NEWS NEWS

2019/8/19

REPORT

「+クリエイティブゼミ Vol.32まちづくり編「人口減少時代の豊かな暮らしを神戸でデザインする」」第1回レポート

7月30日(火)

昨年12月に開催したシンポジウム「徹底討論!「人口減少時代の豊かな暮らしを神戸でデザインする」」、2月~3月に開催した「+クリエイティブリサーチゼミvol.2 人口減少時代に豊かな暮らしを神戸でデザインする」を経て、新たなアクションプランを考えるゼミが始まりました。

  

最初に、ゼミマスターである副センター長・永田によるあいさつ。
「人口減少という課題はどのような視点から問題を見つめるかによって捉え方が変わってくる難しいもので、この課題に対する特効薬のようなアクションプランは描けないかもしれない、小さなアクションプランの重なりが広がってはじめて効果が出てくるのではないか、とテキストブック(シンポジウムとリサーチゼミの内容を1冊にまとめた今回のゼミ資料)に書きましたが、これも私のいち視点でしかありません。議論を続ける中で、ほかでもやっているし本当にこのゼミでやる意味があるのか?といったアイデアも出てくる可能性はあります。私たちも悩みながら取り組むゼミなので、みなさんと一緒に考えながら進めていきたいと思っています」。
32回目となる+クリエイティブゼミですが、とても難しいテーマとなる今回。実りあるものにするために、KIITOがゼミを進めるにあたって重視してきたセオリーを紹介しました。

  

KIITOのフィロソフィー(基本理念)、それは、地域豊饒化における「風」、「水」、「土」、そして「種」の話です。経済成長の名のもとににぎわいの創出や人口増加に注力する時代は終わりを告げ、人口が減り始めているというのが現状。そんな中、KIITOは「地域活性化」ではなく「地域豊饒化」と呼称することで、人の量ではなく質を高め、日本の社会が失ってきた地域や家庭での豊かなコミュニティを取り戻したいと考えているのです。
地域豊饒化に欠かせない3つの役割は、地域に暮らす「土」の人、土地に寄り添う中間支援的存在の「水」の人、土地に刺激を与える存在となる「風」の人です。かつては肥えていた土(にぎわっていた地域)も今では乾ききってしまい、水や新しい「種」が必要となります。そこで登場するのが「風」の人。専門家である風の人は土壌を豊かにするために種を品種改良し土の人のもとへ届けてくれますが、風であるがゆえに同じ土地にずっととどまることができません。そのため、乾いた土に水を与えてくれる「水」の人が必要です。水の人は地域にいながらにして、愛着を持ってその土地を支援する役割を担います。KIITOは、新しい種づくりをする「風」の人として、その種を「土」の人である神戸市民に届け、市役所やまちづくり団体、NPO、大学といった「水」の人たちと協働していく立場にあります。この+クリエイティブゼミも、いわば「新種の強い種をつくる場」です。最終的にアクションを起こせるようなアイデアを、参加者と一緒に考えていきます。
新しくつくる「種」は、みんなが興味関心を持つような強度をもったものでなければなりません。加えて、種をさらに魅力的に育て上げていくためには、周囲の人を巻き込んでいく“関わり代”を残しておく必要があります。これが「不完全プランニング」です。人口減少化によって、街には空き地や空き家が増え続け、これからはいろいろなものが“余る”時代がやってくるでしょう。その “余っているもの”見直し、既存のものを壊してクリエイティブに捉えていく取り組みは、すでに始まっています。既成概念にとらわれず根本から考え直し、広い視野で、違う角度から、情熱と愛情を持って考えてみることが大切なのです。そして、これは一人ではなく同じ想いを持って集まった人々と一緒に考えていくことが重要です。チーム内で効率よく、分担し、アイデアを出してまずは有効なリサーチをデザインすることにより、本質的で実現性の高い、強度をもったアクションプランが生まれます。

KIITOのフィロソフィー、そしてこれからゼミで必要となってくる部分を参加者と共有できたところで、神戸市都市局都市計画課の飯塚さん、奥町さんから、人口減少問題に対して神戸市がどのような取り組みをしているのか、詳しくお話をうかがいました。

  

人口減少時代、といいつつも、世界全体で見るとまだ人口は増え続けています。しかし、先進国においては出生率の低下などの原因もあり、そのような国は減少しているという状況です。
日本についてもどこの都市でも人口が減っているわけではなく、東京、福岡、大阪、名古屋、札幌のように日本をブロックごとに分けたときの主要都市には人が集まるのですが、一方でその周辺地域は人口が減っています。神戸市もそのひとつです。神戸市の人口のピークは2011年で、2012年以降は減少傾向にあります。現在の人口がおよそ152万人の神戸市も、40年後には44万人も減ってしまうという研究結果も出ているほどです。神戸の人口減少の要因となっているのは、出生率・死亡率の関係によって起こる〈自然増減〉、転出・転入などが要因の〈社会増減〉の大きく2つがありますが、こういった減少傾向は今後も続いていく見込みがあるため、市も対策を講じています。
神戸市は、人口を増やして神戸をもっとにぎわいのあるまちにするために新しい人の流れをつくるなどする「神戸創生戦略(積極戦略)」と、人口が減った場合にいかにコンパクトなまちをつくり対応していくのかを考える「都市空間向上計画(調整戦略)」の2つに取り組んでいます。地域による特性(市街地、ニュータウン)、空き家問題など、人口減少という課題はあらゆる角度から捉えることができます。今回のゼミで議論を重ねて生まれる提案は、たとえ小さいものでも積み重なれば将来のまちの魅力につながり、それが人口減少時代に市民が豊かな暮らしができることになります。神戸市の取り組みも、一例ではあるけれど考えるうえでのベースとして把握していただき、参加者のみなさんと一緒にアイデアを生み出していきたい、と思っています。

「人口減少は非常に難しく、逃げることができない問題ですが、それをマイナスに捉えたくない。どうやったらポジティブに考えていけるか、いま使えていない力をどう使えばまちを盛り上げていけるかを考えていきたい」と最後にコメントをいただいたのは、リサーチゼミ第1回で講師を務めた神戸市企画調整局つなぐ課の秋田さん。永田も、ポイントになってくるのは「人」ではないかと、次回のテーマ設定に向けて思案していると言いました。
今まで以上に、ゼミ生と一丸となって取り組む今回の+クリエイティブゼミ。いったいどのような「種」が生み出されるのでしょうか。

ゼミの詳細はこちら
+クリエイティブゼミ Vol.32まちづくり編「人口減少時代の豊かな暮らしを神戸でデザインする」