コミュニティと死の関係性に着目したレクチャーをしていただきました。
秋田さんがご住職をされているお寺ではコミュニティ、地域、縁を大切にした様々なエンディングサポートを行われています。
はじめに死生観についてお話いただきました。
日本ではお葬式が葬送の文化としてあり、その中心にはお墓があります。お墓は家族で継承されていくものですが、昨今では家族の多様化により継承が難しい場合も増えてきているそうです。そのため、継承がされず無縁となってしまうお墓が増えてきており、これが原因となり、死を悼む感性が退化し、死生観が失われてきてしまっているそうです。
そんな中で終活が行われるため、死生観を大切にした終活よりも合理的・経済的な終活が求められるようになっている、という状況が今の日本にはあるようです。
死には自助(自ら)・公助(自治体、行政)・共助(家族、仲間)の3つの相関があり、共助の部分が終活ブームの中では外注化してしまっていることを秋田さんは危惧されています。
そのために大蓮寺では個人をサポートするための生前契約を推進し、新たなコミュニティでのエンディングサポートを行っていらっしゃいます。その活動として生前個人墓の自然(じねん)や、生前から死後までのくらしをサポートするりすシステムなどをご紹介いただきました。
死を悼む感性を育てることで、今ある生を大切に出来るようになることが、終活とされる活動には足りていない部分であり、これからの多死社会には必要なことであるとお話いただきました。

最後に、星野さん、秋田さんのお二人に対談をしていただきました。
一般的に「終活」と呼ばれる活動の枠にとらわれない視点から、そもそもの根本である「生と死」を軸にお話いただきました。
その中でも、近現代の死生観の変化として、火葬後のお骨への意識の変化が出てきているというお話が印象的でした。かつてはお骨とはお墓に納めるものとされてきましたが、昨今では散骨をしたり、ゼロ葬(お葬式をあげず、お墓も持たず、火葬のみを行い、お骨も持ち帰らない)が増えてきており、お骨に対する想いや執着が現代の日本人にはなくなってきているのだそうです。また、家族が離れて暮らすことも多い社会ではお墓だけでなくお仏壇もないという家庭も増えているとのことです。このような意識の変化には、家族やコミュニティのあり方の変化が中枢にあるようです。

これからの社会には”わたし(一人称)”だけではなく”あなたがた(二人称)”そして”だれか(三人称)”、それぞれの死を支え合う仕組みが必要となってきます。そのためにはこれまでの日本の葬送文化を見つめなおし、人と人との関係性を見つめなおすことが大切であり、そうすることでこれからの社会に必要な終活の新たなカタチが見いだせるのではないでしょうか。

終活は個人的な活動から脱却をし、家族や地域で人と人とが死を念頭に置いた関係性を生み出していくことが将来的に重要になってくることが今回のレクチャーから見いだせました。
終活ラボでのリサーチやワークショップを進める上での道標となるような、大変有意義なトークとなりました。

今回のワークショップのはじめからおわりまでを、グラフィックファシリテーターの石橋智晴さんに絵と文字で書き残していただきました。


LIFE IS CREATIVE展 レクチャー「今と未来の終活のはなし」
http://kiito.jp/schedule/lecture/article/14382/

LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。
http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/13681/