NEWS NEWS

2019/11/15

REPORT

「神戸野菜学 さつまいも」レポート

10月6日(日)

長い長いツルの先に、親子のように仲良くくっつくさつまいも。「神戸野菜学 さつまいも」の会場であるKIITO CAFEの入口には、畑で採れたばかりの迫力満点のさつまいもが参加者を迎えました。
2017年から始まった「神戸野菜学」は、野菜そのものの特性や育ち方、そして美味しい食べ方などを講師から学ぶ、ワークショッププログラム。今回の講師は、丹波篠山市で「谷口農園」を営む谷口将士さん、「世界のごちそう博物館」としてさまざまな国の料理を取り扱う本山尚義さん、そして神戸野菜学ではもうお馴染み、神戸市北区の野菜直売所「はっぱや神戸」の加古祐樹さんです。
会場に集まった参加者はどことなく秋めいた雰囲気。実は、事前に加古さんから「さつまいも色の服をお持ちの方は着てきてください」というドレスコードの案内があったのです。中には、この日のためにわざわざ赤紫色のトップスを購入したという方も。もちろん、講師陣もさつまいもカラーに身を包んで登場しました。

  

まずは、「神戸野菜学 さつまいも」チラシに掲載の〈抜き打ちさつまいもテスト〉の答え合わせを兼ねた、さつまいもの基礎を学ぶ野菜学の時間。正解した方にはさつまいも1本プレゼント、という賞品付きです。
日本におけるさつまいもの歴史は意外にも浅く、初めて日本にやってきたのは400年前。野國總管(のぐに・そうかん)という人物が中国から持ち帰ったことで広まりました。乾燥した土地を好み肥料も少なくて済むという栽培条件でたくさん収穫できるおかげで、土地が痩せ作物がとれない時代に、飢餓に苦しむ多くの人々を救ってきました。その後、薩摩国でつくられたことが由来して「さつまいも」という名前になりましたが、幕藩体制下にあった当時は藩どうしの交流はなく、さつまいもが流通することもありませんでした。ゆえに、いまは芋焼酎の名前にもなっている前田利右衛門、芋地蔵として現在に残る下見吉十郎、芋代官と呼ばれた島根の井戸平左衛門など、こっそりと鹿児島からさつまいもを持ち帰って自ら栽培し育てる人物たちの活躍により、全国へと広まっていきました。なかでも青木昆陽の功績には眼を見張るものがあり、「彼がいなければさつまいもは広く知られていなかったかもしれない」というほど。彼が江戸でさつまいもを広めるために著した『蕃藷考』は、時の将軍・徳川吉宗の目に留まり、吉宗が昆陽に命じたさつまいも栽培が成功したことをきっかけに、さつまいもが全国に普及したと言われています。
また、食糧難の戦時中「ただお腹を満たすためのもの」としてよく食べられたため、当時を知る人にとってはあまり良いイメージがないという一面もありますが、品種改良が重ねられ、今では嗜好品として美味しく食べられています。

  

さつまいもの基礎知識をひととおり学んだところで、谷口さんにバトンタッチ。会場に持ってきたプランターと実際の苗で、谷口さんがさつまいもの育ち方を教えてくださいました。谷口さんは「差し苗」という方法でさつまいもを育てています。苗屋さんから買った苗を土に差し、そのまま伸びていってさつまいもが育つ栽培法で、葉っぱを茂らせるためにきちんと除草することがポイントだそうです。だいたい、植えてから90~110日ほどで収穫時期を迎えます。谷口さんが育てているのは鳴門金時という種類のさつまいも。品種によって芋の付き方が違うため、土の中で散らばってしまうものもある中で、鳴門金時は安定して採れるのだそう。「比較的手に入れやすく、栽培もしやすい。土の中でお行儀よくいてくれるんです」とのことでした。
また、谷口農園を取材した映像で、本山さん、加古さんと一緒にさつまいもを収穫する様子を見ました。機械を導入する予定があるそうですが、谷口さんは今は手作業で収穫しています。スコップを土にまっすぐに突き刺し、てこの原理をつかって土の中から顔を出した立派なさつまいもに、会場からは「おおー」という歓声。スコップの鋭い部分を使ってザクッと実と茎を切り離す様子は、まさにプロの技です。土から出てくるさつまいもは持ち上げると10kgにもなるそうで、素人にはかなり大変。加えてスコップの刺し方にもコツがあるそうで、掘るときにスコップの先の「刃」の部分をまっすぐに刺さないと芋が割れてしまうのだとか。割れると長期保存できなくなってしまうので、収穫作業には慣れが必要です。近い未来、もし飢饉の時代が訪れてさつまいもを育てなければならなくなったときのために、このコツは覚えておいてくださいね、と加古さん。参加者は、近い未来あるかもしれないさつまいも栽培に想いを馳せました。

  

  

実演と映像のあとは、調理実習です。さつまいもとバナナをココナッツミルクで煮込む「ラドーブ」を本山さんから教わりながらつくりました。ラドーブは、セーシェル共和国という東アフリカ沖のインド洋に浮かぶ島国の料理です。
ラドーブに使うさつまいもを選ぶために、まずは試食から。「紅あずま」の味を基準にして、「安納芋」「パープルスイートロード」「黄金千貫」「ハロウィンスイート(生産量が少ないため味見のみ)」そして谷口さんが育てる「鳴門金時」の、合わせて6種類を食べ比べます。じゃがいものような見た目のものや、断面が美しい紫色のものなど、同じさつまいもという括りでも見た目の特徴にはかなり差があります。参加者のみなさんはじっくりと味わい、甘みや粘度を確かめたうえで、ココナッツミルクで煮込んだ時に合いそうな味のさつまいもを選びました。テーブルごとに分かれ、材料を切って鍋に入れる作業を分担しておこないます。
鍋を火にかけたあとは、本山さんの旅の話を聞きながらラドーブができあがるのを待ちました。本山さんが世界のさまざまな料理をつくるきっかけになったのは、インドを訪れたこと。ヨガの先生に無理やり連れて行かれたインドに1週間滞在するうちにすっかりエスニック料理にハマってしまったらしく、じっくり煮詰めたあとにスパイスで味がガラッと変わる調理法に魅せられたのだそうです。ほかにも、ヒッチハイクで国を渡る途中に野ネズミやアリを使った料理を食べたことなど驚くようなエピソードも飛び出し、会場からは時折笑い声も上がりました。

  

  

最後に、参加者のみなさんが作ったラドーブ、そして本山さんお手製の「さつまいものパコラ(天ぷら)」「さつまいもとパクチーのスープ」「さつまいもとキノコのマリネ」が揃ったさつまいもプレートが完成。美味しくいただきます。また、食事と一緒に、宿題として出されていた、みなさんの“さつまいも愛”を聞く時間も。さつまいもスイーツ専門店に男性4人で訪れ全メニューを制覇した話、バーベキューで使った炭でつくるやきいもを待つ時間が楽しみだったなど、ほくほくのエピソードが共有され、すっかりさつまいもに染まったワークショップとなりました。

  

  

「神戸野菜学 さつまいも」イベント詳細はこちら

◆以下、イベント告知チラシ裏面(上記webページにも掲載)の「抜き打ちさつまいもテスト」の解答です。

問1 さつまいもの生産量上位5県を答えなさい。※順不同

(  鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県、徳島県   )

問2 さつまいもが普及した経緯についての文章です。正しい言葉を書き入れなさい。

さつまいもの原産地は南( アフリカ  )一帯で、1万年前から栽培されていたと言われています。
長らく( コロンブス )が、ヨーロッパに持ち帰ったことから世界中に広まったとされていましたが、最近は( ポリネシア )人と呼ばれる人々が、航海の中で、移り住む島々にさつまいもを植えていったことで広まっていったということがわかってきました。

問3 さつまいもの保存について、正しいほうに◯をつけなさい。

さつまいもは、甘くするために最低でも1か月、最長で1年貯蔵します。貯蔵することで甘くなる作用を、でんぷん質が(還元・糖化・甘成)する、といいます。保存に適した温度は(0~5℃・5~10℃・10~15℃)で、(新聞紙に包んで・ビニール袋に入れて・裸のままで)、(冷蔵庫に入れて・風通しのいいところに・箱の中など乾燥しないところに)保存します。